ジガミノタタリ 1984年 新潟県 ある家の主人が風邪を引いたようになって寝込んだが、そのうちに口が利けなくなり、耳も痛くなってきた。入院したが、病名がわからない。「八海山」が神さまにうかがったところ、「地神さんの祟り」ということがわかった。その家の地神は屋敷の藤の木の根元にあり、毎日お椀1ぱいの飯を上げていたが本尊のムジナの眷属が多くなってそれでは足りなくなったという理由であった。早速たくさんの供え物をしてまつったところ、主人は急に回復した。
類似事例 |
|
タコ 2002年 山口県 昔、甚平という漁師が住んでいた。魚を捕ることが巧みで近隣の者は皆知っていた。ある日甚平が岩の近くで魚釣りをしていると、急に船が傾いた。見れば大きな蛸の足が船縁を掴んでいた。甚平はその足を包丁で切って持って帰った。その味を覚えた甚平が翌日も岩へ行ったところ、その日も蛸が現れた。こうした日が5日続き、8本の足が3本にまで減った日に、甚平はこの蛸を捕ってやろうと包丁の代わりに縄を持っていった。それきり甚平は帰らず、主のいない船が夕方に浦へ流れ着いた。村人達はきっと蛸に食われたのだろうと噂した。それ以来その岩を甚平岩と呼ぶようになった。
類似事例 |
|
リュウトウカンノン,ゴシンスイ 1976年 愛知県 奥田字日沢の地、1アール程の林に囲まれた静かな田んぼのほとりに粗末な社と小屋があってのぼりが多くたっている。その小屋に竜頭観音の額と由来をしるしたものがある。神代国造りの時、美津波能女之命が竜に乗って天より下り少彦名命の病気を治した。その場所に水が湧き、後に病で苦しむ人皇20代允恭天にもその御神水は効果があり病気が全快された。今も万病に効くが特に婦人病によいとされ水を瓶につめて持ち帰る信者が多い。
類似事例 |
|
キツネ 1989年 鳥取県 大山の麓の種原で魚売りの商人が大勢の狐に襲われ、木に登って逃げた。「藤助のかかあを呼んでこい」という声がして、大きな古女狐が来た。商人は襲ってきた女狐の額をカナリョウで打ち、女狐は死んだ。種原の藤助は妻が狐とは知らず、田植えができずに困っていたので、仲間の狐が一晩で植えてやった。藤助の稲は穂が出なかったが、刈り取ってみると茎の中から米が沢山出て、分限者になった。
類似事例 |
|
バケモノシミズ,サンボンツメノカイブツ,オオオニ 1938年 福島県 五十人小屋場という山中の平地に小屋を掛け、猟をしていると、夜中に3本爪の怪物に小屋を引掻かれた。猟師の大将が水行をして山の神に念ずると治まった。その日、清水にゆくと、5升鍋ほどの頭をした大鬼が出たので、大将は自分の力不足を感じ、狩人の大将を辞して山を下りるというと、皆も大将とともに山を下りることに決めた。帰る途中で親子連れが山に行くのにあったので制止したが、親子連れは取り合わず山に入り、行方知れずになった。
類似事例 |
|
アシワセノクマ 1976年 新潟県 御名部の崎という所に粛慎人が船に乗ってきて、春夏漁をしていた。島の人は、これは人ではなく鬼魅だといい近付かなかった。また島の東の禹武という村の人が椎の実を焼いて食べようと灰に埋めたところ、2人の人になって火の上に飛び上がり争い始めた。占いをすると、この村の人は魃鬼のためにまどわされると出て、その通り、掠め取られた。この後、粛慎人は瀬川の浦へ移った。浦の神はあえて近付かなかった。これにより水は減って、その水を飲めば半分は死んだ。これを俗に粛慎の隈という。
類似事例 |
|
ケンムン 1969年 鹿児島県 ある男が12月頃の晩に潮干狩りに行く。木を枕に海岸で寝ていると、その木はケンムンの枕木だったのでケンムンの声がして来た。「今晩生まれる子が女の子であれば、他部落に嫁入りするように。その時大雨が降るが木の下に隠れるように。その時石垣もろとも木が倒れ娘は命を失う。運命だ。」男が家に帰ると女の子が生まれていた.。成長し嫁入りすることになったが予言どおり大雨になった。父はついていくといって聞かず、雨宿りさせなかったので無事に嫁入りは終わり、その子は百才まで生きた。それで田舎ではケンムンの死の予言を祓う。
類似事例 |
|
キツネ 1949年 福島県 一人の男が田圃を耕していると、きれいな女性が来て腹が痛いといって泊り込み、ついに夫婦となった。三人の女の子が出来た。あるとき、油断をして白い尻尾を見られて、悲しんで山に逃げ帰った。夫が小さい子を連れて乳を貰いに山にいき、家に帰るように懇願した。しかし、家には帰れないが、稲と鉏を田圃に置いておけば手伝いをしてあげようといった。そのとおりにすると、苗の植付けは終わっており、秋にはよく実って、男は金持ちになった。
類似事例 |
|
カミサマ,ウシ,フタリノチカラモチ 1986年 沖縄県 来間のウプ・プーイが役人によって中止されたのを怒った神様は、牛になって島人を次々さらったが、2人の力持ちが牛を捕らえて、桑の木にくくりつけた。牛は木を引きずって逃げ、木は漲水御嶽の前に捨ててあった。近くにいる女の子に聞くと、お父さんが「鼻が痛い」といって寝ているというので行くと、牛になった神様だった。2人が鼻の綱をとってやると、神様は村を元に戻し、誰の家かを書いた白い紙をそれぞれの家に貼った。
類似事例 |
|
ベンザエサン 2000年 愛媛県 下天満集落の北にある民間小社には、ベンザエさんが祀られている。その小社の脇には松が植えられる。沖に出ていた漁師がその松の枝に波しぶきがかかっているのを見ると、すぐに帰り、枝を切って清掃する。そうせずに放って置くと、必ず祟りがある。但し信心すると病気は去るという。
類似事例 |
|
オカネウムムスメ 1956年 宮城県 昔、名鰭沼のふちに夫婦が住んでいた。子どもになかなか恵まれず、願かけて神に祈っていると、春の猫柳の芽がふくれる頃、嫁の腹が大きくなり、ついに女の子が生まれた。しかし片目片耳の子だったので、人目をさけてボロに包んで納屋においておいた。あるとき用事で、どうしても子を背負って町にいかなければならぬことになったので、慎重に包んで出ていった。町の用事がすんで帰るとき、石の上に子どもをおろして休んでいると、腰のまがった白髪の爺さんがきてボロをはがして子どもを見て「これはいい子だ。神様の授かりものだ。今にお金を生むから毎朝米一粒ずつつかませておけ」と言い残して消える。ためしに米一粒つかませるとお金を一つ産んだ。夫婦はしだいに金持ちになったが、慾の出た夫婦は「うんとつかませたらうんと生むだろう」と、ある日つかみきれないほど米をつかませると、子どもは死んでしまった。
類似事例 |
|
カミヅツミ,リュウグウジョウ 2003年 沖縄県 与那覇村の男は龍宮城で歓待を受けたが、家に帰りたいと神に訴えた。神は地上では三十三代の時が過ぎていることを告げたが、男は帰りたがった。すると神は1つの紙包を男に与えた。それを携えていくと向かうところが道になり、故郷に帰れるという。また故郷に居場所がなかったら、紙包を携えて帰ってくればまた戻ってこられるという。神は男に紙包を絶対に開けてはいけないと戒めた。男は紙包を携えて故郷に帰った。
類似事例 |
|
ダイジャ,ハチダイリュウオウ 1999年 滋賀県 明治の頃、重助、ぼけた、和右ェ門の3人の先祖が、船越付近の山へ芝刈りに行くと大きい竜のような蛇が現れた。3人はびっくりして腰を抜かした。これがもとで重助の先祖は高熱を出して床についた。長い間熱が下がらないので神さんにお伺いを立てると、「八大竜王」がまつって欲しがっており、先日の大蛇は竜王の化身かお使いだという事がわかった。早速小祠を立てると重助の先祖の熱はたちどころに下がった。
類似事例 |
|
グインサン 1981年 広島県 ある人が何日も帰らずに西の一本松の方を開墾していたら、大きな坊主が現れ「俺を負うて赤道まで帰れ、帰らんとお前を引き裂く」と言った。恐ろしいので一生懸命に背負って赤道まで行くと、背中から降りて「夜は人間の世ではなくわしらの世だ、お前がおると邪魔になる、俺はぐいんさんだ」と言って去った。その人は家へと帰ったが髪が抜けており、その後病気になり早死にした。
類似事例 |
|
スギ 1936年 島根県 神楽のことで理屈に合わないまま言い負かされた男が、神社の杉の枝を折って祈り、うやうやしく自らの里へ持ち帰ると、枝が新芽を出したので、社殿を建てて祀った。
類似事例 |
|
リュウグウサン 1976年 長崎県 海で四足の魚が何度も同じ船の網にかかった。その猟師が病気になったので四足の魚を祀ると治った。ゆえに竜宮さんとして崇める。
類似事例 |
|
ヤクジン 1976年 東京都 天保8年2月下旬、次女の乳母が日暮れに急に寒気立ち、夜着を被って打ち伏せていたところ、翌朝になり、昨夜より風呂敷包みを背負った男が側にいると言った。これは疫神かと、種々の札を枕元に掛けたところ、男は立ち去ったといって全快した。ところが上野の祭礼に主人とせがれとで行ったところ、急に歯が痛くなり、家に帰ると治った。すると乳母が再び寒気を訴えた。そこで刀を抜き乳母を峰打ちにしたところ、男がすぐに立ち去るので、障子を開けて欲しいと言った。障子をあけると乳母はそこで倒れたが、そのまま起き上がり正気となった。早く塩をまいて箒で掃き清めよ、と言った。
類似事例 |
|
(ジシンノオウギ) 1940年 山梨県 夢のお告げを聞いた玉吉は、朝早くに万年橋に向かい、お告げ通り扇を手に入れた。家では長年家から出たことのない玉吉がいなくなったので大騒ぎをしていたが、ぼろぼろの扇で仰ぎながら帰ってきた。大水害の後で家は建て直したが地神は祭っていなかったので、早速屋敷神を祭って地神祭をした。しばらく後、玉吉は体も治り仕事をするようになった。村人がこれを聞き、病気になると扇であおいでもらうようになった。仰いでもらうと、すぐに病気は治ったという。
類似事例 |
|
ニジュウゴニチノカミサマ,ヒイミサマ 1956年 東京都 1月13日に三味線や笛できれいな着物の者が来た。二十五日の神だった。「今こられたら島の者が餓死する。25日に来てくれ」と言ったら戻っていった。男は「お湯よこすなよ、わたしよこすなよ」と言って俵三表上げて寝てしまい、間もなく死んだ。
類似事例 |
|
〔サケノダイスケ〕 1956年 岩手県 旧家羽縄(ハナワ)家に伝わる伝説。沢山の牛を飼っていたが,毎年巨鷲が飛んできて牛を掠っていく。刺し殺してやろうと,主人が牛の皮をかぶって待っていると,鷲に掴み去られて玄界灘の孤島の老杉の枝に置き去られた。島から逃れられず困っていると,老人が現れて「私は鮭の化身で,大助という一族の長だが,毎年10月20日には仲間達が気仙の今泉川に入って産卵する例になっている。貴国の人たちへの恩返しとして送って進ぜよう。」と言う。主人は無事帰郷できた。羽縄家では毎年10月20日に当主が川口に行って神酒を供え,鮭綱を切ってやり,産卵しやすくしてやることが明治頃まで仕来りとなっていた。また羽縄家では一切鮭を口にしなかった。
類似事例 |
|