ヤマブシ,タタリ 1929年 北海道 あるとき上国の山伏が祈祷を行い、大漁となったら自分の願いも叶えて欲しいと言った。漁の時期は過ぎていたが、祈祷の結果、大漁となった。しかし村人は約束を守らず、憤慨した山伏は絶食して死んだ。そして遺言どおり、不漁の時でも上国だけは鯡が大漁であった。山伏の祟りによる不幸もあり、神に祭ることにした。
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ガケノタニノジゾウソン,ヤマブシ 1975年 愛媛県 昔大飢饉があり、人々が雨乞いをしたが効果がなかった。どこからともなくやって来た山伏が崖の谷で滝に向かい念仏を唱えて断食の荒行を始めると雨が降ったが、山伏は死んでしまった。村人はそれを悼み、滝の傍らに地蔵堂を建てた。
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ヤマノカミ 1978年 埼玉県 ヤマメを捕るために網を打ちに行くと、魚が網一杯にかかった。しかし結局、網一杯の魚も網を引き上げると消えてしまい、腰籠に入れた魚は全部取られてしまった。そこは山の神様のすぐそばの場所だった。漁師は驚いて帰ってしまい、寝込んだという。
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ウシオニ 1933年 島根県 ある夜、漁師たちが鰯の群れを見定めて網を入れたのに、一尾も取れなかった。気を腐らせた一同は家に帰ったが、一人の老人が煙草入れを忘れたので戻った。家内は何か胸騒ぎがしたので仏飯を食べさせて行かせた。老人が海に戻ると牛鬼が現れ、万事休すと観念したが仏飯を食べていたため泳ぎ去った。
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タコ 2002年 山口県 昔、甚平という漁師が住んでいた。魚を捕ることが巧みで近隣の者は皆知っていた。ある日甚平が岩の近くで魚釣りをしていると、急に船が傾いた。見れば大きな蛸の足が船縁を掴んでいた。甚平はその足を包丁で切って持って帰った。その味を覚えた甚平が翌日も岩へ行ったところ、その日も蛸が現れた。こうした日が5日続き、8本の足が3本にまで減った日に、甚平はこの蛸を捕ってやろうと包丁の代わりに縄を持っていった。それきり甚平は帰らず、主のいない船が夕方に浦へ流れ着いた。村人達はきっと蛸に食われたのだろうと噂した。それ以来その岩を甚平岩と呼ぶようになった。
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ヤマノカミ 1982年 新潟県 旧12月12日の山の神祭りには、山形県小国町から山伏をよび、頭屋の祭壇の前にシメを張り、村の男をミコに立て、目隠しをし、両手に幣束を持たせてかがませ、山伏が経や陀羅尼を唱えて祈祷し、村民は棒で床板をたたきながら心経をよんだ。これで山の神がミコに憑き、問い役のゲンジトリが12月以降の狩のことや村内のことを聞き、それについて託宣があった。この神憑けの祈祷をシラツケ(シラモノツケ)といっていたが、大正初年には中絶した。
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ジゾウ 1923年 静岡県 ある年の6月23日、漁夫たちが漁に出ようとすると、鰹は1匹も獲れなかった。網には木造のお地蔵さんがひっかかっていて、海辺の松の木の下に安置して祀ったところ、大漁になったという。
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ヤマノカミノテンバツ 1983年 山梨県 猟の好きな人が富士の裾野で猪を仕留めそこなって、向かってきた猪を抑えているときに、これで猪は終わりにするから勝たしてくれと山の神様に祈った。それで勝って猪を持って帰ってきたが、約束を棚上げにしてしまった。帰ってこないので探しにいったら、雪の中を立ち往生していた。山の神の天罰である。
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ケモノノゴトクケハエモウスモノ 1999年 福岡県 百姓の女房が夜に出かけるようになった。やがて女房は妊娠した。6ヶ月目ですでに9ヶ月目ぐらいの腹の大きさになった。7ヶ月目に祈祷して流産させようとしたら産気づき、顔は人面で体は獣のように毛が生えているものを2つ死産した。その後、その百姓は夜になると暴れるようになったので、山伏に祈祷してもらった。
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ムジナ 1966年 新潟県 昔、ある男が飯を食わない嬶を欲しがった。女が来て泊めてくれと言って居着いたが、飯を食わない。炭焼きに行くふりをして梁に登って様子をそっと覗くと女は飯を炊き、頭を開けて食っていた。後日、女が長持をくれと言うのでやると、それに男を入れて担いで山に走った。男はどうにかして帰ってきたが、それが五月のよい節供の日だった。以来、5月5日の湯に入らないとムジナになめられるという。
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(タタリ) 1981年 長野県 山伏が村人と争って殺され、生き埋めにされた。しばらくして夜な夜な法螺貝の音が響くようになり、熱病が流行った。村人の一人に山伏が憑き、手足が縛られて苦しいと口走った。山伏の骨を拾い、供養すると熱病も治まった。それが法力様で、ご神体はその山伏の頭蓋骨。
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コウシン 1960年 富山県 漁に出た漁師が暴風雨に遭って流され、動けなくなってしまい、1人の老婆に助けを求めた。老婆がくれた7つの団子で飢えをしのいだ一同は老婆が庚申であると知った。無事に帰ると3年経っていた。以後、庚申をつとめるようになった。
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ハゼコイ 1960年 三重県 大きな鯉が釣れた。ところが鯉には足があり、陸の上をのっそりと歩いた。この鯉ははぜ鯉と言い、山椒魚のことである。はぜ鯉を取った途端、村から水が少なくなった。そこではぜ鯉は神社の守り神で祟りではないかということになり、はぜ鯉を川に放した。そのため、毎年山椒魚が、お礼のために鯉に化けて来るという。
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タコ 2002年 山口県 甚平という下手な魚釣りがいた。甚平は正直者であったので、神様が1本ずつ蛸の足を切らせるようにした。ところが切っていく途中で甚平が欲心を起こしたので、神様は腹を立て蛸に甚平を殺させた。
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コサブロウイケ,ソマガイケ 1936年 岐阜県 兄弟2人の杣がいた。弟は山仕事に行き、兄の小三郎は渓流に行き岩魚2尾を釣った。一匹は弟に残しておこうと思ったが食べてしまい、のどが渇き渓流の水を飲んでいた。すると水はどんどん増し小三郎は杣小屋ごと水につかり池となった。以来その池を小三郎池または杣が池といい、大旱の時にその池に雨乞いをする。
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ニワトリ 1931年 福岡県 磯崎様は新宮浦にある小さな漁村の氏神様である。磯崎様は鶏の声を聞いて上陸したと伝えられており、この浦の人は鶏を食べると1週間ほど漁に出ない。鶏を食べて漁に出ると、全く魚が取れないといわれている。
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コスイノヌシ 1970年 福島県 湖水の水が氾濫して、鯉がたくさん昇ってきた。その中に特に大きな緋鯉がいた。それを網元の家中で食べると次々と家の者が病気になった。鯉の霊の祟りで、供養をするから恨みをとくようにと頼むと家の人は全快したが、網元の主人が湖水に舟をこぎ出したときにいくらたっても帰ってこないので捜しに行くと湖水の真ん中で泡を吹いて倒れていた。網元の食べた大きな緋鯉は湖水の主の連れ合いで主はどうしても主人だけは許せなかったのである。
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カッパ 1929年 大分県 河童が川端につないでいた馬を川に引きこもうとしていた。村人が河童を捕まえて、厩に縛っておいた。河童は主人の留守中、女房に頼んで頭に水をかけてもらい、力を得て逃げた。翌日から毎夜魚を3疋ずつ持って来て盆の蓋の上に置いたが、ある時蓋の上にあった庖丁に驚き、その後持って来なくなった。
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(カミカクシ) 1990年 福島県 おなつという娘が行方不明になり、通りがかりの山伏に祈祷してもらった。山伏が滝で21日の行をして沼の淵を探したら見つかった。温めたら生き返ったが、喋れなくなっていた。その後山伏の奥さんとなったが、口は利けないままだった。死ぬとき初めて「真っ暗で、非常に冷たかった」と言った。
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スイシニン 1933年 佐賀県 七ツ釜村ののろ松は、火船(漁を指揮する船)が沖に出ていないのに漁に出た。ところが、沖合で火船がしきりに合図をしていたので、自分たちの火船と思って網を入れると、まず水死人がかかり、その後は大漁となった。水死人が身柄を引き取ってもらいたくて灯を点して合図し、引き上げてくれたお礼に魚を授けたくれたのだと人々は言った。
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