オオカミ 1936年 鳥取県 よそ者が山の奥を通っていると、日が暮れた。仕方なく歩いていると、後ろから何かついてくる。狼であったので、木にはい上がった、しばらくすると狼が集まって来て、狼の上に狼が乗り、よそ者に近づいて来た。もう少しのところで、「五郎太婆をよんで来い」という声がして、とても大きな狼が来て、上に乗った。よそ者はその狼を刀で切った。村では庄屋の五郎太婆が死んでいた。
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ヒヒ 1976年 新潟県 延宝か天和のはじめ、ある山家の老人が山から帰ってこなかったので、その妻がいぶかしがり、人に頼んで山を捜索してもらった。すると山奥に老人の笠とわらじが落ちていたので、それを怪しみ、村で山狩りをした。ところがなにもなかったので下山しようとすると、風が藪を吹くような音がしたので振り返ったところ、赤熊を被って目が星のように光る獣が襲ってきた。大力の若者が鎌で眉間に切りかかったが、若者を谷へ投げ落とした。残った者は逃げ帰り、越後公へ訴えた。そこで江戸より軍師を呼び、山狩りを行わせた。獣が現われたので、それを鉄砲で仕留めた。
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カイギュウ,ワラシ 1964年 滋賀県 永源寺町は昔カネノ村といったが、そこに怪牛が一匹あらわれ、耕作を荒し村人を悩ませた。この怪牛は顔は牛で、足は馬のようで、尾の先に剣があり、総身の毛は金釘のようであった。その牛が暴れている所へ目は左一眼で、わに口の童子が現れ、牛を追い払った。この童子は鐘明神で、昔殺した孕んだ牛が復讐に来て村を絶やそうとしているので、村人を守るため戦っているという。夜半になってまた牛が現れ、暴れている所に御童子が現れ、牛を退治した。
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ババ,タヌキ 1941年 秋田県 ある狩人が山路に迷って、婆の家に泊めてもらうが、その家では夜中に人を喰っていた。狩人が鉄砲で婆を撃つと、大きな古狸の正体を現して死んでいた。
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オニ 1955年 秋田県 トトが町に出かけている間にアバのところに鬼がきた。アバは鬼ガ島まで連れて行かれた。トトも赤鬼、青鬼に鬼ガ島に連れて行かれ、アバの血を飲まされたが、鬼どもを退治して戻ってきた。
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タタリ,ヤマノカミ,クロウシノヨウナカイジュウ 1936年 兵庫県 1900年ごろの1月9日、某氏が山神祭の日であることを忘れて山へ猪猟をしに入ってしまった。猪の通る場所で一服していると、前から猪が1頭やってきたので、狙いをさだめて引き金を引こうとすると、猪の姿は消え、大きな黒牛のような怪獣が現れた。それだだんだんと大きくなっていったので、死に物狂いで逃げ帰ったという。
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ヤマネコ,ニタンボージ 1966年 鹿児島県 ある所に3人兄弟が暮らしていた。長男が北向きのニタ(猪が水浴びする水溜り)にユマチ(夜待ちの猪射ち)にいった。北向きのニタにはニタンボージという妖怪がいるのでユマチはタブーになっていた。長男は帰らず、次男は敵討ちに行ったがまた帰らなかった。三男は鉄砲に7発の弾を込めて頭には釜をかぶって例のニタに出かけた。すると月のように大きく光るものが2つ襲ってきた。釜のおかげで三男は助かり、相手を倒した。夜が明けて見るとそれは大きな山猫だった。それを煮るとその肉は全部シラミになった。
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テング 1942年 新潟県 村人が寝ていると天狗が現れた。別の天狗が空から飛んできて、お互い角力を取りあった。大きな土俵を作り人間離れした相撲を盗っていた。その後、剣術の稽古をして夜が明けると方々に去っていった。
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グインサン 1981年 広島県 ある人が何日も帰らずに西の一本松の方を開墾していたら、大きな坊主が現れ「俺を負うて赤道まで帰れ、帰らんとお前を引き裂く」と言った。恐ろしいので一生懸命に背負って赤道まで行くと、背中から降りて「夜は人間の世ではなくわしらの世だ、お前がおると邪魔になる、俺はぐいんさんだ」と言って去った。その人は家へと帰ったが髪が抜けており、その後病気になり早死にした。
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テング 1933年 長野県 森林を刈りに行った人の中に、3人も4人も天狗にさらわれた者がいた。そのたびに村中の大騒ぎになり、探しても3‐5日は見つからなかった。そのうち抜けたような顔つきをして帰ってきた。
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カミサマ,ウシ,フタリノチカラモチ 1986年 沖縄県 来間のウプ・プーイが役人によって中止されたのを怒った神様は、牛になって島人を次々さらったが、2人の力持ちが牛を捕らえて、桑の木にくくりつけた。牛は木を引きずって逃げ、木は漲水御嶽の前に捨ててあった。近くにいる女の子に聞くと、お父さんが「鼻が痛い」といって寝ているというので行くと、牛になった神様だった。2人が鼻の綱をとってやると、神様は村を元に戻し、誰の家かを書いた白い紙をそれぞれの家に貼った。
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ダイジャガオコシタオオミズ 1987年 長野県 ある日,二人の猟師が本沢にやってきた。岸の茂みに大蛇がおり,恐ろしくなった若い猟師は年上の猟師の制止にもかかわらず鉄砲で大蛇の頭を撃った。大蛇は死なず,淵に飛び込んで見えなくなった。覗き込んでみたが影も形もなく,やがて淵の中からもうもうと霧が立ち昇り,真っ黒な雲が空を覆った。その日から3日間大豪雨となり,近辺の村に大きな被害が出た。5日目になってようやく晴れた。村人の中に,蛇が流れ下っていくのを見たものがおり,きっと赤沼の池の主が池と一緒に流れ下ったものだと言い合った。
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ムラヲスクッテクレタオオカミ 1987年 長野県 ある年,娘が悪者に襲われそうになった時,山から狼が現れてその悪者をかみ殺した。このようなことがあったので,村人達はますます狼を犬神様として崇めた。
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バケモノシミズ,サンボンツメノカイブツ,オオオニ 1938年 福島県 五十人小屋場という山中の平地に小屋を掛け、猟をしていると、夜中に3本爪の怪物に小屋を引掻かれた。猟師の大将が水行をして山の神に念ずると治まった。その日、清水にゆくと、5升鍋ほどの頭をした大鬼が出たので、大将は自分の力不足を感じ、狩人の大将を辞して山を下りるというと、皆も大将とともに山を下りることに決めた。帰る途中で親子連れが山に行くのにあったので制止したが、親子連れは取り合わず山に入り、行方知れずになった。
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ウミボウズ 1983年 愛媛県 入道鼻の海坊主は相撲を挑んだり、夜遅く通りかかる船に「つけてくれ」と言ったりする。力自慢の男が海坊主と格闘したが、鶏が鳴くと姿を消した。身体には毛がたくさんついていた。三日ほどしてその男は死んだが、海坊主も出なくなった。
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オオオトコ,ヤマノヌシ 1976年 新潟県 槍が上手な狩の名人が、御神楽岳のおりんという場所に出かけたところ、夕方になって迷ってしまった。煙草を一服していたら、6尺(180㎝)もある化物が出てきた。「何処から来た」と聞かれたので、狩に来て迷ったと言ったら、「ここは人間の来るところではない。すぐ帰れ。俺に会ったことをしゃべったら、命は貰う」と言われた。狩の名人はそこを立ち去って家に帰り、このことは長らく黙っていたが、臨終の床で周りの人に始めて明かした。この大男は山の主だったのだろう。
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タツ,コヘビ,ダイジャ 1985年 新潟県 子蛇が石の上に立ち、一声上げたかと思うとものすごい嵐になって龍と化して昇天した。長い間風が止まなかったが、空の彼方から声がしてぴたりと止んだ。後に村人が山に入ると、巨大な大蛇が死体となっていた。
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ダイジャ,ウデ 1935年 岐阜県 子供の泣くような甲高い鼾をかく胴回り2寸樽程の大蛇と木地師の兄弟が戦った。一度は大蛇が退散するが、夜とてつもない大きさの毛だらけの腕となって現れ、兄のほうは腹を割かれて死んでしまった。
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ヤマジジ 1942年 高知県 土佐郡の雪光山で眼の青い人間より少し大きい者が現れ、猟師の前に座った。猟師は近所の者にその話をすると、据銃を仕掛けて来た者がいた。5日程して行ってみると死んでいるものがあり、ヤマジジというもので、雪光山の主だったという。その後、殺した者と家内の者はすべて死んでしまった。
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バケモノ 1955年 青森県 3人兄弟が山仕事をしていると奥のほうから歌声が聞こえてくる。長男と次男は逃げたが、3男は我慢していた。すると化け物が近よってきて負ぶさってきた。そのまま家に連れ帰り上がりかまちに下ろすと、それは大金であり3男は大金持ちになった。
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