フルダヌキ 1962年 大阪府 御霊神社の夏祭りには太鼓が出る。備後町の能楽師宅に棲む古狸が、深夜、この太鼓を真似て腹鼓を打っていた。目を覚まして耳を澄ますと音は遠くにかすみ、うとうとしかけるとまた近づいてきた。
類似事例 |
|
シルマシ,ザシキワラシ 1973年 岩手県 1947年のこと。夜中になると家の居間、中の間、オカミと順順に、ボールを転がす音や鐘を鳴らしたりする音が聞こえるというシルマシが起きた。法華の婆様に見てもらうと、墓地に地蔵が3体あるのに1体しか供養していないから祟るのだと言われた。地蔵を探して供養した晩は音がしたが、翌日以来シルマシはなくなった。
類似事例 |
|
シンボク,タタリ 1989年 長野県 御神木を使って建てられた家があった。その家では日暮れから朝に顔を洗う頃まで小嵐様の方で太鼓が鳴るのが聞こえるので、近所の人に聞くと「聞こえない」と言われる。ある人に言うと、きつねかむじななので退治してやると言われたが効果がなかった。それから2・3日してその家は焼けてしまった。が、ご神木だった木だけは焦げただけで焼けなかったのでそれを使って仮小屋を建てたところ、また太鼓が鳴るようになった。それで神様の木だと判ったという。
類似事例 |
|
タヌキ 1938年 長野県 祭りのお囃子の練習を夜にチンチンドンドンチリカラスットンとやって、ちょっと休むと向こうから同じような音が聞える。八幡様の木の上から太鼓の音だけでなく、「チョンチョン」という音や「ポコンポコン」という音も聞えてくるので狸だとわかった。明治30年代のことである。
類似事例 |
|
タヌキ 1981年 和歌山県 1940年ごろのこと、市之谷で2人の男が炭焼きをしていた。1人が用事で泊まれなかったとき、狸が太鼓を鳴らした。もう1人の小屋を見回ってみると、いないはずの男が寝ていた。実は用事が済んで泊まりに来ていたのだったが、狸が化けたものだと思って口論になった。やがて誤解は解けたが、みっともないので村の人には黙っていたが、いつしか知れることとなった。「狸が言いふらしたんだろう」ということになった。
類似事例 |
|
タヌキ,(ヤマバヤシ) 1998年 静岡県 狸は色んな声を真似ることができる。狸の神楽などを一度も聞いたことのない人がほとんどいない。ある日、山に登った五人の男は突然役場の鐘の鳴る音が聞こえたが、その方を眺めると煙などが見当たらなかった。狸の仕業かもしれないと思い、落ち着いて村に戻ったら、やはり何のこともなかったという。
類似事例 |
|
タヌキバヤシ 1938年 東京郡 深夜にどこからともなく太鼓を叩くような音が聞こえてくる。地神楽の馬鹿ばやしに似ているといわれ、実際に聞いたものもいる。番町の七不思議のひとるにもなっている。
類似事例 |
|
メン 1929年 愛知県 流感のために曾川の花祭りが如何しても出来ない年があった。その時曾川のお宮の前を通った者が不思議なことに笛太鼓の神楽拍子が洩れて来るので何気なく拝殿に近づくと花祭のお面を収めた箱の中で面がおどったり、またことこと音を立てていた。
類似事例 |
|
タイコノオト 1993年 山梨県 芦川村鶯宿に山中にリョウメキ、あるいはリュウメキという場所がある。その付近で村の老人が足を滑らせて亡くなったが、それから毎晩のように太鼓の音が鳴り響いた。
類似事例 |
|
ミシゲー・マジムン,ナビゲー・マジムン 1931年 沖縄県 深夜ゴミ捨て場から三味線や鼓の音が聞こえてきたら、捨てられた物たちが「毛遊び」をしているのだという。あるとき、夜中に三味線の音がしので見てみると、男女が「毛遊び」をしていた。夜が明けかかると、一人二人と消えていった。
類似事例 |
|
ヤマノカミ,タイコ 1975年 高知県 芳川部落の向かいの山で、夜の9時か10時頃になると太鼓が鳴り出す。法印さんを呼んでわけを尋ねると、これは山の神のお怒りで近く山が荒れる前兆だという。そこでえらい太夫に山鎮めのご祈祷をやってもらうと太鼓の音は聞こえなくなった。
類似事例 |
|
キツネ 1956年 宮城県 昭和25(1950)年頃狐に化かされた人の実見談。山道などで狐に化かされて帰宅しない人がいると,部落の人たちは鼓や太鼓を鳴らして山中を探し回った。化かされた人は袂や帯に狐の毛を沢山つけてくる。終戦後急にこうした話は聞かれなくなった。
類似事例 |
|
カイビョウコタババ 1987年 長野県 昔,ある六部が根津村の長命寺大日堂にお篭りしていると,子猫が沢山集まってきてうるさく鳴く。よく聞くと「国分寺の小太ばば来なけりゃ踊りにゃならん」といっており,大きい怪猫が嵐と共に入ってきて子猫達と共に踊り狂った。六部が仕込杖で怪猫を刺すと,血を滴らせて逃げていった。次の日,「小太ばば」が門前の小太郎の家の老婆であることを知り,訪ねてみると,老婆は昨日足を痛めて寝ているという。六部がお薬師様に祈願して法力を身につけ小太郎の家に乗り込むと,老婆は怪猫の本性を現して尾野山に逃げ込んだ。家を探すと,縁の下から老女の白骨が現れた。小太郎は薬師様に願をかけ,六部の助けで尾野山に飛びつけて怪猫を仕留めた。今も国分寺の裏に六部の石塔があり,小太郎屋敷という地名も残っている。
類似事例 |
|
カミナリ,カミナリサマノスガタノアト 1999年 栃木県 激しく雷がなっていた日に、雷が家の庭に落ちた。見に行ってみると、木がひび割れていて、そのすぐ側には太鼓を背負った雷様の姿がくっきりと残っていたそうである。
類似事例 |
|
カイイヤシキ、オオニュウドウ、ヤシキカミ 1956年 宮城県 昔,新坂通台町五番丁南側東角の屋敷を拝領した侍が一人住まいをしていた。ある夜座敷に寝そべっていたところ庭先近くで呼ぶ声が聞こえる。障子の隙間から覗くと軒よりも高いような大入道が立っており,ここは昔から自分の屋敷だから早く立ち退けとわめく。主人が「ここは殿から拝領した我が屋敷じゃ。お前こそ立ち去れ。」と言い返すと,「ここはわしを粗末にしたので住み着いた者はいない。祭の日に神酒や供物をして厚く祀ってくれれば守護してやろう」といって消えてしまった。翌朝調べると屋敷の一隅に梅の老木があり,その下に小祠があった。それが前夜の大入道が屋敷神として棲んでいた祠だったのだろう。当時今泉孫八郎の屋敷であった。
類似事例 |
|
カミカクシ,テング,ムジナ,キツネ 1929年 石川県 神隠しに会ったりすると、幾人もの人がその人の名を呼び、幾つも高張を灯し、太鼓をたたいて探す。狐やむじなや天狗は太鼓の音を嫌うからである。
類似事例 |
|
タイコ 1976年 徳島県 後光厳院の御宇、康安元年の夏秋の間に大地震があり、7月24日に急に潮が乾いて陸になった。この時鳴門の岩の上に周20尋程の大太鼓が現れた。胴は石で面は水牛の皮、巴紋を描いて銀の泡頭釘が打たれていた。これを見た人は皆怪しみ驚いた。試みにこの太鼓を撞木で叩いた所、音が天に響き、山が崩れ潮が湧き出、皆逃げ去り太鼓の場所がわからなくなった。
類似事例 |
|
ウドゥイガミ 2002年 鹿児島県 国頭では踊りの練習を家で行っていたが,本番が終わった後も,練習をした家にウドゥイガミの霊がうろつき,三線や太鼓の音を出したり踊りの夢を見せたりした。支度直しのお払いをするのはそのためである。
類似事例 |
|
タイコザカ 1986年 埼玉県 昔、幸福寺の近くに一匹の竜が住んでいた。この竜は寺の鐘つき堂の主だといわれていた。ある時竜が近くの沼まで出掛けて帰ってくると何者かに鐘を盗まれていた。怒り狂った竜は、寺で大事にしていた太鼓を持ち出し、「これを借りていくぞ、鐘が戻ったら返す」と叫ぶや、どこかへ行ってしまった。その後その太鼓を見たものはいない。今、寺の前にある坂を歩くと「ポン、ポン」と音がするのは、この時竜が隠そうとして埋めたからだと伝えている。さて、この鐘を盗んだ者はなんと筑波山に住む竜であった。今でも筑波山のお寺の鐘をつくと「栢間恋し」と鳴るそうだ。
類似事例 |
|
アイヌジンタチノレイ,アズキヲアラウオト 1970年 山梨県 古宿のある家の前にアズキ洗い地蔵がある。これは昔、アイヌ人の墓があって、明治40年の大水害で埋まった後に畑となってアイヌ人達の霊を誰もとむらう者が誰もいなくなった。そのため、アイヌ人達の霊が供養してもらいたくて霊魂となって、夜にアズキを洗う音を出したので、その音がする地に立てたものである。以後、アズキを洗うような音は止んだという。
類似事例 |
|