サムライノボウコン,キリ 1976年 和歌山県 清水には霧が多い。昔、河原で首を打たれた侍60人の亡魂が霧になったのだという。
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コショウノキ 1980年 西国のある武士が、主君と共に狩りにいったところ、他の藩士は霧に包まれて居場所が分からなくなったのに、その武士の周囲だけは全く霧がかからなかった。主君は大いに怪しんで、そのわけを聞いたところ、もしかしたら数年来服している、胡椒の気によって霧があけるのかも、と答えたという。
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キエズノトウミョウ 1931年 長野県 電燈がひかれない頃までは、馬篭の大松から見れば霧が原の桜の木の辺に、霧が原から見れば大松の辺に、いつも不思議な火が見えた。両方とも自分の方の火は見えぬのに先方の火だけが見えるという。土地の人は消えずの灯明と言っている。
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イナホ 1973年 鹿児島県 霧島の山の中には大きな池があり、大きな蛇が棲んでいるという。この山は常に参拝客が多かったが、にわかに霧がたって大風が吹き、地がとどろいて闇夜のように真っ暗となり、ともすれば風に吹かれて死ぬ者もある。しかるに神代の古実といって、先達が人に教えることには、手毎に稲穂を持ち、もしこの霧が出たときにはそれで払えば、しばらくすると天が晴れて、事故がないという。
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ダイジャ 1989年 長野県 天正十年、織田軍が武田軍を破るために攻め込んできたとき、台城の下の淵から大蛇が霧を吐き、城が霧に包まれたので攻めあぐんだ。淵に住む大蛇の仕業だと言うことで、淵に矢を打ち込んで、とうとう大蛇を殺した。その後霧は出なくなり、城はまもなく落ちた。以後、城を大蛇ヶ城という。
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ニョニンキンセイノヤマ 1964年 福島県 野手上山に行人小屋があり、男はここで7日間みそぎをして登る。女子は禁制だったが、祖母が8合目まで登っていくと、突然頭上に霧がかかり、僧侶の姿のようなものが騒ぎながら霧とともに北のほうへ流れるように立ち去った。
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ミサキ,(ゾクシン) 1988年 長野県 川・山で命を落とした変死者は、ミサキの祟りを払うために、禰宜様によるミサキハナシをしてから家の中に入れ、それから普通の葬式をしたという。
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カミカクシ 1971年 岐阜県 神隠しとは、昔、御岳さんにお参りに行って霧に迷ったりして行方不明になったのなんかをそう言ったんだろう。
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カミガカリ,(キトウシ) 1988年 長野県 祈とう師を行者あるいは法眼様と呼ぶ。祟りや障りがあったときに願う。鈴を鳴らし太鼓を叩き、九字を切って呪文を唱え、神がかりになって拝んだという。
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ミサキ,(ゾクシン) 1988年 長野県 戸外で変死者があった場合は、そのミサキの祟りを払うために、禰宜にミサキハナシをしてもらってから家の中に入れて葬式をするという。
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クルリジョウヤマノカイイ 1939年 千葉県 久留里城に敵が攻めてくると、城山に霧がかかって見えなくなるとか、山がぐるぐる回りだすという。
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キリ,ナナフシギ 1929年 愛媛県 御幸村の或るお寺(龍音寺らしい)の木の下には、何日も霧がこもっている。(松山七不思議)
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オニ 1993年 岩手県 昔岩手山の辺りは大猛丸という鬼の領地だったが、797年に坂上田村麻呂が攻略し、大猛丸は霧深い岩手山鬼ケ城に立てこもった。田村麻呂は霧の晴れ間に一挙に攻め、八幡平に追いつめて滅ぼしたという。
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カニ 1989年 静岡県 昔、梅雨が過ぎても雨がやまず、霧が濃い年があった。茅野の三階滝の上を旅僧が通りかかると、甲羅が1mもある大蟹が泡を吐き、黒雲と霧を作っていた。僧が印を結んで祈ると、蟹は滝壷に落ち、雲も晴れた。以来三階滝の一番上を「かにだる」と呼ぶ。
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シロヤマ,レイコン 1981年 東京都 城山が落ちた6月10日には、毎年霧がまいて城山が見えない。女たちが赤ん坊を抱いて谷底に飛び込んだので、今でも蛙が子供を抱いて悲しく鳴いている。また、北条氏郷のお墓に霧が立ち込め、氏郷の幽霊が出て、どこからともなく家来の叫び声が聞こえるという。ある大将を埋めた寺には衣を着た坊主のような茸が3年間出たという。
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テングヤマ 1980年 新潟県 天狗山に足を踏み入れたり、山のものを取ったりすると霧がかかって山から出られなくなると言われている。この禁を犯して、火事を出したり、1家が絶えたりしたという話もある。
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ヒノウ,メン 1929年 長野県 神原村にあるいくつかの面のひとつに「ひのう」という神が彫られている。恐ろしいので神意に触れないようにしていたが、百年前に禰宜が面に顔を当てると、日本国中が一望できた。驚いた禰宜が家に帰ると、馬と婆さんが狂い、女房は子供を殺して死んでいた。禰宜もその後死んだ。その後、この屋敷に住むものには狂う人が多いといわれている。
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オンボノヤス 1940年 福島県 深山幽谷には天狗がいてカラキダオシをする。天狗のほかにもオンボノヤスというものがいて、霧を吹くので用心しなければならない。
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キツネ 1987年 山形県 話者が本家から帰る最中に狐に会い、深い霧のようなおならをかけられた。するとなにもわからなくなり、足にひどい怪我をしていた。狐の仕業。
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フナユウレイ、モウレンブネ 1956年 宮城県 黄昏時になると,沖の方からホーイホーイとこちらに呼びかける声が聞こえ,灯がちらちらと見える。やがて「桶貸してけれ」と無気味な声が聞こえてくると,漁師達は「もうれん船だ。亡霊船だ。」と囁き合って逃げ支度に入る。静かだった海がうねり始め,霧が立ちこめてくる。「桶貸してくれ」という声がなおも追いかけてきて,海霧の向こうにうっすらと船の形が見える。とても逃げ切れないと思ったら,アカ桶の底を抜いて投げてやる。そうしないと海水を掛けられて船が沈むか,暗礁に乗り上げて難破する,と今でも漁村の老人は信じている。
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ダイジャボウ 1975年 埼玉県 ダイジャボウが笠を置いた。これが笠山である。そして荒川の水を含んで吹いて、霧がかかった。そこが大霧山である。
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