フナダマサマ 1986年 香川県 四国では漁船にフナダマサマを祀って安全と大漁を祈る。ある漁師が夜になって漁に出かけた。夜が更けると急に海が荒れた。夫の無事を祈っていた妻がまどろんでいると、夫の船から白い衣を着た女が海中に入っていく幻覚を見た。翌朝浜辺には夫の船が打ち上げられていた。数日後、夫の死体が隣の島の浜辺に打ち上げられていた。
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ヨミジガエリ 1982年 新潟県 村のあねさが難産で、タラツキといって、気を失って死んだようになった。そのとき家の者が屋根の上にあがって「カカ、カカ」と大声で呼んで、一斗マスの尻を斗樽でたたいたら気がついた。ヨミジガエリをしたという。花畑を歩いていって、川に架かる橋を渡ろうとしたら、うしろから呼ばれて目が覚めた。その川は三途の川で渡れば死ぬとこだったと、あねさはいった。
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モリ 1989年 鹿児島県 夜、火をともしながら漁に出るとモリという化け物に遭うことがあった。モリは海で死んだ人が成仏できずにこの世をさまよっているのだというが、夜通し船のそばへ来てグズグズ言った。モリは雨の夜に出て船にたまるアカを汲むひしゃくを貸せという。その時は底をぬいたひしゃくを貸さないと海水をひしゃくで汲まれてしまう。
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カミサン 1980年 広島県 昔、千本平という山の松を寺に寄付するために切っていたところ、木挽きが松の木の枝に御神体を見つけた。「このカミさんをください」と地主に願い出て承諾をもらい、抱えて家に帰ろうとしたが、急に足が重くなって歩けなくなった。仕方ないので引き返すと、急に足が軽くなった。カミさんが元の場所に帰りたがっているのだろうと考えて、事情を話して地主に返したという。
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フナダマサマ 1946年 山口県 船乗りに憎まれていた船頭が怒りに縛られて海に落とされたが、船霊様に助けられた。その夜船頭の家族が寝ていると船霊様のオイサミがあった。
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チチノレイ 1983年 茨城県 クチヨセはワカサマという主に目の不自由な人がやっていて、「何年のいつになくなったおやじをおろしてくれ」というとワカサマにのってしゃべりはじめる。村には3人のワカサマがいたという、上檜沢の男性は、父の霊を呼んでもらったことがあるという。死後1年位はホトケオロシをしてもだめであるが、まれに「今ヤネ、ムネにいる。蝶に姿をかえている。もうじき地獄が極楽に行く」といったりした。
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ホトケ 1959年 福井県 漁師が海で死ぬと、一緒の船の者が遺体を運んで「親爺を助けてきたぞー」と言う。すると座敷でミシミシミシと仏の歩く音がするという。
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クモ,カワノヌシ 1977年 神奈川県 あるお爺さんが川のそばで休んでいると、川の中から大きなクモが出てきて、お爺さんの足に糸をかけては水中に戻っていくということを何度か繰り返していた。お爺さんはその度に糸を外してはわきの立木にひっかけておいたのだが、しばらくすると、その立木は引き倒され、水中へ引きずり込まれてしまった。実はクモは川のヌシが化けたもので、お爺さんを餌にしようとしていたのだった。
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リョウシノボウレイ 1982年 宮城県 漁師が難破して覚悟を決め、供養の金を胴巻に巻いたまま浜に打ち上げられた。見つけた人は金だけとって死体を海に打ち捨てた。金を取った人は金持ちになり、子どももできて幸せだったが、子どもがいなくなってしまった。回国様に聞くと恐山にいるという。行って寺の和尚に相談すると、「その子を呼んでやるがわしの衣の陰から出るな、決してすがるな」という。やがて子どもが来て和尚に「自分は漁師の亡霊の生まれ変わりだ」と言った。金を取った人が泣き崩れ、気がつくとそこは寺ではなく衣杉の下にうずくまっていた。その人は家には帰らなかった。
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シロイチョウ 1982年 新潟県 病気のおばばが、ついに息を引き取った。そのときおばばの鼻の穴から白い蝶がひとつ出てひらひらと外へとんでいった。そばにいたしょが呼びかけて、タマヨバイをすると白い蝶が舞い戻ってきて、おばばの鼻の穴の中へ入ると、おばばは生き返った。花がきれいに咲いている野原を行くと川に出て、舟があったので乗ろうとしたところ、呼ばれたので、舟には乗らなかった。そこのところで目が覚めたという。その川は三途の川で、渡れば死ぬところだったのだ。
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ムジナ,ヤマノカミ 1994年 新潟県 ある男が、義理の母親にイノラれて死んだ。義理の母親には前の夫との間に子があり、その子に跡を継がせようとしてムジナであるヤマノカミに赤飯、酒など大量の供物をささげた。暫くすると、男は隣村に行った帰りに川にはまって死んでいるのを発見された。川に落ちそうになったのをムジナに蹴落とされたのだろう。
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ミコ,シリョウ,カミサマ,ホトケサマ,タカイヘンレキ 2001年 青森県 30代初めの頃、墓の移葬を手伝ったところ、頭蓋骨の一部をたまたま掘り起こしたことで死霊にとり憑かれてしまい、突然に体が不調となってしまった。だが、神仏の拝み方などを身につけていく中で神仏の声が聞こえるようになったり、肉体を離れたタマシイだけによる他界遍歴を繰り返したりするようになり、一心にカミサマに祈ったところ癒された。以後、段々と人々の悩み事の相談も受けるようになった。
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ウシオニ 1933年 島根県 ある夜、漁師たちが鰯の群れを見定めて網を入れたのに、一尾も取れなかった。気を腐らせた一同は家に帰ったが、一人の老人が煙草入れを忘れたので戻った。家内は何か胸騒ぎがしたので仏飯を食べさせて行かせた。老人が海に戻ると牛鬼が現れ、万事休すと観念したが仏飯を食べていたため泳ぎ去った。
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フナユウレイ 1973年 富山県 北海道へ出稼漁業に行くと他の船から亡魂が移ってきて人の首を締め付けて苦しめる。
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シロイヒゲノロウジン 1989年 静岡県 下田の町の米屋に白いひげの老人が来て「津波が来るから下田富士に逃げろ」という。米屋が町の人に伝えても、誰も信じなかった。米屋は母を連れて下田富士に逃げると、津波が来た。老人はまた現れて「また大きいのが来るから家に帰るな」といい、津波の中を光になって飛んでいった。老人は波切り地蔵の化身だった。
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テンドウサマ 1983年 長崎県 仁田の内の人で土地を売る人がいて、カメジイと家内の親父(シュウトジイ)が買いに行った。夜になって帰る時に大雨となりシュウトジイは大水の中に足を滑らせて落ちこんだ。カメジイは川下の浅い所で流れてくるのを待った。シュウトジイは落ちた時に「天道様助けて下さい」といい、流れながら拝むと不思議と光が天道山に照りつけた。それと同時にシュウトジイサンのあしがひっかかって助かった。日頃信心していたから天道さんが助けてくださったのだ。
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カメ 1941年 不明 頭痛には亀の生血がきくときいた男が、命が惜しいのは亀も人も同じだと言い亀の命を助ける。その後男は船で四国参りに出かけるが、海の真ん中で船が進まなくなる。主に見込まれたものがいるからだということになり、手ぬぐいを全員が水に浮かべると、その男の手ぬぐいだけが沈む。男は覚悟して海に飛び込む。しかし体は沈まず岩スのようなものに上ってそのまま海岸まで運ばれた。亀が恩返しをしたのであった。船はその後火事になり全員死んでしまった。
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クモ 1984年 山梨県 余沢から白沢へ向かう途中に雨乞いの滝がある。現在余沢で空き家になっている家の先祖の男が雨乞いの滝でヤマメ釣りをしていた。わらぞうりをはいて来たが、滝の壷からクモが出てきてアジ(糸)をぞうりの結び目にひっかけるので、その糸をとって近くの木に結びつけた。どこからともなく「いいかー」という声が聞こえたので「いいぞー」と答えるとアジで大きい木を引き倒したので、男はびっくりして逃げて帰ってきた。
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カマノカミ 1988年 長野県 ある家の主人が、旅の途中で出雲に行くカマノカミと出会った。カマノカミは「いつも神を粗末にしているから、お前の子をユルギに落としてきた」と言った。急いで家に帰ると、子供が本当にユルギに落ちて大やけどを負って死んでいた。以後、その主人は神様を大切に祀るようになったという。
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クモ 1934年 大阪府 主が棲む禁断の淵で、ある男が試し釣りをした。すると、数匹の蜘蛛が周囲を何度も巡るので、立ち去ろうとしたが、蜘蛛の糸で松の幹に体を結び付けられていて動けず、遂には水中へ引きずり込まれた。男は辛うじて逃げ帰ったが、腑抜けた様になってしまった。
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