ネコヅカ,ヘビヅカ 1956年 宮城県 この辺りに住んでいた侍の飼猫が、妻の裾にからみついてはなれないので、侍が猫の首を斬ると天井に飛ぶ。見ると、大蛇ののどに噛み付いていた。飼い主の危険を知らせるためだったとわかり、猫を手厚く葬った。今は大杉神社の祠が立つ。妻をねらった大蛇を三つに切って埋めた塚が蛇塚。猫塚の北の道端にあった。
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シュジンヲマモッタネコ 1956年 宮城県 昔,梶賀村半沢某の可愛がっていた飼い猫が裾を加えて離さなかったので,主人が怒って刀で猫を斬った。すると猫の首が飛んで,厠の小窓から入ってきた毒蛇に噛み付いてこれを殺した。主人は初めて猫の忠義を知り,手厚く葬り祠を建てて祀った。猫神社(ネコカミサン)として今も残っている。
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ネコ 1976年 16,7歳の娘が厠に行く時、必ず昔から飼っている猫がついていった。怪しく思い娘に尋ねると、何もせずに側にいるだけだという。ある時厠について行こうとした猫の首を斬ったところ、首が厠に飛び込んだ。見に行くと首が厠の中で蛇を食い殺していた。蛇が娘に想いを寄せているのを知っていたのだろう。
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ネコ 1931年 鹿児島県 昔、狩が好きな武士がいた。その家には猫がいて、奥方によくなついていた。ある日、主人が山に狩に行くと、奥方の使いという女中がやってきて、家に帰るように告げた。女中がひとりできたことを怪しんだ主人は、化け物に違いないと思って女中を鉄砲で撃ってしまった。死体は見つからず、家に帰ると胸を撃たれた猫が血まみれで倒れていた。
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ネコ 1987年 岐阜県 昔、寺で飼われていた猫が遺体を越えてこの死体をくれといったため、お坊さんが数珠で頭を叩いた。それから家に帰ると猫が頭を割られていたという。
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ネコアシイシ 1956年 宮城県 昔,この地に大芝居の巡業がやってきたので,金持ちの呉服屋が老母一人を留守番に残して芝居見物に出かけた。老母が一人で芝居のことを色々想像していると,その家の古猫が「おばあさん,お芝居をして見せようか。その代わり,人に告げたら生きていられなくなるよ」と言う。老母が承知すると,猫は後肢で立って巧みに忠臣蔵を演じて見せた。さて,老婆は家人の話に釣り込まれて猫の見せてくれた芝居の筋を語ってしまう。それは家人が見たものと同じであった。わけを尋ねられた老母が,トラ子(飼い猫の名)が見せてくれたことを告げたので,家人が気味悪がって明日飼い猫を殺すことになった。ところが,翌朝になると老母が床の中で死んでおり,傍らにいた老猫は一足跳びに7,8間も跳ねのいて逃げ去った。その時の足跡が石の上に残り,「猫足石」といわれている。
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バケネコ 1934年 福井県 妻が2人の人間に化けるようになって困っていた。2人の妻に晩酌をさせていると、そのうちの1人が耳を動かしたので、弓で殺すとその姿は猫であった。近くにあった猫塚は子供の夜泣きや、飼い猫が行方不明になったときに効果があるといわれる。
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ネコ 1977年 福島県 新潟にあった貧乏寺で飼われていた猫がいた。長者の家で老婆が死んだとき、猫は偉い和尚が拝むと棺を高く上げ、その貧乏寺の和尚が拝むと棺が下りてくるようにした。貧乏寺の和尚は感謝されて、寺は裕福になった。それで今でも猫は棺の傍に寄せてはいけないという。猫除けに草刈り鎌を置く。
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ネコ 1934年 山口県 昔、下女が可愛がっていた猫が行方不明になり、九州のいなばの猫山にいるから探しにいけと言われた。山の中に立派な家があり、夜には猫が出てきて「ここに来るのは猫の出世だから心配するな。ここは人の来るところではない」と言って宝物をくれた。下女の真似をして奥さんも猫山に行ったが、かつて飼っていた猫に喉笛を噛み切られた。
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トリ,ネコ,(オンガエシ),(ユメノツゲ) 1956年 宮城県 元禄(1688~1704)末頃,伊達宗重の家臣坂本宇兵衛は子供がなく,飼猫と鶏を可愛がっていた。ある秋の夜更けに鶏がトキを作ったので,主人は不吉だといって鶏を殺し近くの川に捨ててしまった。同夜,この鶏が坂本家菩提寺の住職の夢枕に立ち,「自分は坂本家の飼鶏であるが,同家の猫は毒を以って主人に害をなそうとしている。夜中に鳴いて知らせようとしたのだが,主人は私を殺してしまった。和尚様から委細を話していただきたい。」と言う。住職が翌朝早く坂本家を訪ねると,丁度主人が汁椀を手にとろうとしていた。その時,同家の猫が外から飛び込んできて,椀の中に何か落としたまま走り去っていった。主人が気にも留めず椀に口をつけようとしたので,和尚は慌ててこれを止め,夢の知らせを語って聞かせた。椀の中を見ると黒じみた油と毒蜥蜴の頭が入っていたので,驚いた主人は猫を斬り捨てようとしたが,猫はそれきり現れなかった。宇兵衛は鶏に対して自らの不明を恥じ,懇ろに鶏を供養した。
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ニワトリヅカ 1956年 宮城県 和尚は寺の鶏が毎晩宵トキを告げるのをきらって、鶏を殺して寺の後ろの広瀬川に捨てる。その夜、和尚の夢枕に鶏が現れ、「飼猫が毒殺を企てているから注意するように」と告げる。あくる朝、和尚の膳の上を飼猫が飛んで椀の中に毒を落としたが、危機を免れる。この忠義な鶏の墓が山門の内側にある。
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ガマ 1975年 服部坂辺りの屋敷で、猫が蟆蜍(がま)にちょっかいを出していると、別の蟆蜍が出てきて猫を取り巻き毒気を吹きかけて殺したという。
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セヨモンババ 1952年 兵庫県 ある時戦帰りの侍が古い家で休んでいると、夜中に「せよもんばば、せよもんばば」と声が聞こえるので起きた。近付くと猫たちが踊っていた。侍が化け猫だと思い斬りかかったら猫は逃げた。翌日村に出てせよもんばばの家に行くとそこの老婆が怪我をしているという。それは猫が化けたもので、縁の下から人間の骨が出てきた。
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ダイジャ,ネコ 1997年 高知県 刑部さんという人が洞穴に住む大蛇を退治しようとした。矢を用意していたら猫が側にやってきた。そした煙草の脂をつけた矢も作ったが、そのときは猫はいなかった。洞穴の中の蛇に矢を射尽くしたが全部跳ね返された。そこで煙草の脂をつけた矢を射かけたら大蛇は死んだが、刑部さんも祟りで死んだ。そこで大蛇と刑部さんのたたりを恐れて神社に祀った。
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フルネコ,オオカミ 1916年 滋賀県 昔、木に登り一夜を明かそうとしていた六部を、狼たちが食おうとした。あと少しで届かなかったので、狼たちは太郎婆という古猫を連れてきた。狼の上に乗り飛びつこうとした古猫の額を、六部は刀で斬った。翌日六部は太郎婆の家を訪ねすべてを話し、実は人間でなかった太郎婆を風呂に入れて煮殺した。その後祟りを恐れて祠を建てたのが今の狼神社である。
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ギケイ,ロウネコ,カイネコ 1972年 青森県 老猫が住僧を害そうとしたのを鶏の宵鳴きで難を逃れ、老猫は殺された。この後、猫が杉の木の根本に蜥蜴・ムカデなどを水溜りに入れて腐らせた毒液をためておき、尻尾を浸しては和尚の汁に入れて殺そうとしていたことがわかった。老猫の死骸をこの老杉のところに埋めたが、数年後そこから蔓瓜が芽を出し大瓜がなった。それはその猫の眼中から生えていた。
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〔フクネコヅカ〕 1986年 埼玉県 昔、桶屋職人が猫を飼っていた。ある夜、その猫が猫踊りをしていたのを見て追い出した。猫はその後、和泉屋という料理屋に拾われた。そして街道を通る旅人に手招きをするようになった。これが評判になり、店も繁盛した。この猫は福猫と呼ばれ、死んでから塚に祀られた。
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ネコノカイイ 1974年 いつの頃か良くないことが続いた。当家の侍が年をとった猫を殺したというので、験者を招きその猫の霊を祀って猫を殺さないことにした。
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ネコ 1976年 熊本県 イエイヨホウインというお坊さんが謀反の疑いで切腹させられたが、無実であった。その妾のひとりがそのことを恨みに思って、猫に「仇はとっておくれ」と願いを込めて、その猫を道連れに自殺した。以後、切腹を命じた相良侯の家では不思議なことが起きたので猫寺を建てた。
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ネコヅカ 1948年 岩手県 350年ほど前の話である。福蔵寺で飼われていたトラという猫は大変かわいがられ、30歳になった。そのころ藩主が死に葬儀が行われたが、その最中に棺が天に巻き上げられ、下りてこなくなるという事件が起こった。居合わせたものがいくら加持祈祷を行っても効果はなかったが、福蔵寺5世の大突和尚が駆けつけて祈ると、風はおさまり、柩は元の場所に戻った。この功により、寺領30石をたまわった。これはトラが長年の恩返しをしたものであった。その後、トラの行方は知れなかった。寺の鬼門に猫塚を建てた。
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