キツネ 1999年 宮崎県 えびのの入佐原には太郎狐、中原には千代乃狐という有名な化かす狐がいた。岡本の人が正月祝いの帰り、友人が「話が残っていた」と引き返したので、一人で歩いていた。しばらく行くと、その友人が先回りしていた。「早かったな」と言いながら歩いていたが、どんどん違うほうへ行く。そのうち友人も消えて目の前は山になり、酔いが廻ってきて寝てしまった。目が覚めると腰につけていた料理は盗まれていた。狐の仕業。
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タヌキ 1986年 埼玉県 名栗村の炭焼きのじい様が夜に寝酒を飲んでいると、墨染めの衣を着た坊さんが尋ねてきたので、ご馳走した。それが何回か続くようになったのでじい様は怪しみ、焼き団子を進ぜようと言って火箸でいろりの灰の中から石をつまみ出し、坊さんの衣にくるんだ。すると坊さんは「あっちっち」と言って外へ飛び出して行った。次の日、山道に古狸がやけどをして死んでいた。
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キツネ 1931年 長野県 狐が亭主の情婦に化けて、その亭主を林の中に連れ込んで寝た。野良帰りの人が見ると、枯れ木の根に丸くなって変な風をして寝ていたそうである。気が付いたときは油揚げなど皆無くなっていたという。
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キツネ,ハヤサカオサン 1990年 福島県 早坂という山道に早坂おさんという狐が出た。魚を持った人が早坂の杉林を行くと明かりが見えるので、もうすぐ八町だと思って腰掛けて休むと眠ってしまって、家に帰ると魚がなくなっている。その灯りは狐が魚を食べたくてたらすよだれが光る。
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キツネビ 1955年 岡山県 ある秋の晩、魚をザックに入れたおばさん二人が帰る途中で狐の火を見た。狐の火は青みを帯びて後光が差さない。いくつにも別れたと思うとまた集まる。一人は油揚げを右手に持ち、取られてたまるかと警戒して歩き、部落に着くと火は消えた。
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キツネ 1985年 新潟県 室野集落の山伏が蒲生集落に行くとき、飯塚というところを通ったら狐が道の真ん中で寝ていたので法螺貝で脅した。するとすぐに日が暮れて、仕方なく蒲生で宿を借り寝ていたら「ほぉいぃんさまぁどこ行ったぁ」という声が近づいてきて、恐ろしいので二階に逃げ、屋根の煙出しから飛び出したら、下に落っこちた。気がつくとまだ日は高く、狐に化かされていた。
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ヤマンバ 1936年 牛方が塩鯖を運んでいるときに山姥に襲われ、鯖も牛も食われてしまう。牛方は木に登って隠れていたが、その姿が沼に映っていた。その姿めがけ、山姥は沼夜涛に飛び込んだので、牛方はその間に逃げて、一軒家に隠れた。そこは山姥の家で、牛方は山姥の餅や甘酒を飲んでしまったが、山姥はそれを火の神の仕業と思い、唐櫃の中で寝た。山姥は牛飼いが錐で蓋に穴をあける音を聞いて「明日は天気だけで、きりきり虫が鳴かあや」といいながら殺された。
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キツネ 1974年 栃木県 山奥で炭焼きをしている人が、狐が縁の下で「夜が明けるよ、夜が明けるよ」と言うのを聞いた。
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キツネ 1988年 群馬県 田んぼに行った時、狐にだまされて道がわからなくなった。仕方ないのでドウツクバッテ居ると白々と夜が明け、焼場にいることに気付いた。目の前にボーッと丸い光がさしていた。
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キツネ 1988年 群馬県 砥沢や余地峠にはよく狐が出てばかにされたことがあったという。ある人が勧能からサンマを買って帰ってくるとき、合芳橋のところできれいな家があると思って寄ったところ、実はモモヒキを脱いで桑畑に座り込んでいたのだという。
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バカシソコネタキツネ 1956年 宮城県 後山に炭焼きの夫婦が住んでいた。夫が晩遅く帰ると、妻が鉤に鍋をかけて炉端にあぐらをかいてうたた寝をしている。「ガガ(妻)はいとこの家に泊ってくるはずだし、行儀が悪いし・・」と疑っていると、「あんた1人で淋しいと思って帰ってきて、小豆飯を炊いていた」と言う。妻はあぐらなどかいたことがなく、小豆飯など神仏にお供えするとき以外炊かないのでいよいよ不審に思い、小豆飯を強く勧められても食べず、今夜は寒いからとますます火を燃やした。そのうちまたうたた寝をしはじめた妻をよく見ると、両腕に毛が生えているので、これは狐だと思い、ますます火を焚くと、尻の方にも口があるようで、その口があくびをした。今だ、とそこめがけて焼火箸を刺そうとしたら正体をあらわして2匹の狐となって逃げた。1匹の狐が肩に脚をかけてもう1匹の狐の股に口がくるようにぶらさがっていたのだ。帰ってきた妻は「小豆御飯ではなくマン糞でも煮てたんだべな、気がついてよかった」と言った。
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キツネ 1984年 大阪府 お宮の供物を狐がとりにくるので、ある男が番をしていると嫁がくる。嫁は男を帰宅させようと色々と言うが、暗いのに顔がはっきり見えるので、狐にだまされていると気づく。男はだまされまいと耳を貸さなかったが、ベッピンさんになって出てきた狐が「あんたはだまそと思っても、だまされん、ほうびをやる」と言うのに、とうとうだまされてしまった。松島の遊郭に行き、ご馳走や風呂にありついたつもりが、朝には野壷に入っていて、供物も取られていた。
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タヌキ 1991年 愛媛県 炭焼きがお宮祭りの帰り、酒に酔って炭焼き釜へ寄ったら狸に引かれて、田んぼに入って稲を踏んで回ったりわけのわからないことを言ったりして、気づいたら夜明けになっていた。
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タヌキ 1974年 愛媛県 みよという所の炭焼きが、祭りの晩に山奥へ炭焼きに行った。薄暗くなったころに餅を取りに家に戻り、餅を小屋の中に吊り下げて寝た。夜中に目を覚まし外へ出ると、女の声がした。その声について5分ほど歩くと声が消え、小屋から離れた場所にいた。狸に化かされたと思って引き返すと、狸に餅を全部取られていたという。
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オトーカッビ 1988年 群馬県 オートッカ火が出る山の入り口に来ると、松の木にオシメが干してあった。おかしいと思った時には化かされていて、家に帰る道がわからなくなっていた。一晩中、畔道を歩き回ったが、土産の油揚寿司は風呂敷につつんで首にくくり付けてあったので無事だった。
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キツネ 1995年 愛知県 ご馳走を持って峠を歩いていたら、狐が飛び越えて中身を取った。
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キツネノヨメイリ,キツネビ 1985年 愛媛県 話者が歯長峠越えで徒歩で上りにかかった。日はとっぷり暮れていた。すると目の前に灯りが点っていく。「捕まえて狐汁にするぞ」と言うと消えるが、しばらくしてまた灯る。またの姉の話では、子供の頃は向かいの山裾に狐火が毎夜の如く灯っていたという。
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マダラギツネ,オニビ 1974年 福井県 夜、越前国細呂木から三国への帰り道で、鬼火を照らした狐が踊っていた。それを見た男が近付くと狐は若衆に化けた。男は狐を連れ茶屋に行き飲み食いした後、男は逃げた。狐も茶屋の主人に追いまわされたが逃げのびた。
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キツネ 1989年 愛知県 原田北部の小松谷は、南側のため池近くにキツネ穴があくさんあったので、狐谷と言われていた。ある人が夜中の一時頃に、長坂という峠を越え、原田目指して歩いていたところ、ぞくぞくっと寒くなった。やがて浮御堂のある池に出たところ、松の根本に美しい娘がいた。「こんばんは」と声を掛けても無言で、一町ほど行って振り返ると姿はなかった。家に帰って父親に言うと、寒気はしなかったかと問われた。したと答えると、その時にキツネにつかれたんだと言った。
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キツネ 1995年 長野県 隣村へご祝儀に呼ばれた帰り、夜の峠で狐にごちそうを食われた。夏みかんひとつだけ残っていた。
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