オイナリサマ 1968年 佐賀県 占いの上手な人がいて、お稲荷様を信仰していた。漁の神、商売の神といわれ、漁師の信仰が厚い。1960年頃までは2月初午に5,60人の人がお参りしていた。祈祷師にお稲荷様が乗り移り、3度震えて鼻声になり、お告げをする。指示通りにして大学受験や公務員試験に受かった人も多いという。お稲荷様は祈祷師以外に、17,8歳以上の乗り移り易い人にも憑く。憑かれた人は鼻声になり知らない祝詞を唱えたり、文盲の人が書けないはずの字を書いたりするという。
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キツネ 1922年 福岡県 稲荷信仰の厚い人には狐が乗り移って奇跡や予言を行なうという。普通の人が狐に憑かれると狐に化かされる。うまいものを持って歩くと石ころや馬糞などとかえられる。こういう時には怪しいものが自分の前や後ろを歩いていて、つまずいて転んだりするとかえられる。恨みがある相手に狐をつけようと思う時には、狐んの住んでいる穴に行って油揚などをやって頼むといい。また疱瘡を病んで寝ている者がいると、狐は見舞い客に化けて疱瘡を食いに来る。もし疱瘡を食うと、狐は千年の寿命を得て、病人は落命する。
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コックリサマ 1974年 埼玉県 日本の民間で行われていた占の一種で「こっくりさま」というのがある。竹や割りばし等を三つ又に開いて立て、その上にお盆などをふせて三人がその周囲に座り、各自が右手の指で各棒の接したあたりのお盆の面を軽く押さえ、こっくりさまを呼んで質問する。
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オンナ,キツネ 1967年 茨城県 お稲荷さんの通る道は決まっているが人間はわからない。相撲の強い男が山道を歩いていると狐が女に化けて出た。捕まえようと思い、踊り始めると女は姿を消し、再び出てこちらが踊ると消えた。後に男は熱が出てうなされる。稲荷の御使いの邪魔をした祟りだと言われた。
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ホトケオロシ,ムジナオトシ,ハッケ 1984年 新潟県 アリマさん、ありがたやさん、ドンドコヤさん、ミタケさん、オンタケさん、お滝さん、「○○町のお不動さん」などといわれている霊媒がいる。このほかに、「ホトケ降ろし」まではしないまでも、「ムジナ落とし」や八卦の能力を持っていると信じられている人がおり、使者に何かを聞きたい時や、病気、よくないことが続くとき、夢見が悪いとき、ムジナなどに憑かれたり、動物の祟りを感じたとき行方不明者や失せ物を探すとき、縁談の相談などにも行く。
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コアラシイナリ 1989年 長野県 小嵐稲荷はなかなか霊験あらたかな神様である。体に不浄のある人がお参りに登ると、途中で具合が悪くなって戻ることもある。また、何もないときに来てお参りをしないで帰ると、黒い竜巻のような物が巻き上がって、また戻ってお参りをしてきたという人もいる。
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キツネビ 1975年 東京都 毎年12月晦日の夜に関八州の狐が王子稲荷に集まり狐火を灯す。近所の人はその様子を見て作柄を占う。
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オイナリサン 1968年 群馬県 お菊稲荷さんといって、自分の体にお稲荷さんをおろして尋ね人などを教えてくれる女の人がいた。夜でないと乗り移らないものだといった。
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キツネ 1962年 神奈川県 市間の下ニワでは稲荷講の際に富士の行者が招かれて祈禱する。その時宿になった家の地所に必ず狐がいるといわれていて家の男の家人がよりましになり目隠しして幣束を持ち、狐をのりうつらせ、年の豊凶や病気のことを質問する。狐がのりうつる状態を稲荷踊という。
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イナリ,キツネ,ケンゾクサン,ツキモノ,ヤブガミ 1968年 佐賀県 ある家の稲荷様は1760年ごろから祀っており、祭日は毎月23日。以前は露店が出るほど人出があった。岩倉荒熊と記した鳥居が家の横にあり、穴があいている。昔はここに眷族さんと呼ばれる狐がいたという。舟おろし、家普請の祈願のほか、ノイローゼや憑きもの落としもする。薮神であれば、2,3回の祈祷で落ちるという。
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オイナリサマ,トオカミ 1988年 埼玉県 大正から昭和初年にかけて、コウチャンと呼ばれた男によく稲荷様がのり移った。自分も居場所を言い当てられ、トオカミを見に来るよう呼ばれて見に行ったことがある。手ぬぐいで目を縛り、手に幣神を持って座り、周囲で唱え言を唱えると、稲荷様がのり移った。
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キツネ 1956年 東京都 娘がゲンカクの池の傍の稲荷に憑かれた。修験者が狐と問答をした。狐は饅頭を食べたいと言ったので犬のこない所に置き、稲荷へは油と油揚げを供えたら落ちた。修験者は東京浅草で修行した者で、憑き物をよく落としていた。
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デンゾウイナリ 1987年 長野県 昔,村外れに住んでいた伝蔵さんは時々狐に化かされる事があった。化かされているときはうつろな目をしてコンコンと鳴いたり,ピョンピョン跳ねたり,わけのわからないことを呟いて稲荷様の周りを廻ったりした。翌日になると本人はその事を覚えていない。だが,狐に憑かれる事が度々になってある時狐はらいをすることになった。油揚げを久津根稲荷に供え,伝蔵さんをお稲荷様の前に座らせて神主にお祓いをしてもらい,狐をとってくれるよう皆でお願いしたところ,伝蔵は狐に化かされなくなった。いつしか久津根稲荷を伝蔵稲荷と呼ぶようになった。
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キツネ,キツネビ 1977年 王子村稲荷は関八州の稲荷明神の棟梁で、毎年12月晦日に関八州の狐が社前に集まり火を灯す。その燃え方を見て周辺の人は作柄を占う。
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ビシャモンタヌキ,オオニュウドウ 1986年 愛媛県 東雲神社下には、毘沙門狸がいた。「雨が降らんのにカサかして」とか「雨が降る晩に化かされて」と歌われた。また汽車に化けたり、大入道に化けたりもした。大明神さまと言って拝むと願い事を叶えてくれたという。
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キツネノチョウチン 1943年 福島県 村の庄屋が夜、山道で「おまん狐」に化かされて道に迷ってしまった。腰をおろして煙草を一服していると、向うに提灯が見える。近づいてみると自家の定紋入りだ。その提灯に従って歩いていくと、里に出た。信心している白狐稲荷様が助けてくれたのだろうとのことだ。
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キツネ 1939年 秋田県 男が道を歩いていると、行く先々で行き止まりになった。男は狐だと気付き、負けるものかと歩いたが、とうとう降参してお稲荷様に礼拝すると正気づくことができた。
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キツネ 1978年 山梨県 話者の父と祖父は駒ヶ岳の行者で、神様の祭祀や呪い、占い、キツネに憑かれた人の治療などを請け負っていた。
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コックリサン,キツネ 1984年 群馬県 鏡を使った占い遊び。一人がいろはを書いた紙の上50㎝ほどの所に、鏡を、鏡面を下にして持ち、もう一人が目隠しをして箸を1本持つ。いろはの字を箸で突いて質問者に答える。質問者が初めに「三河の国の豊川稲荷大明神、ご用がありますからすぐ来てください」と言って神を呼び出すと、鏡に狐の姿が映るが、見ようとすると消えてしまうという。
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キツネ,トウカミ 1985年 埼玉県 トウカミ(稲荷神)と言い、1人が目隠しをし幣束を持って中央に座る。周囲から般若心経を繰り返し唱えると、神様がのり移り体中が震えてくる。そこで夜更けまで質問をした。皆、自分の生活にとって大切なこと、特に田畑の計画を質問した。
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