レンゲクサン 1979年 鳥取県 れんげくさん(尼さん?)に塩鯖を分けてくれと頼まれ、断ったら馬が腹痛を起した。あわてた馬子がれんげくさんに1匹あげると、れんげくさんは塩鯖の串を抜いて海に投げ込んだ。何年に1度か、背中に串の刺したあとのある鯖がとれるという。
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ギョウキノトク,タタリ 1975年 徳島県 阿波国海部郡比和左村薬王寺から土佐国までの間の八坂という地に、行基庵がある。昔この地を遍歴していた行基が、鯖売りに鯖を1尾乞うたが、鯖売りは行基をののしった。そこで行基が、鯖売りの馬が病気になるという歌を詠むと、たちまち馬が病気になった。あわてた鯖売りが無礼を詫びたので、馬の病気が止むという歌を行基が詠むと、すぐに病気は治ったという。皆がその徳に感嘆し、行基のための庵を結び、その御影を写し本尊にしたところ、多くの人が参詣したという。
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ヤマンバ 1971年 鳥取県 商品の塩鯖を山姥に食われた馬子が、仕返しに山姥の家までついていき、だまして退治する。退治された山姥は松やにになってとけていた。
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カイコクノソウ 1977年 神奈川県 昔、病気で死にそうな父のところへ向かう息子が川を渡ろうとしていた。だが、この息子はお金がなかった為、船頭は船に乗せてはくれず、泳いで渡ろうとしたこの息子は川に流されて死んでしまった。後にここを通りかかった僧がこの船頭に人情を持つようにと言ったが、船頭はこれを聞き入れなかった。そこで僧が錫杖を地面に突き立てると、川の水が全てその穴に流れ込んでなくなってしまった。船頭は飯の種を失い、村民からも白い目で見られるようになり、とうとう逃げ出してしまった。
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ヤマンバ 1936年 鳥取県 ある時、1人の馬子が鯖を持って峠にさしかかった。途中でやまんばが出てきた「馬と鯖をくれ」と言う。断るとやまんばはくれなければ殺すと言う。馬子は逃げ出し、一軒家にたどりついた。しばらくすると家の主が帰ってきたが、やまんばであった。やまんばは釜の中で寝はじめたので、馬子は釜の上に重い石をのせ、火をつけた。やまんばは丸焼けになった。
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ワラシベチョウジャ,ウワバミ 1968年 愛媛県 年の暮れに、貧乏人が藁3本を持って旅に出た。葱を洗う女に藁をあげ、三年味噌をもらう。その味噌をやって寺に泊まる。和尚が味噌を隠すが、小僧が教えて錆刀を持ってくる。夜に大蛇を退治して和尚に金をもらい、家に帰って節季の払いをしたという。
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カッパ 1987年 長野県 昔,十人村の男が甲田池の傍に馬を繋いでおいたところ,かっぱが馬を池に引きずり込もうとした。馬は暴れながら馬屋に帰ってきたが,かっぱは引っ張られてくる途中で頭の水をこぼしてしまって力が抜け,馬屋の隅にじっとしていた。男が来るとかっぱは謝り,「何かおふるまいのある時は必要な膳椀をそろえるから許してください。」と詫びた。許してやると,それから振舞いのあるたびにかっぱが前夜膳椀をそろえ,使った後は持って帰った。ところが,近所の男が一膳分だけ隠しておいたので,それ以来かっぱは膳椀を貸してくれなくなった。
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コウボウダイシ 1980年 ある酒好きの男が去年から酒を飲まなかったものの、ついに手足が不自由となった。多くの医者に診せても治らなかった。ある日駕籠に乗っていたとき、いやしき僧に出会う。その僧に事情を話すと、僧は男に薬と飲み方を教えた。その薬を数日飲んでいると平癒した。男は日頃弘法大師を信じていたので、示現したのかと思った。
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キツネ,オショウ 1974年 ある猟師が狐を捕り逃がしたところ、逃げた狐が猟師の念に苦しめられていると僧の夢に現れた。僧が猟師を訪れ、狐が捕われて場合の金を渡すと再び僧の夢に狐が現れ礼を述べた。
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オオウナギ,タビソウ 1999年 旅僧がやって来て毒流しの漁を止めるようにと宿主に言った。しかし止めさせる手立てはなかったので、申し訳なく思った宿主は旅僧に粟飯を施した。藩主は漁を決行し、多くの魚が川面に浮上した。その中に大うなぎがいて、その腹を裂いてみると粟飯が入っていた。大うなぎが旅僧だったと人々は知った。その後大地震や藩主の早死になどが続いた。
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タヌキ 1939年 長崎県 あるところに狸と仲のよい男がいて、狸と組んで金儲けをした。しかし、狸に礼を渡さなかったので、狸は怒って男の田に石を入れた。男は知恵を働かせて狸に馬肥えと入れ替えさせた。
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ヘビ,シュウネン 1929年 埼玉県 昔、旅人たちが庵で休息していると、庵主の老僧が昼寝を始めた。一人が小蛇を見つけてその頭に石をぶつけた。すると老僧が起きて、なぜ私の頭を石で打つのかと怒り出した。旅人たちが詫びると、老僧は、実は先年から金7両を小瓶に入れて埋めており、それを思う余り、蛇になってしまったと懺悔した。
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(ムクイ),リョソウ 1974年 奈良県 南都三条で、貞享2年の4月、ある旅僧が裕福な家の夫婦に鉢を乞うたが断られ、一夜の宿も断られた。その弟は旅僧を召使いの所に泊まらせた。旅僧が召使いに、兄夫婦は畜生道に落ちたと言うので行ってみると、兄夫婦は会話ができず、犬の吠える声になっており、驚いて帰ると僧は去ったあとだった。
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ミソチョウジャ 1928年 兵庫県 貧しい夫婦のところに、痩せ細ったみずぼらしい旅の坊さんが一夜の宿を求めてきた。夫婦は食事すら差し上げることができないからと断ったが、坊さんがそれでもいいと言ったので、夫婦は快く泊めてあげた。翌日、坊さんは家を去るときに何かを念じながら庭にあった古い瓶の周りを廻った。瓶の中には味噌が入っており、それはいくら使ってもなくならなかった。夫婦はそれを売って味噌長者と呼ばれるほど富裕な暮らしができるようになった。
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カッパ 1989年 長野県 川に馬が引き込まれようとしていたので尾を見るとかっぱが尻にぶら下がっていた。殺そうとすると命乞いをするので助けた。すると、欲しいときにはいつでもびく一杯の魚をくれるようになったが、その魚を売ると、それ以後貰えなくなったという。
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カッパ 1990年 長野県 川で馬を洗っていると、急に馬が飛び出して家へ帰った。見ると、尻尾にかっぱがつかまっていたので石臼につないでおいた。するとかっぱが命乞いをして、「助けてくれたら、膳椀を用立てる。大橋の上から要るだけの数を紙に書いて投げ込んでくれ」と言った。そこで放してやり、何度かその様にして用立ててもらったが、借りた椀を壊してそのまま返してからは貸してくれなくなった。
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イソウ,コウジミソ 1974年 兵庫県 ある夫婦者は常に普門品を読むほど信心篤かったが、家貧しく草鞋をつくって生計を立てていた。歳末に異僧が家に来て一夜を乞うた。夫婦は貧しさ故断ったが、僧は主人と寝食を共にしたいと、結局宿泊する事になった。翌朝僧は草履を請い、これを履いてぬかみそ桶の周りを、慈願視衆生福聚無量と唱えて出て行った。その桶を開けると麹味噌になっていた。近所の者にあげても尽きなかった。
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カオロ 1933年 岐阜県 カオロが馬を川に引き込もうとしたが、逆に馬は厩までカオロを引いて帰った。見つけた主人がカオロを殺そうとしたが、助けてくれればお礼に魚を進上すると言い、許してもらった。その後、主人は入用なだけ魚を門前に置いてもらったが、ある時俎の上に刃物を置いていたところ、以後絶えてしまった。
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オニ,ツキノカミサマ 1928年 鹿児島県 昔、馬に塩を背負わせて海岸にきたら、鬼が立ちふさがった。塩を食べられ、木に登って鬼に逆立ちして足から登ったと教えるとそのとおりにした。男の姿が池に映り、鬼は池の水を飲み干した。追い詰められた男は月の神様に助けを請い、鬼は雷で焼け死んだ。
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シンランショウニン 1979年 山梨県 ある日の夕暮れに、1人の旅僧がやってきて泊まった。翌朝、ここは清浄なところだから何日か行をやりたいというので、堂へ案内した。婆さんが家の内に水の出る所はないものかと捜していると、その旅僧が場所を示した。掘ってみると清水がわき出した。ただし、この水はこの家の入用だけしか出ず、女性が不浄の時には汲んではいけないと約束した。ある時、婆さんが約束を忘れて水を飲んだところ、水が止まってしまったが、坊さんに話して拝んでもらうと、また水が出てきた。後にこの名僧は親鸞聖人であることがわかった。
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