リュウ,アオイケノヌシ 1992年 三重県 松阪の娘が池へ行きたがり、池に着くと娘は飛び込む。籠が出て、次に娘が出てきて、自分は池の主であったことを告げる。別の人がその池に行ってみると、その娘が髪を梳いていた。またその娘は池に行く以前に、大阪で雇われていた。その雇い先の娘さんが病気で苦しんでいたが、青池の主である娘にだけ、病気の娘に蛇が巻き付いているのが見え、取り除いてやると回復したという。
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カミキリ 1975年 東京都 紺屋町金物屋の下女が夜、買い物に出たところ、髪を切られた事に気付かず帰ってきた。人に指摘されてそれを知ると、驚いて気を失った。
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(キラレタキズ) 1975年 上方のある家の下婢は、庭の間で理由なく倒れた。まわりが抱え助けたら正気に戻ったが、頬に刀で切られたような疵がついていた。
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モチ,チ 1931年 広島県 武家で岩国城主の臣下であった家に伝わる話である。家の主人が下郎に髪を結わせているとき、何度も結いなおさせたので下郎はペロリと舌を出した。このとき主人の前に鏡があって下郎の行動が見えたため、怒った主人は下郎が逃げた台所で切り殺してしまった。そのとき、餅をついていたところにその血しぶきがはいり、それ以来、餅をつくと赤く染まるようになり、この家では餅をつかなくなったという。
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オンナ 1921年 岩手県 上閉伊郡上郷村に住んでいた美しい娘が急病で死んだ。その3年後、六角牛山という深山に狩りに行くと、女がいて、死んだようにみせかけられ、人ではない夫に連れてこられたのだという。狩人はこの話を他の人にすると、女の命も自分の命もなくなると言われた。
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〔ハシタメカミキリ〕 1975年 東京都 下谷のある家の婢が、朝起きて玄関の戸を開けようとした所、しきりに頭が重くなり、突然髪が落ちた。このように髪が切られた場合は粘り気があり、臭気がするものだが、そうではなかったという。また去年髪を切られた別の家の婢は、宵よりしきりに眠気があって切られたのだという。
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タヌキ 1933年 大阪府 ある地蔵の近くに棲んでいる狸に、ふとしたことから、娘の流した湯がかかった。娘は、気分を害した狸に髪を切られ、その所為で娘は縁談に支障を来たしたという。
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テング 1976年 長野県 信州戸隠山あたりで、ある時2人連れの山伏が草刈をしていた人に道を尋ねた。そのうち17,8歳の美しい容貌の1人が転倒したところを見ると足が真っ黒であった。常人ではないと逃げると人の立てないような所から見られている気配がした。その後数日間病気になった。天狗なのだろう。
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タヌキ 1932年 兵庫県 蜂須賀家5代の時、洲本町の紺屋町のある家来の1人娘が病気で死んでしまった。ある十五夜の晩、家来夫婦が縁側にいると、死んだ娘が赤手拭を被り庭で踊っていた。妻は喜んだが、夫は妖怪であると思って弓で射た。それと同時に娘の姿は消え、血の跡が残っていた。それを追うと1つの穴があり、中に瀕死の大狸がいた。またその長男は狸を殺してから大酒飲になり、乱行した。
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タヌキ 1985年 高知県 若い女が白い布を頭に載せて山越えをしている。これは魔がつくのを防ぐためといっていたが、その人を狸と思って切りつけた。朝になると毛が生えてきて狸になった。
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カミキリ 1978年 甲午年の夏。兵部侍郎何公の婿某が客を送って門を出たところ、急に正気を失い走り出し、ついには倒れて動かなくなった。髪を調べると、辮髪が半分しかなかった。
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ウワバミノヒデン,(オンガエシ) 1956年 宮城県 天保乙巳正月21日,国分村の忠治に聞いた話。ある年,仙台藩支封留守家の家臣花渕善兵衛が海路江戸に行くことになった。藤塚浜の沖で異様な咆哮が聞こえたので,善兵衛は船を岸に着けさせ,単身葭原の谷地を押し分けて行った。湿地に蟒蛇が苦しみうめいており,咽喉の辺りをひどく腫らしていたので,豪胆な善兵衛が手当てをしてやると蟒蛇は嬉しそうに谷地の奥に這い込んで行った。その後,助けてやった蟒蛇が女の姿になって善兵衛の夢に現れ,毒蛇に咬まれない護符と,咬まれた時の治療の秘法を授けてくれた。但し一子相伝で他に漏らしてはいけないという。大変効き目があり,近郷近在の評判になった。咬みついた蝮を叱るとこそこそ逃げて死んだようになり,また花渕と書いた紙片をかぶせると動かなくなったという。子孫は代々善兵衛を称し,水沢に住んで留守家に仕えた。
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〔ジョウゲンチュウ〕,オキクムシ 1974年 滋賀県 近江国志賀郡別保の里に常元やしきと俗称される家があり、ここに居る者は必ず禍があるという。その故を尋ねると、蒲生家の侍だった南蛇井源太左衛門なる無頼が諸国で悪行を重ね、生まれ故郷の別保に帰って剃髪して常元と称した。慶長5年に以前の罪で捕縛された常元は、その家の柿の木に縛られて最後には斬られた、しかしその骸を木の根本に埋めたところ、数日後、顔や目口鼻がある人を縛っている姿に似た妖しい虫が、毎年多く墳上に現れて、蝶に化けて消えたという。人々はこれを常元虫といった。
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サクラノセイ 1957年 長野県 安曇野の林に猟に入った久兵衛は、美しい山桜の林に迷い込んだ。若く美しい女と出会い幸福の時間を過ごし、再会の約束後女の姿は消え桜も散った。里に戻って再び山へ出向いた久兵衛だが、山桜の花びらに埋もれて死体で発見され、女は桜の精と噂された。
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スクイヲモトメルオンナ,クビ 1956年 宮城県 ある冬の夕方、1人の若侍が、荒町から真福寺(愛宕橋際)へ下る細小路の只木惣助の門前で美しい女に出会い、「自分はこの近くに住む囲い女(妾)です。今夜切られるので助けてください」と頼まれ、約束はしたが、そのまま河畔の自宅に帰った。床について真夜中、川の方から「助けて!」という悲鳴が聞こえ、間もなく若侍の家の路地に女の首が飛んできて、恨み言をはいたという。
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ダイジャ 1962年 神奈川県 昔、ある村に住む美しい娘の元に、夜ごと、前髪立ちで小袖を着た美しい若衆が通ってきた。いつしか娘は身ごもったが、若衆は名も家も告げない。ある夜、若衆の髪に縫針を刺すと、以後若衆は来なくなった。家の者が山の中を探すと蛇の穴があり、針の鉄の毒がまわった蛇がウメキ声をあげていた。娘を菖蒲湯に入れると、大蛇の腹子が全部流れたという。
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タヌキ,ムジナ 1933年 長野県 夕方、草取りから帰るとき、美しい娘に逢い「家に病人が出たのですぐ帰るように」と言われた。そこで慌てて帰ったらいつもと変わりなかった。狸か狢にだまされたものである。
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イケノヌシ,ヘビ 1994年 鳥取県 村の神主歌会のためが京に上るとき、日光池を渡れないでいると、蛇が出てきて神主の娘を1人くれれば渡すと言った。神主が3人の娘のうち1人を渡すと、水が引いて渡れるようになった。そのとき娘に付き添った下女が落ちたのが下女が池。
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ロクロクビ,リコンビョウ 1974年 福井県 越前国敦賀で、寛政元年10月、夜更けに下女がうめいているので持病の痰がでたのかと見に行ったところ下女の首が屏風を1・2尺登っては落ち登っては落ちしていた。
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マツノキノセイ,アコヤノマツ 1967年 福島県 信夫の郡司藤原豊光に阿古耶姫という娘がいた。ある晩、緑の衣に黒の袴をはいた少年が娘の枕元で「われは十八公の長で千歳山に住んでいるが、近いうちに斧の災を受ける。ついてはそなたの引導に預かりたい」と訴え消えた。その後この国の名取り橋の修理をするため千歳山の老松の大木が切られたが動かない。夢の少年が松の木の精だと気づいた阿古耶姫が声をかけると、軽々動いた。松の苗を切り倒したあとに植えて弔ったが、それが阿古耶の松といわれるようになったという。
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