キツネ 1933年 鳥取県 おこん狐という狐がよく人を化かした。ある男が川の中で網泥を一生懸命かぶっている狐をみつけたが、その狐が立派な女に化けて馬に乗せてくれという。馬に乗せて連れて帰り、火であぶったので、狐は正体を現した。人を化かさず、ここにすまないことを約束して許してやった。数年後、伊賀の山辺で娘に化けたおこん狐に会った人があるという。
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キツネ,キンジロウドン 1935年 熊本県 金次郎どんという狐がいた。ある時、百姓のところに金次郎どんが来た。馬に化けるので10両で売れという。百姓は金次郎が化けた馬を売って儲けた。翌朝には金次郎も戻ってきていたという。
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キツネ 1976年 鳥取県 鳥取の城にすむ桂蔵坊という狐は足が速く殿様が重宝していた。あるとき桂蔵坊が江戸へ密命をいいつかって播磨国にさしかかったとき、百姓が狐のワナに焼きネズミをしかけていた。その場はがまんしたが、帰り道でネズミに手をかけ、ワナにかかってしまった。
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オハマジョロウ,キツネ 1930年 千葉県 明治の初年頃、字太田と字木之子に通じる山間の路傍の社に年を取った1匹の狐が棲んでいて、綺麗な女に化けてここを通る人々の持ち物を奪って食べていた。わかっていても奪われてしまうので、ここを通る人は食べ物を持っているときは一部分を社に供えるようになった。この狐は常に美人に化けたので、おはま女郎と呼ばれて評判になった。
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マンジュロウギツネ 1976年 宮城県 馬橋坂というところに万寿郎という狐が住んでいた。宗作爺が親類の家の屋根替えの手伝いに行き、月形餅や撒餅をもらって帰途についた。途中学校の前に来ると、子供達が爺を見つけ寄って来て、土産をくれとじゃれついてきた。爺は嬉しくなって子供に包みの中のものを全てくれてやったが、気がつくと子供の姿はなく、万寿郎狐にだまされたのだった。
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キツネ,タロウジャドン 1935年 熊本県 太郎じゃどんという有名な狐が、村の者4・5人と共に参宮した。無事に戻ってくることができたので、狐が村の者を招いて同行祝いをした。村の者はご馳走を食べ酒を飲んだ。帰りに小雨が降っていたので、狐は傘を貸してくれた。村の者が傘をさしながら歩いていると、子供たちが笑う。気がつくと雨など降っておらず、さしていた傘は芋の葉っぱだった。
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テンノウキツネ 1955年 岡山県 布寄神社を天王様といったが、このお使いの天王狐がいる。天皇狐は変事がある前の夜には必ず出てきて鳴いたと言う。また天王狐は油揚などを好んで夜村の人が持って歩いていると必ず取られていて他のものと入れ替えられていたと言う。また昼でも出会った人が石を投げると怒って一日中山の中を歩かされたという。
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ソウタンギツネ 1977年 京都府 千宗旦に化けて茶のお点前をやってのける狐がいて、宗旦狐と呼ばれて、近所に碁を打ちに行くなどしていた。やりくりに困った豆腐屋を助けてやったが、豆腐屋がお礼にねずみのてんぷらを作って食べさせたところ、とたんに神通力を失い、銀色の毛をした狐の本体を現してしまった。近所の犬に追われ、古井戸にはまって死んだという。
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キツネ,シゲダ,ヒヤシバ 1976年 山形県 肴屋の平吉が商売を終え、「しげだ」と呼ばれる場所に差し掛かると、女房が子供を背負って迎えに来た。平吉が売れ残った蒲鉾を子供に与えると、次々とかなりの量を食べた。女房は左脚が跛(びっこ)だったが、目の前を歩く女房は右足を引きずっていた。狐に化かされたと思った平吉が天秤棒で薙ぎ払うと、狐は正体を現して逃げていったという。
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キツネビ,キツネ 1977年 茨城県 田んぼ道を、列になって点滅しながら動いていく狐火を見たことがある。狐の嫁入りだと教えられた。この辺りには多くの狐や狸が住んでいた。帰りに土産の天ぷらを狐に取られた、狐に化かされて田んぼを這い回っていたという話も聞かれた。
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キツネ 1973年 岐阜県・長野県 蛻菴という者は初めは飛騨国にいて、後に信濃の国諏訪の兵庫という者に仕えてよく勤めていたが、実は狐だった。それが知れてしまったので、蛻菴は岐岨のある和尚に身をよせた。和尚は僧衣を与え、役にもつかせた。長年経ち、和尚も人でないのに気付いていったが、親しく扱っていた。ある日蛻菴を飛騨国の寺に使いに出したが、日和田村を経て、ある田舎で妖魔を見破ることのできる銃を持つ者の家に泊まり、正体を暴かれて射殺されてしまった。
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キツネ 1931年 長野県 狐が亭主の情婦に化けて、その亭主を林の中に連れ込んで寝た。野良帰りの人が見ると、枯れ木の根に丸くなって変な風をして寝ていたそうである。気が付いたときは油揚げなど皆無くなっていたという。
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キツネ 1943年 山梨県 善右衛門が毎日町に炭を売りに行く。帰り道に狐が出、孫への土産をいつも食べてしまうので、ある夜孫に化けた狐を騙して連れ帰り、釜茹でにするぞと脅したところ正体を現して謝罪するので放してやった。翌朝、狐が「あな恐しやの善ねんぼう」どなっていた。
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キツネ 1936年 鳥取県 継新の少し前、お春狐という狐がいた。役場の隣りの関屋が宿屋だったが、そこでこの家のおかみさんに化けて泊り客の相手をした。なかなか功を経た狐で、お客にお茶を立てて出しては大閤さんが因幡の城を攻めた時の話を聞かせ、客を喜ばせた。
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キツネ 1956年 宮城県 昔,一本杉と言うところで紋付羽織を着た人に化けた狐が人々をたぶらかした。
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キツネ 1936年 新潟県 長四郎狐とおさん狐が話し合い、狐と人間に化けてうまく儲けようとした。その計画を全て知った男は、長十郎狐を騙すことに成功した。腹立たしく思った狐が男のところに行くと、大好物が置いてあり、仕掛けてあったひょうたんに引っかかって、生け捕りにされた。
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キツネ 1982年 宮城県 魚を馬につけて売りに行く人が、人間に化けた狐に魚をよく取られたので、次に声をかけられたときにはきっちり縛りつけて殺そうとした。それを見た及川氏の先祖が助けてやれと意見し、狐は助かった。その夜、狐が及川家の平貝の沢という田圃で唄を歌いながら田植えをし、その田圃はその年豊作になった。
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マンキチコロバシ 1956年 宮城県 明治の初め頃,烏頭ヶ浜部落に万吉という酒好きの若者がいて,七曲りを通るたびに狐に騙されて谷や沢をひきまわされ,土産の魚を攫われたりしていた。口惜しがった万吉は復讐を決心する。お薬師様の宵祭りの晩に酒に酔ったふりをして七曲りを通ると果たして男の姿をした狐が出てきたので,万吉は男を縁日の掛茶屋の奥に誘って酒や肴をたらふく馳走した。二人でグウグウ寝ていたが,万吉は相手が寝込んだ頃そっと起きだして茶屋の主人に「代金はあの男から貰うように」といって立ち去った。翌朝狐の正体が見顕されて大騒ぎとなり,棒で散々叩かれて命からがら逃げ出してきた。万吉は大得意であったが,二,三日後七曲りの崖下で万吉の墜落死体が発見された。以後そこを「万吉ころばし」と呼んでいる。
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キツネ 1999年 宮崎県 松叶のある百姓が日暮れ、田んぼのあぜ塗りに行った帰りに、狐がサルカクの葉を被ってきれいな娘に化けるのを見た。そのままみていたら、化かされて、下原まで連れまわされてしまった。
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キツネ,スグリワラ 1935年 熊本県 スグリ藁という名の狐がいた。スグリ藁に化けるのが上手なのでこう呼ばれた。ある時、寺の和尚さんが野原に花を採りに行った。そこを通りかかった魚売りが、狐が和尚さんに化けていると勘違いし、鯛を1匹和尚さんのほうに投げやって、逃げたことがある。
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