ネコ 1973年 三重県 ある猟師が家で飼っていた猫は、ずいぶんと年だった。あるとき、猟師が仕事に行ったところ猫がいた。猟師はそれを撃とうと思い、元から一発入っていたところに玉入れをした。猫はそれを見ていた。猫を撃つと、猫はそれを茶釜の蓋でことごとく除けた。猟師は元から多めに入っていた一発で玉切れだと油断していた猫をしとめた。倒れた猫を拾いに行くと、それは自分の家の猫だったという。猫を長く飼うと、化けて出ると言われている。
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ネコ 1973年 鳥井丹波守の家令・高須源兵衛の家には長年飼っていた猫がいたが、ある時ふと姿を消した。その頃から源兵衛の老母が人に会うのを嫌い、猫のように食事をした。これは猫が化けたかと思った源兵衛は、雁股の矢を母に撃った。すると母は庭に出て倒れたが、姿は母のままだった。しかし一日経ったら飼っていた猫の姿に変わった。そして母の部屋の床下から、その骨が出てきたという。
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バケネコ 1970年 福島県 化猫の話だが、石川街道のごさんしょ峠の上にはお助け小屋があった。そこに爺様と婆様が住んでいて、猫に人を殺させて金品を奪っていた。ある日須賀川の薬屋が泊まったが、薬屋は鴨で猫を手なずけた。猫が薬屋を殺していないと知った爺様が煙管で猫の頭を叩いた。すると猫は爺様と婆様の喉笛に噛み付いて殺してしまった。猫は薬屋に金をやって姿を消した。それで薬屋は須賀川一の金持ちになったので猫を祀っている。
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ネコ(ゾクシン) 1983年 山梨県 猫に関する俗信。猫が死体の上をまたぐと死人が生き返るので、死体の脇に剃刀を置いておく。
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ネコ,オンリョウ 2000年 神奈川県 江戸時代の中ごろ、踊場という所にたくさんの猫が集まって踊り、通りかかる旅人に披露していた。又兵衛さんという人の猫も、踊っていた猫だった。ある日、その猫が舌を火傷して死んでしまった。そして又兵衛さんが踊り場にさしかかると、死んだはずの猫が踊っていた。猫の怨霊を供養するために、供養塔を建てたという。
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ネコ 1987年 岐阜県 昔、寺で飼われていた猫が遺体を越えてこの死体をくれといったため、お坊さんが数珠で頭を叩いた。それから家に帰ると猫が頭を割られていたという。
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イヌノタタリ 1973年 東京都 享保14年8月の頃、本所石原の徳山五郎兵衛の中間・八郎の尻に、にわかに犬の尾が生えてきた。朝飯を数日食わない事があったが、すり鉢に食べ物を入れると快く食べるという。それから人相も変わり、完全に犬になった。これは日頃犬を殺していた祟りと皆が言った。
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ネコ 1987年 山形県 1955年ごろ、話者が新庄で女中をしていたころのこと。猫を殺してしまってかわいそうだと思ったら、何日も寝るとき枕元にその猫が出た。生き物をかわいそうと思って殺すと、出る。
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オオカミ,ネコ,カジヤババ 1961年 長野県 武士が東筑摩郡の狼ヶ番場を通ると狼が出たので、木の上に逃れた。狼はイヌツギをして登ってきたが、1匹分足りないので「カジヤババを呼んでこよう」と言っている。しばらくして大きな猫が登って来たので武士が刀で斬ったら、猫も狼も逃げ出した。大猫の血をたどって行くと村の鍛冶屋に入った。医者の振りをして鍛冶屋の婆を診ると、片腕がないので退治した。縁の下から本物のお婆さんの骨が出て来た。
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ネコ 1982年 宮城県 越中の薬売りのトンジンサンが民家に泊まった際、猫が戸棚のものを勝手に食べるのを見て主人に言いつけた。主人は猫を殺して埋めた。翌年またその家に寄ると、季節外れのカボチャが出た。食べずにいるとカボチャは泡になってしまった。怪しんで尋ねると、猫を埋めたところから生えたという。猫の死体からカボチャが生えていた。猫は死んでも祟る。
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ネコマタ 1913年 島根県 飼い猫が年をとると猫又になるという。昔、ある寺の飼い猫が猫又になり、夜になると袈裟をかぶって町へ出て唄を歌って歩いた。猫を寺から追い出すと、4、5日経って裏の池に猫の死体が発見されたという。
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バケネコ,イッポンタタラ 1967年 奈良県 鉄砲撃ちの栄造が下山しようとすると一匹の古猫が吠え声と共に飛び出した。古猫は栄造の飼い猫で、前夜母の言いつけで持ってきていた隠し弾で撃ち抜き助かった。この化け猫が「一本足」で、男の姿を借りて温泉で傷を癒していたという。
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ギケイ,ロウネコ,カイネコ 1972年 青森県 老猫が住僧を害そうとしたのを鶏の宵鳴きで難を逃れ、老猫は殺された。この後、猫が杉の木の根本に蜥蜴・ムカデなどを水溜りに入れて腐らせた毒液をためておき、尻尾を浸しては和尚の汁に入れて殺そうとしていたことがわかった。老猫の死骸をこの老杉のところに埋めたが、数年後そこから蔓瓜が芽を出し大瓜がなった。それはその猫の眼中から生えていた。
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シュウシン,ネズミ 1974年 東京都 江戸小石川伝通院のある僧が、若い時にある日の申の刻ほどに鼠を殺した。死に際に鼠は僧の指を噛んだ。以来晩の七ツ刻になると指が痛み出すようになり、その事が一生続いた。
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ネコ,キツネツキ 1955年 山形県 お不動様の上の炭焼き小屋で猫を殺して煮て食い、狐憑きになった。
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ネコ,(オンガエシ) 1956年 宮城県 明治37(1904)年頃の話。清竜庵の保田孝道和尚は三毛猫を我が子のように可愛がっていたが,老齢で病の床に臥し,喜捨に頼って毎日を過ごさざるを得なくなった。ある朝,枕もとに鶏の卵が転がっており,人に尋ねてみても心当たりがないという。3,4日そのようなことが続き,ある日檀家の割烹扇屋の主人が見舞いにやってきた。主人の所では毎日のように卵がなくなるという。その時三毛猫が逃げるように部屋を出て行ったので,主人が卵をよく見ると,小さい爪痕や歯の傷,猫の毛などがついていたので,三毛猫の恩返しに違いないということになった。和尚は感激しながらもこれを戒め,半年ほどで示寂した。その頃から三毛猫も姿が見えなくなった。
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ネコ 1931年 鹿児島県 昔、狩が好きな武士がいた。その家には猫がいて、奥方によくなついていた。ある日、主人が山に狩に行くと、奥方の使いという女中がやってきて、家に帰るように告げた。女中がひとりできたことを怪しんだ主人は、化け物に違いないと思って女中を鉄砲で撃ってしまった。死体は見つからず、家に帰ると胸を撃たれた猫が血まみれで倒れていた。
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ネコアシイシ 1956年 宮城県 昔,この地に大芝居の巡業がやってきたので,金持ちの呉服屋が老母一人を留守番に残して芝居見物に出かけた。老母が一人で芝居のことを色々想像していると,その家の古猫が「おばあさん,お芝居をして見せようか。その代わり,人に告げたら生きていられなくなるよ」と言う。老母が承知すると,猫は後肢で立って巧みに忠臣蔵を演じて見せた。さて,老婆は家人の話に釣り込まれて猫の見せてくれた芝居の筋を語ってしまう。それは家人が見たものと同じであった。わけを尋ねられた老母が,トラ子(飼い猫の名)が見せてくれたことを告げたので,家人が気味悪がって明日飼い猫を殺すことになった。ところが,翌朝になると老母が床の中で死んでおり,傍らにいた老猫は一足跳びに7,8間も跳ねのいて逃げ去った。その時の足跡が石の上に残り,「猫足石」といわれている。
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ネコノアタマ 1939年 長崎県 猫の頭を黒焼きにして食べると、癩病の薬になるといわれている。
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〔オンビョウオオテンバ〕,ネコ 1956年 宮城県 儀八郎の老母おさんがある時から急に敏捷になり生臭物を好むようになった。猫踊りのような踊りを見せることもあった。その頃鶏などが攫われる事件があったので,近所には恐ろしい噂が広がっていた。その頃のある日の夕方,六部が一人浜街道をやってくると杉並木の辺りで突然頭上から怪物が襲い掛かってきた。斬りつけると手応えがあったが,怪物は逃げ去ってしまった。その夜六部が儀八郎の家に宿を乞うと,急病人が出たということで一旦断わられたが納戸の一間を借りることができた。夜更けに隣室の物音で六部が目を醒まし,そっと窺うと子猫たちが遊び戯れており,犬程もある虎猫が後肢で立って行灯の油皿を舐めている。翌朝六部は主人に昨夜来の事情を話し,その夜二人で老女の部屋に飛び込んだ。ようやく怪物を仕留めてみると老母の姿であったが,朝日に照らしてみると骸はやはり古猫であることが判明した。この怪猫は松崎の猫渕に棲んだ古猫で,その死骸を埋めたのが猫石だと言われている。儀八郎はその後六部に金塊を贈り,六部はこれを観音像にした。その後観音像と由来書は儀八郎の子孫の家に届けられ,今も保存されている。
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