ジゾウサマ 1956年 宮城県 昔、仲の良い老夫婦がおり、毎朝必ず神仏を拝んでいた。大晦日に銭が300文ばかりしかなく、神様に上げるものさえ買えないくらいだが、爺は少しでも何か買おうと町へ出かけた。途中、道端の地蔵様が雪まみれになっていたので、爺は自分の笠を被せ、腰の手拭いをさいて笠が取れないようにしっかり結びつけ、そのまま町にいくのをやめて帰ってきた。婆もその話を聞いて喜んだ。家にある物で神仏にお供えして寝ていると、夜半過ぎに見知らぬ人がきて、薪を置いていった。神様が持ってきたかと、夫婦はその人が行った方向を拝んだ。次の朝、薪を焚こうとして木を切ると中から大判小判が出てきた。そういえばその人が被っていた笠と手拭いが爺のといっしょであり、さては昨日の地蔵様が、と2人は地蔵様の方をしばらく拝んでいた。
 類似事例 |
|
コエ 1974年 新潟県 貧しい爺と婆が火を炉端で火にあたっていると、危ない、危ないという声が聞こえる。大晦日に二年木を焚いてあたっていると、いつもの声がいっそう大きく聞こえてくる。爺がその声のするほうへいくと川端で金甕が水に落ちそうになっているのをみつけ、持ち帰ると大金持ちになった。
 類似事例 |
|
コエ,カナガメ 1953年 新潟県 貧しい爺と婆が夜に火を焚いてあたっていると、ガンギモト(意味不明)で危ない、危ないという声が聞こえる。大晦日に二年木を焚いてあたっていると、いつもの声がいっそう大きく聞こえてくる。爺がその声のするほうへいくと、川端へ出て、そこで金甕を得る。
 類似事例 |
|
コジキ 1984年 福井県 昔、大晦日にある家に乞食が現れて、宿を請うた。家の人は哀れに思って泊めてやった。翌朝そっとのぞいてみると、乞食は冷たくなって死んでいた。その家の人は火葬場へ運ぼうと思ったが、正月で誰も手伝いにきてくれないので、夜になるのを待って囲炉裏で燃やしたが、いくら燃やしても燃えず、いぶかしんで火ばしでつついてみたら、いつの間にか黄金に変わっており、大晦日に太い薪を燃やすのはこのためであるといわれている。
 類似事例 |
|
ビンボウガミ 1957年 新潟県 1月7日に若木を山から迎えて、14日に燃やして小豆を煮る。昔貧乏な親爺が夜逃げをしたら、貧乏神が着いてきた。貧乏神が生木を燃して小豆を煮るのが嫌いだと言ったのでその通りにすると、貧乏神は「俺の嫌いな事をする」と言って銭を投げつけてよこした。それからこの行事をするようになった。
 類似事例 |
|
ビンボウガミ 1957年 新潟県 1月2日にミヅクサとヌルデを山から迎え、15日に燃やして粥を煮る。昔貧乏な親爺が生木を燃していると、天井にいた貧乏神が燻されたのに怒って「親爺何が嫌いだ」と言う。「俺は金に困っている」と答えると、貧乏神は千両箱を三つ投げつけて帰っていった。それからこの行事をするようになった。
 類似事例 |
|
オニ 1934年 熊本県 昔、貧乏な年寄りがいた。見知らん婆さんがきて1杯しか飯を食わないので嫁にしてくれと言った。その婆さんは1表の握り飯を食べていた。口は耳まで裂け、頭には角の生えた鬼だった。爺さんは天から降りてきた縄をつかんで助かり、鬼が掴んだときには縄が切れ、玉蜀黍の畑の上に落ちた。その血がかかったために、玉蜀黍の根は赤い。
 類似事例 |
|
ジゾウ 1934年 長野県 貧乏な爺さんと婆さんがいた。爺さんが雪まみれの地蔵様の雪を払い、笠をかぶせたところ、夜中に地蔵様が、鼠に引かせた車に小判をたくさん乗せてお礼にくれた。
 類似事例 |
|
ビシャモンサン 1972年 鳥取県 正直な下女が元旦の朝に大事な火種を絶やしてしまい、死んだ人を焼いているおじいさんから火種をもらおうとすると、死んだ人と一緒ならやるといわれ、仕方なく死んだ人を負ぶって自分の部屋へ寝かせた。夜になって仕事を終えた下女が部屋に戻ると死んだ人が金になって光っている。毘沙門さんがくれたものであるという。
 類似事例 |
|
ユキダオレニン 1934年 奈良県 大晦日の夜、大火を焚いて行倒れ人を暖めてやると活き返り、ぱっと消えて、あとには沢山の小判が残っていた。それから大晦日には氏神社で大火を焚くようになった。
 類似事例 |
|
ビンボウガミ 1956年 宮城県 大晦日の夜、炉に火を起こし深夜まで起きている。炉の火が少ないと貧乏神が訪れ、早寝をすると早く年を取るという。
 類似事例 |
|
テントウサマ,コバン 1934年 北海道 貧しい夫婦が、こぼれ炭を甕にいっぱい溜めて年送りをした。夜中に大きな眼を光らしているものがいたので、鎌鉈でたたくと、大甕いっぱいの炭の粉が天道様の像を彫り付けた小判になって光っていた。神託では、貧しく善良な夫婦に天道様が授けたのだということだった。
 類似事例 |
|
(カサジゾウ) 2001年 新潟県 冬の夜、山奥でお婆さんと二人で暮らしていたお爺さんが、菅笠を売りに町へ行ったおり、雪をかぶっていたお地蔵さんに笠をかぶせたところ、そのお地蔵さんが恩返しに餅をついてくれた。
 類似事例 |
|
オオブロシキ 1991年 香川県 炭焼小屋で茶を沸かしていると、火にあたりに来る者がいた。その男は自分の金玉を火であぶって、どんどん拡げてゆくので、金玉に包み込まれては大変だと、小屋の主は金玉に薪の燃え株を投げ込んだという。
 類似事例 |
|
ハナタレコゾウサマ 1934年 熊本県 毎日柴を売りに来た爺さんが、売れ残りの柴を橋の上から淵に投げ込んだところ、竜宮のお姫さんから、お礼にと鼻たれ小僧様を貰って戻り、家の神棚に上げてまつると、爺さんは長者になった。しかし、その小僧を追い出すと、小僧が門先で鼻をすすった途端、爺さんはもとの貧乏人になってしまった。
 類似事例 |
|
ヤマノジサン 1986年 愛媛県 夜専門の猟師が火にあたっていると猟犬が身体を水にぬらして何度も薪を消してしまう。猟師は怒って犬を殺す。すると突然髭をボウボウに生やしたおじいさんがあらわれて、火にあたり出した。猟師はお爺さんが怖くてたまらずにいたが、じいさんが眠り始めたので一生のうちに1、2度しか使えない八幡大菩薩に関係のある玉で鉄砲を打った。じいさんは谷底へころげ落ち、誰かがすがりついて泣いているのがわかった。猟師は逃げ出し、1年ほど経った後その場所へ行ってみると白骨になっていた。これが山のじいさんではないかという。
 類似事例 |
|
ミガワリジゾウ 1987年 長野県 昔,女中や下男を沢山使っている長者がおり,昼食を田に運ぶ仕事を女中にさせていた。その中に信心深い娘がいて,村の地蔵の傍を通る時には一椀に飯を持って通っていたが,「娘が男の所に飯を運んでいるのではないか」と噂するものが出た。そこで長者は娘を問いただしたが,地蔵にあげているという娘の言葉を信じず,焼け火箸で顔を焼いて白状させようとした。ところが不思議なことに娘は火傷せず,地蔵様の額に火箸のかたがついた。その後,長者は貧乏になり,娘は無事に暮らしたという。
 類似事例 |
|
ムギノカミ,コメノカミ,カネノカミ 1941年 愛媛県 麦御飯がいやだった長者が女房を追い出したが、それを哀れと思った麦の神、米の神と金の神が出てきて、その女房についていくことにした。後に、その女房は改めて嫁いで、三人の神のおかげで新しい夫を大金持ちにしたという。
 類似事例 |
|
チゴ,フクノカミ 2001年 京都府 人一倍慈悲の深い小籐太という男がいた。あるとき小籐太は荷運びをして10銭を得る。茶屋に立ち寄ると疲れた稚児に出会い、10銭を与える。稚児は喜び、都へ帰ると小籐太の元へ行くことを約す。稚児は元は丹波にいたが、家の主が極貧なために逃げてきた、小籐太の家には恐ろしいものが住み着いていたので入れなかったが、これからは貴富にしようと約束する。帰宅して袋を開けると10銭は元に戻っていて、小籐太はこれは福の神に違いないと喜ぶ。
 類似事例 |
|
ヤマンバ 1999年 長野県 村の衆が山姥に毒の酒と炭のオキを包んだ団子を持たせた。山姥は喜んで帰っていった。その夜、空を真っ赤にして燃える山火事があり、村の人は驚いた。それ以来、山姥は姿を現さなくなった。
 類似事例 |
|