ウシ,コンジキノブツゾウ 1928年 長野県 強情に寺参りをしようとしない老婆が河原で布を洗っていると、牛が出てきた。老婆が牛をののしりながら追いかけていくと、牛が善光寺に入っていった。老婆も本堂に入ったが、そこに牛の姿はなく金色の仏像だけがあった。翌日、村の観音堂の本尊の首に、牛に奪われた布がかかっていた。
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コヘビ 1976年 京都府 某家で伯母が同居してかいがいしく働き、家が栄えていた。しかし妻を迎えたところ、妻が伯母に従順しなかったので、伯母を別居させ、食事を持っていくように主が命じたが、妻は主に偽って、持って行く事は無かった。そのうち伯母は病気になったのだが、その頃から妻も心地が悪いと屏風の内にこもるようになった。2,3日もこのようなことが続くので怪しんで屏風の内に入って見たところ、妻の首に小蛇が巻きついていた。修験に祈ってもらったら、小蛇を退治すると妻は死ぬといわれたが、苦しみを見かねて祈祷を頼んだところ、小蛇は首を離れ妻の口に入り、妻は死んだ。その頃伯母も死んだという。
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ウシ,ヨダレ,キョウモン 1928年 長野県 老婆の手元から布を奪い、善光寺へ導いた牛が途中でたらしたよだれは、経の文字になっていて「南無大般若波羅蜜多」と読めた。老婆はこれを数回称えた。
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ゼンコウジヌノヒキウシ 1935年 長野県 下野国作久山に因業な老婆がいた。憎まれ婆で暮らすうち、ある日洗濯して乾かしておいた白布を角にかけて逃げ去る牛がいた。老婆はこれを追いかけて大きな寺の門前までやってきたが、当の牛はその姿を消し、突如目を射たのは仏の御光だった。これが善光寺如来で、婆は改心して信心者となり、安泰に余生を送ったという。
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ウジガミ,クロゲノヨウカイ,ヒヒ 1934年 静岡県 氏神の祭日の数日前になると、年頃の娘のいる家に白羽の矢が立ち、人身御供とされた。旅の僧がこれを止めんとして、真夜中に見張っていると、黒毛の妖怪が出てきて「信濃の国の悉平太郎に知らすなよ」と言うのを聞いた。僧は悉平太郎を探し、翌年大犬を一匹伴ってきた。犬は狒々と戦いこれを倒した。
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タヌキ 1975年 愛知県 60年ほど前に、あるところに古い狸がいた。時々取り憑くので祠に祀ったが、あまり祀らなくなったので怒ってまた人に取り憑きはじめた。ある人がお産をし、ある晩、その尻を見た狸がこれに取り憑いた。その人はとても弱くなったので、皆で祈祷した。心経を千巻読むことにすると、30巻くらいで狸が「千巻くらいでは出て行かない」と言った。3日目に三千経ではどうかと言うと、「帰ってもいいが祀ってくれ」と言った。お祀りすると、病人は治ったという。
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ヘビ,カニ 1976年 京都府 昔、綺田に美しい女がいた。ある時、村人が蟹を食べようと沢山取っていたのを、女は魚と交換して助けてやった。次の日、女の父が蛇が蟇を呑んでいるところを見つけ、蟇を逃がしたら娘をやると言った。蛇はすぐに蟇を放して去った。その夜、どこからか男が現れ、昼の約束の通り来たという。まだ娘に話していないというと去った。娘はそのことを聞いて仏前で読経をはじめた。蛇が現れ閨に入った。村人が戸を開いて中を見ると、女は無事で、蛇が数万の蟹に挟まれて死んでいた。村人はその所に寺を建立し蟹満寺と号した。
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ロウバ,(シノシラセ) 1944年 山形県 近い頃、正善院に出入りしていた婆さんが病気で寝込んでいた。檀家の婆さんたちが集まったときに病気のはずの婆さんが裏口から入ってきて炊事道具などを片付けはじめた。声をかけるとニッコリ笑ったが、血の気はなく、影のような感じがし、そのまま姿が見えなくなった。すると間もなく婆さんが死んだので枕経を読んでくれという迎えがきたという。
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ウシオニ 1991年 島根県 毎晩牛鬼が出て人を捕ると聞き、ある相撲取りが退治しようと夜、海へ行った。海から大女が上がってきたので牛鬼かと近づくと乳を飲めといいながら海に連れ込もうとした。神に願を掛けると鶏が鳴き女は逃げた。お礼に鶏の絵馬を奉納した。
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(ウマレカワリ) 1988年 奈良県 ある百姓が6年の約束で小僧を雇ったが、3年して病になり、死んでしまった。その後、夢枕に小僧が現れ、残り3年は明日伯楽が引いてくるはずの黒牛になって補う、と言った。その牛を買って使うと、ほかの牛の何倍も働いたが、3年後に急死した。その牛を葬ったのが牛の宮という塚。
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ネコ 1975年 静岡県 遠江国蓁原郡御前崎の西林院の僧が猫を助けた所、その猫が寺にいついた。ある時寺男が縁側で昼寝をしていて、猫も隣で庭を眺めていたところ、隣の家の猫がやってきて寺の猫を伊勢参りに誘った。しかし寺の猫は、住職に危険が迫っているからと断った。夢現で聞いていた寺男は不思議に思ったが、その夜、天井裏で大きな音がした。4、5日前から逗留している旅僧の雲水はその音にも起きてこなかった。翌朝天井裏を見ると、寺の猫と隣家の猫が血を流し倒れており、その傍らで雲水の服を着た大きな鼠が瀕死の状態でいた。
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ウシニウマレカワッタソウリョ 1944年 東京都 僧侶は食べて寝ているので、死後牛に生まれ変わると信じられていた。ある寺の和尚が死に、世話人が寺名を書いて葬った。数年後、世話人が歩いていると牛方が「おい、○○寺!」と牛に怒鳴っている。その牛には色変わりの毛があり「○○寺」と読めたからとの事であった。
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カラスヘビ 1915年 愛知県 烏蛇に馬の沓を投げつけると、どこまでも追いかけてくるという。寺の小坊主が烏蛇に馬の沓を投げつけたら、追いかけてくるので須弥壇の上に避難した。そこに現れた住職が蛇を箒で叩くと、頭は飛んでいった。その晩から小坊主は発熱し、渇を訴えるので水瓶の水を飲ませてやったが、ついには死んでしまった。翌日、その水瓶をみてみると、烏蛇の首が水の中を泳いでいたという。
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ヨクシン 1929年 広島県 ある時行脚僧が山で宿をかりた家では妻が死んだばかりで、主人は自家の寺を訪ねる所だった。僧は留守を頼まれ、死人の枕もとで経を唱えていると一人の僧侶が入って来て死人の衣を剥ぎ顔をいく度もなめて出て行った。この家の寺の僧が欲から生霊になってさ迷って来たらしい。
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ワニ 1933年 福島県 ある日、浜辺に出ていた娘が鰐にさらわれた。悲しんだ老僧はある日一匹の大鰐を見つけたので仇討ちとばかりに弓矢で射た。娘の追福を祈るために巡礼に出たら、幾年か後ある木賃宿で鰐の骨を見つけた。老僧が鰐の骨を蹴った拍子に倒れ、それが原因で死んだ。たぶん毒が入っていたのだろう。
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ヤコツキ 1955年 熊本県 資産家の息子に野狐がつき、その家運も傾いた。ある寺の境内の狐ということで、親にご無沙汰をしているので申し訳をしてくれという。僧が申し訳をするとその後家運も復興したが再び憑き、家運を復興させたのに祀らないことを責めた。家のものに狐の住む寺に参らせると二声、三声鳴いて退散した。
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カタメシイアルヘビ 1976年 京都府 一病僧が宇治に安居していたところに、ある日、いつも出入りしている芋売りの男が行ったところ、門から片目盲ある蛇が入っていった。男は何となく恐ろしく思い、近くの家に入った。その時病僧は死んだ。その因縁とは、この僧が某国で醜い眇めの女と馴染んだが、僧はその内女が疎ましくなりその地を去った。しかし、その後も尼になり付きまとった。その後に僧は宇治に来たのだと言うことだった。
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キツネ 1926年 長野県 20名の浄土宗の一行と鉄砲打が銃身から覗いたら、僧が狐に見えた。銃を撃つと狐になって山へ逃げた。その後、鉄砲打の家は狐に祟られて死に絶えた。
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ヤマンバ 1936年 牛方が塩鯖を運んでいるときに山姥に襲われ、鯖も牛も食われてしまう。牛方は木に登って隠れていたが、その姿が沼に映っていた。その姿めがけ、山姥は沼夜涛に飛び込んだので、牛方はその間に逃げて、一軒家に隠れた。そこは山姥の家で、牛方は山姥の餅や甘酒を飲んでしまったが、山姥はそれを火の神の仕業と思い、唐櫃の中で寝た。山姥は牛飼いが錐で蓋に穴をあける音を聞いて「明日は天気だけで、きりきり虫が鳴かあや」といいながら殺された。
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シンダオトコ 1931年 青森県 ある晩、古寺の老和尚が檀家回りからかえると、いつもは出てくる小僧が出てこなかった。経を読む声も聞こえないので小僧の部屋に行くと、小僧は経机に突っ伏して固くなっていた。その前には薄暗い電灯の光の中、1人の男が立っていた。和尚に大声で名前を呼ばれが小僧が顔をあげ、男と顔を合わすと男は消えた。翌朝、その男が死んだという知らせを受けた。
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