〔ムクイ〕 1978年 東京都 ある吝嗇な長者が金銀を人の来ない原に埋め、手伝った人をくらし橋で殺して川に流した(よってこの橋を姿不見(すがたみず)橋や俤(おもかげ)橋という。するとその報いを受けて長者の娘が蛇になった。長者は改心して入道した。
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サンキチギツネ 1958年 茨城県 夕方、三吉狐の棲家を、赤ん坊を背負って通ったら急に赤ん坊が泣き出した。あやしながら家に帰って赤ん坊を見ると死んでいた。狐に殺されたのだろう。
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モウジンイシ,タマシイ 1967年 福島県 昔、この石の所に一人の盲人が宿をとった。ところがこの石が転がりだし、盲人は下敷きになり死んだ。ところがこの魂が石の下に残っているのか、闇夜の雨が降るときなどには必ず三味線の音がするという。
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タタリ 1981年 和歌山県 行をする和尚さんがお金をたくさんもって岩穴にこもった。鐘の音が聞えなくなったらこのお金を皆で使ってくださいと言い置いていたにもかかわらず、村人がお金欲しさに和尚さんを殺してしまった。その土地では祟りで口のきけない人や奴隷、癩病になる人が多いという。和尚のこもった岩穴はこうもり岩と呼ばれるようになった。
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アズキトギ 1987年 長野県 昔,部落の真中を流れる川に「すくじの橋」という木の橋がかかっていた。秋の夕暮れの頃,ある村人が橋を渡ろうとすると橋の下から女のすすり泣くような声と,ショキショキと小豆をとぐような音が聞こえてくる。他にも聞いたという者があり,2,3人の若者が正体を見届けるため橋の傍の物陰に隠れることになった。夕暮れ時になると音がするので橋の下を捜したが何もいない。その後しばらく音はしなかったが,また耳にする者が増えだした。不思議なことに橋を渡ろうとすると泣声や音はやむのだが,通り抜けてしまうとまた始まる。振り返るとまた物音がやむ。いつの間にか「あずきとぎの女」と呼ぶようになった。
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キツネ 1972年 千葉県 ロウソクと油揚げを持って行商に行ったら、狐に化かされて田の畔を歩かされ、全部食べられてしまった。売ったつもりで貰ったお金も木の葉だった。
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アカンボウノナキゴエ 1933年 京都府 赤ん坊を残して嫁が死んだ。赤ん坊は母に死なれて毎日泣き明かしてついに死んだ。それから村はずれの海辺で夜更けに赤ん坊の泣き声が聞こえるようになった。
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ウタイガイコツ 2001年 青森県 一緒に出稼ぎに行った3人が落ち合った際、沢山稼いだ1人を他の2人が殺して、その金を自分達のものにした。数年後にその場所を通りかかったところ、松の上にあるコウベが綺麗な声で歌っていた。このコウベをくるんで歩き回り、歌を聞かせてお金を稼いでいたところ、殿様からお呼びがかかった。聞かせに向かったところ、コウベが、2人が過去に犯したことを殿様の前で話した為、2人は打ち首になってしまった。
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オンリョウ,ボウコ 1975年 新潟県 友崎という家号の家の主が旅の者を舟に乗せ、沖で殺して金品を奪った。それ以来、相川通いの舟が夜の海を通ると、死人の手が舟べりにかかって、青白い顔が舟の中をのぞき、「友崎はおらぬか」と問う。いないと答えると、残念と一声うめいて海に消えるという。
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ミツムネサン 1931年 山梨県 蔵にしまっておいたお金が少しずつなくなるので、蔵の番をする三峰様を借りてきてお金を盗む者を食い殺すように頼んでおいた。実はお金はその家の息子が盗んでいたのであり、2、3日後に蔵の前で殺されていた。
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チョウジャハラ 1956年 宮城県 南と北の太郎川合流点の原に長者がいたが、天明飢饉で没落した。炭焼きが泊まり山をしているとやせ衰えた男の亡霊が現れ、わしは金の番人だが、寒いから焚火にあててくれといった。あるとき放し飼いの馬の片足に朱漆がくっついていたので、金もあるだろうと探しまわったことがあるという。
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ウシガツメノウシイシ 1984年 長野県 道に迷った盲目の仙人にわざと間違った道を教えた。仙人は乗っていた牛共々途中の道で迷ったまま死んでしまった。嘘の道を教えた男への恨みは、牛の爪跡として残っている。この辺り人を騙してはいけないと言う。
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アナモリイナリ 1982年 東京都 どこからともなく「助けてくれ、助けてくれ」という声がする。そばへ行ってみると穴ができて落ちてしまった。目がなれてあたりを見ると、切り石が六尺四方につんであって、人骨と金のお椀があった。泥棒が金のお椀を盗んで目が見えなくなったので穴に返したのであった。
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ムソロクブ 1919年 徳島県 ある年の暮れに、川の渕で庄屋が、前の晩に泊めた六十六部を殺して秘蔵の宝物である金の鶏と蚊帳を奪った。血まみれになった六部の足は川へと滑り込んだ。その頃庄屋の家で下男が餅をついていると天井から血みどろの足がぶらさがり、1羽の黄金の鶏が現れ米を食い尽くした。その後片足と鶏は六部の笑い声と共にどこかへ消え。その後も色々禍が続いたので庄屋の主人は墓を建立した。
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タヌキ 1992年 奈良県 畑を荒らす猪を見張るために、小屋を作って毎晩泊まっていた。そうしたら、狸が名前を呼び戸を叩いて訪ねてきた。毎晩続くので、狸が騙そうとしていると考え、ある晩狸の手を鉈で切った。翌朝、落ちた血を伝っていったら、狸が死んでいた。それからその家は貧乏になり、狸の祟りだと言われた。
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オニ 1941年 朝鮮 ある兄弟の乞食がいた。兄は心がよくなく、弟は良い心の持ち主だった。弟が物を沢山貰うのを妬み、兄が弟の目を棒で突き刺し、弟は盲目になった。ある日弟は固い栗を拾い、ある空き家の二階で休んでいると、鬼が目の癒し方を話している。弟が栗を囓ると音が大きく、それに驚いた鬼たちは逃げた。弟は言うとおり木の葉で目を洗うと目が見えるようになり、鬼たちの置いていった宝で大金持ちになった。兄も同じように目を潰し弟のようにしたが、逆に鬼に殺されてしまった。
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コワンカネエコエ 1974年 ある村の街道で「流れる流れる」と恐ろしい声で叫んで歩く者がおり、村人におそれられていた。勇気ある若者が何が流れるかときくと、「渕の金甕が流れる」と答える。翌朝渕へ行くと金甕が今にも流れそうになっていたが、中のお金は流れたらしく何もなかった。
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キツネ 1982年 島根県 爺さんが家に帰ろうと歩いていると、表屋の姉さんが畑から帰るのに出会って声をかけられた。家が近づいたはずの頃、道に迷い、大きな声で人を呼んだが誰も来ず、真っ暗な中をさまよい歩いた。爺さんは溜め池のそばでへたばり込んでいるのを発見された。表屋の姉さんは爺さんには会っていないと言うので、狐に化かされたのだろうということになった。
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タタリ 1930年 新潟県 昔、げんどうろくという人が、年貢の金を盗まれ、首をくくって死んだ。盗んだ人はその金で茶屋をはじめたが、代々その家からは片輪者が出たので、祟りだと怖れて、坊さんを呼び供養をした。
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ワカ,ムシ 1976年 静岡県 昔、当国に流された人がいた。その人は老母を伴い、紡績をして生活していた。その人はこれを見るのにしのびず、自ら遠くに出て資を求めた。しかし月を経て帰らず、ついには老母が死んだ。それからほどなくその人は家に帰り、悲嘆した。蓄えた金は大工に与え橋を造り老母を追善した。ある夜、虫がこの橋の柱を喰い、その跡が一首の和歌になった。その後この橋は偽りの橋と呼ばれた。
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