サンコウサマ,オンリョウ,タタリ 1984年 長野県 寺の弟子の三光が、父の薬代にと和尚のお金を盗もうとして小指を噛み切られた。捕らえられた三光は、牢獄に入った後に死刑にされた。その後何代も後になって天変地異が続いたので、三光の怨霊だということになり、三光の骨を拾って手厚く弔った。
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テクラダ 1956年 宮城県 貧しい者に高利貸しをして金持ちになった弾三郎という者がいた。ある時、貧乏人の女房が着物を質に金を借り、のちに返しに行く。弾三郎は期限切れを理由に着物を渡さない。母の形見だからと泣いて頼むが断られ、女は間もなく病死する。翌年弾三郎が蔵を開いて虫干ししていると、質物にとった着物の袖からやせた女の腕がのびてきて弾三郎の顔を撫でたので彼は気絶する。弾三郎はそのまま病死、続いて家内残らず死に絶え、屋敷跡は田になり、手倉田といった。
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マツトムジナ 1989年 新潟県 真人狢にだまされて穴に閉じ込められた坊主を村の若い衆が見つけた。坊主が礼を言って念珠のひもを切ると、玉一つ一つが狢になった。真人狢が坊主に化けて仲間を逃がしたのだった。
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タヌキ,ダンザブロウ 1975年 新潟県 佐渡国二ツ岩という山に、弾三郎という古狸がおり、非常に霊力がある。この狸は人に金を貸していたが、返さない者が増えたので貸さなくなった。ある時医師の伯仙が佐渡で病人を治したところ、病人の家の主が大金を礼にしようとしたが伯仙は受け取らなかった。すると主は自分は弾三郎という狸であり、これは兵火や洪水によって埋もれた金を、貧者を救う目的で拾い集めたものなので受け取ってほしいと請うが、やはり白仙は受け取らなかったという。次の日、礼に短刀を置いていった。
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カッパ 1992年 宮崎県 安田家の人が河童の腕を切り取った。3日のうちに接げば元通りになったのだが、頼まれても返さずに木城町の比木神社に奉納してしまったので、その斬った刀で祟られた。
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コエ 1953年 宮崎県 山村の豪家に住む老人は、若いころに盗っ人に託された縞の財布に入った三千円を自分のものにした。盗っ人は死刑になり、十三回忌の時から財布に祟られる夢に苦しみ、家族もすべて失ってしまった。
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ヘビ 1936年 岐阜県 ある庄屋の娘の元に若い男が通って来た。素性を明かさないので針に糸を付け男の着物に刺し、朝になってから糸を辿った。すると川の側で大蛇が苦しんでおり、死んだら家を守ると言った。以来家の当主の腋には鱗が3枚生えるという。
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セリザワノサラヤシキ 1956年 宮城県 昔,芹沢という者が武芸の腕によって禄とこの土地を賜った。それから三代後の当主の時の話。ある正月,同家の女中が主人秘蔵の錦手の皿十枚を箱に納める際,一枚を落とし毀してしまった。しばらく隠していたが遂に露見し,一刀のもとに斬り殺された。その後毎夜のように同家の水屋に女中が現れ,「一枚,二枚,三枚・・・九枚・・・おお・・・」と恨めしげに訴える。主人は自らの仕打を悔い,女中の霊を慰めるために石地蔵を刻み,自分の山の頂に建てた。また不吉の刀を地中に埋め,小祠を建てて祀ってやった。以後女中の声も聞こえなくなったという。今でもこの山を地蔵山と呼ぶ。なお旧芹沢家には別人が住んでいるが,その後は何の変事も起こらないという。
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オオイワ,サムライ 1985年 和歌山県 昔、美男の侍が娘のところに毎夜通ってきた。素性がわからないので、男の帰るときに着物の裾に糸をつけた針をさしておいた。翌朝糸をたどっていくと、岩穴の中に糸の端が入っていた。岩の側によると声がして「頭に金を刺されて、もう助からない。子供を作っておいたけど」と言われた。
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キツネ 1956年 宮城県 気仙沼出身の実業家三田某氏の実見談。明治40(1907)年頃の7月5日午前4時頃,三田青年が峠で一休みしていると,橋向うに50がらみの男が一人,草叢に座って酒盃の献酬をしているような格好である。その時顔の右半分に軽い痙攣を感じ,その方に目を向けると杉の木の下に赭毛の大狐がいて,親爺の方に尻と顔を向けている。太い尾を水平に伸ばし,その先をくるくると小さい輪を描くように回しており,まるで尾の先で人間を操縦しているかのようであった。三田氏が石を投げつけると,狐は茂みの中に逃げてしまったが,その時親爺もその方向に引かれるようにうつぶせに倒れた。親爺は正気付くと今いる場所も日時もわかっていなかった。親爺は「自分は高田の先の大船渡の者で,二日前の夕刻,塩鮭を土産に大槌の親戚の家に出かけてきたのだ」といってそこら辺を探し回ったが見つからない。「自分は今まで確かにその婚礼の席で挨拶をしたりしていたのだが」と不思議そうであった。
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ユメカイチョウジャ 1968年 愛媛県 三弥という商人が友人と商いに行き、途中で昼寝した。三弥が目を覚ますと、友人の鼻の中に熊蜂が出入りして、下の谷へ飛んでいった。男は下の谷で黄金が出る夢を見ており、三弥はその夢を5両で買って金を掘り、金持ちになった。ある日殿様が来て、天井のガラス張りの中の金魚を見て訪ねたが、三弥が足で指したので、処刑されたという。
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シュウシン,ネズミ 1974年 東京都 江戸小石川伝通院のある僧が、若い時にある日の申の刻ほどに鼠を殺した。死に際に鼠は僧の指を噛んだ。以来晩の七ツ刻になると指が痛み出すようになり、その事が一生続いた。
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キツネ 2001年 青森県 大森の人が狐を騙した。狐は2,3日後に魚売りに化け、その騙した相手に鱈を売った。鱈を食べると赤ん坊の指が入っていた。それは、その人の家で最近亡くなった赤ん坊の指であり、狐が赤ん坊の墓を掘り返して魚に似せて売っていたのである。
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タタリ 1976年 ある人の家来が、さしたる罪が無いのに、主人に手打ちにされることになった。家来は、死後、祟りをなして必ず取り殺すと宣言したが、主人は笑って、その証拠を見せろ、首をはねた時に首が庭石に喰らいついたら信じようと言った。家来を手打ちにすると、首は庭石に喰らいついた。しかし、その後何の祟りもなかった。ある人がそれについて尋ねたところ、主人は、死ぬ時に石に食いつこうとのみ強く念じたから祟りの心を忘れたのだと語った。
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ナンドバシノカイブツ 1986年 石川県 ある男がお坊さんから納戸橋に立っている男に渡してくれ、と手紙を預かった。不審に思い任誓様という高僧に読んでもらうと、「この男を捕って食え」とあったので、「この男に福を与えよ」と書き直した。男が手紙を届けると、納戸橋の男は追いかけてきて、家の中へ金襴の袋を投げ込んでいった。
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オオニュウドウ 1989年 静岡県 沢の枝の山中に、吉三郎の穴と呼ばれる岩穴がある。海名野の吉三郎がここに寝泊りして炭焼きをしていると、大入道が来て相撲を取ろうと言った。吉三郎は怖くなり、藁人形を身代わりに置いて山を降りた。翌朝行くと藁人形はズタズタにされていた。藁人形を川に流したら海名野に流れ着いたので丁重に祀り、供養のために人形を舞わせた。これが海名野の人形三番叟のおこり。
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ダンサブロウ 1984年 新潟県 親分団三郎には医師に手当てをしてもらったとか、金額と返済の日限を書いて穴のところにおくとお金を貸してくれたとかいう話がある。
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カッパ 1991年 山梨県 長浜の五郎吉が千鳥足で謂陽浜を家路に向っていると、河口湖から河童が現れて湖中へ引きずり込もうとした。しかし、河童の頭の皿には3つの穴があいており、この穴に指を突っ込むと河童は神通力をなくすといわれており、そこへ指を入れると、河童は路ばたへ倒れて謝った。火傷の妙薬の秘伝と引き換え命を助けられた河童は、甲らから秘伝の巻物を出して五郎吉に渡すと一目散に河口湖へ逃げ込んだ。その後、近郷近在から五郎吉のところへ秘薬を買いに来る姿が後を絶たなかった。
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クモ 1966年 埼玉県 夏の昼、百姓が滝壷のそばで休んでいると、蜘蛛が現れ足の親指に糸をかけ始めた。かけ終わった蜘蛛は糸を引きながら滝壷の中に消えた。不審に思い、糸をはずして木株に巻きつけておいたところ、「ヨイショ」と声がして木株が引き抜かれ、淵に沈んで行った。
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クモ 1990年 静岡県 浄連の滝で昔、農夫が休んでいると女郎蜘蛛に糸をかけられた。糸を外してかけ移した切り株は滝壷に引き込まれた。後年、農夫の後継ぎが滝壷に斧を落とすと美女の姿をした女郎蜘蛛の精が返してくれたが、口外すると生命を失ったという。
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