トウビョウ 1922年 山口県 トウビョウは百匹いる。士族の家にもある。トウビョウは人に憑く。一人がトウビョウ持でも他の家族がそうとは限らない。トウビョウ持であることは本人しか知らない。百匹の蛇のうち一匹でも傷つけるとその人はトウビョウ持になる。萩の松下村の、ある家の妻がトウビョウ持だった。その家の下男が押入れで瓶を見つけたが、その中に蛇がうようよしていたので煮湯を持ってきて注いだ。便所にいた妻は叫び声を上げて気絶していた。手当をすると妻は治ったが、もうトウビョウ持ではなかった。
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トウビヨー,ムスメ 1955年 岡山県 トウビョーは頸に輪型のある一尺ばかりの小蛇だが、指を指しても祟るといって子供も恐れる。子供のときの話で、雄滝というところに石グロがあって、畑の持ち主が取り除こうとするとトウビョーが中から何百も這い出して、それを見た人は熱を出して寝込んだという。
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トウビョウ,トンベガミ 1949年 徳島県 トウビョウをトンベガミともいう。小さな蛇の姿で、トンガミ持の家の壺や徳利で飼われる。その家の主人を喧嘩したり、野山に出てきたトンベガミをいじめると、憑かれる。症状はひどくない。憑かれたら、持ち家にこっそり肥をまく。トンベガミを不遜に扱ってはいけない。
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トウビョウ 1960年 岡山県 トウビョウの住む家を訴えたある家の家人が、背中がかゆ憂くてむずむずするため祈祷師におがんでもらうと、トウビョウの住む家の恨みを買ったためにトウビョウがやってきて体に乗り移っているということであった。トウビョウは金をくわえてくるともいう。一般にトウビョウがいるといわれる家は嫌われる。
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トウビョウ 1913年 トウビョウは白い首輪をつけており、トウビョウを養う家の者が自らトウビョウを虐待すれば祟られるが、他家の者が虐待する分には問題ない。トウビョウがいるという噂のある金持ちの家に、旅の商人が来た。小甕があったので蓋を取ってみると、中で何かが蠢いていた。気味が悪かったので、鉄瓶の熱湯をかけて立ち去った。その後、その家では、このためトウビョウが死んだのを喜んだという。
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ヘビモチ,ハクジャ,トウビョウ 1954年 岡山県 白蛇は家を富ますと言われ、富豪の妹尾家では毎年、蛇の食用として米1俵を倉に撒いたという。一方トウビョウは同じ蛇でも、これに触れると祟りがあるとして畏れられ、トウビョウ屋敷と呼ばれる屋敷に居住することも忌み嫌われる。
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トウベ,ヘビ 1986年 大分県 トウベ持ちの家に嫁入りした女が,家を出て実家に帰ろうとしたところ,トウベ(蛇)が戸口にぶら下がって邪魔をした。
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トウビョウ 1922年 島根県 とうびょうは土瓶の字音で、いつも土瓶の中に沢山の蛇を飼っており、それを使って様々な災厄を与える術を持っているという。蛇持ちともいう。非常に大きな蛇が蔵におさまっているという。蛇を持っている家は富豪になれ、「あそこの家はとうびょう持だから身上がいいのだ」などという。村人はとうびょう持ちとは交際しない。
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ツキモノ 1963年 岡山県 とうびょうは小蛇である。狐や犬や猫も憑く。狐と言っても普通の狐ではなく、ねずみ位の大きさである。つきものが家に来ると、金や肥料、稲、醤油などを隣近所から取ってくるので急に金持ちになることがある。人が気がふれた状態になり、法印様に拝んでもらうと、狐がついているという。
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ジンコ,トウビョウ 1937年 鳥取県 人狐といって、家に狐を持ち込むなど、忌み嫌う例が少なくない。トウビョウ(蛇の一種)持等婚礼の妨げとなることがある。
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トウビョウ 1922年 鳥取県 東伯耆地方にはトウビョウという狐がいる。貧しかった家が急に裕福になると、あそこにはトウビョウがいるのではないかと世間から疑惑の目を向けられていた。トウビョウは夜よその家に行き、お金でも卵でも、何でも主人の欲しいと思うものをくわえて帰るので、トウビョウ持の家では財産が増えるという。トウビョウは鼬に似たもので、75匹が一群団ということである。この家と縁組した家にはその一群が嫁婿に伴って行くと言われ、その家も狐持ち(トウビョウ持)になる。
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トウビョウ 1922年 貧乏だった家に急に財産ができるとその家はトウビョウを飼っていると言われる。トウビョウは夜出て他の家に行き、何でも口にくわえて帰ったので財産家になるという。世間の人は大変嫌っている。トウビョウを捨てるには、お金をどのくらいか紙に包んで道の四辻においておくと他の人が拾っていき、トウビョウは拾った人の家に行く。
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コヘビ 1976年 京都府 某家で伯母が同居してかいがいしく働き、家が栄えていた。しかし妻を迎えたところ、妻が伯母に従順しなかったので、伯母を別居させ、食事を持っていくように主が命じたが、妻は主に偽って、持って行く事は無かった。そのうち伯母は病気になったのだが、その頃から妻も心地が悪いと屏風の内にこもるようになった。2,3日もこのようなことが続くので怪しんで屏風の内に入って見たところ、妻の首に小蛇が巻きついていた。修験に祈ってもらったら、小蛇を退治すると妻は死ぬといわれたが、苦しみを見かねて祈祷を頼んだところ、小蛇は首を離れ妻の口に入り、妻は死んだ。その頃伯母も死んだという。
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トウジョウ 1976年 山口県 坊さんが宿を借りた。家人が外出中に家の隅の壷をふと見ると、トウジョウという蛇がうじゃうじゃととぐろをまいていた。坊さんが煮え湯を入れてトウジョウを殺すと、たいへんに感謝された。トウジョウは人に憑いて肛門から体の中に入り込み、体を食いぬく。
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ツキモノ,トウビョーモチ 1954年 岡山県 あるトウビョー持の家には肺病患者がいて、昔は部落との交際もほとんどなかったという。また、カイコ狐という狐を飼っている家の場合、狐の怒りを買うと狐は仕事をやめて食いつぶし、たちまちにその家は没落し、食物がなくなると人体までも食い荒らすといって恐れられる。
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ヘビ 1972年 千葉県 話者が小学校のとき、数人で蛇を殺した。その中で一番気の弱い子の家の縁の下に蛇が住み着き、その男は顔色が悪くなり、病気になってしまった。
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トウビョウ 1922年 島根県 トウビョウは蛇の形をしていて首に白い輪がある。
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ヘビ,(ゾクシン) 1939年 和歌山県 蛇を指さしすると指、あるいは手が腐る。
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トウビョウ 2002年 山口県 とうびょうの家には小さな蛇がたくさんおり、たいがいは壺の中で飼い、床下に隠しておき、他人に見られぬようにえさを与えるという。人に憑くことがあり、祈祷師に落としてもらう際、紙袋を手や足先に当てて霊を落としてもらう。その袋をかまに入れて焼くときにはパチパチと音がするという。
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ヘビ 1974年 宮崎県 阿州の二宮久太夫が日向国で宿を求めたところ、ある家に泊めてもらう事になった。しかしそこの亭主は病んでいて、首に細い2匹の蛇が巻き付き、その傍らに18、9歳の女2人が双六をしていた。主人が言うには、この蛇はこの女の執心で、1人が怒れば1匹の蛇が首を絞め、2人が怒れば2匹とも絞めるという。翌朝その家を出た久太夫は、お礼を言おうと数日後に戻ったところ家はなく淵になっていた。里人に聞けば、地震や風雨によって無くなったという。
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