ヒトカゲ 1985年 徳島県 昭和五年頃の話。筆者が外で遊んでいると、父が帰ってきて「ちょっと前に人が通らなかったか」と言う。「誰も通らなかった」と言うと、父は「三間ほど前に人影が見えて追いつこうとしても追いつけないし、声をかけても返事がなかった」と言った。
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タヌキ 1974年 愛媛県 筆者の父が雨の降る夕方に道を歩いていると、急に道が消えた。土手を登ろうと思ったが、探しても土手が見つからない。そのうちに歩いても前に進まなくなり、体を動かしていると転倒した。起きると、川原が目の前でバラの茂みの中に立っていたという。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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ヒノタマ 1999年 宮崎県 1920年代後半のこと。6月か7月の夜、川にボラを取りに行く途中に、田んぼの土手に青い火の玉が揺らめいていた。気味悪かったが知らぬ振りで通り過ぎた。帰りにもまだいたのでこわごわ近づいてみたら、田に水を引く竹樋の筒の奥に入り込んだ蛍の光が水面に反射していたのだった。
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アソビダマ,タマシイ 1952年 兵庫県 昭和26年初夏の宵、明石川に蛍狩りに出かけると、ある家の棟からマグネシウムを焚いたような丸い光物が上って真っ直ぐに降りた。一週間位してその家の主人が病気で亡くなった。
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キツネ 1938年 長野県 昭和7、8年頃、ある人が夕方に役場から家に帰る途中、何もわからなくなった。家に帰ると下半身がびしょぬれになっており、川の中を歩いたのだと気付いた。
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ジュンレイムスメ,ヘビ 1961年 山梨県 昔、釜無側の下流の浅原村に3人暮らしの親子がいた。ある年の夏に、1人の巡礼娘が雨宿りを乞い、そのまま逗留した。息子の浅吉とその娘は夫婦となるが、2、3年過ぎたある夜、妻が行燈で障子にうつるが、それは人間の女の姿ではなかった。1家は怖くなり、暇をやると、嫁も承諾し、暴風雨の日に釜の蓋を貰い受けて、釜無川の濁流の中に投げ入れ、その上にとび乗り、蛇身と変じて姿を消してしまった。すると俄かに洪水は引いて水害は免れ、その後も水害は起こらなかった。沿岸の人たちは恐れをなしてしばらく釜を使わなかったので釜無川という。
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ヒサゴヌマノヌシ 1956年 宮城県 昔,瓢沼の水を掻き出していると,一抱えほどの大鯰が現れた。作業が殆ど終わる頃になって,突然町の方から半鐘が響いてきたので人々は火事場へ向かったが,町には何事も無かった。人々が沼に戻ると先程造った堤は壊され,大鯰の姿もなくなっていた。
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ガラッパ 1982年 鹿児島県 昭和25年、ある市議が谷川を埋め立てて家を建てたら春秋の彼岸ごとに家の中でガサガサ音がして眠れなかった。地元の古老が埋めた川は河童の通り道だったというのでお祓いしたらその後は止んだという。
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トオリアクマ 1976年 昔ある武家が庭を見ていると、植込から炎が上がり、その向こうの塀から白襦袢で髪を乱し槍を持った男が飛び降りてきてこちらを睨んだ。心を落ち着け再び見ると消えていた。代わりに隣家の主人が乱心していた。
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タヌキ 1976年 新潟県 1925年ごろのこと。材木を筏に組んで津川まで運んでいき、酒を飲んで帰る途中、夜道を行くと今まで無人だったところに、急にかすりの着物の女が現れた。これは化かしに来たんだと思い、少し行ったところの坂を下るときに、4mくらいある筏竿を道路にぶつけて脅した。すると狸がおどろいて田んぼに逃げ込んだので、それを捕まえたという。
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ミチニマヨウ 1968年 栃木県 昭和30年ごろ、人夫が夜風に吹かれながら歩いていた。道が二股に分かれていたので、広い良い道のほうを歩いていたら、いつの間にかとんでもない山中の高い山の頂上に立っていることに気がついた。慌てて逃げ帰り伯父の家に転がり込んだ時は、真っ青な顔をしていた。
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ユウレイ,オンナ 1982年 新潟県 夜ふけの渡し場で、川向うから女の声で、オウイ、オウイと呼ぶ声がした。船頭がいってみると、人影は見えない。乗るように促すと舟が重くなり、誰かが乗ったようだった。川を渡ってから降りるようにいうと、舟が軽くなったような気がした。船頭が、こんな夜ふけに舟を出させておいて、あいさつもなくというと、首に縄をぶら下げ、目の玉のとび出た、まっさおな顔した女が長い髪を前にたらした姿で現れ、菩提寺へ行くといって草むらへ消えた。
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キツネ 1966年 群馬県 昭和20年ごろ、夜の10時ごろに歩いていると、月が消えて、電柱が1間おきぐらいに倒れていた。朝はこんな風ではなかったので、キツネにつままれたと気づき、煙草を吸おうと思ってマッチをくわえると、月が現れて元通りになった。
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ガラッパ 1959年 鹿児島県 祖父が8歳の時、彼岸花を川の付近に取りに行った。そこは竹が長く生い茂り、昼間でも暗い所であった。ふと川面を見ると、一定間隔で子供のような手がヒョイヒョイと出ていた。それをみた祖父は一目散に逃げ帰ったという。
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キツネビ 1983年 東京都 春の夜、帰る途中でパーッと天が明るくなって火が消えた。行ってみるとなんでもなかった。燃えあがった火はなんであったかわからずじまいであった。
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ヒトダマ 1983年 東京都 昭和12・3年頃、お兄さんの家の棟上げの日、現れた。オレンジ色の丸い玉で光っていなかったが、あっと思っている間に消えた。
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ショウネンダマ,アマリダマ 1952年 兵庫県 昭和25年の田植えの頃、お婆さんが盲腸炎で寝込んだ。その頃のある時、娘が夜、父と便所に行ったところ母屋の樋の辺りに杓のような形の青白いものがフワフワしているのを見た。
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キツネ 1990年 福島県 夜、魚を持って山道を家に帰るとき、変な方へ行ってしまった。気がつくと魚と思って持っていたのは木の葉になっていた。狐に騙された。
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キツネ,タヌキ 1998年 奈良県 お祖父さんが川で魚釣りをしていた。釣った魚は横に置いていた。すると、家が火事になったように見えた。慌ててお祖父さんが家に行ってみると、火事になってはいなかった。戻ってくると、魚が全部盗られていた。狸か狐かが騙したのだろう。
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