ガワラ 1983年 愛媛県 入野村の庄屋の家で一匹の馬を飼っていた。入野の原で走らせていると、この原より少し南にある淵からがわらが出てきて馬の綱を身に巻き付けて淵に引き入れようとする。馬は引きずり込まれて頭も隠れるほどになった時、驚いて一目散にかけて庄屋の家に帰った。がわらは綱にからまったまま力なくうずくまっていた。5、6歳の子供のようで頭には皿のようなものがあった。農民はそれを打ち殺して埋めた。その塚をがわら塚という。
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キツネ 1959年 神奈川県 ある年の秋、村人が稲を収穫していると犬に追われた狐がやってきた。村人の一人が鎌を振り上げると狐は積み上げた稲に登り尾を立てた。すると村人たちは大水が出たと叫びながら騒ぎ出した。遠くの田の人がやってきて教えてやると村人たちは我にかえった。
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キツネ,ヒ 1988年 奈良県 古市の田の中に狐塚がある。ある人がそこを開墾しかけたところ、夜に不審な火が見えると言って出かけ、そのまま戻らなかった。それからはもう恐れて誰も手をつけなくなった。
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ヤマオトコ 1989年 長野県 大鹿村の北方に地獄谷という場所があり、人間や動物の骨がそこかしこにある恐ろしい場所だった。ある時、そうさくじいが肝試しがてらそこに木を伐りに行くと、良いさわらの木がたくさんあったので、小屋をかけて桶皮を取っていた。ある月夜の晩、山鳴りがして何か近づいた来たが、何もなかった。次に山奥から音がして、山男が小屋の前に立ち、「これを食え」と女性の片腕を放り込んできた。驚いたそうさくじいは夜明けを待って家に逃げ帰った。
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シロネズミ 1932年 大阪府 住吉街道茶屋村より南むくげのうちでは、大きさが猫ほどもある鼠が出て人に喰い付き、その小犬が恐れるほどの勢いは止まるところを知らなかった。そこで人々はこれを殺して埋め、しるしの石を置いた。これが今は住吉墓地に併合させられた南海鉄道阪堺線の勝間停留所の東側の墓地にあった鼠の塚である。
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キツネ 1989年 鳥取県 大山の麓の種原で魚売りの商人が大勢の狐に襲われ、木に登って逃げた。「藤助のかかあを呼んでこい」という声がして、大きな古女狐が来た。商人は襲ってきた女狐の額をカナリョウで打ち、女狐は死んだ。種原の藤助は妻が狐とは知らず、田植えができずに困っていたので、仲間の狐が一晩で植えてやった。藤助の稲は穂が出なかったが、刈り取ってみると茎の中から米が沢山出て、分限者になった。
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クロシマネズミ 1975年 愛媛県 伊予国矢野保の内黒島のかつらはざまの大工という網人が、魚を取ろうとして海をうかがっていたところ、魚の入る所は光って見えるものであるが、磯の近くでとても光っている所があったので網を入れた。すると魚は獲れず、少しの鼠が獲れた。陸にあがると鼠は逃げ去った。それ以降この島には鼠が多く生息するようになり、畠のものを食い荒らすようになった。よって今まで耕作する事はない。
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ネズミ 1979年 岡山県 むかし備中に遊行していたときに、倉敷の管下にある真鍋島で、海中から夥しいほどの鼠が出てきて農作物を荒らしたので、県令が駆除するように人を派遣したという話を聞いた。
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トウガン,ネズミ,ナタ 1974年 熊本県 加藤肥後守の家が断絶する前の寛永8年に不思議な事が起きた。まずは隈本領内の桐の木に冬瓜のようなものが実り、それが熟すと鼠が中から食い破って出て来たという。また他の実を切ってみると、多くの鼠の他に一本の鉈が出て来た。その後に加藤家が断絶したという。
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キツネ 1983年 山梨県 昔、向原のあたりは薮だったが、だんだんひらけてきて狐がいるところがなくなってしまった。そこで狐がひととこに集まって、行くところがなくて困ると話をした。それが祟っては困るので狐塚をたてて祭った。
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ネズミ 1976年 愛媛県 安貞の頃、矢野保の浦にある黒島という島で、ある時漁師が網で数百の鼠を引き上げた。鼠は逃げ去り、その後島の田畑は鼠に荒されるので、畑を作らなくなった。水鼠とは鼠に似て小さく、小魚や小蟹が化したものであるという。
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タネノトウスケ,キツネ 1981年 鳥取県 種の藤助という家の嬶さんは狐だった。藤助の家の田は、助けた狐の子が恩返しによその田でできた米をくわえてもってきたので豊作になった。
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テンニョヅカ 1956年 宮城県 津の宮の社家、作兵衛の四代前の先祖某が竹島に天女の群が舞っているのを見つけ、逃げ遅れた天女を家に連れ帰った。天女は豆柿を少し食べただけで6,7日して死に、連れていた子犬も死ぬ。葬ったところを天女塚といい、子犬の墓を狗塚という。
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ネズミ 1978年 熊本県 寛永8年、隈本城内の桐の木に冬瓜のようなものが多数生えた。諸人はこれを見て珍しい事だからそのままにしておき、熟すのを見ようと待っていると、熟す頃に中から鼠が出てきた。人々は怪しみこの実を取って割ってみると中はすべて鼠であった。その中の1つに鉈が入っていた。その翌年領主親子が配流となった。この前触れだろうと人々は語った。鉈は今でも誰かが所蔵しているという。
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ヘビ 1967年 福島県 昔、1人の若者が沼のほとりで休んでいたら、1匹の蛇が現れ若者の歌を聞いているようだった。若者が鎌で蛇を切り殺したところ、蛇は2匹の大蛇になり若者に襲いかかった。鎌で切るほど蛇は増えたが、沼に蛇を投げ込むことができた。すると沼はたちまち大海のように荒れ始めた。家に帰った若者は、まもなく身体中に鱗のようなものができ死んだ。沼はその後田になったが、耕す人は皆身体に鱗のようなものができ死んでしまうので、耕す人もいなくなり、今は蛇塚として残っている。
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キツネ 1988年 奈良県 惣五郎と言う人が三反御作(3反歩ある大きな田)を植えた帰り、溺死した子狐を見つけ葬った。その夜戸を叩く者がおり、「お田引いた惣五郎さん、三反御作みな引いた」と5,6人の声がした。翌朝見ると植えた苗はみな引き抜かれ、狐の屍骸が掘り起されていた。親狐が思い違いをしていると思い、狐のいそうなところを釈明して歩いたら、その夜に伊勢音頭の音がして「お田引いてすまなんだ、三反御作また植えた」と声がした。翌朝、家の前には大きな鏡餅が置いてあり、田はもとどおり植えてあった。
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キツネ 1943年 福島県 明治20年頃の話である。夜、買った鰯を藁苞に入れて帰ってくると、田に仕掛けた「下りドウ」に獲物がかかった音がする。藁苞を置き、ドウを開けたが何もない。置いた藁苞は、と見ると無くなっていた。狐が取っていったのである。
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ヌノバヒ,アグドカジリ 2001年 青森県 大塚家の屋敷内では、稲荷堂の跡に2本の桧が樹立っていた。この御堂の下道には藪があったが、そこには小雨の降る晩などにヌノバヒ、アグドカジリという怪物が出て歩き回っていたと言う。
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(イヌガミ) 1980年 岡山県 備前児島郡の農民は昔犬神を祀ろうと思ったが、犬を殺した場所のわずか数間離れたところには、五穀は実ることなく、また家を建てるとその家に怪事が絶えないという。
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エンコー 1942年 高知県 猿猴は他の地方で言われる河童である。吾川郡名野川村鷲ノ巣では、猿猴が畑の瓜を盗みに来ていた。ある晩猿猴が皿の水をこぼして動けなくなり、ある男に水を入れてもらった。猿猴はその男の村に赤百足虫が出ないよう計らうと約束し、今その通りである。
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