ヤロカミズ 1916年 愛知県 雨が幾日か降りつづき、木曽川の水が増した。真夜中しきりに「やろかやろか」と大声で叫ぶ者がいる。ある男が「いこさばいこせ」と叫ぶと、川の流れは急に増して、坂下の一帯は水に没してしまった。
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ヤロカミズ,コウズイ,コエ 1916年 岐阜県 今から2・300年前、雨天続きの時、木曽川の上流で「やろかやろか」と呼ぶ声がした。村民の中にこれに応えて「いこさばいこせ」と言った者がいた。するとしばらくして川の水が増加し、ついに大洪水になった。この大水をヤロカ水と称する。
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アカトリ 1967年 石川県 しけの時、あかとりが海の中から「柄杓をよこせ、よこせ」という。柄杓の底を抜いて渡さないと水を入れられて船が沈む。
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ニジュウゴニチノカミサマ,ヒイミサマ 1956年 東京都 1月13日に三味線や笛できれいな着物の者が来た。二十五日の神だった。「今こられたら島の者が餓死する。25日に来てくれ」と言ったら戻っていった。男は「お湯よこすなよ、わたしよこすなよ」と言って俵三表上げて寝てしまい、間もなく死んだ。
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フクロサゲ 1956年 狸が樹の茂みの上におり、人がその下を通ると、白い袋を下げてよこして脅かしたといわれる。
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フクロカツギ 1931年 長野県 夕方隠れ鬼をすると魔に隠される。魔をふくろかつぎという。
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ヤマワロ 1950年 熊本県 海で採ったナマコを提げて戻ってくるとヤマワロが出てきて、ナマコをくれと身振りで示す。ただではやれぬので何かよこせというと3尺ほどの松の丸太をよこした。魚と交換に、大きなカライモを持って帰った者もいるという。
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カイナデ,カイナビ 1956年 便所の怪。節分の夜、便所に行くと、これに尻をなでられる。やむなく入るときには「赤い紙やろか、白い紙やろか」といって入ればよい。
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オバケ 1972年 兵庫県 便所へ行くと「赤い紙やろか、白い紙やろか」とお化けが言うと、低学年、特に1年生の間に伝説が広がる。だから皆、数珠つなぎになって便所へ行く。
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キツネ 1972年 山形県 昔、狐が男の女房に化けてツトコに入れた賄の残りをせしめようとしたが自分の持っていた鴨を男に取られてしまった。狐は悔しがって男の家の戸を叩きながら「鴨よこせ」と2晩も3晩も叫んだ。
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ショウヅガババア 1985年 茨城県 昔雪の降った翌朝一人の女が寒さで行倒れになって凍死していた。この田の所を夜になって通ると、お化が出ると言って、子供は夕方になると通らなかった。又遅くまで遊んでいると、しよおづかばばあにつれて行かれると子供を驚ろかした。
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キツネ 1976年 京都府 サンエモンという人が狐と出会った。「何が一番怖いか」と問われたので「千両箱が怖い」と答えると、狐はそれを投げてよこした。サンエモンは大金持ちになった。
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テング 1969年 香川県 杣師が山に入って気を切り束にしていると、暗くなってしまった。そしてオギャアオギャアという鳴声がした。これはよくあることで、これを天狗の鳴声と言う。
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(カミオガワノオンナ) 1957年 愛知県 ある人が足助の帰り、上尾河の渕で女から「榎渕に入れてくれ」と手紙を預かった。法印に見てもらうと「この人を殺してとってよこせ」と書いてあった。
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(ヒ) 1963年 岡山県 夜、墓地一帯が燃えているのを見たが、翌朝行ってみると何でもなかった。
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グヒン,タヌキ 1960年 長野県 岩焼に行ってランプをつけ、荷造りに使う木を割っていると、ウラジロの木を叩く音がし、屋根の上へ倒してよこした。狗賓様か狸の仕業という。また神放しのまじないがある。
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フクロウ 1937年 秋田県 梟は人をおどかすために羽毛を樹上で光らせることがある。その下で「おお怖い」と何回もいうと、そのたび羽毛を落としてよこし、しまいに皆毛の抜けた姿になってボタリと落ちてくる。
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タジカラオノミコト 1983年 山梨県 杓子山二ある岩穴は、天照大神が岩戸隠れをした場所である。手力男命が扉をはずして山に向かって投げつけて、そんぼ扉があたった所を扉(とおびら)といい、扉の鍵が落ちた場所を鎌懸(かぎかけ)と呼び、鎌懸の向こうは、錠が落ちたので、錠川とよんでいる。
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キツネ 1976年 宮城県 丹野さんという医者が軽松部というところで倒れている産婦を助けた。お礼といってよこした銭は、家に帰ると木の葉にかわり、乗っていた自転車の二台につけていたキジはなくなっていた。狐にだまされたのであった。
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タヌキ 1991年 愛媛県 向こうから「おーいおーい」と声がする。答えると「どこへ行くものぞー」などと聞いてくる。狸が人間の言葉を話した。昔の狸は偉かった。
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トリ,(ゾクシン) 1939年 和歌山県 烏の鳴きが悪いと人が死ぬ。悪いときは悲しそうに引張ってなく。その鳴声は死人のある家の人には聞こえない。
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