オンリョウ,ハクジャ 1937年 京都府 絲織姫という愛妾がその寵愛をねたんだ人々に謀られて殺された。その後、松平家に世嗣として生まれた子は皆不具者か、途中で頭がおかしくなったものばかりであった。その頃から大銀杏の樹に白蛇が住むようになり、怨念が固まったものといわれた。時折白蛇は美女に化ける。その銀杏を食うと腹痛を起こす。
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イチョウ,ボウレイ 1936年 京都府 父親をなくして嘆き悲しむ姫君を慰めようがないので、人々が姫を生き埋めにした。そこから銀杏の木が生え、大きく成長した。城を壊すとき、斧を入れようとしたら、姫の亡霊が現われて哀願するので切り倒せなかった。
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ヘビ 1979年 長野県 姫の汚物を片付ければ嫁にやると約束して、蛇が片付けをしていた。年頃になって嫁に行く時、蛇が嫁にもらいに来た。姫の後を追ってくるので、針を投げると、腹が破れて死んでしまった。蛇の祟りがあるので祠を建てて祀った。
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(オキクノタタリ) 1982年 群馬県 小幡の殿様が侍女の菊を寵愛したので奥方や侍女の恨みを買い、殿様に差し上げる御飯に針を入れられた。殿様は怒って菊を責め、蛇の入った樽に入れ、宝積寺の池に投げ込んだ。小柏源介という侍が悲鳴を聞いて樽を開けると、瀕死の菊が出て来た。菊は「このご恩にお家に蛇の害は無いように致します」と言って事切れた。お菊の母が「お菊が無実なら芽が出ろ」と池の辺に炒りゴマをまいたら、芽が出た。お菊の祟りで小幡家に怪異があったので、宝積寺に碑を建てて供養した。小幡家では菊は植えない。
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シロイヘビ 1958年 栃木県 正月の餅をついている時、刺さった木のとげを取り除いた妻を、つまみ食いしたものと勘違いして、婿が杵で打ち殺してしまった。嫁は死に際に「全員とり殺してやる」といい、その後、家の梁に白蛇が出るようになった。また不幸が続き、とうとう没落してしまった。
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ダイジャ 1975年 山形県 昔狩川に千貫長者がいた。ある夜立派な若者が訪れ長者の娘と恋に落ちた。娘は身篭ったが産気づかない。手を尽くしたが効き目はなかった。ある日六部が来て、姫を救うには邸内の松にある鳶の卵を飲ませよという。長者は若者を松に登らせたが、若者は鳶にさらわれ地面に叩きつけられた。六部は「私は以前あなたに助けられた蛙で、婿になりすましていた若者は私を飲みこもうとした大蛇で、沼の主である。蛇は恨みを晴らそうと婿になった」という。見ると婿は大蛇であった。産気づいた娘が生んだのは無数の蛇であった。娘は死に、六部は姿を消した。
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ジャタイノマツ 1967年 福島県 海岸に蛇体の松と呼ばれる二股の老木がある。昔、慶長の頃、与吉という百姓がおり、お松という娘があった。ある時、殿様が与吉の家で休んだ際に、お松を侍女にすると城へ連れ帰った。ところがお松は家に帰りたがって言うことを聞かないので、小船に乗せて竜神の淵に捨ててしまった。お松は海岸に泳ぎ着いたが、力尽きて女面蛇体の死体となって海岸に打ち上げられた。親たちはこれを見て悲しみ、娘の名にちなんで松を植えた。この松が大きくなったものが蛇体の松である。この松は霊験があるという。
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ヘビ,ジャ 1959年 秋田県 山芋掘りに行った人が山で蛇を3匹殺した。夕方、家が揺さぶられたので、お婆さんが着物の袖からお日様を透かして覗くと、蛇の形が見え、それが家を取り巻いていた。殺した人が死んだので隣家に知らせに行くと、そこにも李の木から大きな蛇が下がっていた。託宣すると「1000匹子を産めばジャになって天に昇れるのに、3匹も殺されてしまったので憎い。親類全部殺してやる」と言うので、毎年7月24日に龍神を祭ると謝った。
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ダイジャ,シンランショウニン 1933年 栃木県 建保年間にある男の妻が妾を食い殺そうとしたが、夫に遮られたために夫の咽喉に食いつき、妾をも噛み殺した。全身鱗が逆立って、口は裂け、大蛇の姿になった。この世の女すべてを呪うようになって入水したといわれる。水に沈んだ女の一念が大蛇になって人々を困らせるので、毎年9月8日の夜に犠牲を捧げた。親鸞が大蛇を退治したとのことである。
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(オキクノタタリ) 1982年 群馬県 国峯城主の小幡公が侍女の菊ばかりを寵愛したので他の侍女が妬み、公の御飯に針を入れて、菊の仕業とした。菊は蛇責の刑となり、桶に入れられて宝積寺の池に沈められた。日野村の小柏源六が通りかかった時に桶を開けると、大量の蛇と瀕死の菊が出て来た。菊は「このご恩にお家に蛇の害は無いように致します」と言って亡くなった。お菊の母が「お菊が無実なら芽が出ろ」と池の辺に炒りゴマをまいたら、芽が出た。お菊の祟りで小幡家に戦死や切腹の沙汰が続いたので、宝積寺に碑を建てて供養した。
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ダイジャ 1963年 秋田県 神社にあった太い山芋のつるを掘り出したら大蛇に変じ村人を食べる。悪食喜平が河童を捕まえて居場所を聞き、淵に潜って大蛇を殺し、死骸を荷造りして殿様に献上した。荷造りした坂が「荷坂」で、大蛇を切った血が土に染みて今でも赤い。
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ヘビノコ 1980年 岐阜県 ある娘のところに美男が通っていたが、戸を開ける気配がなかった。不思議に思った親の言う通りに、娘は男の着物に針をさしておいたら、糸が節穴を通って池まで続いていた。娘は蛇の子を孕み、菖蒲酒を飲ませると7たらいも蛇の卵が堕りた。以来、娘が蛇の子を孕まないように三月節供によもぎ餅、五月節供に菖蒲酒、九月節供に菊酒をあげるという。
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ヘビ 1974年 和歌山県 昔、美人がおり、美しい若者が通ってきた。誰一人その姿を見た者がいなかったので、若者の着物の裾に糸をつけた。翌日糸をたどると、大きな川池に続いていた。その正体は蛇だった。美人な娘は俵一杯の蛇の子を生んだという。
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ヘビ,ヘビヅカ 1990年 長野県 萩原の里のくしが下に百姓家があり、美しい三姉妹がいた。末娘はとりわけ美しかったが、そのうちに若い恋人ができた。若者は毎日通ってきたが、家人は彼を見るたびにぞっとするほど冷たい感じを受けた。あるとき、木綿針に糸をつけて若者の袖につけ、後をつけていくと箱だたみの淵につながっていた。若者は箱だたみの主だった。以後若者は通ってこなくなり、娘は身ごもって子供を産んだが皆蛇の子で、産後まもなく娘は死んだ。この娘を祀った蛇塚があったという。
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ヘビノコヲウム 1956年 宮城県 昔,この地方に母娘が二人で住んでいた。毎晩のように娘のもとに美男の若衆が忍んで来るが,何処の誰かわからない。どうも化生のものらしい。母の言葉に従ってこっそり長い糸を針で袴の裾に縫い付け,翌朝二人で糸を辿っていった。糸は裏山の大木の所まで続いており,根元の穴から呻き声と「俺が死んでも,子供を千疋つくったから未練はない」という言葉が聞こえた。驚いた母娘が和尚の教えに従い,菖蒲と蓬の湯を沸かして娘を入浴させると,娘の体から千疋の子蛇が出てきた。若衆は蛇の正体を現して死んでいたという。
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テンニョ,ヘビ,ユメ 1993年 沖縄県 昔、天女が大城に降りて暮らしていて、美しい青年と通じた。その素性を怪しんだ天女が青年の衣に麻糸を通した針を刺しておき、翌朝その糸を手繰っていくと、洞窟の中で蛇が呻き伏していた。天女は蛇と通じたことを悲しんだが、夢で汝の孕んだのは立派な人間だという示現を得た。後に3人の女子が生まれ、これが狩俣の村人の祖先である。
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シロヘビ 1933年 栃木県 昔、山に城が築かれたとき、敵に攻められ、城主の一人娘が追い詰められ、井戸に入って死んでしまった。その後、娘が白蛇に身を変えて出ると言われている。今もその井戸があるが、水はない。今も蛇が棲んでいて、時々悲しそうな声を聞くという。
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ダイジャ 1989年 長野県 温田から来る途中に沼があり、大蛇が住んでいた。大蛇は男に化けて矢野部落に住む娘に通い、娘は子を孕んだが、男の正体が分からない。親が入れ知恵をして娘は男のほっかぶりの手ぬぐいに糸のついた針を刺した。親が糸の跡をつけていくと、蛇が蛇の親に「鉄の毒で死ぬが、子供を残した。ただ、蓼を飲ませると子が落ちる」と語った。娘の親は娘に蓼を飲ませ、子を堕ろした。
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キヨヒメ,ヘビ 1989年 福島県 清姫というお姫さまが安珍という坊様に恋したが捨てられ、その恨みで蛇になって追いかけた。安珍は鐘の下に隠れたが、蛇はその鐘に巻きついて溶かしてしまった。
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ヘビ 2005年 三重県 近所のお婆さんが畑仕事をしているとき、鍬で白蛇を切ってしまった。そのお婆さんは家に帰ってすぐ死んでしまい、白蛇の祟りということになって、白い石を積み重ねて墓を作って供養した。白蛇の墓は、現在は草に埋もれてわからなくなっている。
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