フナユウレイ 1985年 静岡県 盆の8月13日の夜に船を出すと船幽霊がでるという。そのためにこの日は親から早く帰って来いといわれ、日の入りまでにきりあげて必ず港に戻る。もし帰りが遅くて船幽霊に海上で出会うと「杓を貸しょ杓を貸しょ」という声がするが、幽霊の要求通りに杓を貸すものでないという。どうしてもというときは杓の底をぬいてわたすとよいという。これを守らないと杓で海水を入れられて沈没するといわれている。
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ホトケ 1934年 鳥取県 盆の16日にまだ向こうへ帰らない仏が、海にいて、柄杓をくれという。もし柄杓を渡すと船に水を入れてひっくり返す。そのため、船を出さない。
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フナユウレイ,シキユウレイ 1932年 福岡県 盆の13日に漁に出ると船幽霊にあう。夜に海面一帯が白くなるのをしきゆうれいという。この中に入ると船が動かなくなったり、柄杓を貸せといわれたりする。
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フナユウレイ 1928年 広島県 夜の海を和船で航行していると、船幽霊が出て、柄杓をくれとせがむ。そのときは底を抜いた柄杓を渡さないと水を汲み入れられ、船が沈んでしまう。
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フナユウレイ,シキボトケ 1932年 福岡県 満月の頃にまよい船が出て、話し声が聞えたりする。およそ30年前、4人連れで盆の15日の晩に沖へ鯖を捕りにいくと、人の首が海面に浮かんできて、笑ったり転がったりした。捕れた魚はみな草鞋であったという。4人は発狂して死んだ。船幽霊は盆にしか出ない。しきぼとけはしきゆうれいと同じもので、船がそこへ行くと動かなくなる。
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センチュウノケイ 1976年 溺死者の霊が船を沈めようとする。特に、7月15日夜、12月晦日夜は、海上に怪しいことがたくさんあるという。試みに船を出して鬼火を見た船頭の体験談。
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ウミユウレイ 2001年 愛知県 師崎では旧12月31日には船を出さない。この日に船を出せば船の周りに船幽霊が現れて、「あかとりくれい」といって近づいてくるという。あかとりとはひしゃくのことで、ひしゃくを投げると船幽霊は幽霊船のあかをどんどんかい出してこちらの船へ入れるという。そんなときには底の抜けたあかとりを海に投げ込んでやるという。
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ウミボウズ(ゾクシン) 1959年 島根県 盆の16日は海へ出てはならない。海坊主がヒシャクを貸せという。貸すと水を掬って船に入れ、船を沈めてしまうので、必ず底を抜いて貸す。
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フナユウレイ,ウミボウズ,イソオンナ 1932年 長崎県 幽霊船や海坊主は柄杓を貸せという。そこを抜いて貸さないと船に水を注がれて沈められる。船幽霊は決して艫からは船へ上がってこない。船玉様がともの方を向いているからだという。磯女は乳から上が人間で下は幽霊のように流れていて、やはり船を襲う。
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フナユウレイ 1978年 高知県 舟幽霊は舟と共に水死して成仏できない人々であり、雨の日に現れることが多く、これに憑かれると急に船が動かなくなったり、行く手に島や礁の錯覚が見えたりするのだという。いずれの場合も「杓子を貸せ」と言われるという伝承が付随しており、これには杓子の底を抜いて渡すものだとされている。また、櫓綱の穴から覗くと正体が見えるとか、その穴から灰を落としてやると消えるとか、「わしは土左衛門だぞ」と仲間であることを告げると消えるなどとも言われている。
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フナユウレイ 1926年 船幽霊が水を求めたとき、本当の水を柄杓などであたえると幽霊に海水を船中にふるまわれ、難船の憂き目にあうので、鮒幽霊に水を与えるときは、底なし柄杓であたえるという。
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フナユウレイ 1978年 高知県 文化年間のこと、宿毛市柏島に船幽霊が出たと伝えられている。これは船上で死んだ人々で、行き会うと必柄杓を貸してくれと言われるのだという。だが、言われたとおり貸してしまうと、海水を船に注がれ沈められてしまうので、底を抜いた状態のものを貸してやれば良いとされている。
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フネユウレイ 1937年 新潟県 幽霊は桶や柄杓を投げると逃げる。舟で出た時に、舟幽霊にであったが、桶などを投げると去って行った。
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フナユウレイ 1932年 茨城県 霞ヶ浦の三叉沖を雨の夕方船が通ると、幽霊船が浮かび上がり「柄杓貸せ」と手を伸ばす。柄杓を投げてやると「幽霊友を呼ぶ」といいながら柄杓で船に水を注がれて沈められる。ここを通る船は底の抜けた柄杓を用意しているという。
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フナユウレイ 1952年 佐賀県 船幽霊が乗った船は人声がしても姿は決して見えない。杓子を貸せと言ってくるが、そのまま貸すと船を沈められるので底を抜いてやる。ドンザを脱いでその袖穴を通してみると船幽霊の正体が見えるが、決してそれを行ってはならないという。
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フナユウレイ 1983年 岡山県 海上では船幽霊に会うことがある。これは水を求めて漁船に近づいてくるのだから、見かけたときは底の抜けた杓を用意しておくと良いという。
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ウミデシンダボウレイ 1972年 愛知県 毎年8月15日はお盆で漁師も殺生を遠慮する慣わしがあった。50年前の8月15日、船を出して釣りに行くと船ばたを白い手がつかんでいた。覗き込むと額に三角巾をつけたやせこけた亡者がコツコツと骨がこすれる音を立てながら、「柄杓をくれ!」と言っていたので底の無い柄杓を渡した。亡者たちは舟に水を入れて沈めるため必死で水を汲もうとしていた。
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ユウレイ 1956年 東京都 船の中で幽霊に憑かれると「水くれ、水くれ」と言う。その時は面舵から弁当と水を少しやる。右舷からやると幽霊が船に入る。水をやるときも柄杓やアカ取りの底を抜かないと、幽霊が船に水を入れてくる。
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イソユウレイ 1933年 長崎県 五島有川では、船幽霊を磯幽霊と呼ぶ。磯幽霊はよく島になるが、その島には波が打ち寄せず、暗い時でも見えるという。アカトリ(柄杓)を貸せと言われたら、底を抜いて貸す。そうしないと、水を入れられて船を沈められる。鯨などの大きいものになれと言うと、そのようになるという。あまりに出てうるさい時には、握り飯を投げてやるとついてこないという。
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フナユウレイ 1932年 千葉県 上総の九十九里浜を沖に出ると、たびたび船幽霊が出る。握り飯を投げれば禍を逃れるが、やらぬと「柄杓貸せ」と2度目の船が現われ、貸すと柄杓で水を注がれて船を沈められるので、底をぬいて柄杓を貸さなければならない。
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