ケンモン 1973年 鹿児島県 夏の夜に海岸を通るとけんもんに相撲をとろうと誘われるが、けんもんは弱いのですぐ勝負がつく。しかし、次々に何十匹もやってくるので負かされてしまうが、弱音を吐くといずこかへ連れ去られるので、負けても「勝った」と言い張る。するとけんもんは人がよいので引っ込むという。
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アカブサー 1975年 沖縄県 漁師が夜の海に出ていると全身真赤な髪の長い赤子くらいの大きさのアカブサーが現れた。そして沢山魚をとってくれた。仲良くなった漁師は毎晩大漁だったが、夜中でも連れ出されるのでだんだんいやになり、アカブサーの嫌いなタコを投げつけると逃げて行った。それから数日後、漁師はアカブサーに惑わされて自分の家を焼かれてしまったという。
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オオダコ 1933年 神奈川県 昔、漁夫が磯へ出て大きな章魚を見つけたが、あまりに大きいので足一本だけ切って桶に入れて帰った。それから毎日、足を一本だけ切って帰った。8日目に最後の一本を切ろうとしたら、章魚は一本の足で漁夫をとらえ海へ引きずり込んだ。
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キツネ 1971年 福島県 朝暗いうちに、交番の方に田植えに行ったら、ここらの得意の魚屋が魚の籠を下ろして這っていくのをみた。狐に馬鹿にされたのではないかというわけだ。しばらく行って、また戻ってきたけれど、そのときには魚はすっかりとられてしまっていた。あとで聞いたら、しょっちゅう狐に騙されて魚をとられてしまうので、こんども俺を馬鹿にするつもりだとおもい、狐の後を追い、戻ってきたら、魚をとられてしまっていたという。その後そこに大きな石があったので、そこに稲荷さまをたてた。それ以来はちっとも魚をとられなかった。
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ケンモン 1973年 鹿児島県 けんもんは旧正月7日から出始める。通る道は決まっている。夜には漁に出るが、魚の目玉が好物なので、捕られた魚は皆目が抜かれている。明け方、海から帰るときは、先頭と最後尾を大きなけんもんが歩き、その間に小さなけんもんが歩いているという。
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タコ 2002年 山口県 昔、甚平という漁師が住んでいた。魚を捕ることが巧みで近隣の者は皆知っていた。ある日甚平が岩の近くで魚釣りをしていると、急に船が傾いた。見れば大きな蛸の足が船縁を掴んでいた。甚平はその足を包丁で切って持って帰った。その味を覚えた甚平が翌日も岩へ行ったところ、その日も蛸が現れた。こうした日が5日続き、8本の足が3本にまで減った日に、甚平はこの蛸を捕ってやろうと包丁の代わりに縄を持っていった。それきり甚平は帰らず、主のいない船が夕方に浦へ流れ着いた。村人達はきっと蛸に食われたのだろうと噂した。それ以来その岩を甚平岩と呼ぶようになった。
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サカナ 1929年 大分県 昔ヒロトという所の人が黒太郎淵で大きな魚を獲った。網に入れたまま持ち帰ろうとしたら、淵から呼びかける声があり、網の中に魚が答えたので、その人は網を松に懸けて逃げ帰った。
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カッパ 1990年 長野県 かっぱが毎晩便所に出て、人の尻をなでていたずらするので、ある晩かっぱの手を掴んで引き抜いてしまった。かっぱは一度逃げたが、後で帰ってきて「手を返してくれ」と言った。「悪いことをしないなら返してやる」と言って手を戻してやった。そのお礼に、それから毎晩魚を届けにきたという。
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オオダコ 1972年 愛知県 昔、たこ取りをしていた老婆が舟の中に足を差し入れてきた大だこを見つけて足を1本切ってきた。それを毎日繰り返し、8本目の足を切ろうとしたときに大だこの餌食をなった。
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アカブサー 1963年 沖縄県 アカブサーは邪神の一種である。漁がうまく、魚の目玉だけを食う。それと友達になれれば魚が沢山とれるという。友達の男の所へアカブサが毎晩漁火を見に誘いに来ていた。ある日、アカブサに愛想をつかしながらも男は一緒に出かけた。途中、アカブサの大敵たこを投げつけるとカンカンに怒り、「大事をしでかしましたよ」と言って逃げ去った。その後、男が帰宅すると子供の目がくりぬかれていたという。
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カワテング 1933年 神奈川県 夜間出漁した漁師が川天狗に邪魔されることが往々にあったが、物慣れた漁師だと捕った魚を石の上に並べ「かけごをあげるから悪戯を止めてください」と唱えて祈ると利目がある。
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バンレイ 1974年 東京都 天明年中、ある者が鰻を仕入れたが買った覚えのない大鰻が2匹混っていた。裂こうとしたが手慣れているにもかかわらず錐で手を刺してしまった。他の者がさばこうとすると腕に巻きついてきて、尾で脇腹を打ってきた。助けるつもりはないからおとなしくしろと言ったら料理できたが、死体を焼く匂いがした。その夜丑3つ時のころ、鰻の生け簀の所でおびただしい音がして、驚いて行ってみると、上にのせた石はそのままだった。中を見ると多くの鰻が蛇のように睨んだ。もう1匹の大きな鰻は消えていた。
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カッパ 1929年 大分県 河童が川端につないでいた馬を川に引きこもうとしていた。村人が河童を捕まえて、厩に縛っておいた。河童は主人の留守中、女房に頼んで頭に水をかけてもらい、力を得て逃げた。翌日から毎夜魚を3疋ずつ持って来て盆の蓋の上に置いたが、ある時蓋の上にあった庖丁に驚き、その後持って来なくなった。
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イケノヌシ 1980年 香川県 阿波に鵜を使って魚を獲る漁師がいた。讃岐に行く途中、峠の頂上で旅の僧と出会って昼食を共にし、団子を勧めると噛まずに飲み込むように食べた。僧は、魚を獲るのは無益な殺生ゆえやめるよう忠告した。その後付近の池で漁をしていると、3尺もある池の主が鵜を引きずり込んだ。格闘の末池の主を捕らえ、腹を割くと、僧に与えた団子が出てきた。
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オオダコ 2001年 愛知県 昔須佐におりんという老婆が漁をして暮らしていた。ある日おりんが漁に出ると大きなたこが船にへばりつき、足を一本差し込んで捕えようとした。おりんはたこと戦い足1本を切り取った。次の日もその次の日も同じことが起こったが、8日目に最後の足を切り取ろうとしたときにその足に巻き込まれて海の中に引きずりこまれ、たこの餌食になった。
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ヒョスボドン 1992年 宮崎県 作次郎という男が、ひょすぼに尻子玉をあげる約束で大漁にしてもらった。約束の日に作次郎はひょすぼの嫌いな柿の渋を網につけたのでひょすぼは怒り、作次郎は気絶した。
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エンコ 1991年 愛媛県 二神家の妙さんという嫁は大変な力持ちであった。ある時、よくわるさをするエンコが「向こう岸まで背負ってくれ」と出たので、帯で締め上げて捕まえた。村人は「殺してしまえ」と言ったが、エンコが命乞いするのを哀れに思って助けたら、お礼に毎朝家の軒の鉤に川魚が掛けられた。その鉤を鹿の角に変えたら、エンコが来なくなった。
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ガタロ 1988年 奈良県 昔、力の強い男がガタロと相撲をして勝ち、その時の約束で毎朝ザルいっぱいの魚を貰っていた。何年かして、女が通りかかってザルを捨ててしまい、もうガタロは魚をもってこなくなった。また、この男が相撲に勝ってから谷にガタロは棲まなくなり、ガタロの害もなくなった。この男を川勝様といって祀っている。
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カッパ 1991年 滋賀県 1人住まいの治郎平の所には河童が毎日「相撲を取ろう」と来た。あまりうるさいので治郎平は「言うことを聞いたら取る」といって、河童を柱に縛りつけた。河童の千人力の皿を壊そうと鉄棒を振り上げると、河童は驚いて、「爺さんを川に曳こうと思ったが、これから河合の村がある限り止めるから許してくれ」と言って帰った。以来門口に毎朝お礼の魚が置いてあったという。爺さんが魚かけに便利なカンギを作ったら、自分がかけられると恐れ、「人を川の中へひかん」という証文を置いて来なくなった。
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マスノオオスケ 1966年 秋田県 ある人のところにお坊さんが訪ねてきて「マスを捕ると祟る」と言った。お坊さんにはおこわを持たせて帰した。翌日、大きなマスを捕って腹を開くと、昨日のオコワが出てきた。その人は祟りにあったと言う。
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