ニジュウサンヤサン 1956年 宮城県 二十三夜に作男たちが月の出るまで働かされ、この夜に食べる餅を食べさせてもらえなかった。作男は怒って、いよいよ餅を搗こうという時に下女を臼で突き殺してしまった。それ以来、その一族ではこの夜の餅を搗かないのだという。
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シロイヘビ 1958年 栃木県 正月の餅をついている時、刺さった木のとげを取り除いた妻を、つまみ食いしたものと勘違いして、婿が杵で打ち殺してしまった。嫁は死に際に「全員とり殺してやる」といい、その後、家の梁に白蛇が出るようになった。また不幸が続き、とうとう没落してしまった。
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モチ 1987年 長野県 与良のある家で暮に餅をついていたとき,合取りの人を誤って杵でつき殺してしまった。以来,暮に餅をつくと餅が血のように赤くなるというので,正月になってからつく事になっている。
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チノツイタモチ 1949年 群馬県 旧白郷井村のある家の先祖は落武者で弓の名人だったが、ある時、畑仕事の人を射殺してしまった。するとその人の妻が家に乗り込んで、指を食いきって正月餅に血をたらし、イチコ池に飛び込んで死んだ。翌年、正月の餅つき時に家人が怪我し、餅が血に染まった。翌年もそうなり、それから餅をつかなくなった。
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ニゴリガイケ,ロクブ 1943年 徳島県 昔、ある初夏の夕暮れ時に、某氏の家で六部が一夜の宿を乞うた。六部は桐の箱に入った黄金の鶏と、部屋の大小よって大きさが変わる蚊帳を持っていた。翌日、2、3人の若者に六部は斬られた。鶏は飛び去ったが、蚊帳は庄屋の手に入った。庄屋の家で餅をついていると、血の流れている足が2本天井から下がり、餅が血で赤くなった。六部の呪いだという。
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タヌキ 1963年 山梨県 昔三郎と言う働き者がいたが、無口なため馬鹿にされていた。ある晩三郎が家のせどで「三郎ころりん、てんころりん」と呼ばれるが、だれもいない。それが毎晩続くのである晩三郎が「そー言うわわれこそてんころりん」と返答をすると声が止まった。翌朝外を見るとせどの下に一匹の狸が血をはいて死んでいた。
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モチゴメ 1989年 長野県 昔、ある家で正月の餅米をふかしていたとき、召使いの女性が居眠りをしていた。怒った主人は彼女を火の中に投げ込んで死なせた。以来、餅米をふかすと真っ赤になるので、餅がつけなくなったという。
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スッポン 1933年 大阪府 主が鼈(すっぽん)を料理しようとしたところ、出刃包丁を井戸の中に落とした。包丁と引き換えに助命する旨鼈に告げると、鼈は包丁を探し当てて出て来た。しかし、主人は違約し、鼈の首を刎ねた。すると、その首は主の咽喉笛に噛み付き、主は絶命した。
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ツツジノムスメ,マショウノケシン,アタタカイモチ 1987年 長野県 山口に暮らしていた美しい娘が,毎夜太郎山や妻女山を越えて男のもとへ通っていた。いつも温かい餅を持ってくる。これを不審に思った男は娘に問い詰めた。すると娘は男に会いたい一心でやってくるという。しかしますます疑いを深めた男は娘の殺害を思いつく。待ち伏せしていた男は,裾をひるがえして駆け登ってくる娘の姿を目撃し,谷底に突き落として殺害した。それから娘が落ちた辺りには,真っ赤なつつじが咲き乱れるようになったという。
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クロギツネ 1931年 北海道 昔、松前家が13代道広公の時、尻内山に黒狐がいるという噂が立ち、殿様がその川で裘を作ろうと、家臣にそれを命じた。狐を撃とうとすると暗闇になったが、原谷伴蔵という家臣が「君命だ」というと黒雲は晴れ、黒狐を撃つことができた。この肉を食べた中津源兵衛はやがて聾になり2、3年で死んだ。その後毎夜狐が現れ「皮を返してくれ」と哀願したが、殿様は皮を返さなかったという。
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オニ,モチ,シュテンドウジ 1949年 岡山県 樵の親方が多数の弟子を連れて深い山に仕事に出かけた。弟子の一人が、人影の無い森陰に一重の見事な紅白餅を見つけ、あまりに旨そうなので食べてしまった。そうすると面相が一変し暴れるようになり、日夜山奥をさまようなど鬼のようになった。仲間が連れ戻そうとすると、「もう鬼になったので近寄るな」といい、最後に連れ戻しにいった者を殺して食べた。その後、親方に罪を告白し、仲間のもとに戻るが、再度山に入り、「丹波の大江山へいく」といい飛び去った。これが後の酒呑童子だという。
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サラヤシキ 1956年 宮城県 4代藩主綱村公の時代のこと。川内の御城二の丸下から北へ数丁,広瀬川近くに棲む大身侍が,大事にしていた錦手の皿を下婢が割ったことに怒って手打にし,死体を庭の古井戸に投げ込んだ。それからは夜になると古井戸の中から皿を数える声が聞こえ,九枚目までいくとあぁといって泣く。古井戸の中から青い火が燃え上がるのを見た者もある。また井戸のそばの松ノ木の上に大法師が腰を掛けていることもあった。
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オオイワ,サムライ 1985年 和歌山県 昔、美男の侍が娘のところに毎夜通ってきた。素性がわからないので、男の帰るときに着物の裾に糸をつけた針をさしておいた。翌朝糸をたどっていくと、岩穴の中に糸の端が入っていた。岩の側によると声がして「頭に金を刺されて、もう助からない。子供を作っておいたけど」と言われた。
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ロクロクビ,ヘビ 1971年 岐阜県 岩村と明智の間の旧街道に、長い髪で赤い舌の女のロクロ首が出たという。蛇が化けたものと言う。この街道の松は、ロクロ首が下がるので枝がすべて下向きになっている。ある時、侍がこのロクロ首に遭った。侍は山と山の間に退いて待ち構え、近づいてきたロクロ首の長い首を切り落として退治した。
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ジロベエサマ 1977年 静岡県 次郎兵衛という者が名主たちの悪事を書いた書付を見たため首を斬られることになった。当日、親しい家の前で次郎兵衛が「首を斬られに行くよ」と言ったが、家人は気の毒で顔が見られず、家から出なかった。それから、その家には障りがあるという。
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タヌキ 1992年 奈良県 畑を荒らす猪を見張るために、小屋を作って毎晩泊まっていた。そうしたら、狸が名前を呼び戸を叩いて訪ねてきた。毎晩続くので、狸が騙そうとしていると考え、ある晩狸の手を鉈で切った。翌朝、落ちた血を伝っていったら、狸が死んでいた。それからその家は貧乏になり、狸の祟りだと言われた。
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オチャウリ,タタリ 1984年 愛媛県 来訪してきたお茶売りを殺して大金を奪った。その祟りにより餅を搗くと中に血が混じるようになったので、餅つきは廃止した。
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キュウリ,カボチャ 1963年 愛媛県 ある家の子供がキュウリを盗み、先方の家から躾が悪いと叱られた。先方ではどう躾けているのかと尋ねたところ、相手は子供を3つに斬ってしまった。以来、瀬井野のウスラヤ(現在は豊坂屋)ではキュウリを作らないという。また、大きなカボチャを切ったら中から蛇が出てきたので、以来、城師のヌルイではカボチャを作らないという。
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イトマキ,ヤマンバ 1929年 岩手県 松月の妻が糸を紡ぐとき、いつも手伝いに来る女があった。ある日その女が自分は山姥であるが他言せぬようにと告げ、糸巻きをくれた。いくら使っても糸がつきないので不思議に思って夫に告げてしまった。その夜妻はさらわれて、鍋倉山の穴の前に屍となって横たわっていた。村人たちが穴の中へ矢を射ると大きな音がして山姥は消え失せ、骨だけが残っていた。
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ヤマンバ 1995年 愛知県 楽田の本宮山で福富信蔵という男が狩をしていたら、光るものが見えた。山姥の目の玉が光っていたのだった。鉄砲で撃つと血を流して逃げていった。血の跡を追うと大きな釜屋に入ったので、変わったことはないかと訊くと、家内が具合が悪くて寝ているという。その家内が山姥であった。山姥は逃げて、岐阜のおがせの池に入ってしまった。その池では魚を取ってはいけない。話者が20歳くらいのころ、その池の魚を食べて赤痢で死んだものがいたという。
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