オナイシバアサン 1967年 福島県 船こぎ山の頂上に老婆の形をした石が海の方を向いて立っている。昔、松川与作が漁に出たまま難破したのか帰らなかった。妻はこれを悲しみ船こぎ山に登り沖を眺めては泣いていた。女は風に吹かれ雨に打たれ、そのまま石になってしまった。鎌などで刺すと血が出るとも言われている。この婆さんは、昔、大津波があったときにこの頂上に打ち上げられて石になったとも言われる。
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リュウセキ 1976年 新潟県 越後国蒲原郡勝屋村のある百姓が、山で径5、6寸ぐらいの丸い石を拾ったところ、ある日、石が二つに割れて中から煙が立ち昇り、にわかに雷鳴大風雨がおこった。割れた石の中には丸い穴があったという。
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シャベリイシ 1935年 群馬県 奥上州の伊参村という所に二間三間二間の三角の奇石がある。鎌倉の頃、親の仇を捜しに中国から来た武士が、この大石の下で眠っていたところ、この石の中から仇の居場所が聞こえてきたという。それ以来、この石は時々人語を話したので村人が恐れ、囀石と呼んで崇め祀った。数年後、越後の人がその声に恐れて石の角を切って落としたらしゃべらなくなったという。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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イシ 1967年 福島県 昔ある人が出羽三山巡りをした際、大変綺麗な石があったので持ち帰り神棚に上げておいた。はじめはダチョウの卵くらいの大きさで重くもなかったが、日に日に大きくなったので驚いて氏神社に祀り御飯などを上げていた。その後も大きくなり続けたが、持ち主が死んだら石も死んだのか大きくならなくなった。
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ナリイシ 1931年 長野県 山頂に6、7尺四方の鏡面のような肌をした石がある。これは昔、神様が山頂に来た時に投げた鏡が石になったものだといわれている。叩くとポンポンと音がする。ある石工がこの石を割ろうとして玄能で石を打ったところ、山鳴りがし、それに谷もこたえ、山中が震えて火の雨を降らせたためにこの石工は死んでしまったという。
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フナガタヤマ,ケンカマツリ 1956年 宮城県 加美郡色麻村の小栗山権現は姉神、船形山権現は妹神で、ある時一本のカンザシを奪い合い、妹が手に入れる。姉は奪おうと追いかけるが、妹は橋を落としたり、大石を道に転がしたり、大木を倒したりして逃げた。船形山へ一足という所で姉が迫り、大工が作っていた馬舟の中に隠してもらい、姉は諦めて帰る。妹は舟から出て近くの池で髪の乱れを直し、カンザシが水鏡に映るのに満足して船形山に入った。ここを鏡ヶ池という。以来、船形山の祭は喧嘩祭となり、梵天を奪いあって勝った組は駆け足で下山、途中で木の根や大石を転がす習わしとなった。
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ヤマノカミ 1979年 福井県 昔、中西佐平の家の主が漁に出ると、度々石が網にかかった。その度に捨てていたが、ある夜、夢のお告げで「私は石は石でもただの石ではなく、山の神である。大水が出たときに流されてしまった。陸へ上がりたいので次にかかったら上げて山に祀ってくれ」と頼まれた。次に海に出ると案の定石がかかったので、山に祀った。
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ヤノネイシ 1974年 山形県 出羽国田川郡の西浜周辺の道50里は石がなかった場所だったが、10日ほど大雨が降った後で海辺に鏃や鉾に似た石が多数西を向いて落ちていた。これは世に言う矢の根石だという。また元慶年間には秋田城や飽波郡の海浜も鏃に似た石が降ってきたという。
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ミーサン 1936年 兵庫県 船坂の大岩に急に信仰が起こり、石に注連縄を張りめぐらし、頂に祠をつくり大岩龍大明神と書くようになった。この岩の主を大蛇と見て、信仰が芽生えたのだろうと思われる。
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タコ 2002年 山口県 昔、甚平という漁師が住んでいた。魚を捕ることが巧みで近隣の者は皆知っていた。ある日甚平が岩の近くで魚釣りをしていると、急に船が傾いた。見れば大きな蛸の足が船縁を掴んでいた。甚平はその足を包丁で切って持って帰った。その味を覚えた甚平が翌日も岩へ行ったところ、その日も蛸が現れた。こうした日が5日続き、8本の足が3本にまで減った日に、甚平はこの蛸を捕ってやろうと包丁の代わりに縄を持っていった。それきり甚平は帰らず、主のいない船が夕方に浦へ流れ着いた。村人達はきっと蛸に食われたのだろうと噂した。それ以来その岩を甚平岩と呼ぶようになった。
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ウバイシ 1986年 富山県 若狭国小浜のトウロの尼が越中の立山に上る。女人結界の禁を破ったために角が生えて石になったのが姥石という。
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バンバアイシ 1960年 神奈川県 昔、ある信心者の夢枕に神が立ち「一の釜西方を流れる相模川の深いところにいる。自分の体は石で夫石は川下の江ノ島にいる。上流から訪ねてきたが、水が少なく下流に行けないから八幡宮まで連れて行って欲しい」と告げた。夢から醒めて一の釜に行くと、川底に老婆のような形の石があったため社の境内に移した。その後日照りが続いた時また夢枕に立ち、「自分を一の釜に入れると雨を降らしてやる」と告げたのでそうすると雨が降った。その後石はしばらく放置されたが、川下の人が井戸端の敷石として使った。しかし、一家中の人が病気になったため、行者の進言で八幡宮へと返された。
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カミナリ 1992年 茨城県 雷棒は稲敷郡桜川村浮島の旧家にある石棒。大雷雨で倒れた老樹の中から永さ三〇センチの短刀形黒色の石が発見された。雷神の太鼓のバチと伝える。
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テンセイ,レイセキ 1976年 東京都 隣家のものが珍しい石を得て、宮を造り勧請した。来歴を聞くと、35年前の文政7年に川掛役人が遠州天竜川御用のときに丸い石を見つけたので持って来たと言う。当時は差し渡し6寸5分であったのが、差し渡し1尺4寸8分、回り4尺1寸8分に成長した。ある人がいうには、これは生きた石であり、竜石であるという。
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ムジンノフネ 1975年 千葉県 房州安房郡山刀村で、万治2年5月頃船を出して漁をしていると、無人で白幣束を1本立てた船がどこからともなく現れた。近付こうとするが近付けない。その夜山の方から多くの人が物を運ぶ声が聞こえてきた。翌日みてみると昨日の船が山上の船越大明神の神前に備えられていた。
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ヨウゴウイシ 1956年 宮城県 塩釜神社の東南、七曲坂の下にあり、神の姿が映るという光沢のある石。高さ8尺、幅3尺。
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トイシジンジャ 1928年 長崎県 大永年間のこと、船津あたりの深い山藪の中から、不思議な光が闇の中に光り輝くことがあった。里人はこれを大蛇か魔物と思い、誰も近づかなかった。ある時、漁夫が難破して海を漂っていたところ、遠いかなたに光を見つけ、それをたよりに陸地まで泳ぎ着いた。夜が明けて光の正体を調べに行くと、そこには軽石と古木があったので、里人はこの軽石と古木を神木として祠を立てたといわれている。
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タテイシ,イナリ 1973年 東京都 立石村の名主の畑に高さ1尺位の丸い石があった。掘り出そうとしたが思ったより深く途中で帰った。翌日行くと掘っただけ石は地中に入って、1尺ほど地上に出ていた。何か良い事があるだろうと埋めて帰った。翌日見ると再び石が地表に出ていた。石の上に稲荷の祠を建てた。この石があるから立石村と言うのだろうか。
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オオウナギ 1987年 埼玉県 越生町古池には昔大きな池があり、大鰻が住んでいて、鰻が暴れると地震が起こると言われた。村人は池に地震の神である鹿島様を祀り、要石を置いて鰻を鎮めたという。
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