イケノヌシノダイジャ 1984年 新潟県 談義所坊という寺におとわという女中がいた。わらび採りにいって、金北山のふもと近くまで登ってしまう。おとわはそこで月の障りのために汚した腰巻を洗うと、池の主の大蛇が立派な男に化けて出てきておとわを口説く。男は白い馬に乗って迎えに来、ついにおとわは男と山へ登る。おとわは池を通りかかった和尚に鏡と亀甲の帷子の袖を形見に残してそのまま池に飛び込む。この形見は談議所坊の宝物となっている。
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ヤモリ 1974年 長野県 信濃国松代の山里に、有名な力自慢の者がいた。水無月の頃に彼は友人と山に入ったところ、きわめて大きな蛇が出てきた。そこで彼は上あごと下あごを持って口を裂こうとして失敗し、鎌で大蛇の口から喉にかけて切り裂いた。その体の太い所だけを家に持ち帰ると、親は大蛇は山の神に違いなく、必ず祟りが起こるといって家を追い出した。里長が何とか宥めた。彼の身体に蛇の匂いがついて抜けず、医者が薬を与えると消えた。その医者が言うには大蛇ではなく野守だという。彼はその後、山に入って官木を盗んだ罪で死刑になったが、野守の復讐だと思われた。
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カンノンゾウ,(ユメノオツゲ 1989年 長野県 長石寺に泥棒が入って本尊を盗んだが、背中が重くなって恐ろしくなり、天竜川へ捨てた。観音は流れて泰阜村の門島に着いた。泰阜の明島のある人の夢枕に観音様が立ち、助けを求めた。その人が目を覚ましてから淵に行くと観音があった。拾い上げて船で返しに行くと、台座にぴたりとはまったという。
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ダイジャ 1930年 静岡県 昔、爺さんと娘が行方不明になった。村人が山を捜索していると生臭い風が吹いてきて、水風呂桶のような頭の大蛇が現れた。そこに南部六という猟師が現れ、大蛇を退治しに向かったが、大蛇に殺されてしまった。その後、南部六の双子の娘が父の横死を知り、観音の加護をもって敵を討った後、巡礼の旅に出た。村人は蛇の祟りを恐れ、高徳の坊さんを頼んで蛇骨を埋葬して堂を建て蛇骨山大蛇院と名づけた。
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スイショウノカンノン 1979年 長崎県 唐比の池あたりに甫陀林という僧院がある。そこに高さ1寸(約3cm)の水晶で出来た観音像が安置されている。先年ある者がこの観音像を盗み出したが、小倉で奇験が生じたため元に戻したという。また途中この観音像を落としたので傷が入っていたが、時が経つにつれて傷が無くなったという。
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ブツゾウ 1973年 愛知県 江戸の末期、西方寺の仏像が金だという噂を信じた男がある夜、仏像を盗み出した。腕をもいで確認しても金ではなく外れた男は、野つぼに投げ込んでしまった。其の夜から男もにわかに腕が痛み七転八倒苦しみ、あの世行きとなった。
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ヘビニナッタボウサマ 1987年 長野県 昔,肥後の国に住んでいた坊様が多くの人を救いたいと考え,信州の善光寺に月参していた。四日目には必ず四泊と呼んでいるところにやってきた。ここには美しい池があったが,この池は見つめるものを蛇に変えてしまう恐ろしい池だった。坊様が池の中を覗き込むと,体が熱くなってきて見る見る蛇の姿に変わっていき,しばらくして池の底に消えてしまったという。
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(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 こうやまきの北側にあるお堂には、有名な観音像が祀られていたが、ある時これが盗まれた。するとある人の夢枕に観音が立ち、「桔梗原の松の木の下で寝ているから迎えに来てくれ」と行った。行ってみると本当にそうだったので、背負って帰ってきたという。
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キツネ 1976年 滋賀県 正念寺という一向宗の寺に狐が住んでいた。人の目には見えず、寺を火災から守り、住僧が他出の時には守護してついていくという。ある時住僧の草履に物をのせた者があったが、帰ってから物陰から人語をなして、吾が草履の上にいたのに、物をのせられたと大いに怒った。住僧は、人の目に見えないのだから仕方が無いことであると言ってそれをなだめた。また、狐憑きの事を寺が頼まれた時に、災いをなすのは野狐であると答えた。また、官を進むために金が入用であると、賽銭箱からこぼれた金を集めていた。
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ヘビ,オンネン 1929年 神奈川県 昔、入暁という住職がいた。師僧が死ぬと、間もなく庭の隅に一匹の蛇が出始めた。入暁が追うと、すぐに隠れるが、いつのまにかまた元のところに出ている。蛇のいるところを掘ってみると、金銭の入った小瓶を見つけた。師僧の怨念が、蛇となって銭瓶を守ったと考えると、入暁は人の浅ましさがいやになり、そのまま寺を捨てた。
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ダイジャ 1982年 群馬県 弘法大師空海上人が第二の高野山を捜して袈裟丸山に登ったが、千谷は見つからなかった。尾根伝いに歩いてさいの河原まできたとき、白い大蛇が大師を呑もうと襲い掛かってきたので、経文を唱えたら大蛇は去った。大師は夢で川の中に仏像があることを知り、村人とともに捜してお祀りした。そのときの庚申様がある大沢寺は、大蛇と戦ったいわれがあるので山号が竜宝山。
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(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 お寺淵の底は竜宮まで続いている。そこには大蛇が住んでいた。お寺の大般若が近づいたとき、住職が皿が十枚足らずに困っていると、淵の岩の上に皿十枚と書いた紙を置いておくと大蛇が借りてくれるという夢を見た。その通りにして助かったという。
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ジゾウ 1943年 山形県 天宥法印が彫った地蔵が叢に埋もれていた。海老島の寺の和尚が、羽黒の山の叢林に引っかかっている地蔵尊が自分を呼んでいる夢を毎晩見た。探し歩くと、足元から自分を呼ぶ声がしたので、よく見ると地蔵様がころがっていた。
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カタテノナイブツゾウ 1991年 愛媛県 ある時、若宮神社の片手の無い仏像を盗んで逃げた坊主がいた。坊主は御荘から船に乗ろうとしたが、どうしても船が港から出ない。調べると坊主が仏像を持っていた。
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ヤマノテラドウウンジ,ダイジャ,シロキツネ 1956年 宮城県 女とその懸想した男が大蛇となってから500年経た暦応元年(1338)、加州金沢の大乗寺三世明峯素哲禅師が陸奥に弘教し、岩沼竹駒神社の初午に参詣した時、老翁からこの話を聞き、その案内で大菅谷保の藤左衛門の家に泊った。翌未明山ノ寺の南の丘に登って大蛇の棲む寺跡の湖水を見、7日の間祈祷したのち一喝して杖を投ずると2頭の大蛇が現れて逃げ去る。そのとき白狐が飛び出して禅師に感謝し、永く寺の守護を約する。禅師が祈祷した地に寺を建て実相寺という。
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ユメ,ハクジャ,ビシャモンテン 1933年 栃木県 30年程前のある夜、白蛇が現われて、「土中に埋められているから掘り出してくれ。出してくれたら一生安楽に暮らさせる」と言う夢を何度も見るので権現山に行ってさがすと、毘沙門天の像が出てきた。
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(ユメノオツゲ) 1989年 長野県 泥棒に捨てられた観音は天竜川に流れて泰阜村まで行った。そこの明島という場所のある人の夢枕に立ち、助けを求めた。その人が淵に行ってみると、本当に観音があった。拾い上げて船で送り届けると、観音像は寺にあった台座にピタリとはまったという。
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リュウジョ,ダイジャ,コマヅカ 1976年 兵庫県 康保4年の冬、源満仲が能勢の山で猟をした時、夢に竜女が現れて、礼に竜馬を与えるので川下の大蛇を退治して欲しいと願った。目覚めると1匹の馬が傍にいた。満仲はその馬に乗り大蛇を退治した。満仲の死後も馬は生きていたが、やがて死に、家臣の者が馬を山岳に埋めてその上に堂を建て、駒塚山堂と名付けた。その後文明2年3月18日から毎夜駒塚が発光した。慈光山普明寺の住僧が塚で普門品を誦したら、たちまち雷鳴して馬の頭が出現した。住僧はそれを持ち帰り竜馬神と名付け金堂に納めた。
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ダイジャ 1993年 福井県 ある日旅の僧が大蛇を訪ねてやってきた。退治してやるとのことで村人は大蛇の住む池に案内した。僧は読経して黒い鉄の玉を池に放り込んだ。大蛇は鉄の玉が嫌いで逃げ出したが、滝を降りようとしたところで首の骨を折って死んでしまったという。大蛇の血が川にも七日七夜流れ続いたという。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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