カネ,エンノギョウジャ 1928年 静岡県 長福寺の門前に貧しい山伏がいた。大峰修行の際、ある老僧から援助を受けていたが、その老僧が入滅後に後を継いだ住職は、金銀を惜しみ、撞鐘で役立つならもっていけといった。その晩、山伏の枕もとに白髪の老人が現れ、峰入は心配するなといって消えた。次の日、鐘がなくなっていた。住職が山伏と一緒に大峰に行く途中の夜、山鳴りがして大岩の上に鐘が引っかかったという話を聞いて見に行くと、寺の鐘であった。老人は役行者の化身であった。
類似事例 |
|
カネ 1975年 滋賀県 近江国文保2年三井寺回禄の時、鐘を叡山が奪った。しかし撞いても鳴らず、強いてこれを撞けば、三井寺に帰りたいと言うように鳴った。衆徒は怒って鐘を無動寺の上から落として捨てた。すると毎夜小蛇が現れ尾で割れ目を叩いた。すると割れ目は元に戻った。
類似事例 |
|
ハクリュウ,カネ 1940年 香川県 頭に珍しい梵鐘をかぶっている白龍を退治しようと、ある豪勇の武士が立ち上がった。かろうじて白羽の矢で射殺し、龍の鐘を奪い取ると、それを寺に寄進した。えもいわれぬ妙音なのであるが、白龍の霊が宿るため、無念の涙として毎年夏には鐘から水滴が落ちてくる。後年、高松藩主がこの鐘を持去ったところ、鐘が「国分寺へ戻りたい」となったので、また戻したという。
類似事例 |
|
タイコザカ 1986年 埼玉県 昔、幸福寺の近くに一匹の竜が住んでいた。この竜は寺の鐘つき堂の主だといわれていた。ある時竜が近くの沼まで出掛けて帰ってくると何者かに鐘を盗まれていた。怒り狂った竜は、寺で大事にしていた太鼓を持ち出し、「これを借りていくぞ、鐘が戻ったら返す」と叫ぶや、どこかへ行ってしまった。その後その太鼓を見たものはいない。今、寺の前にある坂を歩くと「ポン、ポン」と音がするのは、この時竜が隠そうとして埋めたからだと伝えている。さて、この鐘を盗んだ者はなんと筑波山に住む竜であった。今でも筑波山のお寺の鐘をつくと「栢間恋し」と鳴るそうだ。
類似事例 |
|
チンショウ,アマゴイ 1974年 滋賀県 俵藤太郎が竜宮からもらい三井寺に献上した赤銅の撞鐘は、三井寺炎上のとき山法師が叡山でついても一向に鳴らず、大きい撞木でつくと鯨のほえるような音で「三井寺へゆこう」と鳴った。法師らが怒って山上から転がし、微塵に砕けた破片を集めて三井寺へ送ったところ、あらわれた小蛇が尾で破片をたたいて一夜のうちにもとどおりの鐘にした。
類似事例 |
|
ヤマブシ 2001年 ある僧侶が武蔵から下総に下る途中で宿を求めていると、山伏に出会った。山伏は「大放火寺」に僧を連れて行くが、そこで僧は結城上野入道が苦しむ様を見る。実は地蔵菩薩だった山伏に供養を頼まれたとたん、鐘が鳴り響き、寺も山伏も消え、僧侶は野原に座り込んでいたという。
類似事例 |
|
テング 1974年 日本の名鐘は天狗が来て齋料を乞い、鐘を山へ持っていったものと伝えられている。
類似事例 |
|
カネ,(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 文永寺の住職が、寺に鐘が欲しいと思っていたところ、白い長い鬚の年寄りが夢のなかに現れて、「黒瀬ヶ淵に行け、鐘を授けてやる」と言った。行ってお経を唱えると、池が明るくなって小さなかわいい鐘が浮いてきた。吊して叩くたびに良い音がして大きくなった。その鐘が評判になると飯田の殿様が鐘を取り上げてしまったが、鐘が寺を恋しがって泣いて鳴るので、やがて寺に返された。
類似事例 |
|
ユウレイボンショウ 1956年 宮城県 称名寺に,幽霊寄進の梵鐘がある。延宝・天和の頃,同地の高橋某という侍が隣村佐倉村に情婦を囲い,本妻に辛く当たった。しかし離縁の口実がなく,遂に情婦と計ってこれを謀殺してしまった。本妻は,本宅に納まった情婦に恨みを晴らすため夜毎戸口まで迷ってくるが,そこに貼ってあった神符のために入ることができない。そこで妻の亡霊は親戚に頼み,小判数枚を与えて神符を剥がしてもらった。間もなく情婦は本妻にとり殺されてしまった。親戚某は亡霊から梵鐘を鋳て菩提寺に寄進するようにとも頼まれていたので,夫を訪ねて青銅に亡霊からの小判を合金し,梵鐘を造らせて称名寺に寄進した。この梵鐘は現存し鐘銘には右の由来が彫られている。年代は元禄六(1693)年林鐘初八日,施主は高橋八郎兵衛平常,住持可伝上人,冶工早山五郎次清次。
類似事例 |
|
メイドウ 1974年 京都府 京都の寺町通りにある妙満寺に置かれていた鐘は、元々道成寺にあったものというが、この鐘を所持している家に凶事が起きる時は、必ずこの鐘が鳴動するという。
類似事例 |
|
(ワンカシブチ) 1987年 山梨県 北巨摩郡長坂町片颪の清泰寺の方丈白雲は釜無川の曲淵から膳椀を借りて、何者が返すかを確かめたいと思ってわざと返さずにいると、5日目の夜に美女が請求に来て、その手を切り落とすとそれは大蛇の足だったという。
類似事例 |
|
サンジャクボウ 1995年 愛知県 明治の神仏分離たで遠州秋葉寺が廃寺となったとき、僧侶の奥平寛山が盗み出してきたのが今井の三尺坊だと言う。寛山が贋金作りをして警察に捕まったあと、三尺坊は名古屋の古道具屋に売られたが、その前後に今井で火事が頻発し、御嶽行者の行中に三尺坊が現れた。区長が名古屋まで行って古道具屋から三尺坊を買い戻し、御嶽講の人たちに祀ってもらったら、火事は治まった。
類似事例 |
|
カイテイノカネノオト 1928年 長崎県 盗人がある寺の鐘を盗んだが、追っ手に追い詰められて鐘もろとも海へ飛び込んだ。今でもこの鐘は海底に沈んでおり、周辺の波の音が高いのはその鐘が鳴っているためである。
類似事例 |
|
カネ 1975年 静岡県 遠江国佐夜中山道から三里北に光明山がある。この寺の鐘を撞く人は必ず福徳を得て富貴になるが、来世は無間地獄に落ちるという。今は土中に埋められており、撞くことができないが、貪欲な人は鐘の埋まっている上で足を踏み鳴らす。
類似事例 |
|
タタリ,ヤマブシ 1935年 長野県 山伏が百姓に道をたずねたが、諍いになって殺された。何年か後に疫病が流行り、一人の病人が、神がかって告げるには、殺された山伏の死骸に木の根が絡んで苦痛なので、静かな場所に移してもらいたいとのことである。さっそく鎮め祀ったのが大平霊社である。
類似事例 |
|
リュウグウ 1976年 滋賀県 園城寺の鐘は竜宮の鐘である。昔、粟津の男が一堂を建立しようと出雲国へ下ったところ、海中で竜宮の竜王に出会い、竜王の頼みにより、竜宮を襲う大蛇を退治した礼としてもらった鐘である。
類似事例 |
|
カネ,(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 文永寺の住職が、寺に鐘が欲しいと思っていた。すると白い長い鬚の年寄りが夢のなかに現れて、「黒瀬ヶ淵に行け、鐘を授けてやる」と言った。翌朝、行ってお経を唱えると、池が明るくなって小さなかわいい鐘が浮いてきた。それを吊して叩くたびに良い音がして大きくなった。
類似事例 |
|
リュウ 1936年 滋賀県 昔、清涼寺の井戸に龍が住んでいた。その龍は鐘を嫌ったので、撞かないようにしていた。しかし、どうしたことか、ある日鐘が鳴った。すると龍は怒って天上してしまった。
類似事例 |
|
(ユメマクラ) 1974年 香川県 讃州金毘羅山の麓の禅寺で、享保年間、洪鐘を建てる場所を求め、清少納言の塚の場所に建てようとした。その夜住僧の夢に容姿端麗な官女が枕上に立ち、塚を残してほしいという和歌を詠んだ。
類似事例 |
|
オオガネバアサノヒ,アオイヒ,オンリョウ 1915年 静岡県 大鐘という素封家のお婆さんが供養のために寺に田地を喜捨した。その後、何代目かの住職が田地を質に入れた。そのためお婆さんの怨霊が青い火となって、その田地の上を雨が降る晩にさまよい歩くのだという。
類似事例 |
|