(シンボク),タタリ 1982年 京都府 享保11年8月、松原通西洞院天神社の二囲いほどある柳の神木が風もないのに急に折れた。一説には、先頃よりこの地で大江馬町住吉の神像開帳があった時に、神木の下で不浄の見世物があり、閉帳の日に倒れたとも言う。不浄の物の祟りかと驚愕した。
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ヤマノカミ,ウジガミ 1940年 和歌山県 ある人が山の木を大小関係なく切り倒していると、夜中に大風のような音をたてて小屋に山の神が近づいてきた。白髪頭を振り乱して戸を開け、その人を殺そうとしたとき、氏神が来てとりなしをしてくれたので何とか助かった。それが11月7日、山の神の木数えの日だったという。
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マツ 1976年 千葉県 文政5年に房総を遊歴していたら、安房国のある村で前原権現という社が流行していた。2,3年前から流行神となっているという。その始まりは、社の傍らにある神木の松が風で社の屋根を損じる為に、相談して明日伐ろうとしたところ、夜の内に松が社を避けるように曲がったからだという。その松は参詣して目の当たりにした。
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シロヘビ,ツバキ 1976年 滋賀県 ある年、青木明神で雨請いをした時、林から水気が登り、他所から見れば失火の煙かと騒ぎになったが、そのあずかる村々のみ潤いを受けた。その時拝殿に1尺ほどの白蛇が現れた。またある時は、風で多くの木が倒れたので、売ろうとしたところ、夜に音が響いて次の日に見たら木がもとに戻っていた。また、この社の北の山岸の磐に3尺ほどの椿が生えており、その茂り方でその年の作柄を知ることができる。
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(ハッキ) 1982年 京都府 享保11年10月18日4ツ時、幅1間程の白気が坤の方角から艮の方角へ飛んだ。同夜、寺町通仏光寺下る町で何者かによって15軒の家の前に5丈取程の白餅が1つ宛置かれていた。
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ヒカワミョウジン,ジュウイチメンカンノン 1974年 東京都 天暦年中に近江国甲賀郡の連林という僧が、東国修行の為に氷川へ来た。その日の夢に白髪の老人が現れて、地中に長年埋もれているので掘り出して安置してくれれば、この地の守護神となると告げた。そこで近辺を探してみると、ある場所が金色に輝いており、掘ってみれば十一面観音像があった。そこで社を建てて祀ったという。治暦2年の関八州の日照りでは、この社に雨を祈るとたちまち大雨となった。
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(キミノヤシロ),(レイ) 1982年 広島県 享保9年3月16日頃、家中の者が新宅の普請をした。邪魔な柿木を切ろうとしたら大工が、その木には霊が宿っているので切れないと言った。家中の者の下人が、現れたら相手になってやると嘲弄した。その夜更けに空から声がして、下人が空中に抱え上げられた。毎夜続くので家中の者が空に向かって何者だと問うたところ、空から声がして、我は137年前にこの屋敷で働いていた下女であり、柿の実を取った事で殺されこの木の根元に埋められた。我を神として祭れば国の災厄を予言し、諸病を平癒しようと言った。その通りに社を造営したら諸人が郡参した。下女の名前をとって、貴美の社といった。
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マチドオリノカイ 1956年 宮城県 南町の東裏、塩倉(しぐら)丁-東一番丁、大町角より南-から東へ通ずる横丁は遠藤某の屋敷で、西隣は細目某(昔は小島藤右衛門屋敷)の屋敷であった。その遠藤屋敷で、ある暮方、南隅の藪際の梅の古木の上に立烏帽子・白直垂を着た若い男が立って、金の扇でこちらに招きかけていた。大入道や一ツ目小僧などと違い、気味の悪い感じだった。またある時は、愛子から荒町へ帰る男が、この屋敷の前で、杉の木の上から白衣の女にケタケタと笑いかけられ、驚いて逃げ帰ったという。
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カネ,エンノギョウジャ 1928年 静岡県 長福寺の門前に貧しい山伏がいた。大峰修行の際、ある老僧から援助を受けていたが、その老僧が入滅後に後を継いだ住職は、金銀を惜しみ、撞鐘で役立つならもっていけといった。その晩、山伏の枕もとに白髪の老人が現れ、峰入は心配するなといって消えた。次の日、鐘がなくなっていた。住職が山伏と一緒に大峰に行く途中の夜、山鳴りがして大岩の上に鐘が引っかかったという話を聞いて見に行くと、寺の鐘であった。老人は役行者の化身であった。
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ジゾウ 1982年 京都府 享保15年7月、両替町通竹屋町上る町西方町の家の主人の夢にある人が現れ、我は土蔵の内にいるので早く出せと言った。翌日主人が土蔵を見たところ特に何も無いので、地面を2尺程掘ったら石仏の地蔵像が出てきた。背中を見ると弘法大師作、西方寺とあった。西方寺は新地に移っていたが、昔はこの地にあったことがこの為に判明した。石像は安置して当年より地蔵祭を始めた。
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(ヒカリモノ) 1982年 東京都 享保12年閏正月頃より、亀戸天神社の東にある香取明神社の森に光物が出る由の申触が出ていたところ、5月29日に突然鳴動し神木の松の木が折れ、その枝に白い御幣が付いていた。誰が言うでもなく、これは常陸国の安馬大明神が飛んできたのだと噂が立った。
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トオリアクマ 1976年 東京都 四ッ谷が類焼した頃の初冬、夕暮れにある人の妻が縁先にいると、白髪の老人が笑いながらこちらに来た。目を閉じ普門品を唱えてから再び見ると消えていた。すると隣家の妻が急に狂気したという。
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(シャボク),シンレイ 1981年 肥後の野原八幡の社木が大風ですべて倒れたのだが、一夜の間に震動して、倒れた木がみな起きたという。それは不思議なことではなく、神霊がその木を起こさなければならない理由があったのだろうと考えられた。
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チョウチンコゾウ 1956年 宮城県 堤通りの東横丁、北七番丁と北六番丁の中間あたりで数年前から時々あったことだが、雨の夜など、提灯を下げて南へ下っていくと、12,3歳の小僧が小提灯を持ってあとさきになって行く。ふと振り向いたその顔は酸漿のように真っ赤なので思わず悸(どき)っとした。北一番丁あたりで消えうせた。そこは以前富岡十之介の屋敷だった。十之介は正徳年中7月15日の夜、妻を町の盆火見物に連れて行き、帰宅するとどういうわけか乱心して、井戸のあたりで妻を斬り捨ててしまった。それ以後、夜更けにそのあたりで妖火が燃え上がり、界隈の評判となった。
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ユウ,フナユウ 1964年 鹿児島県 木が倒れる音を聞いた者がいた。皆信じなかったが、翌日行ってみると本当に倒れていた。山の神様がやってきたと言われた。また船が別の船と衝突したかと思うと、相手の船が消えたと言う話もある。
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サルカミ 2000年 昔々、白羽の矢が立てられた家が娘を献上することになったが、山伏がたすけてくれることになった。丑三つ時に神社の神様の後ろから化け物が現れた。娘の入った唐櫃の周りを踊りまわり、蓋を開けようとしたとき、山伏が連れてきた犬が放たれ、化け物をかみ殺した。夜が明けて化け物を見ると、年をとった猿であった。
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シロイヒゲノロウジン 1989年 静岡県 下田の町の米屋に白いひげの老人が来て「津波が来るから下田富士に逃げろ」という。米屋が町の人に伝えても、誰も信じなかった。米屋は母を連れて下田富士に逃げると、津波が来た。老人はまた現れて「また大きいのが来るから家に帰るな」といい、津波の中を光になって飛んでいった。老人は波切り地蔵の化身だった。
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ユメ,ハクハツナルオキナ,レイチク 1983年 京都府 精舎を建てたいと願う藤伊勢人の夢に白髪の翁が現れ、北山は天下に優れた霊地であり、ここに精舎を建立すれば利益無量だと告げた。翁に名を問うと貴船の神と答えた。夢から覚め、その場所を知るため白馬に鞍を置き、白馬は霊畜だから夢で見た場所を知るはずだと放すと、確かにその場所に着いた。
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キョボクノセイ,マショウ 1935年 大分県 孝徳天皇の白雉年間に草壁春里という長者がいた。広大な邸宅でこの世の浄土のような生活をしていた。長者は権勢に任せて串川の上流にある千条の枝を持つ栢の霊木を切り倒した。その巨木の霊に祟られたのか、一家ことごとく魔性のためとられていった。筑後の国草野の庄に草野太郎衛門という弓の名人がいて、狩の道すがら残された長者の末娘、玉姫に会い、事の仔細を聞いて妖怪退治の決心をした。魔性に1矢を放つと雷鳴とともに空はかき曇り大豪雨になって小川は忽ち氾濫した。
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ハクサンジンジャノロウショウ,ゴシキリュウジン,ハクサンリュウジン 1966年 愛知県 白山神社の老松の根元には五色竜神が棲んでいて、この巨木にふれた者は必ず本人や家族の者が病気になった。又台風で倒れた際こっそり枯れ枝を持ち帰った三人の町人は次々に死んでしまった。後に、漁師が夢に現れた白山龍神様の訴えから根だけになった老松をお祀りすると、福をもたらすようになった。供えられた鶏卵を大きな白ヘビが飲み込むのを沢山の人が見たという。
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