タヌキ 1938年 長野県 祭りのお囃子の練習を夜にチンチンドンドンチリカラスットンとやって、ちょっと休むと向こうから同じような音が聞える。八幡様の木の上から太鼓の音だけでなく、「チョンチョン」という音や「ポコンポコン」という音も聞えてくるので狸だとわかった。明治30年代のことである。
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タヌキ,ホタル 1979年 徳島県 30年ほど前、男性2人で夜8時頃にエビ釣りに行った。祇園さんのところに蛍が気味悪いほどいた。17・8の子が追いかけようとすると、上の子が「あれはタヌキだから追いかけるな」と止めた。追いかけていたら、山に連れて行かれるところだったという。タヌキは女性に化けて人を山に連れ込んだりする。
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テング 1970年 滋賀県 ある男が晩に家の外で物音を聞き、棒を持って見に行ったきり帰らなくなった。鉦や太鼓で探したが、とうとう見つからない。ところが2,3ヶ月してドンという音と共に戻ってきた。どうしていたか尋ねると、天狗につままれて敦賀のカナ山というところにいたと語った。その男は母親と二人暮らしの独身の変わり者で、末期は哀れだったという。
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イヨウナオト,テング 1938年 福島県 一昨年魚釣りに山に入ったとき、風も無いのにブーンと異様な音がして巨木が皆なびいた。天狗様がお通りになったのであろうということであった。
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タヌキ 1979年 岐阜県 昔、二人のおばあさんが山の奥へ入っていくと、「トントン」と木を切る音がする。狸が木を切っているのではないかと思い、呼んだが返事がない。行ってみると動物が逃げる足音だけが残っていた。
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テングノタイコ,タイコヲタタクオト 1982年 新潟県 遠い山奥で炭焼きの木伐りの仕事をしていると、谷間でドンドコ、ドンドコと、太鼓をたたく音が聞こえてくる。これは、天狗の太鼓だと、昔からいう。
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タヌキ 1985年 和歌山県 話者の家の下の道にはよくタヌキが人間に化けて出たり、なにか大きなものになって道の真ん中に化けて出たりした。蹴飛ばしたら、キャンキャン鳴いて逃げたという。
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テングサン,テングドン 1989年 鹿児島県 ブラクの古老たちが、正月に国有林へ盗伐へいったところ、話者の爺さんが何かに鼻をつままれたが、それは天狗さんだった。そのうちに山鳴りがし、雷が鳴ったり山崩れが来てたので、散々逃げ戻ってきた。天狗ドンが好かん人の鼻をつまんでいたずらしたという話である。
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マツシマウラトノフルタヌキ 1956年 宮城県 昔,松島の鯨島に古狸が棲んでいた。ある晩朴島の漁師が鯨島の近くまで行くと賑やかな鼓の音が聞こえていたが,やがて漁師の名を呼んで屋島合戦の浄瑠璃を語ってきかせた。残りの段は明晩きかせると言うので,翌晩部落の皆で行ってみたがお囃子も浄瑠璃も聞こえなかった。ただ,その後一人で夜釣りに行くと,誰でも聞かされたという。
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ヤマノカミ,タイコ 1975年 高知県 太鼓堂という窪地は旧暦の月の20日あたりになると太鼓の音が聞こえてくる。窪地の水溜りには夜な夜な山のけものがヌタを打って遊ぶといわれ、昔から猟師が宵待ちして獲物を撃った。
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タヌキ 1990年 長野県 草刈りに行くと、井戸入の方で木を伐る音がした。そのうちに木が転がる音がして、馬に乗っているのに生暖かい風が来たという。あるとき湯舟沢から猟師が来て、井戸入にいたたぬきを撃って持って帰ってからはそんなことは起こらなくなった。白髪の生えた古いたぬきだったという。
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タヌキ 1985年 和歌山県 話者が昼間紀ノ川に行ったときのこと。おじさんが竿を担いで川の中を歩いていた。見ると岩の影からタヌキが尻尾を出して騙していた。
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フルダヌキ 1956年 宮城県 鯨島には昔、古狸が住んでいた。朴島の漁夫が夜釣りをしていると、鼓の音がして名を呼び、屋島の戦や壇ノ浦の戦の浄瑠璃を聴かせ、続きは明日の晩聴かせてやるといった。翌日村の仲間一同で島の近くへ夜釣りに出たが何事もなく、漁夫はみんなから冷笑される。次の夜独りで行ったら後段を聞かせてくれた。以後、独りで行けば誰でも聞けたという。島の東南中腹に奥深い洞穴があって、古狸のすみ家という。
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テングタオシ 1954年 岡山県 ある猟師が、夜明け方に雉が出るのを打とうと山に出て待っているとき、天狗倒しに逢った。あまりの恐ろしさに小さくなって頭上に向けて夢中で鉄砲を打つと、何か音を立てて落ちた。しばらくすると天狗倒しは静まり、夜明けになってきたので付近を探すと、鴨が撃たれて落ちていた。そのため天狗倒しとは鴨の大群の移動を言うのであろうという人もいる。
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カタツムリ 1980年 茨城県 ある年の夏、常陸国の茂木という山里に泊った時、垣根でコロコロと長く鳴く虫がいた。里人に聞くと蝸牛が鳴いているという。
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カワウソ 1955年 神奈川県 小雨の晩、角田福三氏が祖父と鐘ヶ淵の岩下に鮎を捕りに行った。突然ドボーンと大きな水音がし、2人は急に体がゾクゾクするほど気味が悪くなった。祖父はきっと身投げに違いないと言い、翌朝行ってみたが、それらしいものはなく、川原の砂地に子犬ぐらいの足跡が沢山ついていた。それはカワウソの足跡で、水音もカワウソのいたずらだったのだろうという。
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トンゴシ,トンゴシババァ,ヤマンバ 1999年 宮崎県 大正年間の話。「お崎のはな」にはトンゴシが出ると言われた。崖の下の曲りくねる狭い道で、古墳の横穴がいくつもあり、崖の上は雑木林、逆は竹藪でその向こうには井手が流れ、昼でも気味の悪い場所。そこに壊れかかった水車小屋があり、ときどき白髪の婆がいて米や小豆を研いでおり、悪口を言うと追いかけてきたそうである。ある晩、村の青年二人が通りかかって「今もトンゴシ婆ァがいるのか」と冗談を言ったら、「今もおりますゴシゴシ」と返事があって、白髪で口が耳まで裂けた山姥が追いかけてきた。
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キツネ 1971年 岐阜県 1930年ごろのこと。門野と遠山の間の傍示松には狐がいた。あるとき豚を背負って歩いていたら、いつの間にか道に迷って山の中にいた。不思議に思って振り向いたら、後ろに大きな狐がいた。化かされていた。オカモチ(竹籠)に豆腐や油揚げなんかをいれてここを通ると、狐に取られてしまう。
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タヌキ,キツネ,オト 1980年 静岡県 小諸山の山奥には、たくさんの狸と狐が住んでいて人を化かす。ある日もや拾いに行ったおばあさんが太鼓のような音を聞く。そばに行っても何もおらず気づくと聞こえなくなっていた。これは狸の仕業。
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シズカモチ 1929年 栃木県 下野益子辺では夜の丑時に「コツコツコツコツ」と、遠方で餅を搗く様な異音が人によって聞えるか聞えないことがある。その音が近づくのが聞えた人はシヅカモチを搗き込まれたといい、運が向いてくるという。音が遠ざかるのが聞えた人はシヅカモチを搗き出されたといい、運が行ってしまうという。さらにこの音を迎えて聞えた人は箕を後向いて出すと財産が入ってくるといわれる。
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