オイナリサマ,トオカミ 1988年 埼玉県 大正から昭和初年にかけて、コウチャンと呼ばれた男によく稲荷様がのり移った。自分も居場所を言い当てられ、トオカミを見に来るよう呼ばれて見に行ったことがある。手ぬぐいで目を縛り、手に幣神を持って座り、周囲で唱え言を唱えると、稲荷様がのり移った。
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キツネ,トウカミ 1985年 埼玉県 トウカミ(稲荷神)と言い、1人が目隠しをし幣束を持って中央に座る。周囲から般若心経を繰り返し唱えると、神様がのり移り体中が震えてくる。そこで夜更けまで質問をした。皆、自分の生活にとって大切なこと、特に田畑の計画を質問した。
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キツネ 1939年 秋田県 男が道を歩いていると、行く先々で行き止まりになった。男は狐だと気付き、負けるものかと歩いたが、とうとう降参してお稲荷様に礼拝すると正気づくことができた。
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ワカモノ,バチキリ 1929年 青森県 赤い鉢巻をした若者が生魚を買っていった。その夜、銭箱をみると、若者が払ったものは全て木の葉になっていた。そういえば若者の裾から白い尾がちらりとみえていたという。これはばちきりだと言った店の主人は、稲荷さんが山から来てくれたとたいそう喜んだ。
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キツネ 1985年 埼玉県 稲荷の社前でのオコモリの時カジツキを行った。1人の男の子が目隠しをし、幣神を持って中央に座る。他の子供たちが周囲から唱え言をした。憑きやすい子も憑きにくい子もいた。憑くと、すぐ元に戻したようだ。
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イナリコウ,イナリサマ 1977年 神奈川県 稲荷講の日に箸を3本組み立てた上にオハチの蓋をのせて唱えごとをすると、蓋が動き出し、稲荷さまがくるという。
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オイナリサマ 1989年 群馬県 初午の前日、男の子が集まり、じゃんけんで負けた子などに目隠しをして座らせ、周囲から唱え言を繰り返すと、お稲荷さんがのり移り、その場で2尺あまりも飛び上がる。お稲荷さんがのり移ると、弱かった子でもたちまち強くなった。
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キツネ 1989年 長野県 りゅうとう橋の工事のためにお稲荷様を移転した。あるとき話者の同級生が夕方に帰ってくると、美しい中年の婦人が向こうの田圃で手招きをしていたので、ついていった。一晩中連れ歩かれ、朝にふらふらになって帰ってきた。お稲荷さんをいじったからだということで、祠を作り直したという。
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ゲンクロウイナリ,キツネ 1988年 奈良県 柳町の綿帽子屋に男が来て綿帽子を買い、「代金は月末、洞泉寺の源九郎稲荷に」と言って立ち去った。受取に行くと、社人は知らないという。問答していると、お狐さんが綿帽子を被って、眷族をズラリと連れて現れた。
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キツネ 1931年 奈良県 昔、柳3丁目の綿帽子屋にある男が綿帽子を買いにきた。言われたとおり、月末に源九郎稲荷社へ代金を取りに行ったが、社の人たちはそんなものは買っていないという。綿帽子屋と社の人が押し問答をしていると、お狐さんが眷属を連れてズラリとあらわれた。見ると、みんな綿帽子をかぶっていたという。
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ハクハツノロウジョ 1961年 山梨県 承応の頃、鴨狩寺、高前寺の亀外和尚の夜の説教に多くの人が集まった。すると、ご本尊の脇に白髪の老女が現れ、読経が終わると、自分は今畜生道へ髄在して大蛇となり、昼夜三熱に苦しんでいる、今宵は観世音のお告げにより、師が道徳無辺なのを知った。どうか、自分の苦悩を救ってくれ、それがかなえば、永く当山で火難を除き、世の衆生の産難を遁れさせようといって消えた。それに因んで子安観音を祀ったという。
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モリカワイナリ,コウキチ,サンコウインイナリ,コシカケイナリ 1983年 東京都 文政10年2月11日の初午祭の前日夜に、新道一番町で小侍幸吉が主に向かって、自分は同所に住む稲荷であるという。翌日主人が起き出して扉をあけると、稲荷の木像がどこからか来ていた。それ以後は幸吉にのみ神の示現があり、願い事は幸吉が取り次いだという。3月1日に当主や若殿が神前に神酒を奉ると、暫くして酒はなくなり、お供え物も半分無くなっていた。これは三光院いなりや腰掛稲荷が客として来たからだろうという。
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オイナリサマ 1968年 佐賀県 占いの上手な人がいて、お稲荷様を信仰していた。漁の神、商売の神といわれ、漁師の信仰が厚い。1960年頃までは2月初午に5,60人の人がお参りしていた。祈祷師にお稲荷様が乗り移り、3度震えて鼻声になり、お告げをする。指示通りにして大学受験や公務員試験に受かった人も多いという。お稲荷様は祈祷師以外に、17,8歳以上の乗り移り易い人にも憑く。憑かれた人は鼻声になり知らない祝詞を唱えたり、文盲の人が書けないはずの字を書いたりするという。
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アキバサマ 1983年 岩手県 秋葉様の祠を稲荷神社に移したら、夢枕に杖をついたお婆さんが出て「稲荷には住みたくない。元に帰る」といったので、祠を戻した。
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キツネ,タロウジャドン 1935年 熊本県 太郎じゃどんという有名な狐が、村の者4・5人と共に参宮した。無事に戻ってくることができたので、狐が村の者を招いて同行祝いをした。村の者はご馳走を食べ酒を飲んだ。帰りに小雨が降っていたので、狐は傘を貸してくれた。村の者が傘をさしながら歩いていると、子供たちが笑う。気がつくと雨など降っておらず、さしていた傘は芋の葉っぱだった。
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ゴコウシンサマ,フフギノケヤ 1934年 秋田県 村人が5、6人集まって庚申講を始めた。ある晩の講に見たこのない爺さんが現われ、片手に包丁を持ち、片手に女か童子だかわからないものを押さえて料理していた。爺さんはあれはフフギのケヤという不老不死の薬だと言った。爺さんは御庚申様であった。
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キツネ 2001年 山形県 神の使いである稲穂をくわえた老狐が現れたことを豊年の前兆として喜び、躍りを習いそれを覚えて鎮守に奉納したのが三匹獅子舞の始まりである。
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ビンボウガミ,ケンゾク,フクノカミ 2001年 京都府 小籐太の家に住む貧乏神はこれを聞いて眷族を集める。梅津、嵯峨野、松尾辺りから約500人が集結する。いずれもあさましい姿だった。そのうち福の神がやってくる。福の神は貧乏神の数の多さに恐れて一旦虚空にもどる。福の神は稲荷六明神、鞍馬の毘沙門、竹生島の財弁天、西宮のえびすとそれぞれの眷属を連れて戻り、貧乏神を追放する。神々は家に入って以後守り神となることを誓う。小籐太に稲荷は黄金千両、毘沙門からは十万貫、財弁天からは絹百疋、えびす三郎からは酒の泉が贈られる。小籐太は大福長者となる。
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デンゾウイナリ 1987年 長野県 昔,村外れに住んでいた伝蔵さんは時々狐に化かされる事があった。化かされているときはうつろな目をしてコンコンと鳴いたり,ピョンピョン跳ねたり,わけのわからないことを呟いて稲荷様の周りを廻ったりした。翌日になると本人はその事を覚えていない。だが,狐に憑かれる事が度々になってある時狐はらいをすることになった。油揚げを久津根稲荷に供え,伝蔵さんをお稲荷様の前に座らせて神主にお祓いをしてもらい,狐をとってくれるよう皆でお願いしたところ,伝蔵は狐に化かされなくなった。いつしか久津根稲荷を伝蔵稲荷と呼ぶようになった。
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ネコ 1932年 長野県 50~60年前、お稲荷様に毎日20人ほど参詣し、その人たちを一匹の黒猫が歓迎した。猫が老衰したとき、参詣者のひとりである亀吉が家につれて帰り、かわいがった。その後、お稲荷様をお猫山と言うようになり、その土を持ち帰ってまくと鼠が出なくなると言われている。
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