イキクチヨセ 1938年 福島県 伊南村の濱野の者がある人の心を知ろうとして、下野のワカに生口寄せを頼んだ。同じ時間にある人は眠くなり堪らなかったので、隣家に遊びにいった。後に生口寄せのことを聞くと、あまりよく話さなかったそうだ。
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クチヨセ 1977年 死んだ親や友だちを巫に口寄せの技を頼み、水を供えたりする。するとその人の亡き魂が巫にかかって、いろいろな事を口ばしる。この技を生業とする者を昔は梓御子と言った。『職人尽歌合』にもある。これは昔から女であって、男はしない。『栄花物語』にもある。
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クチヨセ 1955年 山梨県 口寄せは明治30年頃よく来た。毎年正月に来て1ヶ月位村にいた。シニグチ、イキグチとありイキグチは自分の思う女など自分の思うことを寄せた。シニグチは仏様を対象としたものだった。謝礼はイキグチで10銭位、シニグチの方がそれより安かった。
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(ホトケオロシ),(シリョウ) 2000年 香川県 民間の口寄せ巫女が依頼者の求めに応じて死者の霊を呼び出し、その心境を死者に代わって口語ることを仏おろしという。拝む人はホウニンサンとか御祈祷師と呼ぶ。御幣をぶら下げて家の中を浄め、位牌には御幣をつけたサカキを立てる。錫杖のようなものを振って拝むと、「水が欲しい」という。言い終わると、がっくりと肩を落としてまた拝む。
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カミクチ,ホトケノクチキキ,カミオロシ 1982年 新潟県 駒林にいる盲目のミコサマは、20歳のときに師匠のミコサマに弟子入りして神口の修行をした。亡き人の死霊を自分にのりうつらせて仏の口聞きをする。大人ならば死後49日、子どもならば35日がすんでからだという。駒林に住むおばあさんは、夫に先立たれ、ミコサマへ仏の口聞きにいった。ミコサマは白衣をまとってオハライし、神オロシにかかるが、村の鎮守様がでると、それ以降は何も分からなくなる。このばあさんは母親がなくなった時にも行ったという。
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(シシャノレイ) 1981年 栃木県 口寄せのばあさんが来ることがあり、わけのわからないことを拝んで、死んだ人の霊を呼び出していたという。
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ホトケヨセ,ワカ,クチヨセ 1938年 福島県 ワカ(口寄せ)は伊南村の小鹽と今市の平ヶ崎にいる。仏寄せにはワカに水を一杯供え、ワカが弓を鳴らすうちに、「ホトケ」が寄ってくる。そうするとワカは眠ったようになり、色々の事を尋ねると仏が答える。
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〔ニョフ〕,〔ジョフ〕,イヅナ 1979年 東京都 文作の幽霊を見た志計が、イヅナを使う江戸芳町に住む女巫にその事を尋ねる。女巫は文作の性別・年齢等を聞き、青い笹を石に縛りつけたものに水を掛けよと言い、呪文を唱える。志計が3度かけ、女巫が、おおお、と3度唱えた時には文作の声であった。文作は自分は客死したので、志計に供養を依頼する。しかし後で文作は生きているのが分かった。
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クチヨセ 1977年 神奈川県 百か日には、口寄せに死んだ人の霊を招いてもらい、死者と話をする。
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キツネツキ,キツネオトシ 1982年 新潟県 村のアネがキツネツキになったので、神主に頼んでタタキ祈禱してもらって、本人をたたいてキツネをたたき出し、キツネオトシをした。他にも大正初期のころ、キツネツキの女性がいて、さかさにぶら下げてナンバンイブシをしてキツネオトシをしたことがあった。
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イチコ 1977年 神奈川県 昔は、死者の言葉を聴くためにイチコに口寄せしてもらった。イチコが拝み鈴を鳴らすと、その中に死者の気持ちが移り、話が出来るようになるのだという。
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カッパ,カイブツラシキモノ 1928年 福岡県 元禄の頃の話。ある女房が雪隠に坐っていると、怪物らしきものの手が尻を触った。翌日も同じようなことがあったので、刀を持って入っていた女房がその手を切り落とした。数日後、夫の枕元に河童が手を返してほしいときたので、その場で手を接がせ、接骨法を聞いて返してやった。翌朝、庭先に礼の鱸があった。
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キツネ 1987年 山形県 オナカマには仏おろしの口寄せや占いの他に、キツネに憑かれたときにも相談する。
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ウジガミサン 1965年 高知県 氏神さまを信仰したおかげで助かった人がいる。室戸から大きな漁船に乗ることになり、出立の朝にヤナギカケを作った。しかしその皿が引っくり返り、気持ちが悪いのでやめにした。次の日には、お宮の前で扇子を忘れたのを思い出して取りに帰った。出直して、またお宮の前でハンカチを忘れたのに気づいたが、そのまま出航した。しかしどうにも気持ちが悪いので、女房が引返すように電報を打ち、須崎から帰って来た。その船はそのまま行方不明になってしまった。
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オワカサマ,ホトケノクチヨセ 1975年 福島県 戦前までは八葉寺阿弥陀堂の祭りの際に巫女が口寄せをした。
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オイヌサマ 1979年 山梨県 なに左衛門の家では、身延の奥の方までオイヌサマの額を借りてきて、食事ということで塩をあげていた。ある日の夜に、おじいさんが喉に魚の骨をつっかえて医者もさじを投げた。そこのお嫁さんがオイヌサマに塩を盛っておいた。親戚の人が来ると、玄関の外に黒い大きな子牛のようなものが立っていた。みんなが寝てしまって、おじいさんが1人で苦しんでいると、オイヌサマが喉をなでて治してくれて楽になった。後に身延の奥の方までわらじを何足も作ってお礼に行った。
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ミコ,シリョウ,カミサマ,ホトケサマ,タカイヘンレキ 2001年 青森県 八戸市在住のある女性は、30代初めに突然身体が不調となったことがカミサマとなったきっかけであった。新しく地区の共同墓地を造成した際、古い墓地からの移動のときに、彼女がたまたま皿状になった頭蓋骨の一部を掘り起こしてしまったことが原因である。供養などをしてみたものの、そのときから頭蓋骨の死者の霊にとり憑かれ、身体が不調になったばかりか、奇行までが見られるようになった。
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ニンギョ,ハッピャクビクニ 1973年 福井県 昔ある漁師が人面魚を獲たので、振るまおうと人々を招待した。しかし招待客の一人が、調理中の魚を見て驚き、皆に食べてはならないと告げ、皆は密かに紙に入れて帰りの道中に捨てた。ただある男は捨てずに持って帰り、土産をせがむ子供に魚の肉を与えてしまう。食べた彼女は普通に暮らし、やがて結婚したが、夫が死ぬと姿が若返り、次の夫が死んでも同じことが起こった。その身を恥じた彼女は尼となり、以後800年生きたので八百比丘尼と呼ばれた。
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ハッピャクビクニ,カイセン 1974年 福井県 古老が語るには、今浜の洲崎村にあるとき漁者のような人がやって来て、人を招いて宴会を行った。ある客がその調理するところを見たところ、人の頭のある魚を捌いていた。ある客はその魚を袖に入れて帰ったが、それを妻が食べてしまった。妻は言うには、最初は甘露のような味だったが、食べ終わると気を失い、しばらくして息を吹き返したら、体が健やかで、目は遠くまで見え、耳はよく聞こえ、胸中は明鏡のようで、顔色は麗しかった。夫や親類は悉く死んで、7世先の孫も老いた。その後若狭の小浜に移ってきたという。
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タメニオチタコノタマシイ,(トイギキ),(ホトケオロシ) 1984年 新潟県 70歳になったお婆さんが気がおかしくなり医者に診せても治らなかった。嫁が「沢根の不動さん」へ連れて行くと、近所でタメに落ちて死んでしまったが、あまり供養してもらえず、迷っている子の魂があり、畑仕事でしゃがんでいるときにおぶさったものだ、といわれた。また、情けをかけるといつまでも憑いているといい聞かされた。お婆さんは小さな地蔵を一つ作って大日さんにあげ、お前は坐るべきところに坐って、家のものに供養してもらえといって祈った。それからお婆さんは回復した。
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