ムエンボトケ 1926年 愛知県 32、3年前の旧盆の日に、施餓鬼に立ち会った帰りに坂道を歩いていると、ボンノクボがもそもそとし、体中がだるくなった。修験者に見てもらったところ、無縁仏が憑いていた。
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ムエンボトケ,ツキモノ,ヘビガミ,イヌガミ,イナリ,ヤマノカミ 1967年 愛媛県 昔、ある人に無縁仏がついたことがある。憑き物はほかに蛇神、犬神、稲荷、山の神。話者はそのような憑き物落としをする。蛇神が憑くと物を言わなくなり、犬神が憑くとワンワン吠えるようになり、稲荷が憑くと油揚げと強飯を欲しがるのでわかる。話者によると、ある人が外の村に嫁いだところ、その家が憑き物筋だったので、以来この村にも憑き物が入って来たという。
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ムエンボトケ 1976年 熊本県 嫁が行方不明になり、探しに行くと、無縁仏の墓のところで眠っていた。以後、嫁は病気になり、すべての髪が抜け落ちた。無縁仏は誰かにすがろうとしているので、世話をしてくれる人に憑く。だからなにもしない方がよいのだとされた。
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ムエンボトケ 1988年 長野県 無縁仏が人につくことがあり、つかれた人は仏のいる方へと夢遊病者のようになって行ってしまったということだ。占い師はそうして憑いているものが無縁仏であることと方角とを占い、供養した。
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ナガレボトケ 1952年 佐賀県 若い女の「流れ仏」を拾ったが、自家近くに埋めて祀らず、浜の納屋近くに捨ててしまった。ところが病気になり、法印様に見てもらうと、「流れ仏が祀ってもらいたがっている」という。そこで石の恵比寿さんを自宅に祀ると病気も良くなり、漁もうまくいくようになった。
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バケモノ,リョウイシ 1974年 奈良県 大和国で6月寅の時に家を出て途中野原で石に腰掛け休憩したら体がおろち臭くなった。目的地に着くと既に未の時になっており、子細を話すと石は竜が化けた物で触れると病になると言われた。すると急に病になり治るのに1ヶ月かかった。
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オコリ,イシ,タタリ 1941年 岐阜県 高山市の地主では代々恐れてきたおこり石があったが、ひだびとの編集部がそれ発掘した。地主が石の祟りを避けるために神主に頼んでお払いしてもらったが、発掘が終ってから同家の人が病気を酷く患ってしまったという。
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ゴリントウ 1982年 島根県 横倒しになって土に埋もれた五輪塔が放置されていた。土地の持ち主である未亡人が胃潰瘍にかかり、物知りに見てもらうと、五輪様が祭りをしてほしく思っていること、仏壇の位牌の中に他所の位牌が混じっていて仏さま同士がもめていることがわかったので、祭りをして、位牌を別にしたところ、胃潰瘍はすっかり治った。
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カタメシイアルヘビ 1976年 京都府 一病僧が宇治に安居していたところに、ある日、いつも出入りしている芋売りの男が行ったところ、門から片目盲ある蛇が入っていった。男は何となく恐ろしく思い、近くの家に入った。その時病僧は死んだ。その因縁とは、この僧が某国で醜い眇めの女と馴染んだが、僧はその内女が疎ましくなりその地を去った。しかし、その後も尼になり付きまとった。その後に僧は宇治に来たのだと言うことだった。
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タタリ,キダン,キカイ,ヤマノカミ 1974年 京都府 文政11年、鳥辺野の地蔵山から土砂を採っていたところ、山の神といわれる所まで掘り進めてしまった。大きな壺に掘り当たり、怪しいと思ったけれども、周りや底のほうへ掘り進めた。すると突然土中が鳴動して、壺がすり落ちる音に驚いて人足が死んでしまった。そして世話人の数人もことごとく大病にかかり死んでしまった。老尼の祈禱者に頼み神おろしをしてもらうと、絶入の形になり、幣を持たせると居直って、にらみつけて、自分は明智の一類であり、山に葬られ、山の神と言われていたが、理不尽な振る舞いの鬱憤が晴れないと言う。後も地蔵を穴に納めて供養したり読経をしたりしたが死人が出た。
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ムエンボトケ 1960年 兵庫県 無縁仏は人に祟るので怖れられた。主に祀ってほしい人に祟る。度々祟る仏には、墓石に煮えたぎった茶を注ぎかけると程度が軽くなる。墓地のついた田畑などを買うと買主に祟ることがある。
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キツネ 1926年 福島県 又吉という百姓が狐に石を投げたところ、狐の足に当たった家に帰ると熱病を病み、たわごとを言った。狐に憑かれたのだった。7日後に元に戻った。
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ダル 1985年 和歌山県 ダルに憑かれ、足がだるくなって動けなくなった。家に人を呼びに行ってもらい、父と弟が持ってきたお粥を食べたら治った。ダルはひだるくなって死んだ人の霊で、無縁仏があるようなところで人に憑くと言う。
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コヘビ 1976年 京都府 某家で伯母が同居してかいがいしく働き、家が栄えていた。しかし妻を迎えたところ、妻が伯母に従順しなかったので、伯母を別居させ、食事を持っていくように主が命じたが、妻は主に偽って、持って行く事は無かった。そのうち伯母は病気になったのだが、その頃から妻も心地が悪いと屏風の内にこもるようになった。2,3日もこのようなことが続くので怪しんで屏風の内に入って見たところ、妻の首に小蛇が巻きついていた。修験に祈ってもらったら、小蛇を退治すると妻は死ぬといわれたが、苦しみを見かねて祈祷を頼んだところ、小蛇は首を離れ妻の口に入り、妻は死んだ。その頃伯母も死んだという。
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ウツワノタタリ,コヅカ 1982年 鎌倉真言宗の僧・円空は怪しき加持祈祷を行って、柏木成子町の町人が目の上に痰病ができて両目が腫れたのを治した。これは家の中にある器の祟りで、これを掘り出して清浄な地に埋め変えると病気が治ると円空が言ったことによる。実際家の下から小柄が発掘されたので、円空が持ち帰って鍛冶を行うと両目は少しずつ見えてきたという。
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コウボウダイシ 1949年 岡山県 弘法大師が唐土に渡り様々な種子を集めた。帰国時に発見され種子を取り上げられ、唐土にいてはならないといいわたされた。そこで、小さな袋を隠し持ち種子を入れ、地上に杖を立てそれに乗った。しかし、それでもだめだといわれたので、日本に飛び戻り、各地をまわり種子をまいた。最後に下熊谷の地にきて、袋を逆さにして振ったところ残っていた茨の種子がこぼれ落ちた。現在、フクロップルイと呼ばれる茨の生い茂った荒れ地はその名残である。
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ゴリンサン 1970年 鳥取県 上山家の五輪さんは畑で祀っている。祀るために家に持って来たら、その晩主人がひどい頭痛になったので、元に戻してお祀りをした。五輪さんは触っても祟るという。
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イヌガミモチ,コウボウダイシ 1954年 高知県 高岡郡黒岩村の伝承では、憑物は弘法大師が印度から麦種を持ち帰るときに日本に入ってきたとされ、麦を作る家には必ずいて、祈り不足の家から出ると言われていた。また、原因不明の病人が出たり、絶え間なく病人が出たり、豆腐を作るときに大豆が煮えなかったり、籾ずりの最中に唐臼が廻らなくなったりすると、犬神に憑かれたと言う。
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キツネツキ 1942年 長野県 ある人が病気になったので御嶽講の先達に占ってもらうと、狐憑きといわれた。その後、村に2、3軒狐憑きがでた。狐がいうには、上垣という屋号の家で、食べ物をくれないので来たのだという。そこで村の者が上垣に掛け合ったが、上垣は狐など飼っていないと言った。その家の大黒さんを怪しんで川へ流したが、依然狐憑きは治らなかった。村の者は収まらず、ある夜大挙して上垣に押しかけて乱暴狼藉の限りを尽くした。上垣は代官所に訴えて勝訴したが、この件以来けちがついて家は絶えてしまった。
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ミカワカミ,タタリ 1956年 佐賀県 屋敷のまわりにあった無縁仏をかたづけたところ、屡々祟りがあるというので、少し離れた道端に新しく碑を建てて供養した。
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