(ササウオ) 1980年 岐阜県 飛騨国高山府に、滄洲という人が珍しい物を送った。それは笹についている葉の部分に、魚のような形状のものが付き、それが3月や4月の頃、枝を離れて水中に落ちれば笹魚という魚になるという。
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〔ササウオ〕 1976年 岐阜県 飛騨の国平湯山は、熊笹が茂っている深山で、めったに人の行き来もない場所である、そこで雪解けのころ、笹の節に、太い筆ほどの太さで4,5寸の、たけのこの様なものが生じる。これを笹魚といい、谷の水にひたると節を離れて泳ぎ出す。これを岩魚といって、大変美味であるという。実際に、魚のかたちになったままひからびたものを見た。
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(ササウオ) 1980年 岐阜県 飛騨国の谷間には笹が多く生えているが、その中に魚の形に似た物が生える時がある。頭と思われるところが笹に付いており、3月から4月になると動き出し、水中に落ちると魚になる。ゆえにその地では笹魚と呼ばれている。
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イワナ,ヤマササノメ 1980年 岐阜県 飛騨の人がいうには、山笹の芽は山中の滝の周りに生えて常に水気を含んでいると、その芽は自然と長くなり、次第に魚の形になっていき、イワナという魚になるという。
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イワナ,ササノミ 1980年 岐阜県 飛騨の人間がいうには、岩魚は元々小竹の実であり、枝に付いている時は篠魚と呼ばれる。
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フナ 1932年 和歌山県 弘法大師が諸国行脚の途中、ある猟家で魚を串に刺して焼いているのをみて憐れに思い、それを買い取って高野山の玉川に放った。それが繁殖して今に至る。それは鮒の一種で半身焼けて黒く、串の跡だと言う白い斑点がある。
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ササウオ 1975年 岐阜県 飛騨国荒城郡平湯村で、笹の節に枝ではなく、魚の形のものが出来る。それは次第に鰭などが生じ、谷川に落ちて、岩魚になる。この地域以外ではこのようなことは見られない。
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イケノヌシ 1980年 香川県 阿波に鵜を使って魚を獲る漁師がいた。讃岐に行く途中、峠の頂上で旅の僧と出会って昼食を共にし、団子を勧めると噛まずに飲み込むように食べた。僧は、魚を獲るのは無益な殺生ゆえやめるよう忠告した。その後付近の池で漁をしていると、3尺もある池の主が鵜を引きずり込んだ。格闘の末池の主を捕らえ、腹を割くと、僧に与えた団子が出てきた。
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フエフキガワノヤマメ 1961年 山梨県 昔、弘法大師が空腹で笛吹川の上流の川浦にたどり着いた。ある家の老婆が粟粥を炊いており、弘法大師はそれを乞うたが、老婆は粥の中にはヤマメが入れてあり、なまぐさいのでさし上げることはできないと断る。大師は魚は川へ放ってやるからといい、煮た山女魚を川へ入れると、魚は皆生き返って粟粥を体につけたまま泳ぎ去った。それ以来笛吹川の山女魚には紅の粟粒がついている。
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コウボウダイシサマ 1938年 青森県 昔、駒込村に弘法大師が来て、駒込川で魚を取っていた人たちに「その魚をくれ」と言った。しかし見向きもしなかったので、大師は怒って葦わらたばで束ねてそっくり魚を持って行ってしまった。そのせいで、この川には魚がいないという。
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イワナ 1943年 岐阜県 岩魚は笹葉より生ずるという。昔ある夜に双六の某家に1人の僧侶が来て、経を読ませてくれというので読んでもらった。しかし突然なので麦団子を汁に入れてもてなした。僧は喜び殺生するのはよくないと戒めた。後日その事を隣人に話すと、先日毒流しをすると一尺以上の岩魚がつかまったので家に持ち帰り料理しようとすると腹の中に麦団子があったという。岩魚が僧に化けて某家に来たのだという。
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コウボウダイシ 1998年 山梨県 昔、弘法大師が川浦地方のある家の老婆に粥を乞うたが、老婆は粥の中にはヤマメが入れてあり、なまぐさいのでさし上げることはできないと断る。大師は魚は川へ放てば生き返るからといい、煮た山女魚を川へ入れると、魚は皆生き返って粟粥を体につけたまま泳ぎ去った。それ以来笛吹川の山女魚には紅の粟粒がついている。
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モクギョヲタタクボウ 1956年 宮城県 唐桑鮪立古館の鈴木家では、不漁続きの時、夜に寺の本堂に忍び込んで木魚をたたく棒を持ち出し、船に積み込むと大漁になるという。大漁が続くと、祝儀の金と魚と共に持ち出した棒を返すという。
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キツネ 1977年 和歌山県 昔、ある人が田辺まで行って魚を買って帰ってきたが、途中の峠で狐に憑かれて帰ってくることができずに尾根まで登ってしまった。村ではその人が帰ってこないので皆で探していたところ、峠から迷い歩いたところに点々と魚が落ちていたので見つけることができたという。
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イワナ 1936年 岐阜県 笹餅を作って端午の節句を祝っていると旅僧が現れ笹餅を村人から貰ってまわった。翌日岩魚釣りに出かけた人が1尺程の岩魚が笹餅を食べて死んでいるのを発見した。それ以来笹餅を作らなくなった。
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カタメウオ 1975年 兵庫県 摂津国川辺郡昆陽池の魚は皆片目である。昔、行基上人が1人の男が倒れているのをみつけ有馬温泉に誘ったが、男は動けず、鮮魚が欲しいと言った。上人が魚を見つけてくると、男は先に食べろという。上人が半分食べると、男は、身体に黒瘡があるので舐めて欲しいと言った。上人がそれを舐めたところ、男はたちまち薬師如来となって、上人を試すため病身となって現れたと言った。その魚の残りを昆陽池に放ったので、片目の魚になったという。
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ワカモノ,バチキリ 1929年 青森県 赤い鉢巻をした若者が生魚を買っていった。その夜、銭箱をみると、若者が払ったものは全て木の葉になっていた。そういえば若者の裾から白い尾がちらりとみえていたという。これはばちきりだと言った店の主人は、稲荷さんが山から来てくれたとたいそう喜んだ。
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(イシノナカノサカナ) 1980年 茨城県 延享の頃、筑波山の麓に住む人の家に見知らぬ人がやって来て、1つの庭石を買いたいといった。その人は後で取りに来るといって近くの山中に入っていった。主人はせっかくだからその石を熱い湯で洗って渡そうとしたが、帰ってきた彼はその行為に嘆く。彼はこの石の中には赤い魚が住んでおり、湯で洗うと死ぬという。割ると死んだ魚が出てきた。
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コイ 1940年 栃木県 角田将監という人が、長元元年に大風があったとき、庭の大榎が枯れたのでそこに井戸を掘った。一丈ほど掘り進んだところ、地中から清水と共に三尺あまりの大緋鯉が出た。奇瑞と言って、神主の持田某と京都に上ったところ、時の天皇に禁鯉宮の勅額を賜ったうえ井戸を掘ることと鯉の合火を禁じられた。後に生活に困難を来したために禁制は解かれたが、氏子は今でも鯉を神聖視している。
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イヅナ 1972年 兵庫県 昔、飯綱使いという者がいて、飯綱を使ってなんでもした。飯綱を追い払うときは、飯綱を笠に乗せて流す。だから、川で笠を拾ってはいけない。
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