ヘビ 1958年 岐阜県 昔、尻高の切分けの家に、毎晩きれいな女がきて機織りの筬を借りに来た。朝早く帰しに来て、お礼に魚を軒先の木の鉤にかけて行った。夜、龍神渕から機織りの音がしていたという。木の鉤が腐ったので金の鉤に取り替えたら、女はこなくなった。金気を嫌ったから、女の正体は蛇だろう。
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エンコ 1991年 愛媛県 二神家の妙さんという嫁は大変な力持ちであった。ある時、よくわるさをするエンコが「向こう岸まで背負ってくれ」と出たので、帯で締め上げて捕まえた。村人は「殺してしまえ」と言ったが、エンコが命乞いするのを哀れに思って助けたら、お礼に毎朝家の軒の鉤に川魚が掛けられた。その鉤を鹿の角に変えたら、エンコが来なくなった。
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エンコ 1991年 愛媛県 二神家の妙さんという嫁は大変な力持ちであった。ある時、川で二人の子供が「向こう岸まで背負ってくれ」と言ってきたので、エンコだなと思って捕まえ、家に連れ帰った。エンコにもう悪い事しないと約束させ、皿をとって離してやった。お礼に毎朝家の軒の鉤に川魚が掛けられた。その鉤を鹿の角に変えたら、エンコが来なくなった。鹿の角はエンコよけになる。
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キツネ 1982年 宮城県 ある男が、浜区と町区の間でいつも狐に化かされて魚を取られていたので、今度こそとられまいと魚を長い竿の先につけて歩いていたら警官が来た。警官が怖いので竿を倒して通り過ぎて、振り返ると警官などおらず、魚は取られていた。
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ロウバ 1934年 東京都 船が錨を上げようとするが、どうしても上がらない。一人の漁師が潜ってみると、白髪の老婆が腰をかけていた。驚いた船の者は錨綱を切って逃げた。それ以来、絶対にそこで魚を取らないことにした。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 ある漁夫があさりを捕っていると、彼のざるにけんもんが貝を入れていた。黙っていると、「貝を捕ってやるので毎日来なさい、ただしタコを捕ってはいけません」と行った。翌日から毎晩貝を捕ってもらっていたが、あるとき大きなタコを見つけてざるに入れておいた。けんもんは知らずに貝を捕っていたが、タコの手がざるの底から現れたのに驚いて逃げた。以来、その漁師のところには来なくなったという。
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カッパ 1929年 大分県 河童が川端につないでいた馬を川に引きこもうとしていた。村人が河童を捕まえて、厩に縛っておいた。河童は主人の留守中、女房に頼んで頭に水をかけてもらい、力を得て逃げた。翌日から毎夜魚を3疋ずつ持って来て盆の蓋の上に置いたが、ある時蓋の上にあった庖丁に驚き、その後持って来なくなった。
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ヤシャヘビ 1975年 岐阜県 夜叉蛇が沼の埋め立て工事中、工事の人にご馳走をしたいといって人間に化けて村人に膳と椀を貸してもらう。お礼に毎日軒先につけている鉤にいっぱいの魚をつけていく。鉤を金属製のものに変えたら魚を吊るしに来なくなってしまった。
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キツネ 1940年 滋賀県 狐にだまされまいと飼ってきた魚を背中の高いところにかついで家路についたが、帰って見ると魚はきれいになくなっていた。
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ガワロ 1992年 宮崎県 川で馬を洗っていたら、ガワロが馬の尻尾にいたずらして引きずられ、家まで来てしまった。ガワロを縛っておいたが、かわいそうになってほどいてやったら、お礼に毎晩魚をたくさん持っててき、木の鉤に掛けるようになった。鉤を角の鉤に替えたらガワロが恐れて来なくなった。
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カッパ 1939年 岐阜県 水尾淵では、大原の組では魚が入用なときには必要な数だけ木製の鉤を出しておくと必ず必要な魚が鉤につるしてあったが、ある時沢山の魚が欲しいので丈夫な鹿の角の鉤を置いておくと、以後は魚は置かれなくなった。これは多分河童の仕業という。
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(オンナ) 1939年 岐阜県 天城孫右衛門という宿屋があった。下女にしてくれと押しかけてくる女があり、仕方なく下女にしたがよく働くので主人は嫁にした。不思議と必要なだけ魚を捕る。魚と手と下駄の跡がある岩が嫁が淵付近にある。また何度でも使える麻袋も持って来た。嫁が魚を捕りに行くのを隠れて見ると黍畑から嫁が淵に入ってき、それ以来帰ってこなくなった。麻袋もなくなってしまった。
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エンコ 1974年 高知県 エンコは擂鉢のようなものを被っている。ある日木戸口に座っていたが水が入っていなかったので入れてやると、翌日、魚を置いていった。その家は代々漁が好きで、よく獲れるのはエンコのおかげだろうという。
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ゴンダラ 2001年 青森県 ある漁村に孫助という若者がいた。ある日、大きなごんだらが網にかかると、孫助はこれにひきずられて海中へ引き込まれて行方不明となってしまったが、暫くして海を泳いで帰ってきた。すると、1年程経ったある日から、晩に女が訪ねて来るようになった。だが、そうなってからというもの、孫助は日に日にやつれていってしまう。和尚に相談してこの女に毒針を刺してみたところ、その正体は大きなごんだらであった。
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ロウバ 1934年 東京都 昔、新島の裏側の真白い砂浜に船を止めて一夜を明かして、翌朝船出しようとすると錨の上に老婆が坐ってこちらを睨んでいた。見たことを話さなければ漁をさせてやるという約束を破って話してしまってから、まったく魚が取れなくなったという。
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キツネ 1971年 福島県 朝暗いうちに、交番の方に田植えに行ったら、ここらの得意の魚屋が魚の籠を下ろして這っていくのをみた。狐に馬鹿にされたのではないかというわけだ。しばらく行って、また戻ってきたけれど、そのときには魚はすっかりとられてしまっていた。あとで聞いたら、しょっちゅう狐に騙されて魚をとられてしまうので、こんども俺を馬鹿にするつもりだとおもい、狐の後を追い、戻ってきたら、魚をとられてしまっていたという。その後そこに大きな石があったので、そこに稲荷さまをたてた。それ以来はちっとも魚をとられなかった。
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クモ,ヤマンバ 1952年 島根県 夜釣りに行くと海岸から鯖をせびる老婆がいた。毎晩なので「やらぬ」と言うと船を沈めると言い返される。ある夜、老婆の跡をつけ、風呂桶で寝たところに蓋をして大石を乗せ火を焚いて焼き殺した。その後蓋を開けてみると、やはり劫を経たヤマンバだった。
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キツネ 1982年 宮城県 浜のほうで地引網の帰り、魚を脱いだズボンに包んで持っていたら、松明が顔めがけて飛んできたのではっと思って手を放したら、ズボンごと魚を持っていかれた。狐の仕業。
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カッパ 1940年 福井県 牛が水に入らないのでおかしいと思っていると、織田浜に棲む河童が牛の後ろ足を引いていた。見つかった河童が命乞いをするので、人畜の尻を取らないという詫び状を書かせて許してやった。それから数日間、礼として鮮魚を持ってきた。魚をつるす鈎を頑丈にしようと鉄製にするとやって来なくなった。
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ジャシン,チンマ 1943年 岐阜県 日和田の豪家原家にチンマという下婢がいた。よく働き料理の腕がすばらしく、そのうえ美人であった。チンマは杣人の小三郎と恋仲になり、村人に羨ましがられたが、あるとき突然姿が見えなくなった。「チンマが洗い物をしていた流しの下に蛇の骨が積まれていた」「蛇のだしをご馳走に入れていた」などのうわさが流れ、チンマは蛇身であることが見破られて姿を隠したのだということになり、着物に糸を通した針を刺しておくと糸が池の原の雌の池に消えたので、その池の主であるといわれた。
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