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怪異・妖怪伝承データベース
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検索対象事例

オキノサン
1935年 埼玉県
埼玉の熊谷地方一体にはおきのさんという紙の姉様人形を信仰する風俗がある。農家のお婆さんによれば、「おきのさんはよく働く。よく信心すれば蚕の手当てもしてくれる。嫁の働きが悪かったり子守が精を出さない時もおきのさんを信心すればよくなる。あるときおきのさんを勝手に借りて勝手に祭っておいたらその夜におきのさんがやって来た。弁天様のように蛇になってやってきた」という。

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ベンザイテン,ヘビ
1935年
昔、ある弁才天の神官の家にひとりの娘がいた。近所の百姓が多忙の時期には娘の手を借りることもあった。ある時百姓が養蚕のために手が不足したのでその娘を頼みにいくと、神官の家に出産があり手がいるので娘を借りることができなかった。しかし百姓が家に帰るとその娘が来ており、都合がついたという。それから娘は毎日その百姓の手伝いをした。仕事に区切りがついたので、娘を返すため神官の家まで送ると、娘はお参りをさせてくださいと言って神社に入ったきり帰ってこない。神官の家を訪れると娘はちゃんといて、手伝いには行っていないという。そこで百姓と神官が弁才天の前まで行くとその娘そっくりの頭を持った蛇がいた。神官が礼を述べると蛇は姿を消した。
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イケノヌシ
1939年 千葉県
長沼池には弁天様が祭ってあるが、池の主は蛇だという。池の主は他村から来た女性に化け、近くを通る村の馬車引きなどと道連れになる。そして池が汚れたとか祠の掃除の仕方が悪いとか、その池についての希望をさりげなく話す。話しかけられた者は村人にそれを告げ、村人は総出でその希望通りに祀るという。
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ヘビ,ミイサン
1988年 奈良県
貧しい百姓の家の嫁が、袋を被った蛇を産んだ。「みいさん」と呼んでかわいがって育てた。ある旱魃の年、「みいさん」が大雨を降らせてくれて大豊作となったので、村人は「みいさん」を祠を建てて祀った。その家は繁昌し、松尾長者と呼ばれるようになった。
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ヘビ
1977年 山形県
峠で坊さんが昼寝をしていたところ、蛇が化けてきて関屋を湖にしてそこに住むといった。坊さんはそのことを村人に教え、鉄の針で蛇を退治する。坊さんを祀ったのがオグラ神社である。
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キツネ
1984年 山梨県
母(1873年生)から聴いた話。境川のマエダ集落の人が甲府への行き帰りによく狐に騙された。あるお爺さんが狐の好物を持っていたら子供に化け出たので、馬にしっかり縛って捕えた。村人が集まって、正体を見せた古狐を殺そうかと相談していたら修行の坊さんが通りかかり、命ばかりは助けてやれと言うので助けてやった。捕まったのは雌狐で、坊さんはその番いの雄狐が化けてきたものだった。以来、その狐は人は騙さず、稲作の害になる鳥などを食べて村を助けるようになったので、狐川稲荷として祀った。
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カミノオツゲ
1935年 熊本県
おきん女という玩具の由来。数百年前、六郎という孝子が戦で瀕死の重傷を負った父右近の回復を毎夜市杵島の神に詣でて祈った。この孝心を哀れと思ったのか、神のお告げによって日奈久の温泉を発見し、之に浴して父右近は全快した。この時六郎の孝心にほだされて、陰になり日向になり右近を看護したのがおきんという女だった。
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キツネ
1974年 神奈川県
相模国三浦に大多津が崎というところがあり、おみい女という狐がいて、よく源頼朝の時代の話をしたり、美女に化け人を惑わしたりした。ある農家に伝来する鏡を恐れたので人が化かされるとこの鏡で正気に戻した。祠を建てて祭ると現れなくなった。
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ミガワリジゾウ
1987年 長野県
昔,女中や下男を沢山使っている長者がおり,昼食を田に運ぶ仕事を女中にさせていた。その中に信心深い娘がいて,村の地蔵の傍を通る時には一椀に飯を持って通っていたが,「娘が男の所に飯を運んでいるのではないか」と噂するものが出た。そこで長者は娘を問いただしたが,地蔵にあげているという娘の言葉を信じず,焼け火箸で顔を焼いて白状させようとした。ところが不思議なことに娘は火傷せず,地蔵様の額に火箸のかたがついた。その後,長者は貧乏になり,娘は無事に暮らしたという。
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ヘビ
1985年 福島県
昔、きれいな娘の所に男が通い、娘のおっかさまがあとをつけて行くと、立派な男は蛇だった。そこでおっかさまは娘に今度男が来たら衣装に針をさせといい、娘がその通りにすると、蛇はうなった。蛇のおっかさまがそんなとこに通っているからこんなことになったんだというと、蛇は子供を作りこんできたから大丈夫だ、そして、菖蒲湯をつけると子は流れてしまうのだという。娘のおっかさまがさっそく菖蒲湯に娘をいれると蛇の子供が出ていった。そのために5月の節供の夜には菖蒲湯をたてる。
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キツネモチ
1922年 島根県
ある茶屋の婆さんは、昔ある家から狐を買い求めたといわれており、その婆さんに妬まれると狐に憑かれる。憑かれた家は祈祷や呪いをしてもらったりするが、それでも落ちなければ持ち主の婆さんを迎えに来させる。余り難儀をかけるので家族がその狐を封じてもらったといい、近頃はその話を聞かなくなった。
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ダイジャ,ウシイシ
1935年 群馬県
奥上州の為政者がある宴席で美しい侍女に見とれ、寵愛した。ただこの侍女は昼には姿が見えず、夜だけ見えた。その訳を聞くと、自分は庄田の者だが、結婚してくれれば昼も侍ることができるという。そこで華燭の典が行われ、数年後に男児が生まれた。この侍女は庄田の沼に住む大蛇の化身で、その輿入れの際に乗ってきた輿は石になり牛石と呼ばれた。その男児は顔が長く、身体に鱗があったという。
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ヘビ,イケノヌシ
1970年 鳥取県
摩尼山の近くのお種ヶ池には弁天様を祀る。長者の娘のお種が下男と仲良くなり、池の中洲から毎日さと柿を取って来て男に食べさせたので、男がいぶかしがると、お種は池に身を投げた。家人が鐘太鼓で池の周りを探すと、お種が蛇になって現れた。男もその池に身を投げた。お種の髪の毛は先が三股になっていて、裂いたら血が出たという。それは蛇の気のある女だったのだ。お種が池にはドジョウがたくさんいた。兵隊に行く人の祈願にそのドジョウをあげると、必ず生きて帰ったという。
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ヘビ
1936年 福島県
洪水で家が流されないのなら娘を一人やってもよいと母親が言うのを聞いて、蛇が若侍の姿となって娘をもらいにきた。娘が夫と里帰りで来たとき、こっそり寝姿をのぞくと2人とも蛇体であった。娘は形見に下駄と鱗を残して、二度と現れなくなった。その後、蛇のひげで織った織物を水神に供えると、百人分の椀を借りられた。
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トミヤ、ヘビ
1956年 宮城県
昔、富谷の長者の娘へ夜な夜な通う美しい若殿があって娘はみもちになる。ある日娘が蛇に呑まれかけている蛙を助けてやると、その蛙が恩返しのため易者に化けて娘を訪ね、「毎夜通ってくる男は蛇だから、今夜来たら着物の裾に針を刺しておけ」と教える。娘は易者に教えられたとおり針を刺し、翌朝糸を手繰ると、近くの山の大杉のゴラ穴に入った。そのとき杉の木にとまっていた1羽の鴻の鳥が穴から蛇を引き出して十切れに噛みちぎって殺した。村の人は祟られないように一切れずつ十の宮を作って祀り、これを十宮と称したのがのちに富谷となった。娘は身重を恥じて川へ身投げして死ぬ。今も娘の名をとってそこをおまさ渕という。
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ヘビノヨメ,サンシュノホウモツ
2001年 青森県
昔、ある百姓が、自分の娘を嫁にやると蛇に約束し、末娘が嫁に行くことになった。娘は蛇に連れて行かれる道中で、老人から3種の宝をもらった。老人の教え通り、蛇の穴に2つの宝を投げ入れ、汚いおばあさんに見えるおばかあを身につけて、蛇を退治した。その姿のまま長者の家で庭掃きとして働くことになり、長者はそのおばあさんが美しい娘だと気づき、結婚した。
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シマヘビ
1979年 徳島県
ある女性が田植えをしていたところ、シマヘビが出てきたので近くにいた男性に殺してもらった。女性は長く患い、太夫さんのところに行くと、殺した蛇が太夫さんにうつって、「丑年の人に頼んで殺してもらった」と言った。ことわりをすると、治った。田には一の宮という蛇を祀った神様があり、シマヘビはそのお使いだったという。
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エンコー
1942年 高知県
猿猴は他の地方で言われる河童である。長岡郡吉野川流域では、夜、舟にイサリを点けて漁に出ると、猿猴がイチマ(女子の人形)の姿になって流れて来て、これを金突くで突き刺すと、人形がほほえんで流れていく。
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ヘビ
1990年 長野県
萩原の里のくしが下に百姓家があり、美しい三姉妹がいた。末娘はとりわけ美しかったが、そのうちに若い恋人ができた。若者は毎日通ってきたが、家人は彼を見るたびにぞっとするほど冷たい感じを受けた。あるとき、木綿針に糸をつけて若者の袖につけ、後をつけていくと箱だたみの淵につながっていた。若者は箱だたみの主だった。以後若者は通ってこなくなり、娘は身ごもって子供を産んだが皆蛇の子で、産後まもなく娘は死んだ。
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デンゾウイナリ
1987年 長野県
昔,村外れに住んでいた伝蔵さんは時々狐に化かされる事があった。化かされているときはうつろな目をしてコンコンと鳴いたり,ピョンピョン跳ねたり,わけのわからないことを呟いて稲荷様の周りを廻ったりした。翌日になると本人はその事を覚えていない。だが,狐に憑かれる事が度々になってある時狐はらいをすることになった。油揚げを久津根稲荷に供え,伝蔵さんをお稲荷様の前に座らせて神主にお祓いをしてもらい,狐をとってくれるよう皆でお願いしたところ,伝蔵は狐に化かされなくなった。いつしか久津根稲荷を伝蔵稲荷と呼ぶようになった。
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キツネツキ
1922年 山口県
大正2年1月に、筆者宅にある婦人が狐憑きになりやって来た。その狐と問答をして、ある坊主がある女から金を貰い、この狐を使っていることが分かった。狐の子供が坊主の出した油揚を食べてしまったため、仕方なく使役されているという。明治天皇の御影を使い、天子の御家来に害を成すではないと諌め、憑かれた女に給養させることを約束し、退散させた。しかし数日後また婦人がやってきた。問答すると坊主に弓で威嚇され、再び憑いたという。筆者は狐を神の眷属とすることを約束し、立石大明神を招いて吉松稲荷大明神の眷属となる許可を得、解決した。
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