テング 1932年 愛知県 夜、男が峠で一服していると、鼻の高い、髪も髭も真っ白な老人が、羽の団扇をあおりながら段々と近づいて来た。天狗だと思い内心恐怖を覚えた男ではあったが、態度には出さず、冷静に対応した。すると、その度胸を買われて目のない魚をもらった。
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テング,グヒンサマ 1947年 山梨県 山で炭を焼いていると沢から魚釣りが来て声をかけた。鴉が廻りをぐるぐる飛んでいた。姿を確認しようと顔を上げたら消えていたのでちかくの人かと思ったが用事で出かけていた。天狗の仕業だという。
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キツネ 1977年 和歌山県 昔、ある人が田辺まで行って魚を買って帰ってきたが、途中の峠で狐に憑かれて帰ってくることができずに尾根まで登ってしまった。村ではその人が帰ってこないので皆で探していたところ、峠から迷い歩いたところに点々と魚が落ちていたので見つけることができたという。
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カミサマ 1960年 三重県 大晦日の晩は沖に行かない。禁を破ってイカ釣りに出た人が、阿子師神社の前で真っ白い神様を見て、恐くなって逃げ帰ったという。
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ウマツ,ウマツ 1985年 鹿児島県 イキャビキ(烏賊釣)のときにウマツ(怪火)が見えた。祖父の言うとおり、袖の下から見てみると、白衣を着た神様のような姿の人がはっきりと見えた。
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キツネ 1971年 福島県 朝暗いうちに、交番の方に田植えに行ったら、ここらの得意の魚屋が魚の籠を下ろして這っていくのをみた。狐に馬鹿にされたのではないかというわけだ。しばらく行って、また戻ってきたけれど、そのときには魚はすっかりとられてしまっていた。あとで聞いたら、しょっちゅう狐に騙されて魚をとられてしまうので、こんども俺を馬鹿にするつもりだとおもい、狐の後を追い、戻ってきたら、魚をとられてしまっていたという。その後そこに大きな石があったので、そこに稲荷さまをたてた。それ以来はちっとも魚をとられなかった。
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キツネ 1973年 岩手県 ある人が魚を買った帰り、よく狐が騙す峠に通りかかると、昼なのに暗くなり、家の灯が見えた。そこへ提灯を借りにいくといくとお婆さんがいて、うちには提灯がないから隣に行って借りてきてあげる、と言って出て行ってしまった。その人が留守番をしていると、奥座敷から唸り声がする。怖くて飛び出すと水の中にはめられていて、魚を盗まれていた。
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ヒ 1947年 山梨県 ヤナ場を組んで魚を採っていると、山から灯をつけて降りてくるものがある。灯は水に入るとますます大きくなりヤナ場に流れてきた。天狗かと思って怖くなって祈った。大入道がヤナ場に入ってきてびっくりしたが、天狗ではなかった。
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テング,ヒノタマ 1956年 群馬県 川にも天狗がいる。川で漁をしている男がいて、ある日、ばかに魚がとれる日があった。男が薄気味悪くなって来た時、ゴロゴロッと石の落ちる音がして火の玉が転げてきた。それと同時に網が急に重くなり持ち上げられなくなった。男は「天狗が出た」と叫んで逃げ帰り、2,3日寝込んだという。
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レイ 1982年 宮城県 夜、寺の前の川で鮎釣りをしていた人が、女の悲鳴に続いて真昼のような明るさになり、再び暗くなった。霊が来たのだろう。
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カワテング 1984年 山梨県 余沢の人が子供のころ、祖父が川の魚をとりに投網を持って夜中に行ったら川天狗が出てきて青くなって逃げたという話を聞いた。大きい人間のように見えたという。何回も見た。害をなすことはせずにただ姿を見せ、水の中(渕)に立つ。今の平山バンガロー付近でみたという。
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キツネ 1987年 山形県 魚を背負って地境集落まで来た人が、近所のお婆さんに化けた狐に風呂に誘われて、川にはめられて魚は取られた。
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ハイイロノバケモノ,テング 1966年 群馬県 大きな箱井戸をのぞいた時、大きな人の形をした灰色のばけ物が水にうつっていた。あわてて人を呼んで、その次にのぞいた時には、もうどこにもそんなものは見えなかった。これを天狗だと言う人もいる。
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ホオカムリヲシタチイサナオトコ,タヌキ 1985年 愛媛県 大正の終り頃、志津川のばあさんが拝志村へ所用で出かけ、帰りが遅くなってしまった。重信川の丸木橋を渡り、もう一息という所で橋のたもとに仕事着を着た男がうずくまっていた。子供みたいに小さく、頬被りをしていた。橋を渡って男の顔をのぞき込むと黒いチンのような顔で目だけが光っていた。婆さんは狸だったと語っている。
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テング 1968年 愛媛県 内海の三津浜の繁みの中に天狗が住んでいて時々悪戯をする。春先の暖かい大漁の夜,御嶽山の向こうからチロチロと火の玉が近づいてくる。いつの間にか腰の魚籠の獲物が全部なくなり,はっと気づくと大きな火の玉が岩礁の上でくるくる廻っていた。
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テング,キシン 1977年 岐阜県 ある人が飛騨山で木を伐っていると鼻の高い山伏が現れた。天狗かと思ったら心を読まれ、何故天狗だと思うのかと聞いてきた。急いで木を束ねていると、手元が狂い天狗の鼻に木が当たった。すると天狗は汝の心が読めなかったと言って去った。
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オンナ 1933年 神奈川県 昔、五郎ケ淵で釣りをしていたある人が、毎日獲物が多いのを喜んでいたら、ある時、化粧をした婦人が酒宴をしようと男を誘った。化粧ケ久保という原まで来たら、急に女の姿は見えなくなり、魚も一尾もなかったという。
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ハチロウ,ハチロウガタノヌシ,ヘビ 1969年 秋田県 村長をしていた吉岡さんが川で馬を洗っていると、八郎潟の主の八郎が尻尾につかまって上って来て、今晩泊めてくれと言った。覗かないでくれといったが、つい覗いてしまうと、蛇の姿になって角を振り上げてグウグウ寝ていた。翌朝、「見たな」と言って出て行ったという。
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スゴロクダニ 1930年 岐阜県 昔、飛騨船津の者が2人で谷を極めようとしてあるいていたとき、いつのまにか1人の男の顔が鬼のように恐ろしい形相になっていた。しかし、それを見た男の顔も鬼のようになっていた。二人は谷の奥に住む鬼が人間が入ってくるのを喜ばないのでこういうことが起こるのだろうと考えたが、実際は谷の日射によって人の顔を恐ろしく見えたのだろうとのことである。
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ガラッパ 1992年 宮崎県 小学校3年生のとき、一ツ瀬川の大きな岩で魚獲りをしていて、水中眼鏡をかけて川に顔を突っ込んだら、川の中に体長40cmほどの赤子がいて、目を見開いて話者を見ていた。恐ろしくなって急いで逃げた。伝えのとおり頭のてっぺんが窪んでいるか確かめる余裕は無かった。
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