タヌキ 1929年 長崎県 田中に父子二人が住んでいた。父が病気で死んでしまうと息子は他村に働きに出かけ、その間は彼の友人が合宿をしていた。ある晩一人の若者が用たしに起きてみると死んだはずの家主の親爺が生前やっていたように腹を出し燃える圍櫨裏に大きな腹を出して温めていた。それは森に棲む大きな古狸の仕業だった。
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タヌキ 1986年 埼玉県 名栗村の炭焼きのじい様が夜に寝酒を飲んでいると、墨染めの衣を着た坊さんが尋ねてきたので、ご馳走した。それが何回か続くようになったのでじい様は怪しみ、焼き団子を進ぜようと言って火箸でいろりの灰の中から石をつまみ出し、坊さんの衣にくるんだ。すると坊さんは「あっちっち」と言って外へ飛び出して行った。次の日、山道に古狸がやけどをして死んでいた。
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ムジナ 1975年 新潟県 爺さんが山へ炭焼きに行き小屋に泊まっていると、夕飯を終え寝ようとしたとき、女が訪れ、とめてくれといって炭火に手をかざした。爺さんが炭火をぶっかけると、女はムジナの正体をあらわして逃げた。
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ネズミ 1939年 長崎県 よいお爺さんが弁当の団子を鼠の穴に落としたら、鼠はお礼に宝物を持たせてくれた。話を聞いた悪いお爺さんが同じようにしたが、猫の鳴きまねをしたために周囲が真っ暗になった。地をもぐって悪いお爺さんの出たところは自分の家の囲炉裏で、驚いた婆さんに火箸で刺されて死んだ。
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キツネ 1960年 三重県 爺さんが薪を馬の背に乗せて運んでいたら、狐が馬の背に飛び乗って悪戯をした。爺さんは狐を縄で縛り、家に帰ると、狐の姿がない。狐は家の中に入っていた。狐は仏様に化けて仏壇に隠れたので、爺さんはご飯で狐を誘い出し、狐が食べようとしたところを手斧で叩いた。
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ヒダリメッコ 1956年 宮城県 箆岳山みたいなところに老夫婦が住んでいた。あるとき爺が今日は遅くなると行って町に出かけた。晩方になって意外と早く爺が帰ってきたので、爺の顔を見ると左目っこの爺が右目っこになっていた。「狸が化けたか」と気をつけて、爺の好物の南ばん大根を作ったが、爺はその焼き大根を食べようとしないので怪しむと、狸は思い切って食べてむせた。婆はおかしさをこらえ、大きな叺を持ってきて、早くこの中に入れと狸に言う。さらに「おじんつぁんは隙間があると寝付かれないから、いつもぐるぐる縄を巻かせるが」とうそをつき、狸をぐるぐる巻きにする。狸を言いくるめて寝たふりをさせ、そのうち八つ下りになって本当の左目っこの爺が帰ってきたので、婆は今日のことを語った。爺はびっくりしたが、やがて「ばんさまのおかげで狸汁食うにええ」と喜んだという。
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タヌキ 1991年 奈良県 山で炭焼きをしていたお爺さんの所に、毎晩狸がお婆さんに化けて訪ねてきた。そこである日お爺さんはお婆さんに絶対訪ねて来ないようにと言い、その夜に訪ねてきたお婆さんの頭を斧で叩き切った。お婆さんは声を出して逃げたので、本物のお婆さんは切ってしまったのかと驚いて家に帰ると、家にはちゃんとお婆さんがいた。そして軒下で古狸が死んでいた。
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オモイ,バケモノ,ロウジン 1973年 山梨県 炭焼きが大和田山の山小屋に泊まり、串にさした餅を焼いていると見知らぬ老人が一人入ってきて向こう側に座った。そして隙を伺っては餅を取って食うなどした。炭焼きが考えることを次々と言い当てるが、炭焼きが薪の棒をひざに当ててくじくと節のかけらが化け物(老人)の目にあたった。化物は「思うことより思わぬことのほうが怖い」といって逃げた。
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サトリ 1960年 福島県 昔爺様が山小屋で火に当たっていると、得体の知れない化け物がやって来た。爺さんの心の中を見透かすさとりの化け物だった。柴を折ったときにはねて化け物に当たると化け物はおびえたという。
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バカムスコトカゲボウシ 1956年 宮城県 老夫婦に息子が3人いて、兄はたいへん利口、中の兄は中くらい、末っ子は馬鹿だった。上の2人はよく稼ぐから婆もひいきで、羊を2匹買って1匹ずつ任せた。あるお天気の日に兄たちは羊に草を食わせに行き、末子は婆の作った団子を届けにいった。途中、末子の脇の方を痩せた病人のような奴がゆーらり、ゆーらり歩いているので、末子はわかいそうに思い、団子を食わせようとした。しかしさっぱり食おうとしないので、竹で土の中へ埋めて歩き出した。ところが今後は痩せた奴が後から歩いてくるので又団子を土に埋めた。どこまで歩いてもその痩せた奴がついてきて、その度に団子を食わせたので、兄たちのいる山に来た時は団子がなくなってしまった。その話を聞いて兄たちが言うには、「そいつは影法師といって、お天気のいいときにゃ、いっつも出るのさ」といって、家に帰ってお昼を食べたという。
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キツネ 1954年 神奈川県 大下の爺様が釣りに行き、山道で昼寝する狐の頭の先をとんとんと叩いて通った。するとあたりが真っ暗になり、近くの家の宿を借りたが、ずっと先に行って寝てくれ言われたので先へ行くと、本宿の池に落ちたという。また、昼寝する狐を嚇して畑を打っていると、遠くから葬式が来て棺をおいていった。木に登って見ていると、棺から化け物が出て来たという。
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キツネツキ 1987年 岡山県 人ぎつねは、いたち位の大きさで鼻が黒い。猟師のお爺さんがいたちの代わりに人ぎつねを取って売りにいって帰ってくると、お婆さんがこたつへもぐりこんで首だけ出し、お爺さんが売った値段をあてる。人ぎつねはよくつくようなことをいったので、これはきつねがついたと思い、犬がいるぞ、というと、犬は怖くないと言うので、鉄砲で打つぞというと鉄砲は怖いという。それから奥に入って布団に入って寝ると、ひょっと目を覚まして、なんでもないような顔をしてお婆さんは起きてきた。そして、今さっきのことを話しても知らないといったという。
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アネサマ,ヒョウタン,キン 1953年 ある爺が鹿小屋を作ってシシボイをした。ある夜、ひどく騒ぐ音がする。爺が合いをとると、返事をする。さらに一層騒ぐので見ると向かいの山の峰に美しい姉様が立って、両脇に美しい瓢箪を抱いていた。姉様は向こうから「おひょうらんこ…」というので、爺が早く来ておぶされというと、姉様と瓢箪が背中におぶさったと思うとすぐ消えて、背に金の塊がのっていた。爺は長者になった。
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ビンボウガミ 1934年 昔、貧乏なお爺とお婆がいて、大晦日の夜にも米なく、仕様がないので炭を半俵もくべて、火をドカドカ焚いていた。そこへ急に烏帽子をかぶった男がきた。男は貧乏神であったが、火にあたらせてもてなしたところ、大きな金の玉をもらった。
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キツネ 1998年 福島県 昭和12・3年頃、キノコ採りに行った爺さんが夕方になっても帰ってこなくなった。みなで探したら、翌日炭焼きをする小屋にいるのが見つかった。爺さんはぼた餅をもらってご馳走になったという。狐に化かされたのだろう。
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ジゾウサマ 1956年 宮城県 昔、仲の良い老夫婦がおり、毎朝必ず神仏を拝んでいた。大晦日に銭が300文ばかりしかなく、神様に上げるものさえ買えないくらいだが、爺は少しでも何か買おうと町へ出かけた。途中、道端の地蔵様が雪まみれになっていたので、爺は自分の笠を被せ、腰の手拭いをさいて笠が取れないようにしっかり結びつけ、そのまま町にいくのをやめて帰ってきた。婆もその話を聞いて喜んだ。家にある物で神仏にお供えして寝ていると、夜半過ぎに見知らぬ人がきて、薪を置いていった。神様が持ってきたかと、夫婦はその人が行った方向を拝んだ。次の朝、薪を焚こうとして木を切ると中から大判小判が出てきた。そういえばその人が被っていた笠と手拭いが爺のといっしょであり、さては昨日の地蔵様が、と2人は地蔵様の方をしばらく拝んでいた。
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ゴセンゾサマ 1982年 群馬県 六部が道に迷って老夫婦の家に泊めて貰った。お爺さんが「今日はお彼岸の中日だから若い衆がなにか持って来てくれるでしょう」と言ったので待っていたら、お爺さんが手ぶらで帰って来て、「腹が立ったから子供を火の中に突き落としてきたよ」と言った。変なことを言うなと思って寝たが、翌朝起きると六部は墓にいた。村へ行ってみると子供が大やけどをして騒いでいる家があった。ご先祖様を粗末にしてぼた餅をあげなかった罰があたった。
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タヌキ 1992年 奈良県 山で炭焼きをしていたお爺さんの所に、毎晩狸がお婆さんに化けて訪ねてきた。そこである日お爺さんはお婆さんに絶対訪ねて来ないようにと言い、その夜に訪ねてきたお婆さんを刃物で殴った。お婆さんは声を出して逃げたので、本物のお婆さんは殴ってしまったのかと驚いて家に帰ると、家にはちゃんとお婆さんがいた。そして軒下で古狸が死んでいた。
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ヤマネコ 1933年 熊本県 冬の寒い夕暮れに山道にかかると、燈が見えるのでそれを頼りに行くと人家があった。その家の囲炉裏の傍には男がいて、榾を焚いていた。男が寝ていると夜中に老婆が出てきて、男の様子を伺った。この老婆が男に食いつこうとしたとき、脇差で切りつけると、老婆は老山猫の正体を現し、裏山に逃げた。飼い主の老婆を食い殺してそれに化けていたという。
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ムシ 1934年 山梨県 昔、あるところに欲深い婆さんがいた。隣のやさしい爺さんと婆さんが金銀がはいった葛籠を拾い、堤の工事費用に全部出した。隣の婆さんは葛籠を探して歩き回ったが見つからず、終に隣の爺さんと婆さんを殺そうと毒を盛ったが死ななかった。その毒を食べた猫の死骸から蟲がわき、欲深婆さんを食い殺した。
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