ケンモン 1973年 鹿児島県 ある人が松の木の根本でうとうとしていると、松の後ろから子供のようなものが出てきてあっちこっち飛び回り、見ている間にうたた寝をしてしまった。するとけんもんが側に来てニ(尻の穴)をほじくったので飛び起きると、もうその姿はそこにはなかったという。
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キジムナー 1970年 沖縄県 キジムナーは子供くらいの小さい体をしているが、ものすごい力持ちで木の主と言われている。古い木でないと住みつかない。夜になると自分の背中に人を背負って「絶対おならをしてはいけませんよ」といい水面の上を歩いて漁に連れて行く。そしてつれた魚の片目だけを自分がもらい、残りは全部その人にあげてしまう。普通は人に害を与えない。
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ケンムン 1974年 鹿児島県 子供が生れそうな女の夫がガジュマルの木の下で雨宿りしているとケンムンが2匹現れ、生れた子供が19歳の時に死ぬようにしてきたと語るのを聞いた。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 あるお婆さんの隣の家の娘が夜中になると一人で笑っているので、覗いてみるとマッティブが真向かいに座っていた。翌朝、お婆さんは娘に夜中に青年がやってくることを尋ね、つわぶきを取って糸をつくり、針を通してやってくる男の脇に刺して後を辿れと言った。教えられたとおりにすると大きな石の穴の中に入り、「人間に自分の種を沢山つけてきた」「しかし、人間が6月ビラバナを食べて七折の潮をかぶったら子供は物にならない」と話し声が聞こえてきた。娘がその通りにするとマッティブの子が下ったという。
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ナブタブ,アカマタ,マジモノ,ケンムン 1973年 沖縄県 18歳になる豪農の娘が機織りをしていると、決まって午後3時頃にうとうとと眠くなり、美男に化けたアカマタがにこにこして傍に立っている。そのようなことが度重なり、娘は男を思うようになった。驚いた母親が、娘に針を持たせて男に刺させた。男の姿は消え、母親が糸をたどっていくと森の中にあるガジマルの洞穴に入った。穴の中には、頭部に針を刺された大蛇がとぐろを巻いていた。その後、豪農の家は滅びてしまったいう。
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ヘビトカエル 1956年 宮城県 薬売りがある晩、田んぼ道を急いでいると、1匹の大蛇がビッキ(蛙)を今にも呑もうとしていたので、「そのビッキを逃がしてやったら俺のオガダ(嫁)にしてやる」というと蛇はビッキを放した。3日ほどあと、17,8の美しい娘が薬売りの寝所に来て「あなたのオガダになるから側に寝させてくれ」と裸になって床に入ってきた。次の晩から毎晩同じ時間にやってきて、だんだん薬売りはやせていった。ご祈祷しても治らず困っていたところ、ある夜少し年取った女がきて、「わたしは助けてもらったビッキだが、今夜あの娘がきたら、今自分は病気で苦しい、それを治すために辰巳の方角の山にある大きな木のワシの卵をとってきてくれ、と言え」と話して去る。薬売りがそのとおりに言うと、娘は蛇となり木に登り卵をとろうとしたが、枝が折れて下に落ちていくところを大ワシが飛んできて蛇の目をついて殺した。それで薬売りの病気は治ったが、蛇は執念深いものだということだ。
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キジムナー 1998年 沖縄県 キジムナーは木の精ではなく、ウスク・ガジュマルに憑く妖怪である。赤ら顔で髪が赤いとか、黒くて小さな虫の形だいわれる。久高島では、女性が二匹のキジムナーに誘拐され、キジムナーガマで赤土を食べさせられた。探し回る村人の鉦・太鼓の音にキジムナーが驚き、女性は助かったが、毎晩キジムナーが家に迎えに来るようになり、やがて亡くなったという。キジムナーには男女の区別があり、イキガキジムナーは人間の女を、イナグキジムナーは人間の女を押さえ込む。
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アカマタ,マッタブ 1973年 鹿児島県 昔、阿傳と嘉鈍の中間にマチという部落に母と娘が暮らしていた。娘は夜に機織りの仕事していたが、あるときから夜になる一人で笑ってばかりいて仕事をしようとしない。母が尋ねると、娘は夜になると赤手拭いを被った男がやってきて脇の下を擽るのだという。そこで母は今晩その男が来たら木綿針に糸を貫いて男のたまに刺せと言った。その晩、娘は言われたとおりに男の頭に針をさし、明朝に母が糸を辿っていくとマッタフの巣である坂の麓の割れ岩まで続いていた。中から「我ミミンダ通しはしたが、子供は七籠も産ませて、うら取って見せずに置くものか」と声が聞こえた。また「娘が海へ行って七日間潮浴びをすれば子供は堕りる」と他の声も聞こえてきた。母は家へ帰り娘を海に連れて行き、七日間潮浴びさせると蛇の子を堕ろすことができた。
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オオオトコ,タヌキ 1936年 岡山県 萬兵衛という狸がいた。夜半に雨戸を開けると2丈もある大男が睾丸を出して真裸になって、赤子を抱いて団扇で扇いで腰掛けていた。石を投げると、当たって「ぼうん」という。翌朝、それが狸だったと聞かされたという。
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キノセイ 1985年 沖縄県 木の精が人妻になり子供を産んだ。住居である木を切られることを嫌った。材木を切ろうとしてもできず、その子がやるとできた。
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ティヤーチャー,キーヌシー 1967年 沖縄県 キジムナーのことをティヤーチャー(指が8つある)とか木ヌ精といい、男女のわからぬ小さい子供で真っ赤な縮れ毛をたらし、猿に似ているという。夜に山から火を盗みに現われるという。友達になると毎夜漁に連れて行かれ、必ず大漁になる。ところがどの魚も片目を取られているという。大の字型に寝るとキジムナーに圧迫され身動きが取れなくなる。またキジムナーが来るときはウーとかすかな音がする。
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オトコ,ヘビムコ 1936年 岐阜県 娘の元に毎夜美しい男が忍んで来た。乳母は男を怪しみ糸をつけた針を男に付け、翌朝その跡を付けた。すると山奥に至り洞穴の中から娘を孕ましたが、菖蒲湯に浸かれば難を逃れる、と言う会話が聞こえてきた。その通りにすると娘は蛇の子を産み落とした。
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キツネ 1996年 山梨県 キツネが狩人に追われていたところを男に助けられ、女に化けてその男の嫁になってドウジマルという子をなしたが、キツネの姿で寝ているところを夫に見つかり、「恋しくば訪ねてきてみよ、信田の森へ」と言って去った。ドウジマルが森を訪ねると、嬉しさのあまりキツネの姿で飛び出してしまい、駄目になった。
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キツネ 1979年 岐阜県 女が子供を連れて毎晩風呂をもらいにきた。覗いてみると、狐がピチャピチャと手で音を立てているだけだった。火の付いた木を投げ込むと、子供は木の葉に変わり、一目散に逃げていった。
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キャシャ,ロウエン 1993年 山梨県 芦川村鶯宿では、老猿をキャシャとよぶが、昔、集落北西の山中で、ある女性が大石の下で雨宿りをしていた。そこで深い眠りに落ちているうちにキャシャに襲われたらしく、どうみても猿の子としか思えないような赤ん坊を出産する。キャシャの子は水を飲むとどう猛になるといい、このキャシャの子も殴り殺されてしまった。今でもシダクラサワというところにはその女性が雨宿りをた場所が残されている。
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ケンムン 1982年 鹿児島県 川のそばを子供を担いで通ると、ガジュマルの木のそばで頭・顔・体が全て赤い者が耳まである膝を立てて座っていた。母は恐ろしくてすぐ帰って魔除けをされた。またケンムン退治をしようとした男性は、毎晩その音に悩まされ出て行った。
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マルシテンノキ,テング 1963年 岡山県 マルシテンの木を切るとたたる。ある人はマルシテンの木を切った。すると間もなく睾丸炎となった。又ある人がマルシテンの木を切るとその母が汽車にひかれて死んだ。また子供の夜泣きがひどいので法印様に見てもらうとマルシテンの天狗の風に当ったとか、天狗様に生れるとき出会ったなどといい、するめや魚を持って参るとその日の夜からなおった、など。
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ゴウラン 1981年 和歌山県 話者が小学生のときのこと。川で泳いでいた子どもが溺死して、尻からモヤモヤしたものが出ていたのでゴウランに尻こ玉を抜かれたということになり、皆でいぶり出してゴウランを殺した。大きな笠を被った、胴ばかりで足のないヌルヌルしたものだった。それを軒に下げていたら、大勢が見物に集まった。その家の隣のお婆さんが「ゴウランとは妙なものだ」と呟くようになって、しばらくしたら産気づき、ゴウランの子を産んだ。周りの人が、本人には知らせずにその子を殺してしまった。
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ダイジャ 1982年 東京都 17,8の娘が川で蚕の綱を洗っていると急に眠くなり、草むらに寝てしまった。すると大蛇がやってきて娘のお腹に入って行こうとするので、若者がこれを引き出した。蛇は怒って若者の首に巻きついたが、天神様の力で退けられ、松の枝の上で息絶えた。
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キツネノキタオシ 1982年 新潟県 小雨の降る晩などに、山小屋に泊まっていた村人が、はじめは、カシンカシンと斧をあてる音が聞こえて、ワリワリガシーンと大木の倒れる怪音をきいた。朝方見に行っても、木は倒れていない。これをキツネノ木倒シという。
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