アミダノカケジク 1995年 宮城県 山の上集落の近江家は、旅の僧をもてなして阿弥陀様の書かれた掛軸をもらった。あるとき、近江家に普請に入った大工の棟領が、掛軸を盗んで逃げた。家を出た途端大雨が降り出し、狐狸が邪魔をした。雷が鳴り、橋が流れそうになる。命からがら家に帰ったが、掛軸はピカピカと光っていた。翌朝、棟梁はポックリ死んでしまった。掛軸は古道具屋に売り払われたが、今度は大きなネズミが出て道具屋が眠れない。祈祷師に拝んでもらうと元の家に返せという。こうして掛軸は返ってきた。
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コウボウダイシ,ブツゾウ 1936年 島根県 弘法大師の手刻の仏像は、大水にあってもある家に止まって動かなかったので、その家のものが寺をおこして祀った。仏像の膝から下を切り落としたものは病気になって、膝から下が腐って死んだ。
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アミダニョライ,タタリ 1980年 大阪府 大坂内本町の利倉屋忠兵衛の家には、阿弥陀如来の仏像がある。しかし子孫は日蓮宗を信仰し、仏像はクモの巣にまかれていた。そうするとこの家の子供が夜な夜な怯えて泣いた。陰陽師によると、この家に相応しくない霊仏がある為だという。そこで近くの寺に仏像を納めたところ子供は元にもどったという。
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アミダニョライ 1983年 後光厳院の時代、西大寺の覚乗上人は天照大神の本地仏である阿弥陀如来の姿を拝もうと、伊勢内外宮に100日参詣し、ようやく夢告を得て二見浦で金龍蛇形の姿を見た。覚乗は袈裟を海に投げいれたが神は見えなかった。するとまた夢告を得て、大平山無量寿寺に自分の姿を彫った阿弥陀三尊像を安置しているといった。実際行ってその像を見ると、覚乗が脱いだ袈裟が架かっていたという。
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コウボウダイシ,オニ 1930年 岡山県 昔、この辺りに鬼が住んでいた。弘法大師が通りかかったとき、鬼が退去を拒んだ。そこで大師は鬼に小さな木像を与えた。しかし鬼は木像の有難味が分からず、転がしていた。その木像を盗んだ者がおり、船で去ろうとしたが動かず、木像を海に捨てて去った。鬼はこの話を聞いて木像の尊さを知り、海中から拾い上げて祀った。
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アセカキアミダ 1956年 宮城県 森合阿弥陀堂安置の五智如来の四軀の鉄仏。昔、立石長者は代々生きながら無間地獄に堕ちるといわれていたが、あるとき、旅の僧に教えられ、千隻の舟を造って、千塚に千部の経を埋め、南蛮鉄で五智如来を鋳て供養した。鉄仏五体の中の一体を長者の庭の池に沈めると、池水は忽ち熱泉となり、池中の蛭が全て浮かび上がり、仏が長者の身代りになった験しといわれた。この鉄仏は、上に変事が起これば上体に、下に変事あれば腰から下に汗をかいて村人に予告したので汗かき阿弥陀と称す。
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コウボウダイシ,サンココンゴウショ,イヌ 1932年 和歌山県 弘法大師が密教相応の霊地を占うため、唐の明州から三鈷金剛杵を投げた。その後帰朝し各地を巡歴していた折、狩場明神の化身なる猟師に出会い霊地を尋ねると、猟師の連れていた犬が大師を導き、高野山に到達した。山上の老松には唐から投げた三鈷金剛杵がかかっていたので、この地に霊場を開いた。
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フドウソン 1944年 山形県 弘法大師が月山に登ろうとして水垢離をとっていると、水中に不動尊の姿が現われ、抱き上げると1枚の水板であった。
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クハウメウ,ダイモンジ,コウボウ 1983年 京都府 浄土寺の阿弥陀像があるとき光明を放っていたのを、弘法大師が発見し、未来にこの光明を残し生極楽の縁としようと、光明を大の一字に加持して、方10丈の筆画を峰に残した。その跡に木を積み、火をつけると筆勢鮮やかに天に輝き、青雲に金色の文字を出現させたかのようであったという。
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イヌガミ,コウボウダイシ,マジナイ 1913年 愛媛県 昔、弘法大師が宿を借りたお礼に、野猪が畑を荒らさないように、紙に何かを書いて封じ、封を切ってはならないと言って、禁呪の紙を与えた。野猪が出なくなった不思議さに封を破ったら、犬の絵が描いてあった。その犬が飛び出て犬神になったという。犬神は鼠のようなもので、家の人々には見えても他人には見えない。家族の数だけ存在し、犬神の家から嫁をもらうとその家も犬神になるという。
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トビフドウ 1956年 宮城県 弘法大師一刀三礼の作という。昔、堂が焼失したとき、不動はうしろの山の岩窟に飛んで避難したので飛び不動という。そのときの不動の火焔の痕が岩壁にあるといわれ、以後この本尊には光背に火焔をつけないことになった。享保16年(1731)9月7日の大地震に、うしろの山から巨石が落下して堂をつぶしたが、不動を安置した一間だけは根返りした大木がおおいかぶさって倒壊を免れ、村民は奇蹟に驚いたといわれる。
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ワラビダイシ 1967年 茨城県 ワラビ大師というのは半兵衛の家で祭っているものである。昔、弘法大師がやって来て、おばあさんに1夜の宿をたのんだ。1夜泊った次の朝に、弘法大師は栗の木で自分の像を彫って毎月21日にはお参りするように頼んでいったので、それ以降、半兵衛の家ではこれを氏神として祭った。昔、1度この像を他家へ貸したことがあったが、両家に災いがかかったので、以降は貸さないという。
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ジュウガツボトケ 1930年 岩手県 南部藩公が奥の三戸から盛岡へ移ったとき。共に移ってきたある家の十月仏の掛け軸は、その家が家事にあったとき、自ら仏壇を飛び出して林の木に引っかかっていた。
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アミダサマ 1983年 山梨県 阿弥陀様は非常に霊験あらたかで、その前は馬に乗って通ってはいけないといわれるほどだったが、いつの間にか神通力がなくなってしまった。それは、修繕に出したとき、阿弥陀様の体内から巻物が出てきて、修繕した人が謎を解いてしまったからである。
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アミダブツ 2002年 神奈川県 鎌倉のある人に仕える女がいた。いつも南無阿弥陀仏と言っていたが、ある時正月に客人来て祝おうとしているところで、南無阿弥陀仏と言った。主人は怒り、カリマタを焼いて女の顔に焼き印をつけ勘当した。しかし女は事も無く立っていて、顔を見ても先ほどの跡もない。女に「勘当したのになぜいるのか」と問うと、「そんな覚えはない」という。不思議に思い日をすごしていて、ふと持仏堂を見ると、金色の阿弥陀仏の顔にカリマタの火印の型があった。主人はこれを見て出家発心した。
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コウボウダイシ 1975年 山口県 弘法大師を泊めた家に蚊帳がなかったので、その家は蚊が出なくなった。
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カガミテンジン,コノハテンジン,マエテンジン 1978年 秋田県 260、70年ほど前、多賀谷家の主が古城址霧山に登って天神の画像の掛軸を開こうとしたところ、下の方の居館から出火した。この掛軸の祟りかと思って戻ると、実は何事も起こっていなかった。掛軸を巻き直すと、間から紅葉が落ちてきたので、これを「木の葉天神」と称し、以後開かないことに下。秋田藩の画家が描いた「前天神」という天神像をその前に掛けることにしている。
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アマノジャク 1975年 山形県 弘法大師が最上川のほとりを歩いていると、川上から蕗の葉が流れてきて、その下から光が差していた。杖で葉をかき分けると大日如来の梵字が現れた。次から次へと流れてくる葉が皆そうなので、川上に大日如来がいるに違いないと川を上ると、湯殿山の滝壷で天邪鬼が滝壷に浮かんでくる梵字を隠そうと蕗の葉をかぶせていたので、弘法大師は天邪鬼を仙人岳に封じた。
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オオキナヘビ,コウボウダイシ 1980年 和歌山県 昔、大きな蛇が出て村の人々を悩ませていた。そこで弘法大師がその蛇を封じこめた。その時、梵字岩の字が消えたらそこから出てきてもよいと、弘法大師が言ったという。
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イヌガミ 1949年 弘法大師が四国を巡っている時農家に宿を借り、その返礼に野猪の害を防ぐ呪禁として、料紙に何か書いたものを授けた。封じ目を切ってはならぬと堅く言い置いたのだが、封を切ってしまった。すると犬が1匹描いてあり、それが紙から抜け出して犬神になった。
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