オイナリサマ 1988年 埼玉県 コウチャンという人が、稲荷様に背を向け、鉢巻に榊の枝を持った姿で座る。皆で周囲を囲み唱え言を繰り返すと稲荷様がのり移ってくる。家長に当たる人が前に出てくると非常に喜ぶ。そこで挨拶の後、色々質問をするが、決して政治のことだけには触れなかった。
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キツネ,トウカミ 1985年 埼玉県 トウカミ(稲荷神)と言い、1人が目隠しをし幣束を持って中央に座る。周囲から般若心経を繰り返し唱えると、神様がのり移り体中が震えてくる。そこで夜更けまで質問をした。皆、自分の生活にとって大切なこと、特に田畑の計画を質問した。
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オイナリサマ 1968年 佐賀県 占いの上手な人がいて、お稲荷様を信仰していた。漁の神、商売の神といわれ、漁師の信仰が厚い。1960年頃までは2月初午に5,60人の人がお参りしていた。祈祷師にお稲荷様が乗り移り、3度震えて鼻声になり、お告げをする。指示通りにして大学受験や公務員試験に受かった人も多いという。お稲荷様は祈祷師以外に、17,8歳以上の乗り移り易い人にも憑く。憑かれた人は鼻声になり知らない祝詞を唱えたり、文盲の人が書けないはずの字を書いたりするという。
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コックリサン,キツネ 1968年 群馬県 昔はコックリさん呼びをした。コックリサンとは白狐のこと。乗り移らせて尋ね人や失せ物探しをした。榛名町の御嶽行者のオガミサさんを呼び、占ってもらう人とオガミヤさんと輪になって座り、庭に面した戸を開けておく。輪の真ん中に50音を書いて神棚に上げて拝んだ半紙を敷き、その上に箸を結わえて作った三脚をおく。拝んでいると誰かにコックリさんが乗り移り、三脚の箸で字を指すので、それを呼んで判ずる。
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キツネ 1985年 埼玉県 稲荷の社前でのオコモリの時カジツキを行った。1人の男の子が目隠しをし、幣神を持って中央に座る。他の子供たちが周囲から唱え言をした。憑きやすい子も憑きにくい子もいた。憑くと、すぐ元に戻したようだ。
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キツネ 1981年 和歌山県 戦後の食糧難の頃の話。裕福な家に餅米と小豆を買いに行った女の人の目にその家の稲荷の祠が御殿のように見えた。帰ってから一升ほどの餅米を1人で食べてしまい、赤ん坊と女の人がゲラゲラ笑い出したあとで肛門が痛いと言い出し、最後には拝み始めて「われこそは稲荷大明神」と唱え始めた。夫は妙見様の洗米を頂いてきて食べさせたり、天井や床に見えるという赤や黒や銀色の狐を女の言うままに木刀で叩きまわった。7日ほどして正気に戻った。稲荷が粗末にされていたので、たまたま来た女に憑いたという。狐は人に憑くとき入る場所を探してくすぐるので、探られた者は笑うのだという。
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デンゾウイナリ 1987年 長野県 昔,村外れに住んでいた伝蔵さんは時々狐に化かされる事があった。化かされているときはうつろな目をしてコンコンと鳴いたり,ピョンピョン跳ねたり,わけのわからないことを呟いて稲荷様の周りを廻ったりした。翌日になると本人はその事を覚えていない。だが,狐に憑かれる事が度々になってある時狐はらいをすることになった。油揚げを久津根稲荷に供え,伝蔵さんをお稲荷様の前に座らせて神主にお祓いをしてもらい,狐をとってくれるよう皆でお願いしたところ,伝蔵は狐に化かされなくなった。いつしか久津根稲荷を伝蔵稲荷と呼ぶようになった。
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イナリサマ,オカマサマ,トオカミ 1976年 東京都 トオカミと言い、ナカザという役を1人決め、幣束を持たせて目隠しし中央に座らせる。周りで唱え言をすると神様などが乗り移る。これをノリキといい、ノリキになると色々なことを言い、失せ物なども当てる。
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キツネ 1977年 東京都 元禄の頃、本所小梅の稲荷の社に狐が住んでいた。近所の茶屋の老婆が呼ぶと姿を現すが、他の人が呼んでも出てこなかった。
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オンナ,キツネ 1967年 茨城県 お稲荷さんの通る道は決まっているが人間はわからない。相撲の強い男が山道を歩いていると狐が女に化けて出た。捕まえようと思い、踊り始めると女は姿を消し、再び出てこちらが踊ると消えた。後に男は熱が出てうなされる。稲荷の御使いの邪魔をした祟りだと言われた。
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キツネ 1985年 埼玉県 1人に目隠しをし幣神を持たせ中央に座らせる。周囲から子供たちが唱え言を言う。誰か1人に憑くとすぐ戻して別の人に憑けたが、10人に1人くらいしか憑かなかった。なかなか元に戻らず、御嶽の行者に祈ってもらったこともある。
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キツネツキ,ミサキ 1959年 岡山県 ある男が漁をしているときに、遭難した船に祭ってあった神田稲荷が網にかかり、憑いたという。その男の寝ている布団はは狐が憑いたために布団がプクッとふくれていたという。この狐を追い出すために神田稲荷へ小豆飯と油揚げをお供えし、お参りすると、男が寝ている布団は狐が出たのでぺしゃんこになっていたという。
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イナリサマ 1987年 山形県 稲沢集落の稲荷様は、以前は人家近くにあったが、よくないことがあるので山の上に移したという。
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キツネ 1939年 秋田県 男が道を歩いていると、行く先々で行き止まりになった。男は狐だと気付き、負けるものかと歩いたが、とうとう降参してお稲荷様に礼拝すると正気づくことができた。
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オイナリサマ 1989年 群馬県 初午の前日、男の子が集まり、じゃんけんで負けた子などに目隠しをして座らせ、周囲から唱え言を繰り返すと、お稲荷さんがのり移り、その場で2尺あまりも飛び上がる。お稲荷さんがのり移ると、弱かった子でもたちまち強くなった。
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キツネ 1989年 長野県 りゅうとう橋の工事のためにお稲荷様を移転した。あるとき話者の同級生が夕方に帰ってくると、美しい中年の婦人が向こうの田圃で手招きをしていたので、ついていった。一晩中連れ歩かれ、朝にふらふらになって帰ってきた。お稲荷さんをいじったからだということで、祠を作り直したという。
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ネコ 1932年 長野県 50~60年前、お稲荷様に毎日20人ほど参詣し、その人たちを一匹の黒猫が歓迎した。猫が老衰したとき、参詣者のひとりである亀吉が家につれて帰り、かわいがった。その後、お稲荷様をお猫山と言うようになり、その土を持ち帰ってまくと鼠が出なくなると言われている。
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ヤコ 1966年 長崎県 稲荷様をヤコ使いという。ヤコ様は鼠のようなもので、ぞろぞろついて歩く。ヤコの千匹連れという言葉もあり、ヤコ祀りもかつてあった。
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キツネツキ 1983年 茨城県 昔、へんなふうになってしまった女の人がいて、頭から半天を被ったり褌をつけて部屋で腰巻1丁になって逆立ちしたりした。大光院のワカサマに御祈祷してもらうと狐憑きとわかったのでガキ様に油揚げ・お強飯をあげた。
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キツネ 1922年 福岡県 稲荷信仰の厚い人には狐が乗り移って奇跡や予言を行なうという。普通の人が狐に憑かれると狐に化かされる。うまいものを持って歩くと石ころや馬糞などとかえられる。こういう時には怪しいものが自分の前や後ろを歩いていて、つまずいて転んだりするとかえられる。恨みがある相手に狐をつけようと思う時には、狐んの住んでいる穴に行って油揚などをやって頼むといい。また疱瘡を病んで寝ている者がいると、狐は見舞い客に化けて疱瘡を食いに来る。もし疱瘡を食うと、狐は千年の寿命を得て、病人は落命する。
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