テンゴーサマ,ヒノタマ,カワウソ 1957年 神奈川県 荒川の兄弟がキリガ瀬という所で網打ちしているとたくさん鮎が獲れた。天狗が嫉妬しないように腸を抜いた鮎を捧げたが、気に入らないのか大きな火の玉が落ちてきた。実はかわうそのいたずらだった。
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ヒノタマ,カワテンゴウ 1955年 神奈川県 ある夜、鮎を捕るためにやなを掛けて番をしていると、火の玉が川波にゆられて下へ流れる。相棒が、上に流れるわけがない、と言うと、火の玉は上流に向かって流れた。こうしたことはみなカワテンゴウ(川天狗)の仕業で、そういう時は、捕った魚はいつの間にか川天狗にみんな食われてしまうという。
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ヒノタマ,カワテング 1933年 東京都 あるとき、川狩をしていたら。突然火の玉が現れたので、驚いて逃げ帰った。また、同じところで別の人々が魚捕りをしていたら、どこからか小石が飛んできて怖くなったので逃げた。翌朝見に行くと捕った魚は一尾もなかった。川天狗の仕業。
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テング 1968年 愛媛県 内海の三津浜の繁みの中に天狗が住んでいて時々悪戯をする。春先の暖かい大漁の夜,御嶽山の向こうからチロチロと火の玉が近づいてくる。いつの間にか腰の魚籠の獲物が全部なくなり,はっと気づくと大きな火の玉が岩礁の上でくるくる廻っていた。
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イソテング 2002年 愛知県 おじいさんが若かった頃、鳶ヶ崎に漁に行ったとき、今にも雨が降り出しそうな暗い夜だったが、面白いほど魚がとれ腰のびくはずっしりと重くなっていた。突然あたりが明るくなったので驚いて空を見上げると海田の海の方から大きな火の玉が2、3こちらに飛んできた。磯天狗と思いわらじを頭に載せ一心に念仏を唱えた。そのうち火の玉は南の方へ飛んでいったが、びくの魚はなくなっていた。
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カワテンゴー,ヒノタマ 1957年 神奈川県 ある晩ヤナ番をしていると火の玉が波に揺られて川下に流れた。これはカワランゴーのいたずらで、獲った鮎はすべて食べられるという。
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テング,ヒノタマ 1956年 群馬県 川にも天狗がいる。川で漁をしている男がいて、ある日、ばかに魚がとれる日があった。男が薄気味悪くなって来た時、ゴロゴロッと石の落ちる音がして火の玉が転げてきた。それと同時に網が急に重くなり持ち上げられなくなった。男は「天狗が出た」と叫んで逃げ帰り、2,3日寝込んだという。
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カワウソ 1955年 神奈川県 小雨の晩、角田福三氏が祖父と鐘ヶ淵の岩下に鮎を捕りに行った。突然ドボーンと大きな水音がし、2人は急に体がゾクゾクするほど気味が悪くなった。祖父はきっと身投げに違いないと言い、翌朝行ってみたが、それらしいものはなく、川原の砂地に子犬ぐらいの足跡が沢山ついていた。それはカワウソの足跡で、水音もカワウソのいたずらだったのだろうという。
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カワテング 1933年 神奈川県 小雨のそぼ降る晩、鮎漁をしていたら、青色の火の玉が現れた。火の玉は2、3回廻って消えてしまった。こんなのを川天狗と言うのだろう。
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テング 1960年 三重県 昔、腕利きの兄弟がいて、兄が天狗の片羽根を斬り、持ち帰った。その晩から天狗が婆さんに化けて、羽根を返せとせがむ。返さないでいると、弟が浜へ釣りに行った時に天狗の化けた婆さんが来て、仇討ちだと言って勝負を挑んできた。弟はツッキボウ(突き棒)だけで勝負して負け、家に帰って死んだ。羽根はそのあと、騙し取られた。
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イソテング 1956年 海辺で、木の下に魚を積んでおくと、磯天狗が磯で火を焚いてみせる。
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カワテング 1968年 埼玉県 若沢の滝ツボで投げ網で漁をしていると、1回目は山魚や岩魚が15,6匹入っていたが、2投目を投げ入れ、引き上げようとすると銀色の輝きが広がり、渕の底から「1回目は許すが2回目は許さねえぞ」という川天狗の恐ろしい声が聞こえてきた。
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カワテング 1977年 神奈川県 夜中に川へ行くと、真っ暗な中を火の玉が転がってくることがあるが、これは川天狗というものである。これが出た時には、河原の石の上を洗い清めて、取れた魚を供えると消えるのだという。また、投網をしているときに少し離れた辺りを同じく投網しながら行くもの、或いは、大勢の人の声がして松明の灯があるにも拘らず、その実何もないようなとき、それらも川天狗の仕業だという。
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バンレイ 1974年 東京都 天明年中、ある者が鰻を仕入れたが買った覚えのない大鰻が2匹混っていた。裂こうとしたが手慣れているにもかかわらず錐で手を刺してしまった。他の者がさばこうとすると腕に巻きついてきて、尾で脇腹を打ってきた。助けるつもりはないからおとなしくしろと言ったら料理できたが、死体を焼く匂いがした。その夜丑3つ時のころ、鰻の生け簀の所でおびただしい音がして、驚いて行ってみると、上にのせた石はそのままだった。中を見ると多くの鰻が蛇のように睨んだ。もう1匹の大きな鰻は消えていた。
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カワテング,テング 1983年 東京都 投網で魚を取っていると、カワテングに化かされそうになったので、網の一番上にツノか何かのモトがあるリュウズをかぶった。すると天狗の姿は消えていた。
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〔サケノダイスケ〕 1956年 岩手県 旧家羽縄(ハナワ)家に伝わる伝説。沢山の牛を飼っていたが,毎年巨鷲が飛んできて牛を掠っていく。刺し殺してやろうと,主人が牛の皮をかぶって待っていると,鷲に掴み去られて玄界灘の孤島の老杉の枝に置き去られた。島から逃れられず困っていると,老人が現れて「私は鮭の化身で,大助という一族の長だが,毎年10月20日には仲間達が気仙の今泉川に入って産卵する例になっている。貴国の人たちへの恩返しとして送って進ぜよう。」と言う。主人は無事帰郷できた。羽縄家では毎年10月20日に当主が川口に行って神酒を供え,鮭綱を切ってやり,産卵しやすくしてやることが明治頃まで仕来りとなっていた。また羽縄家では一切鮭を口にしなかった。
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テングサマ 1938年 福島県 天狗様の祠にある木の切り株に登って「天狗天狗さらわばさらえ」と大声を張り上げた帰り道、グイグイ後ろに引かれた。振り返ると鎌が1、2間先に落ちていたので拾った。家に帰るとまた鎌が無くなっていた。数日して、木の上数間のところに鎌がかかっていた。天狗の仕業であるという。
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テング 1993年 福井県 大きな岩石があり、ここの天狗がいると恐れられていた。ある日この近くで三左衛門という人が炭を焼き始めた。天狗が現れ「ここはわしの庭だから、すぐ帰れ。笛を吹き、太鼓が鳴ったら下山しろ」という。無視していると数日後に天狗が現れ「もう一度合図するので、帰れ」という。風が強くなり、雨も降り出したので下山した。あまりの大嵐となり、三左衛門の家は倒れた。
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ゲンベエブチ 1956年 宮城県 お盆の頃町内の若者達が鰻捕りの相談をしていると坊さんがやってきて「お盆中に殺生などやるものではない」と説教していった。源兵衛があの和尚は渕の主らしいといったので,仲間達は一層勢を得て毒揉みをした。すると大きな鰻が浮かび上がり,腹を裂いたら先刻の和尚に馳走した麦飯が出てきた。源兵衛はその祟りで死んでしまったので源兵衛渕と呼んだ。
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ヒッキリナシニオチテクルイシ 1947年 山梨県 川で瀬干しという方法で魚をとっていると石が飛んでくる。石はだんだん大きくなり、ひっきりなしに落ちてくるようになり逃げて帰った。翌朝見ると跡形もなく、魚もいなかった。天狗様のいたずらという。
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