テング 1984年 愛媛県 篠山に住む天狗が蕨岡家の老樟に来て、当主助之丞をからかった。助之丞は怒って天狗の翼を射落とし、隠すと、天狗は困って翼と引き換えに永代この家を盗難から守ると約束して帰った。以来当家には盗賊が入らず、「戸たてず庄屋」と呼ばれるようになった。
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ハヤリヤマイ,アクマ,オニ 1986年 長野県 ある時、村に流行病がはやって大勢死人がでた。そこで庄屋は、これからは自分の家を悪魔の宿として貸すから流行病を村から追い出してくれと願をかけた。そうすると流行病は一段落したという。それから庄屋の家では節分のときに豆まきをしないで、障子をあけて悪魔や鬼を迎え入れるのだという。
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プンプクチャガマ 1957年 新潟県 某家ではプンプク茶釜で役人を接待して、他人の土地を踏まなくてもいいほどの土地を貰った。この茶釜を黒岩の某家にあげたところ、プンプクプンプク転がって戻ってきた。「なぜ戻った」と言って火箸で叩いたらツバが割れ、戻らなくなったが、家によくないことが続いた。今は熊谷の寺の宝物になっている。
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モリサマ 1975年 山口県 内山家の裏山の中腹にある森さまは、きちんと掃除をしてきれいにしておくと、お金に困らないといわれていた。これは家の鎮守様だという。森さまの近くにある松の木を切ったら、切った人が怪我をしたという。
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コメトギババア 1956年 宮城県 昔から化け物屋敷と呼んでいる場所がある。昔,夜更けにザックザックと米磨ぎの音がするので見に行くと,白髪の老婆が小川で米を磨いでいるのを見かけた。人々は怕しがってここを避け,化け物屋敷と呼んだ。その後この場所に三浦某氏が家を建てたが何事もなかった。それでも人々は化け物屋敷の名称を改めようとはなかなかしなかった。
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ムソロクブ 1919年 徳島県 ある年の暮れに、川の渕で庄屋が、前の晩に泊めた六十六部を殺して秘蔵の宝物である金の鶏と蚊帳を奪った。血まみれになった六部の足は川へと滑り込んだ。その頃庄屋の家で下男が餅をついていると天井から血みどろの足がぶらさがり、1羽の黄金の鶏が現れ米を食い尽くした。その後片足と鶏は六部の笑い声と共にどこかへ消え。その後も色々禍が続いたので庄屋の主人は墓を建立した。
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タヌキ 1966年 群馬県 佐波郡のある山に一軒家があり、その家の人がいろいろなものを盗まれるのでしかると、その晩にその家の戸がしっぽでたたかれて、かんねんどん、かんねんどんといった。それはたぬきがしたのだという。
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オサキ 1950年 群馬県 オサキは金を好み、それで金持ちになると「オサキが憑いている」と噂が立つ。しかし嫌気が差すとその家を貧乏にするので扱いづらい。釜や櫃のふちを杓子で叩くとオサキが出てくるので嫌う。家に遊びに来た者に憑く事もあり、オサキの話をすると憑くともいう。
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タタリ 1930年 新潟県 昔、げんどうろくという人が、年貢の金を盗まれ、首をくくって死んだ。盗んだ人はその金で茶屋をはじめたが、代々その家からは片輪者が出たので、祟りだと怖れて、坊さんを呼び供養をした。
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ボウレイ,ミサキ 1983年 岡山県 祀り手のない亡霊はミサキと呼ばれるが、これが憑くことを「ミサキがひっぱる」という。昔、ある老人が夜になって姿を消し、目も見えないのに元気な者でも通れないような崖を登ったと思われたときには、皆はkのお老人がミサキにひっぱられたのだといった。
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ウバカイ,オニ,テガタイシ 1956年 宮城県 この村は渡辺綱の一族が住んだところで、いまも全部渡辺姓である。羅生門の鬼が綱の伯母に化けて、片腕を入れてある唐戸を少しばかりあけさせ、それをさらって自在鉤を伝い天井の煙抜きから逃げる。そのときに足を滑らし手を突いた手型石がある。今も部落の家々に自在カギと煙抜きがなく、節分には鬼は外といわない。
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オニ 1958年 香川県 山の尾根が村里に突き当たった場所や道の四辻はマノモンスジで、マショウノミチとも呼ぶ。厄年の男女は節分の夜遅くに人に知られぬよう四辻へ出て金をまいて家に帰る。この時自分の着物や帯に触れれば自分についた厄を鬼が取り除いてくれるという。撒いた金は拾ってはいけない。拾うと厄がとりつく。
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ケサキリジゾウ 1956年 宮城県 昔,竜雲寺山門前に石の地蔵が立っていたが,この地蔵は真夜中になると大入道になって通行人を脅かすので,人通りが稀になってしまった。ある夜梁川庄八という浪人侍が通りかかるとやはり大入道が現れたので,庄八が切りつけるとカチンと音がして化物は消え失せてしまった。翌日行ってみると,右肩を切られた地蔵が立っていた。以後柳川庄八袈裟切りの地蔵と呼ぶようになり,今でも祀られている。大入道は狸が化けたのだろうという。
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ロックサマ,フルロック,タキズテロック,アレロック 1983年 岡山県 成羽川北部や美星町などでは、屋敷を移転してもロック様はその土地を動かないのだといい、これをそこに石塚や小祠を設けて祀っておいた。これをフルロック、タキズテロック、アレロックなどといい、盆と正月に供え物をする。家が絶えて祀り手のない土地のロック様は新しい持ち主が祀らなければならないので、家を倒した跡地を買うことは避けられる傾向があるという。
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キヘエショウヤノタタリ 1971年 岐阜県 喜兵衛という庄屋があまりに横暴だったので農民が怒って、喜兵衛を山に生き埋めにした。その後、祟りがあったので供養して塚を作り、4月6日の弥勒さんの祭りのときに、和尚さんに喜兵衛庄屋の塚も拝んでもらっている。喜兵衛は庄屋ではなくて流れ者で、集落の金を使い込んで生き埋めにされたともいう。
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アミダノカケジク 1995年 宮城県 山の上集落の近江家は、旅の僧をもてなして阿弥陀様の書かれた掛軸をもらった。あるとき、近江家に普請に入った大工の棟領が、掛軸を盗んで逃げた。家を出た途端大雨が降り出し、狐狸が邪魔をした。雷が鳴り、橋が流れそうになる。命からがら家に帰ったが、掛軸はピカピカと光っていた。翌朝、棟梁はポックリ死んでしまった。掛軸は古道具屋に売り払われたが、今度は大きなネズミが出て道具屋が眠れない。祈祷師に拝んでもらうと元の家に返せという。こうして掛軸は返ってきた。
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ソデモギ 1972年 岡山県 豊田村柿部落に袖もぎ地蔵がある。この地蔵の前で転ぶと袖を取られるので袖もぎ地蔵という。昔隣村からの帰り道にこの地蔵さんの前に来ると、坂から石臼が転がってくるので避けようとして転んだ。怪我もないので家に帰ったが、片袖がないことを妻に指摘された。翌朝地蔵の前に行ってみたが石臼はなく、狐の仕業かと村人は話し合った。
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オサキ 1957年 群馬県 某村にオサキ持の家があり、山中に行ってマユを買ってきては売っていた。買う時はオーサキが計量器の玉につき、売る時は皿に乗ったという。バクチうちで財産はなかったのだが、20年程で、土蔵を4戸も建てる程になった。オーサキデージンと言われたが、3代で亡びた。
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(タビノソウノタタリ) 1989年 長野県 九郎衛門屋敷(クロエムヤシキ)とか新右衛門屋敷(シンネムヤシキ)と呼ばれている屋敷は、昔旅の僧を殺して所持金を奪った祟りで廃屋になった。以来、その地に家を建てない。
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〔ジョウゲンチュウ〕,オキクムシ 1974年 滋賀県 近江国志賀郡別保の里に常元やしきと俗称される家があり、ここに居る者は必ず禍があるという。その故を尋ねると、蒲生家の侍だった南蛇井源太左衛門なる無頼が諸国で悪行を重ね、生まれ故郷の別保に帰って剃髪して常元と称した。慶長5年に以前の罪で捕縛された常元は、その家の柿の木に縛られて最後には斬られた、しかしその骸を木の根本に埋めたところ、数日後、顔や目口鼻がある人を縛っている姿に似た妖しい虫が、毎年多く墳上に現れて、蝶に化けて消えたという。人々はこれを常元虫といった。
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