ミガワリフダ 1974年 滋賀県 ある男が家に母と妻と子供を2人おいて伊勢参りにいった。母は継母であった。男が伊勢参りの札を買うと、しまったところにない。もう一度買ったが同じだった。家に帰ると子供が2人とも死んだというので、死に顔を見ようと埋められた場所を掘ると、なくした札が出てきた。家の二階に子供が2人ともおり、母にひどい目に遭わされていると、知らない人が来て父親が帰るまで隠れろと言ったという。男は子供たちを連れてお礼参りに出た。
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タマシイ 1975年 福岡県 お楠という嫁にいびられ、温かい湯さえ飲めずに衰え死んだ姑がいた。姑の魂が浮かばれないまま毎晩戻ってきて、台所の外から覗き込みながら「オクッサオクッサ、アッツイ茶をおくれ」と呼びかけたという。
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ヨクシン 1929年 広島県 ある時行脚僧が山で宿をかりた家では妻が死んだばかりで、主人は自家の寺を訪ねる所だった。僧は留守を頼まれ、死人の枕もとで経を唱えていると一人の僧侶が入って来て死人の衣を剥ぎ顔をいく度もなめて出て行った。この家の寺の僧が欲から生霊になってさ迷って来たらしい。
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ロクブノオンリョウ 1956年 宮城県 正保年間(1644~1648)の頃,同町の宿屋に一人の六部が泊まったが宿の主は六部の所持金に目がくらんで殺してしまった。数年後に弟分だという六部が来てその六部が泊まらなかったか尋ねたところ,主人は知らないと答えたが,灰の中から偶然見覚えのある笠の金具が出てきたので弟分の六部は全てを悟り,殺された友のために読経した。すると六部が幽霊となって現れ,この恨みに必ず報いる旨を告げ,弟分も呪法を結んで立ち去った。以後その宿屋には不幸が続いて子孫が絶え,その場所に住んだ者も皆不幸に見舞われたので幽霊屋敷,化物屋敷と呼ばれるようになった。
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ガキ 1974年 三重県 伊勢から伊賀へ行く道の途中、後ろから来ていた男が、自分は餓鬼に憑かれたので動けない。何か食べるものがほしいと言ってきた。話を聞くと、このあたりに限らずところどころで、餓死した乞食の怨念が餓鬼となり、通行人に取り憑くという。餓鬼に憑かれるとしきりに飢えて、歩く事もできなくなるらしい。他日播磨の僧に聞くと伊予で餓鬼に憑かれたとも言った。
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ヤマジョロウ 1990年 香川県 昔、権太という猟師が屋まで野宿をしていたら、山女郎の親子がいて長い髪をしていた。権太はおそろしくなり、八幡大菩薩に一生猟はしないからお助けくださいと拝んだ。すると山女郎は姿を消してしまった。
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オンリョウ,センサイ,チョウ 1933年 大阪府 ある薬種商の女房は、主人と下女が不義の仲となったのを悟り、恨みを残したまま病没した。主人は下女を後妻としたが、縁側で食事をすると決まって二匹の蝶が現れる。ある日、また蝶が現れたので奇異な事と、ふと庭を見遣ると、先妻の霊が立っていた。
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ウジガミ,クロゲノヨウカイ,ヒヒ 1934年 静岡県 氏神の祭日の数日前になると、年頃の娘のいる家に白羽の矢が立ち、人身御供とされた。旅の僧がこれを止めんとして、真夜中に見張っていると、黒毛の妖怪が出てきて「信濃の国の悉平太郎に知らすなよ」と言うのを聞いた。僧は悉平太郎を探し、翌年大犬を一匹伴ってきた。犬は狒々と戦いこれを倒した。
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ヒノタマ,ヒトダマ 1990年 香川県 漁に出ていたら、東の方から人魂が飛んできて、高見の島には着かず途中で落ちた。嫁に行っている娘に何かあったのかと思ったが、高見から大阪に行っているよその人が死んだのだった。
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ユウレイノシュッサン 1956年 宮城県 藩政時代,金山邑主中島伊勢の家臣に四十九院(ツルシ)弥五左衛門という侍がいた。隣家の美女に懸想され,当惑していた。ある春の斗蔵山の観音様の祭礼の時,娘が弥五左衛門に恋情を訴えると彼はかっとなって娘を斬りすててしまった。ところがその後,夜毎に娘の亡霊が現れて切なさを訴えるので,余りのいじらしさにいつしか娘の亡霊と契る仲となってしまった。ある夜亡霊が「身重になった。赤子が生まれるから育てて頂きたい」と懇ろに頼んで消えてしまった。それから一周忌の頃に弥五左衛門が娘の墓参に行くと,地中から赤子の鳴き声が聞こえる。掘ってみると棺の中で生まれたばかりの赤ん坊が泣いていたので,連れて帰って大事に育てた。この事が藩侯の耳に達し,惨殺の罪を罰せられぬばかりか,奇特な事として禄をも与えられた。その子孫は今も四十九院を姓にしている。
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オニ,ユウレイ 1979年 岐阜県 昔一人の僧が美濃の国、今須の村にさしかかり、一夜の宿を乞うたが、どこの家でも断られた。仕方なく村のはずれの、墓場の六体地蔵の影で一夜を過ごすことにした。夜になると鬼が5、6匹出てきて、妙という老婆の幽霊をいじめるのを目撃した。僧はどこかの家で成仏できない人がいるのではと考え、一軒一軒尋ねると庄屋の母親であることが分かった。その老婆は生前欲深く村人に恨まれていたため、成仏できないのだろうということになり、僧は供養の為にお寺を建てさせた。その後鬼や老婆の幽霊は出なくなったという。
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ユウレイ 1974年 東京都 江戸で妻が死んで30日程後に新しい妻を迎えた男のもとに、その夜から先妻の幽霊が現れ、手や足を縮め悩ました。生国伊予に帰りたいと船に乗ったら明石辺りで先妻の霊が船中に現れた。郷里に着いてから取り殺された。
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カイイヤシキ、オオニュウドウ、ヤシキカミ 1956年 宮城県 昔,新坂通台町五番丁南側東角の屋敷を拝領した侍が一人住まいをしていた。ある夜座敷に寝そべっていたところ庭先近くで呼ぶ声が聞こえる。障子の隙間から覗くと軒よりも高いような大入道が立っており,ここは昔から自分の屋敷だから早く立ち退けとわめく。主人が「ここは殿から拝領した我が屋敷じゃ。お前こそ立ち去れ。」と言い返すと,「ここはわしを粗末にしたので住み着いた者はいない。祭の日に神酒や供物をして厚く祀ってくれれば守護してやろう」といって消えてしまった。翌朝調べると屋敷の一隅に梅の老木があり,その下に小祠があった。それが前夜の大入道が屋敷神として棲んでいた祠だったのだろう。当時今泉孫八郎の屋敷であった。
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キツネ 1984年 大阪府 お宮の供物を狐がとりにくるので、ある男が番をしていると嫁がくる。嫁は男を帰宅させようと色々と言うが、暗いのに顔がはっきり見えるので、狐にだまされていると気づく。男はだまされまいと耳を貸さなかったが、ベッピンさんになって出てきた狐が「あんたはだまそと思っても、だまされん、ほうびをやる」と言うのに、とうとうだまされてしまった。松島の遊郭に行き、ご馳走や風呂にありついたつもりが、朝には野壷に入っていて、供物も取られていた。
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ユウレイ 1990年 大阪府 ある日、旅の僧がお堂で一泊していると女のゆうれいがやってきて「私はここにいるが大阪の両親が供養に来てくれないので頼んできてくれ」と言った。そんなことを言っても誰も信じないと僧が言うと、幽霊は着物の片袖を引きちぎって渡した。大阪の両親はあわてて供養したという。
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ケモノ 1980年 静岡県 遠州見付の天神さまに、人身御供の風習があった。通りかかった六部がお告げを聞いて、お告げ通りしっぺい太郎という犬を娘の代わりに箱に入れて連れて行く。しっぺい太郎は娘を食べようとやってきた獣をやっつけるものの、傷を追って、観音山まで来たところで息を引き取ってしまった。あるいは、観音山まで来たところで、しっぺい太郎は六部と大木の下で眠っていた。すると突然しっぺい太郎が吠えだし、六部に飛びかかろうとしたので、六部は鉄砲で撃ち殺してしまった。しかし、しっぺい太郎は木の上の大蛇に飛びかかろうとしていただけであったとも言う。
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ロクブ 1916年 大阪府 ある夜、一夜の宿を求めた六部が会った。ところが翌日家を出る姿を見たものはおらず、六部はそのまま消えてしまった。その後、その家は急に金持ちになったが、そのうち一家は今、一人お迎えを待っている一人の老婆を除いて死に絶えた。
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ユウレイ 1973年 ある時太閤が数奇屋に入って炭を用意していると千利休の幽霊が現れ炉の近くに座った。その眼から光をはなち、息をつくごとに焔を吐いていた。太閤が幽霊に向かって無礼者と一括して白眼視すると幽霊の姿は消えた。
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(ユウレイ) 1980年 ある人の妻が死んだ翌日の夜、枕辺の障子が開いて、亡き妻が入ってきた。夫は恐ろしく思ったが、妻は着物が欲しいといったので、不憫に思って与えた。こういった事が毎夜続いたので夫はやせ衰えた。それを友人が見て、妻の居所を暴こうと追跡すると、実は妻に仕えていた女だったという。
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ヒヒ,シラハノヤ 1989年 長野県 遠州の府中という村では、秋の祭には氏神様に人身御供として娘を差し出さねばならず、それは白羽の矢で決定されていた。あるとき、村にやってきた六部が氏神に泊まったところ、何者かが「信州信濃の光前寺、へえぼう太郎に知らせるな」と踊っているのに気づいた。翌朝村に立ち寄った六部は、村人から人身御供の話を聞き、化け物を退治するためにへえぼう太郎を探して信州へ向かった。
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