ヒノタマ 1999年 宮崎県 1920年代後半のこと。6月か7月の夜、川にボラを取りに行く途中に、田んぼの土手に青い火の玉が揺らめいていた。気味悪かったが知らぬ振りで通り過ぎた。帰りにもまだいたのでこわごわ近づいてみたら、田に水を引く竹樋の筒の奥に入り込んだ蛍の光が水面に反射していたのだった。
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ヒノタマ 1999年 宮崎県 1920年代後半のこと。話者が小学生の時、春の雨上がりの夜に松明を燈して魚突きをしていたら、墓地が青白く光っている。じっと見ていると直径30㎝ほどの青い火の玉がふわりと上がり、こちらに向かってくる。「火を消さないとこっちへ来る」と友人が言うので松明を消した。そのまま見ていると西風に乗って流れ、川の上まで行ったと思うと川上のほうにふわりふわりと移動して、山陰に消えた。
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ヒノタマ 1937年 福島県 明治28年、南の空から径2尺くらいの火の玉が飛んできて、虎捕山の本殿のあたりにぶつかり、大きな音を立てた。火の色は赤く、普通の色とは異なっているように見えた。集まったり離れたり、ぼうっとしてしばらくして消えた。
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シノゼンチョウ,ヒトダマ,シカタ 1930年 鹿児島県 1900年ごろ、村はずれの山近い一角から青い火の玉がフワリと浮かび上がり、長い尾を引いて大勝のほうへ飛んでいった。火の玉が現れた場所には死の床についている人がいたため、あれは某さんの奥さんの死型だという噂が流れた。その後、10日ほどで亡くなり、人霊は実家に別れをつげに言ったのだろうといわれた。その実家でも2、3人の足音が聞こえ、火の玉が見えたという。
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ヒノタマ 1933年 鹿児島県 ある夜、大きな火の玉が村中の空を飛んだ。光が明るく、見ている人の影が地に映ったほどだった。
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ヒノタマ 1946年 伯母が辺鄙な村に住んでいたころ、ある夏の宵の中のことである。庭で行水していた伯父が呼ぶので行ってみると、立木の幹のところに青い尾を引いた青い火の玉がふらりふらりと上がったり下がったりしていた。翌日、付き合いのあった家の人が亡くなったことを知った。
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ジョウサガシ,ヒノタマ 1985年 愛媛県 大正初期のうら盆前後、森の中にほたる火のような火の玉を見た。その火の玉はやがて提灯程の大きさになりうろうろしていた。探し物をしているようでもあった。祖父に聞くと状さがしというもののことで、昔主人から急ぎの手紙を言いつかった仲間という男が手紙をなくしてしまい、探し疲れて死んでしまったがその執念が提灯をかざして歩くものという。
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ヒノタマ,ヤマノカミ 1964年 福島県 明治28年秋、南の空から60センチメートルくらいの火の玉が飛んできて、虎捕山の本殿のあたりにぶつかって非常な音をたてた。火の色は赤いが普通の色とも違って見え、ぶつかった後はかたまったりはなれたりボーっと見えたが、やがて消えた。山ノ神がお社に灯明を奉るのだろうといわれた。
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タマシイ 1997年 奈良県 夏の暑い日、奥の座敷にいた祖母が家族を呼んだ。祖母が言うには、火の玉が飛んでいるのだという。けれども家族の者は誰も見ることができなかった。翌日、祖母の母親が死んだと言う知らせが来た。その火の玉は薄青い色で丸くて、ずううっと尾を引いて飛んでいたという。
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ヒノタマ 1999年 宮崎県 1945年の夏のこと。ある夕方、火の玉を見た。青白いぼやけた光で、尾を引いてゆっくりと飛んでいた。
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ヒノタマ 1982年 宮城県 1920年ごろ、話者は火の玉を見た。赤くて、直径30㎝程度、3mほどの尾を引いていたという。火の玉が飛ぶと人死にが出るという。
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サンチュウノキ 1976年 群馬県 ある、殺生好きな侍が、草履取りと共に山に小屋を掛けて狩に入ったが、獲物が獲れそうになかったので下山しようとしたところ、山の奥からざわざわと音がして、大きな火の玉が小屋に向かってきた。侍が弓で射ると、鉄球にあたったような音がして火は消えた。その後、家まで帰ると侍の母親が怪我をしたという。母の部屋に行くと、侍が射った矢が落ちていたので、草履取りと共に押さえつけた。暫くはうめき声が聞こえたが、やがて静かになったので、見てみると、夜着以外何もなかった。家人も消えていた。
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キツネ 1993年 岩手県 話者18,9歳の旱魃の年の5月のある日、暗くなってから米を買いに出かけたら、神社の神様が牛のように見えた。きつねだなと思って友達の家に逃げた。暫く休んでまた歩くと、今度は井戸の脇のあぜ道で周りをふさがれて歩けなくなってしまった。もう帰ろうと思って山道を行くと、ニシという屋号の家の倉の横で火が燃えていて、山々や土沢の町がガラッと見えた。倉の横で火なんか危ないなと思うと、ウサギのような足音が通り過ぎていった。きつねが諦めて山に入ったのだろうか。
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ヒノタマ,ムジナダマ 1981年 茨城県 竹薮から大きな火の玉が飛んで来た。急に周囲が明るくなり、火の玉は赤黄色でその周りは青みがかっていた。波打って飛び、上に行くと光は広がった。近くの人はむじな玉だと言う。
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ヤマンバ 1999年 長野県 村の衆が山姥に毒の酒と炭のオキを包んだ団子を持たせた。山姥は喜んで帰っていった。その夜、空を真っ赤にして燃える山火事があり、村の人は驚いた。それ以来、山姥は姿を現さなくなった。
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ヒノタマ 2002年 香川県 昭和30年ごろ、大きな火の玉が広野の谷を東から西へ飛んだという。この時は、畑の大豆の葉がはっきり見えるくらいに明るかったという。
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ブラ,ヒノタマ 1962年 千葉県 夜、田に行くと、地面から3、4間のところを、赤い火の玉がふらふら浮かんでいるのをよく見るという。
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カイビ,ヒノタマ 1980年 愛知県 明治初年、正衆寺の裏山より怪火が現れ、村人は驚いた。大きな火の玉で、雨の夜に須佐の中頃に出て四散し、又一つとなって消え失せた。村民が不思議に思いその場所を掘ると古太刀、よろい、かぶと等が出たのでこれを祀った。そのあと、怪火は現れなくなった。慶長の昔、九鬼嘉隆が当地に攻め入った時に戦死した武士や村人の魂が迷い出たものという。
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ヒノタマシイ 1976年 大阪府 島下郡別府村で、雨の夜に森から火の玉が現れ、田んぼの中にある社の周りを飛び回り、木の上に止まる。火縄の火を見せれば消える。これは初夏の長雨の後に湿地に熱がこもり陰陽剋したために地中から火が現れたもので、全国にこのようなことはある。
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ヒノタマ,ヒダマ 1965年 沖縄県 ある家に病気で寝ている人がいて、その家のガジマルの木の上から突然大きな青い火の玉が上がり、隣家の方へ行った。人々は「あの家の人はもう助からないだろう」「いや、隣家に流れて行ったので何もない」といいあった。数日してその病人は元気になったが、今まで元気に働いていた隣家のものが突然なくなった。
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