ウトジングウ 1992年 宮崎県 沖で暴風に遭い、気力が滅入って諦めかけたとき、古風な神様が晴れ晴れしいお姿で頭上を通り過ぎた。それで我に返り、仲間を励まして船を神様が去った方角へ漕ぎ進め、帰港することができた。
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カミサマ,ハチマンサマ 2001年 青森県 網を積んだまま止めていたある漁夫の船が、5分ほどの内になくなってしまった。神様に伺ってみたところ、船は八幡様が満州へ渡る為に借りていったということであった。
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アワビ 1928年 千葉県 岸和田の海岸には大きな鰒魚が住んでいて、大傘を開いたほどの大きさであったという。誤ってその殻に触れると海が荒れると信じられている。ひとりの乙女が船人である恋人に会うために鰒魚を怒らせようとしたが、度を越してしまい、乙女の船は転覆し、これを助けにいった男も海の藻屑となった。
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オオアワビ 1967年 千葉県 岸和田で美しい海女とねんごろになった若者がいたが、働き者で沖へばかり出ていた。海女は淋しくて、海がしけるのを望んでいた。触れると必ず海が荒れるという大鮑が浦の沖に住んでおり、海女は毎日海を荒らして若者と会った。ある日、あらしを一時におこそうとして、数日分の大しけがおそってきて、たくさんの船が難破した。海女は若者が心配になって沖へこぎ出したが、大鮑の附近に近づくと、そちらへ吸い込まれた。これをはるかに見た男は女の舟を追ったが、ついに海女は舟とともに沈んでしまった。
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フナユウレイ、モウレンブネ 1956年 宮城県 黄昏時になると,沖の方からホーイホーイとこちらに呼びかける声が聞こえ,灯がちらちらと見える。やがて「桶貸してけれ」と無気味な声が聞こえてくると,漁師達は「もうれん船だ。亡霊船だ。」と囁き合って逃げ支度に入る。静かだった海がうねり始め,霧が立ちこめてくる。「桶貸してくれ」という声がなおも追いかけてきて,海霧の向こうにうっすらと船の形が見える。とても逃げ切れないと思ったら,アカ桶の底を抜いて投げてやる。そうしないと海水を掛けられて船が沈むか,暗礁に乗り上げて難破する,と今でも漁村の老人は信じている。
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カメノタタリ 2003年 千葉県 明治の終わり頃,利根川口で機械船が一匹の大きな海がめを生け捕りにし,乗組員はそのカメを料理して食べた。その日の作業が終わって船が港に入ろうとすると,海が急に荒れだして舟は転覆してしまった。ただ一人陸にたどり着いた船員は「カメが,大ガメが・・・」といううわ言を残し,腑抜けになって間もなく死んだ。銚子の漁師達はカメの祟りだとして恐れおののいた。
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ウミボウズ,ウミガミ 1976年 愛媛県 話者が漁に出た帰路に、船が進まなくなった。海坊主につかまったと思ったが、話者の父は「海神に御神酒を供えるとよい」と言う。酒を海に注ぐと、船は動き出した。海坊主が舟をつかまえるのは、海神が怒っているからという。
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ユメノオツゲ 1960年 大分県 昔一隻の船が大風である港に流れつき、一同は途方に暮れていた。すると、明日鷹が飛んできて帆柱にとまるのでその鷹についていけば日本に帰れるという夢のお告げがあり、果たしてその通りになり日本に帰り着いた。
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(フナユウレイ) 1932年 長崎県 平戸島附近で聞いた話であるが、あるしけの夜に船をつける場所もわからず途方に暮れていると、傍らを大きな帆前船が通っていったので、その後についていくと、その船は平戸の瀬戸の方に進んでいった。しかしついて行った船は瀬に乗り上げてしまった。
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フナユウレイ,シユウサイサマ 1932年 長崎県 大正11年の秋の午前2時ごろ、雨が降り出し、漁船の乗組員が萬燈のように灯をつけた汽船を見た。船幽霊であった。しゆうさいさまという神様は自分の罪を人に被せたために、淵に沈められて死んだ人が祟ったのでこれを祀ったものであるが、海に出ると柄杓を貸せという。
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ジンベイサメ 1956年 海の怪。畏怖というよりは、漁師から大漁を与えるものとして、霊妖視されている。頭部も尾部もわからぬほど大きく、船団の下に入って船を支えていることがあり、その周りには鰹の大群が遊泳して大漁となる。ただしこれに出遭ったのちは、舟に穴が開いてないかどうか調べねばならない。現在でも信じられており、このとき海中の光るところを竿で突くと、沈んで消えてしまうともいう。海の怪物というより、鯨か鮫の一種で、今でも生息しているといわれている。
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ジンベイサメ 1956年 海の怪。畏怖というよりは、漁師から大漁を与えるものとして、霊妖視されている。頭部も尾部もわからぬほど大きく、船団の下に入って船を支えていることがあり、その周りには鰹の大群が遊泳して大漁となる。ただしこれに出遭ったのちは、舟に穴が開いてないかどうか調べねばならない。現在でも信じられており、このとき海中の光るところを竿で突くと、沈んで消えてしまうともいう。海の怪物というより、鯨か鮫の一種で、今でも生息しているといわれている。
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ジンベイサメ 1956年 海の怪。畏怖というよりは、漁師から大漁を与えるものとして、霊妖視されている。頭部も尾部もわからぬほど大きく、船団の下に入って船を支えていることがあり、その周りには鰹の大群が遊泳して大漁となる。ただしこれに出遭ったのちは、舟に穴が開いてないかどうか調べねばならない。現在でも信じられており、このとき海中の光るところを竿で突くと、沈んで消えてしまうともいう。海の怪物というより、鯨か鮫の一種で、今でも生息しているといわれている。
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クジラ,オンナノカオ 1933年 佐賀県 鯨がある漁師の夢枕に立ち、明日は大宝山参りでこの沖を通るから、どうか自分を捕らないでくれと頼んだにもかかわらず漁師はその鯨を網にかけた。すると物凄い雲が現れ、その雲の中で女の顔が笑った。とたんに暴風雨となり、鯨組全員は海の藻屑と化した。
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ウトジングウ,ヒバシラ 1992年 宮崎県 沖で悪天候にあい、針路を失った。鵜戸神宮と榎原の神様に一心に願掛けをしたら、自転車の車輪大の火柱が、鞍先灯台方面と水島方面に灯り、それに力を得て船を進め、難を逃れることができた。
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カワウソ 1929年 長崎県 何とも知れぬものが船にのぼろうとすることがある。ある時、沖に人のいない船があり、強気の男が行くと、果たして出てきた。やっとのことで帰ったが、これは河獺のすることだろうと言う。
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シロイヒ 1969年 鹿児島県 天がシトシト降る晩に、魚釣りに行ったイタツケ船が帰る途中、白い火があちこちに見えた。そして船を揺さぶった。帆を下ろそうとしてもおろせず、木崎という岬の近くに来て底が見えるくらいの所に来たとたんに火がなくなった。
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マツ,カイブツ 1922年 岩手県 上閉伊郡栗橋村字古里に大きな松の木があり、日光を遮っていた。耕作物の邪魔になるので伐り倒そうとしたが、次の日になると元に戻っていて伐ることができなかった。ある日夢に一人の翁が現れ、木の伐屑を毎夕方に焼き棄てれば成就すると告げた。言うとおりにすると木は倒れ、それを用いて船を造った。しかし、不思議なことに船は一夜のうちに姿を消してしまった。あるとき、漁夫が橋野川の川上で得体の知れないものを見つけ、大权で突き刺した。一度帰り、次の日再び現場に行くと何もいなかった。探している内に漁夫は狂い、あたりは風雨となり大洪水が起こった。一夜たつと河口に突如として奇岩が現れた。人々は、漁夫の突き刺した怪物の化身だと言い囃した。
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キエタフネ,レイカン 1936年 新潟県 荒れた海を引き返そうとせず進んだ船が、行方不明になり、天候回復後に調べてみたが見つからなかった。船長の妻がその夜、外套を着た夫が血で塗れた恰好で帰ってくるという夢を見たという。
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アジシマノオオニュウドウ 1956年 宮城県 網地浜地区では,漁があると初物を種ヶ崎の神社に奉献する習慣があった。しかし明治の中頃この部落にいた四郎右衛門という鰹船の船頭はとても吝嗇で,獲ってきた鰹を神前に供えず,申し訳程度に社前の海に投げては後でそれを拾って帰るということをしていた。ある夜遅く,眠っているところを雨戸の外から呼び起こすものがあるので出てみると,入り口に大入道が立っておりいきなり四郎右衛門の手をとって外に引き出そうとした。柱に掴まって抵抗すると,敷居ごとミリミリと壊れかけた。大入道は「行かぬなら馬を連れていくぞ」といって厩舎の方に行き,馬も入道もそれきり姿を消した。
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