キツネ 1954年 三重県 明治末期頃、伊勢から尾張三河の海岸地帯にある農家の中年男子に、原因は不明だが狐が憑いたと言われ、油揚げを急に好むようになり、目がつり上がり、変なことを口走ったという。祈祷師に頼んで狐を追い出してもらったら治ったという。
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キツネ,タヌキ,コブ 1987年 奈良県 山道を歩いていたら、狐か狸かに憑かれた。油揚げをよく食べていたという。その人が体を動かすと瘤が出た。瘤をつかもうとすると、瘤が逃げた。いろいろな神様を拝む人に見てもらい、ついには取り除くことができたが、その人はまもなく死んでしまった。
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キツネ 1974年 東京都 午八月二十七日早朝、ある男が道で寝ていた4匹の白狐を驚かし、狐は逃げていった。すると雨が降り出したのでいつも休む家へ行くと、女房の棺桶を主人が担い出すところであり、留守を頼まれた。家の中にいるとその女房の霊が出てきて、男の腕に食らいついた。近くの百姓が、その男が川の堤を上り下りしており、血だらけであるのを見た。狐に化かされていると思い、水をかけると、男は正気に戻った。そして小豆飯に油あげをそえて狐に謝りに行った。実際には雨は降っていなかったが、腕の傷は本物で、その後も痛みに難儀した。
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キツネ 1973年 岩手県 1900年頃のこと。ある人が貰い風呂に行った帰りに狐に化かされて、魚を取られた。そのときにあげた叫び声を聞いて聞きつけた村人に助けられたが、周囲には狐の足跡が点々と残っていたという。
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キツネ 1956年 宮城県 気仙沼出身の実業家三田某氏の実見談。明治40(1907)年頃の7月5日午前4時頃,三田青年が峠で一休みしていると,橋向うに50がらみの男が一人,草叢に座って酒盃の献酬をしているような格好である。その時顔の右半分に軽い痙攣を感じ,その方に目を向けると杉の木の下に赭毛の大狐がいて,親爺の方に尻と顔を向けている。太い尾を水平に伸ばし,その先をくるくると小さい輪を描くように回しており,まるで尾の先で人間を操縦しているかのようであった。三田氏が石を投げつけると,狐は茂みの中に逃げてしまったが,その時親爺もその方向に引かれるようにうつぶせに倒れた。親爺は正気付くと今いる場所も日時もわかっていなかった。親爺は「自分は高田の先の大船渡の者で,二日前の夕刻,塩鮭を土産に大槌の親戚の家に出かけてきたのだ」といってそこら辺を探し回ったが見つからない。「自分は今まで確かにその婚礼の席で挨拶をしたりしていたのだが」と不思議そうであった。
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キツネ 1984年 山梨県 狐に憑かれた人は眼が細くなり、手を使わずに物を食うようになり、3日も4日もずっと寝ているようになる。
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キツネ 1987年 奈良県 山の仕事に行った主人が夕方になっても帰ってこないので、家中の者が探した。主人は昼食のご飯に持っていった油揚げを狐に食べられ、狐に化かされ、あちらこちらに引っ張りまわされていた。そうめんを食べたというので、跡を見てみたらミミズを食べていた。
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キツネ 1973年 岩手県 1940~50年頃の話。魚を買って帰った人が峠で狐に化かされて、1時間ほどの間に魚をとられてしまった。
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キツネ(ゾクシン) 1916年 岐阜県 精神に異常をきたした者あると、狐が憑いたという。油揚げや赤飯を欲し、目が狐のようにつり上がる。身体に腫れた部分があると、そこに狐が入っているのだといって、その部分を打ったりした。青松葉で燻すと狐が逃げ去ることがある。
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キツネ 1972年 千葉県 1920年ごろの話。男の人が2人、急病人で医者を呼びに行った帰り、夜の山道で女の人に温かい握り飯をもらった。家に帰ってから、あんなところに女の人がいるのはおかしい、狐だ、と気付いた。
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キツネ 1968年 佐賀県 昔は法印は、病人の原因は狐が憑いているのだといった。大工をしていた人で憑かれ易い人がいて、酒を飲んで隣村から帰って来るなどすると、憑かれることが多かった。落とすには湯立てをして、笹の葉で湯を撒くと、狐が湯に入れられると思って出て行く。また、憑かれた人の上に刀をぶら下げて、それを矢で射ると憑かれた人は飛び起きて走り出し、倒れると狐は落ちている。祈祷の最中に狐が「○○に憑いてくれ、と山で頼まれた」などと言うこともある。狐の好物は鼠の蒲焼と小豆飯。
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エヅナ,キツネツキ 1954年 青森県 昭和21年、部落の17歳の男が胸の痛みを訴え、夜通し喋るようになった。同じ家に住む女の教師は、毎晩9時頃、鼡(ねずみ)のようなものが部屋の上を横切るのを見た。男に狐が憑いたのだと言われ、男は異常な食欲を示し、金品を盗ったりするようになった。親戚の一人が折檻すると、狐は出ていった。教師はエヅナ(狐)を見ていたのであった。
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キツネ 1938年 長野県 狐に化かされた話を聞いた男が狐を取りにその山へ行った。きれいな女の人が来て、その頭に雉がとまったので狐だと思い、その女の家へ行ってみるとその父が怒って男を煮立った湯の中へ入れた。男は熱いと叫んで駆け回ったが、それは農家の豆畑を駆け回っていたのだった。
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キツネ 1939年 秋田県 ある男が祭りを見に行った帰り夜も遅く、大平山の社のあたりで寒気を催し、目に見えない何者か大きな物に掴まれるような心地がした。次の日は稲荷の祭りの後片付けから戻る時に、気分が荒く募り、3日ばかり狂い続けて鎮まらなかった。それから半月、油揚げを欲しがり、飯も多く食べ、後に癒えた。大平山の社にノレキが住んでおり、それが狐を憑けたそうだ。狐憑きはノレキに頼んで離してもらうよりほかない。
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キツネ 1961年 島根県 人に憑く狐は普通の狐とは違う。狐を憑けるには丑の刻参りをする。憑かれると病気になり、その人の口を通じて狐が「○○から来た」と語る。この狐を落とすには小豆飯や油揚げを食べさせたりするか、病人を打ったり叩いたりする。
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キツネ 1981年 神奈川県 きれいな娘に狐が憑いて、油揚を手で食べたり、行燈の油をなめたりした。家の者が気付いて、娘を道の四ツ角へ連れて行き、「狐出てけ」とさんざんなぐったら娘の体から出ていった。
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キツネツキ 1954年 青森県 親戚の男に狐が憑いたことがある。別の親戚が行って、皀莢子(さいかち)などを燻した。さらに、小豆飯を炊いてやったらがつがつと食べた。小豆飯と油揚豆腐を携えて庚申塔まで送っていった。狐に憑かれた親戚はその後まもなく死んでしまった。
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キツネ,タヌキ 1977年 和歌山県 昔は、狐や狸が憑いた話が多かった。狐は病弱な人や気の弱い人に憑く。狐が憑くと、油揚げや魚を好み、普段よりよく食べるようになるが、次第に衰弱する。そうして亡くなった人の床に、狐の毛がたくさんあったという。床の上で横になっていても、遠くにあるものが見えたり、透視をしたりしたという。
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キツネ 1971年 岐阜県 1930年ごろのこと。門野と遠山の間の傍示松には狐がいた。あるとき豚を背負って歩いていたら、いつの間にか道に迷って山の中にいた。不思議に思って振り向いたら、後ろに大きな狐がいた。化かされていた。オカモチ(竹籠)に豆腐や油揚げなんかをいれてここを通ると、狐に取られてしまう。
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トヤゾネキツネ,キツネモチ 1922年 島根県 数十年前、ある家に恨みを持った女が、トヤゾネの狐に油揚げを持っていって、「あの家へ行って悩ましてくれ」と頼んだ。するとその家の主婦が狐憑きになった。大社に行って弓を引いてもらうなどしたが離れず、狐の言うには「子供が2、3匹いるし、自分の体は犬に食われて帰ることが出来ない」という。その家はそれ以来狐持といわれることになった。
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