アカズノヒトヘヤ 1935年 新潟県 越後奇談に怪異の一族が或家の開かずの一室に住んでいる話がある。その家は筆者も知っていたものであるが、それらしい話が村の人の間になかったのは寧ろ不思議である。先年家事にあって全焼した。従って今は尚更そんな伝説などありとは思われない。
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リュウセキ 1976年 新潟県 越後国蒲原郡勝屋村のある百姓が、山で径5、6寸ぐらいの丸い石を拾ったところ、ある日、石が二つに割れて中から煙が立ち昇り、にわかに雷鳴大風雨がおこった。割れた石の中には丸い穴があったという。
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ヤマンバ 1942年 高知県 ある家に山姨が来て、食料を置いていったり、掃除をしたりしていたが、家人が見つけて驚きの声をあげたので、山姨は逃げていった。それからその家は家運が衰えた。この山姨は隣村の一宮村の家から飛来したものと伝えられている。
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(ホノデルロ),(ヒ) 1980年 新潟県 越後国のある貧しい人の家にある炉は、自然に火が出る所があるという。炉の隅に高筒を立てておき、筒の口に火をかざすとそのまま燃える。扇であおげば消える。
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カイカ,コリ 1922年 島根県 15、6年前の夏頃、宇龍浦の漁夫の家で突然柱が燃え出したり、箪笥の衣類から煙が出たりすることが昼夜の別なく数日間起こった。家人はもとより村民一同恐怖し、孤裡のしわざかと調べ、番をしたが異状は無かった。しかし怪火は止まなかった。
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カイ,カイイ 1974年 東京都 午三月、土手四番町のある人の家で膳や煙草盆、石臼などが一人で空中に浮くことが続いた。修験者や陰陽師は仏神の祟りや狸の仕業と言い、彼の言うとおり祈祷をしたが効果はなかった。家が滅びる前兆かと心を痛めたが、とある人が「目黒出身の人をかかえると目黒の鎮守がそれを惜しんでこのような災いを起こす」と言った。この春のにかかえた者を調べたが、目黒出身者はいなかった。しかたなく3、4人に暇を出したところその怪異は止んだ。
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カミナリ 1974年 奈良県 和州塙村の酒家に、夏の頃雷が墜ちたと思ったら、土蔵の響く音がした。家の者が蔵の戸を開けて見ると、鞠のような火の固まりが転び回り、黒煙が充ち満ちていた。しばらくすると柱を登って消えてしまったという。その痕は犬がかんだようになっていた。土蔵にあった金屏風の金箔が全部変わって、ある所は黒く乱れて、雲のようだった。中に朱円が5カ所できており、人は「雷画の屏風」と言った。
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ヤサブロウババ,オニオンナ 1940年 新潟県 獲った魚を取っていく者がいるので、待ち構えていると空から手が出てきて、その手を切り落とした。帰宅してみると、婆が切り取った腕を取り上げて自分の手につけ、鬼女となって去って行った。その後、この家は傾いた。
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キツネ 1974年 滋賀県 京都から牛肉を買って帰ってきたら、自分の家の方から火の手が上がっているように見えた。急いで帰ると火事ではなく、牛肉がなくなってしまっていた。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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テング 1967年 茨城県 村人達が炭焼きをして泊まりこんでいると、けたたましい音がして小屋の上を飛び立つものがあった。そして山の奥から木を伐るような音と、大木の倒れる音がした。翌日探してみたが、木は倒れていない。恐らく天の木倒しだろう。
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テングサン 1963年 岡山県 話者の身内の炭焼きの爺さんが、夜明けの1時間半くらい前に窯に行ったら、宙からザランザランと音がした。上を見たが何も居なかった。天狗さんだろう。
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タヌキ 1974年 愛媛県 みよという所の炭焼きが、祭りの晩に山奥へ炭焼きに行った。薄暗くなったころに餅を取りに家に戻り、餅を小屋の中に吊り下げて寝た。夜中に目を覚まし外へ出ると、女の声がした。その声について5分ほど歩くと声が消え、小屋から離れた場所にいた。狸に化かされたと思って引き返すと、狸に餅を全部取られていたという。
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ジゾウサマ 1980年 静岡県 重箱に油揚げを作って山道を歩いていたとき、地蔵様を見つけたが近づくと消えるということが繰り返された。恐ろしくなって重箱を放り出して逃げたが、翌朝その場所へ行くと油揚げは全てなくなっていた。
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ヤマンバ 1942年 高知県 土佐山村桑尾字上地主にヤマンバのタキと呼ぶ地名がある。昔その近くに毎年豊作の稗畑があり、家も栄えた。持ち主は奇怪を怖れて畑に火を放つと畑中から山姨とおぼしき者が半焼けとなり飛び去った。その後この家は落ちぶれてしまった。
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ワライオンナ 1943年 高知県 安芸郡和食村で、深山に入った山師が夕方、小屋で尺八を吹いていると、綺麗な女の人が尺八を聞かせてほしいと小屋にきた。女は笑い女と名乗ったので、山師がそれなら笑いを聞かせてくれと頼むと、笑い声は次第に大きくなり、山から谷に響いた。山師が怒って大鋸や手斧を投げたが、女はそれをバリバリと食べた。どうすることもできないと思ったら、鶏の時の声が響き、笑い女は消えた。鶏の声は山師の持っていたお守りが出したものだった。吾川郡にも同様なものがある。
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カネダマ 1951年 兵庫県 某家の台所の屋根から5寸もある丸くて赤い光り物が飛び上がった。その頃から某家は困窮するようになった。村ではこれをカネダマといい、これが出ると都合が悪くなると言っている。
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アシオト,シロイモノ,ホコラノタタリ 1976年 愛媛県 松山市内の小料理店で、祟りがあるという祠があったが、増築のためその祠を取り壊そうとすると、天井で誰かが歩くような足音がする。大工が確かめようと板を押し上げると、白いものがスッと消え、他には何も見当たらなかった。正体不明のまま祠も土も捨ててしまったが、その夕方大工は右腕を折り、助手は捻挫した。人々は祠の祟りであると結論づけた。
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(ヨブコエ) 1975年 愛知県 川の洲の田で働いていたところ、「ご飯を食べにこい」と上から呼ぶ声がする。食べたばかりなのにおかしいと訝りながら、あまり呼ぶので家に帰ると、誰も呼んでいないという。
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キツネ 1930年 兵庫県 段下のある家でおばあさんが握り飯を作っていると外の格子から手を出して一つくれという者がいた。おばあさんは声で狐の化けたものだと思い、熱い握り飯を手のひらに乗せてやったところ、こんこん鳴きながら逃げていったという。
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