ヨナキイシ 1929年 滋賀県 子供が欲しい夫婦が、毎晩天に向かって祈っていた。あるとき夜星が胎内に入る夢を見て妊娠して、男の子を産んだ。あるとき僧が来て、子供の泣き声が経に聞こえる。この子供をもらえないかと言った。その代わりに何でも叶えてくれる一つの石を置いていった。この石は夜中になると「丹生にいのう」と泣いたという。子供は大僧正になった。
類似事例 |
|
オンブイシ 1973年 三重県 海女が磯に行ったら「おんぶ、おんぶ」と呼ぶ石があり、子供を背負ったような形をしていた。家に持ち帰ったら家運が栄えた。
類似事例 |
|
ウバイシ 1990年 長野県 宮向こうの上田に、姥石がある。昔、嫁いで三年経っても子どもが産まれない女性がしゅうとに追い出され、石に抱きついて泣いていた。するとまもなく子供が出きたので、家へ戻ることができた。以来、その石へ願をかけると子宝に恵まれるという。
類似事例 |
|
バケイシ 1966年 山形県 昔、下生居の庄屋、権左衛門が夜道を歩いていると、石が化けて出た。化け石は大勢の子供がいて、食べ物がなくて困っていると訴えた。権左衛門は家に帰って1俵分の飯を炊き、握り飯にして化け石に供えた。するとたくさんの手が出て、瞬く間に平らげた。化け石は礼に丸い生き石を数個授けた。以後、吉左衛門家には吉事が起き、生き石も子を持って繁殖した。
類似事例 |
|
オウゴンブツ,フドウソン 1983年 茨城県 下総国藤代宿において、8歳の女子が男子を生むことがあり、このことで金銀をもらったので暮らし向きがよくなった。そこで屋敷内に井戸を掘ろうとしたところ大きな石が出てきて、その石の中に小さい黄金仏がでてきたという。それは不動尊であった。
類似事例 |
|
ウマレカワリ 1944年 神奈川県 5歳の愛児を亡くし悲しんだ親が口寄せを頼んだ。すると「もう一度傍に帰りたいから、姉さんが地蔵様に石を供えてくれ」とのことだった。そのとおりに姉が毎日石を供えると、やがて男児が誕生し、愛児の生まれ変わりと信じられた。
類似事例 |
|
ベンザイテン,ヘビ 1935年 昔、ある弁才天の神官の家にひとりの娘がいた。近所の百姓が多忙の時期には娘の手を借りることもあった。ある時百姓が養蚕のために手が不足したのでその娘を頼みにいくと、神官の家に出産があり手がいるので娘を借りることができなかった。しかし百姓が家に帰るとその娘が来ており、都合がついたという。それから娘は毎日その百姓の手伝いをした。仕事に区切りがついたので、娘を返すため神官の家まで送ると、娘はお参りをさせてくださいと言って神社に入ったきり帰ってこない。神官の家を訪れると娘はちゃんといて、手伝いには行っていないという。そこで百姓と神官が弁才天の前まで行くとその娘そっくりの頭を持った蛇がいた。神官が礼を述べると蛇は姿を消した。
類似事例 |
|
ベンザイテン 2001年 宮崎県 正手には、七福神唯一の女性神である弁才天様の石像があったが、それが祀られて以来、正手には美女が生まれなくなった。女の赤ちゃんの美しさを弁才天様が独り占めしたからといわれたが、その僻みを知ってか、石像はいつの間にか消えた。
類似事例 |
|
ヨナキイシ 1970年 滋賀県 天人が余呉湖で水浴びをしていたとき、桐畑太夫が衣を隠して、天人を嫁にした。2人の子ができたが、天人は子守娘の唄から衣の場所を知り、天に帰ってしまった。子守は子を石の上に放って帰った。赤子が泣いたらその声が読経の声であったので、菅山寺の住職はその子を連れ帰って育てた。それが後の天神様。この石はその後も夜毎に泣いたので夜泣き石といわれ、耕地整理で動かそうとしたら祟りがあった。
類似事例 |
|
ビジョ,シンセキ 1939年 香川県 漁夫が不思議な石を拾い、卜者に見せると海神から賜った神石だと言われた。その玉は理想の夫が見つからずに入水した美女の魂が小石になって漁夫に拾われたのだという。
類似事例 |
|
〔センビキイシ,チビキイシ〕 1956年 宮城県 多賀国府があったころ、この里に住む女に通う男があった。近くに大石があり他所へ運んで砕かれることとなったが、男はその大石の精であった。運ばれていく前夜、男は女に別れを告げ「明日は何百人で引いても動かぬが、あなたになら引かれよう」という。はたして動かない石を「わたしがひく」と女が申し出る。気狂いに引かせるのも面白いと女に引かせると軽々と動く。女は国府から褒美をもらって幸せになる。これを千引石といい、志引観音堂の丘の下の田に残る。
類似事例 |
|
ダイジャ,ウシイシ 1935年 群馬県 奥上州の為政者がある宴席で美しい侍女に見とれ、寵愛した。ただこの侍女は昼には姿が見えず、夜だけ見えた。その訳を聞くと、自分は庄田の者だが、結婚してくれれば昼も侍ることができるという。そこで華燭の典が行われ、数年後に男児が生まれた。この侍女は庄田の沼に住む大蛇の化身で、その輿入れの際に乗ってきた輿は石になり牛石と呼ばれた。その男児は顔が長く、身体に鱗があったという。
類似事例 |
|
ヘビ 1936年 鳥取県 子供の時に薬師寺の裏山で古い壷を見つけた。中には一匹の蛇がいて、底には漆のようなものがたまっていた。それらを持って帰り、壷は和尚さんに上げて、蛇は隣の爺さんにあげた。それから爺さんの家は目に見えて暮らしが良くなった。噂では蛇のお告げがあり、その蛇を弁天さんにお上げしたという。
類似事例 |
|
ウブメ 1968年 佐賀県 七郎谷という所にうぶめが出て、通る者に子どもを抱いて欲しいと頼んだ。抱かされて気づいてみると、石の地蔵を抱かされていた。その人は力が強くなったという。それで、大力の持主を「うぶめの子を抱いた」という。
類似事例 |
|
バンバアイシ 1960年 神奈川県 昔、ある信心者の夢枕に神が立ち「一の釜西方を流れる相模川の深いところにいる。自分の体は石で夫石は川下の江ノ島にいる。上流から訪ねてきたが、水が少なく下流に行けないから八幡宮まで連れて行って欲しい」と告げた。夢から醒めて一の釜に行くと、川底に老婆のような形の石があったため社の境内に移した。その後日照りが続いた時また夢枕に立ち、「自分を一の釜に入れると雨を降らしてやる」と告げたのでそうすると雨が降った。その後石はしばらく放置されたが、川下の人が井戸端の敷石として使った。しかし、一家中の人が病気になったため、行者の進言で八幡宮へと返された。
類似事例 |
|
タヌキ 1985年 香川県 旦那さんの家に、男衆が息をはずませてやってきた。嫁をもらうという。嫁を背負ってきたというので旦那さんがよく見ると、男衆が大事そうに背負っていたのは五輪石だった。男衆によれば、娘が嫁にしてくれと言ってかかえついてきたのだと言う。
類似事例 |
|
ナベカブリヒメ 1956年 宮城県 昔、子がない正直者の夫婦が、子どもが欲しいと観音様に願をかけると、おつげで「子どもを授けるが生まれたらすぐ鍋をかぶせろ」といわれる。女の子が生まれたのでお告げどおり鍋をかぶせて育てる。皆にのけ者にされ、生みの母が死んで後家の母にはいじめられたが、素直に仕事をして育った。16になって嫁にやる頃、後家の母はその娘をもてあまし、山に捨てたが坊様が助ける。今度は川に流すと、ある猟師が拾って育てる。ある日川のそばで会った立派な若者と惹かれあうが、彼の父である殿様は「そんな川流れの娘」と、一緒になることに反対する。いつも会う山で若者の悩んでいる様子を心配しておいかけた娘は転落、若者が驚いて行ってみると鍋がとれ、かすり傷一つない。しかも後光もさすばかりの美女で、殿様も気にいって2人は幸せに暮らしたという。
類似事例 |
|
ロクブ,ヤマノカミ,ハクバニノッタカミ 1950年 山梨県 六部が山の神の処で寝ていると、白馬に乗った神がやってくる夢を見た。白馬に乗った神は山の神に、楽ジンと乞食に子供が産まれたので、それぞれ竹やりと米一石五斗を与えたと言った。朝起きてみるとその通りになっていた。成長した乞食の娘は楽ジンの子と一緒になり3年楽に暮らしたが、娘は乞食の子であるとして離縁され、奉公に出、その後別の楽ジンのもとへ嫁に行った。しかし元夫の楽ジンはその後落ちぶれた。
類似事例 |
|
テング 1977年 和歌山県 赤松氏の祖先の子が戸栗坂で遊んでいたところ、天狗にさらわれた。皆で探し回ると、奥の方にきれいな石があり、ハンチャがかけてあった。子供は見つからなかった。その石を今でも祀っている。赤松家は山田という人を養子に迎えたが、その人が和歌山へ越すときに石を持っていった。しかしどうも落ち着かず、石を持ってきた。石は高さが2尺くらい、巾1尺くらいで人の形のようである。
類似事例 |
|
カミヲユイタルドウジ 1989年 兵庫県 岩の下にある大穴から人の嘆き悲しむ声がする。法道仙人がこれを聞いて哀れみ、法華経を読み念仏三昧を修した。すると童子が出現し、岩上で遊んだ後昇天した。この岩に小石を投げると、善人の投石はそのまま乗り、悪人の投石は転げ落ちるという。
類似事例 |
|