カミノタイワ 2001年 青森県 昔、ある旅人が、雷雨の為に道端のお堂で雨宿りしていたおりに、神の対話を耳にした。神々は、付近に生まれた2人の子供が将来は結婚するであろうと語り、数十年後には果たしてその通りになったのであった。しかし、やがて夫の方は勝手気侭になり、離縁して妻を追い出してしまった。
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ヘビノコ,カミサマ 1928年 鹿児島県 ある夜、寂しい山間の年取った夫婦が神に子授けを願った。ある夜、妻が夢でうなされ、神に子供を授かる夢を見たといった。翌日から妻は身重になり、やがて子が生まれたがそれは蛇だったので畑に埋めた。神様に無理を言った罰が当たったのだろうとあきらめた。
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オカネウムムスメ 1956年 宮城県 昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
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ヘビマツ 1939年 新潟県 松の木の皮で母乳が出るようになるということで、皮が剥がされていった。ある晩神主の夢に美女が出てきて、皮を剥がさないで欲しいと泣きながら訴えた。
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ベンザイテン,ヘビ 1935年 昔、ある弁才天の神官の家にひとりの娘がいた。近所の百姓が多忙の時期には娘の手を借りることもあった。ある時百姓が養蚕のために手が不足したのでその娘を頼みにいくと、神官の家に出産があり手がいるので娘を借りることができなかった。しかし百姓が家に帰るとその娘が来ており、都合がついたという。それから娘は毎日その百姓の手伝いをした。仕事に区切りがついたので、娘を返すため神官の家まで送ると、娘はお参りをさせてくださいと言って神社に入ったきり帰ってこない。神官の家を訪れると娘はちゃんといて、手伝いには行っていないという。そこで百姓と神官が弁才天の前まで行くとその娘そっくりの頭を持った蛇がいた。神官が礼を述べると蛇は姿を消した。
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(ヤマノコエ) 1972年 長崎県 山の神の日に、竹を多く取ろうと考えた人が山から戻らなかった。探しに行くと、山が「返さない」と言ったという。
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ナナツイド 1986年 埼玉県 日照り続きの日、木こりが思い余って水をたくさん含んでいるという柳の木を伐ろうとすると、「どうか私を伐らないで下さい。そうすればお礼に水の湧き出る所を教えましょう」と、どこからか声がしたので、伐らないで帰宅した。その晩、美女が枕元に現れ、「私は今日助けていただいた柳です。私には七人の子供がいます。その柳の下を掘ってみて下さい。」と言って消えた。次の日木こりはその子柳を探し当ててその下を掘ると、七本ともこんこんと清水が湧き出てきた。そうしてそれらは村の人たちの大事な飲料水となった。
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クモ 1990年 静岡県 浄連の滝で昔、農夫が休んでいると女郎蜘蛛に糸をかけられた。糸を外してかけ移した切り株は滝壷に引き込まれた。後年、農夫の後継ぎが滝壷に斧を落とすと美女の姿をした女郎蜘蛛の精が返してくれたが、口外すると生命を失ったという。
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キンポクサンノカミサマ,オニ 1984年 新潟県 昔、佐渡を治めていた金北山の神さまが、もし節分に撒いた豆から芽が出たら佐渡の国を譲ろうと鬼に約束する。このときの約束状が金北山のお堂の下に埋めてあるともいい、いくら鬼がとりに来ても、神さまは決してわたさないという。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 昔、阿傳と嘉鈍の中間にマチという部落に母と娘が暮らしていた。娘は夜に機織りの仕事していたが、あるときから夜になる一人で笑ってばかりいて仕事をしようとしない。母が尋ねると、娘は夜になると赤手拭いを被った男がやってきて脇の下を擽るのだという。そこで母は今晩その男が来たら木綿針に糸を貫いて男のたまに刺せと言った。その晩、娘は言われたとおりに男の頭に針をさし、明朝に母が糸を辿っていくとマッタフの巣である坂の麓の割れ岩まで続いていた。中から「我ミミンダ通しはしたが、子供は七籠も産ませて、うら取って見せずに置くものか」と声が聞こえた。また「娘が海へ行って七日間潮浴びをすれば子供は堕りる」と他の声も聞こえてきた。母は家へ帰り娘を海に連れて行き、七日間潮浴びさせると蛇の子を堕ろすことができた。
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キツネ 1949年 福島県 一人の男が田圃を耕していると、きれいな女性が来て腹が痛いといって泊り込み、ついに夫婦となった。三人の女の子が出来た。あるとき、油断をして白い尻尾を見られて、悲しんで山に逃げ帰った。夫が小さい子を連れて乳を貰いに山にいき、家に帰るように懇願した。しかし、家には帰れないが、稲と鉏を田圃に置いておけば手伝いをしてあげようといった。そのとおりにすると、苗の植付けは終わっており、秋にはよく実って、男は金持ちになった。
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ダイジャ,タタリ 1929年 長崎県 島原の領主が雲仙嶽の山林で狩りをした際二匹の大蛇のうち一匹を射止めた後、島原地方一帯の畑が荒らされて作物の収穫が殆ど皆無になった。村人が原因の大蛇の捕獲に失敗した同じ頃、多比良にいた名医は傷を負った女を治療した。医者が助けた女は、連れ合いを殺された復讐に畑を荒らしにきて村人が捕まえそこねた先程の蛇だった。女は近々地震と津波が起こるので島原を離れろと医者に告げた。そして雲仙岳が噴火し、女の言うとおりになった。災害は大蛇の祟りといわれる。
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オニ 1934年 熊本県 昔、貧乏な年寄りがいた。見知らん婆さんがきて1杯しか飯を食わないので嫁にしてくれと言った。その婆さんは1表の握り飯を食べていた。口は耳まで裂け、頭には角の生えた鬼だった。爺さんは天から降りてきた縄をつかんで助かり、鬼が掴んだときには縄が切れ、玉蜀黍の畑の上に落ちた。その血がかかったために、玉蜀黍の根は赤い。
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ライシン 1933年 三重県 ある時、雷神が誤って農家の井戸に落ちた。農夫は井戸に蓋をして天に帰さなかった。雷神は自分は桑が嫌いだから桑原と唱えれば落ちないと約束して、天に帰してもらった。
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ゴマ,アズマヤサンノカミ 1987年 長野県 四阿山の神様が神川流域を見て回った時,ごまの実のからで目を突いて痛めた。そのため,神川の川下ではごまを作らない。
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アムロ 2001年 鹿児島県 男が沢山の畑を耕して稷を撒いた。ある程度育てたところ、海が荒れ風が吹き出した。台風かと思った男は稷を青刈りしようと畑に行った。そこにアムロ(天女)が現れ青刈りの訳を聞いた。台風かもしれないと話した処、アムロはこれは季節の風で台風ではないと語った。男がその証拠を乞うと、アムロは誰にも話さないことを条件に証拠を与えた。しかし男は帰り道に友人に吐露してしまう。すると神罰が下り男は盲目になった。
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カイジン,ドクヘビ,ダイジャ 1929年 東京都 神代の昔、三宅島中根の漁夫が不漁の為に大漁と引きかえに、海神に向かって娘を差し出す約束をした。だがすぐに後悔し、かわりに妾を差し出したが、毒蛇(大蛇)は許さずどこまでも人々を巻き込み荒れ狂って娘を追い続けた。娘は神々の加護により神通力を得、白い鷹、白い鳩、虫になり逃げ回りながら守られた。神々は大蛇を退治して切り裂き、島に撒いたので、三宅島には今も蛇が多い。
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ゴマ,シンカイジンジャノカミ,サイノカミ 1987年 長野県 昔,新海神社の神様とサイノカミの神様とがばくちを打った。新海神社の神様が負けてごま畑へ逃げ込んでごまで目を突き、眼をつぶしてしまった。以後,田ノ口の村ではごまを作らない。
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ライコウ 1931年 大阪府 800年ほど前、桑原の地に重源上人と寺働きの老女がいた。ある日、雷公が老女の臍を狙って飛来してきた。しかし、上人と老女によって懲らしめられ、命からがら逃げ帰る。以来、桑原には一度の落雷もないという。
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モイヤマ,タタリ 1965年 鹿児島県 吉田部落の森山神社の一帯はかつて森山と呼ばれ、勝手に木々を伐採してはならない等の禁忌を有した土地であった。また産の神、子供の神でもあるという。あるとき、神社の宝物を持ち出して遊んでいた子供を大人が叱ったところ、逆に腹痛で苦しんだという。また、吉田部落の人々は森山から離れた海岸に住んでいた。しかしある年、大洪水で家がみな流されてしまった。これは森山ドンから離れたために祟りが起こったとされた。故に森山の近くに住むようになったという。
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